現在、我が国では医師になる三人に一人は女性医師です。女性医師の増加に伴い、出産・育児・介護のために休職・離職する女性医師数も増加傾向にあり、女性医師の勤務形態や休職・復職に関するニーズも多様化しています。

 

血液内科医としてキャリアを積んだ女性医師が、様々なライフイベントでキャリアを途切れさせることなく継続し、お互いの個性を尊重しつつ協力して社会に貢献できるよう、当科でも多様性のある勤務体制の構築に取り組んでいきたいと考えています。

 

その一例として、2014年から2015年に育児と並行しながら当科の外来に勤務された、F先生の体験談をご紹介します。

 

インタビューに応じるF先生

週二回の外来診療


飯塚病院血液内科には、出産後に週二回の外来非常勤医師として二年間勤務しました。当時は週一回の大学の勤務枠とあわせて、週三日働いていました。はじめての育児でわからないことだらけ、発熱もしょっちゅう。今もですが、帰宅後はほぼワンオペ育児。そんな状況での復帰としては、外来週三勤務はこれ以上ない環境でした。

 

24時間体制の院内託児所「びーとる」

仕事面のよかったこと


産休に入る前はほぼ病棟業務のみで、血液内科の専門外来を見る機会がありませんでしたので、外来診療は非常に勉強になりました。入院治療が不要で、外来でしかお目にかかれない血液疾患をここではじめて勉強しました。また、飯塚病院の症例をまとめて血液学会で発表する機会にも恵まれました。

 

非常勤外来で血液専門外来をできるところは、関東などの都市圏はともかく、九州では一般求人で探してもほとんど見当たりません。本当にありがたい機会でした。

 

苦労したこと


今では慣れましたが、福岡市内からの一時間通勤で、朝の外来に子供を連れて出勤となると、朝五時台には起床しなければいけません。自分一人なら朝の時間管理に苦労しませんが、発熱その他、家を出るまでに予想外のことをいろいろ起こす子供を連れて遅刻しないこと、これをどうにかこなすのに苦労しました。また、勤務中も、発熱などで保育園に呼び出されはしないかと常におびえていました。幸い、外来中の発熱で呼ばれたことはありませんでしたが・・・。実家の母のサポートには大変助けられました。

 

女性職員専用マンション「ブランアルシュ柏の森」

女性医師のキャリア・ワークライフバランス


おおむね自分でコントロールできないことばかりで、一番悩ましいですね。ただ、介護問題は男女を問わず突然降りかかってくるので、キャリア・ワークライフバランスの問題は女性医師だけの問題ではなく、男性医師にも関わりのある問題だということは強調しておきたいです。


女性特有のライフイベントはやはり出産だと思いますが、時期など思い通りにいかないことも多いです。ですから、キャリアプランを立てること自体が困難と言えます。復職の際、「周囲から提案されたポストにトライするかどうか」の選択を迫られることもあると思いますが、細かい勤務条件などは赴任してみないと分からないことも多く、その中でどうにか切り盛り・・・というところだと思います。


フルタイム勤務が難しく、頑張っても70%の働きしか出来ない多くの医師にとって、80~90%の働き方を求められる病棟勤務は、周囲に迷惑が掛かることを気にして二の足を踏んでしまうのものです。そうなると、50~60%程度の働き方でよい職場を選択せざるを得ません。そこで生じる10~20%程度の余力をうまく活用することが出来たら、現在の医師業務過多を多少軽減できる可能性があるのでは・・・と常々考えています。飯塚病院血液内科では、お互いをカバーする診療チーム制の試みをはじめられたと聞いて、とても可能性を感じています。

 

今後の目標・メッセージ


子育て中の身としては、ある程度自立期を迎えるまでは、子供に対して親の責務を仕事を理由にないがしろにはしたくないと思っています。一方で、現在常勤で働く中で取り戻したり、新しく身につけたりした医師としてのスキルを、仕事のペースを落とすことでまた手放すのは、もったいないという気がすることも確かです(注: F先生は現在、他院で病棟勤務をされています)。


定年まで一定の医師スキルを維持して、家庭に対しても、公的にも、後悔しないですむ働き方について、これからも模索し続けると思います。

 

もし、働きやすい職場を探している血液内科女医さん、おられましたら!!ぜひ一度、飯塚病院を見学されてみませんか??勤務条件だけでなく、今のスタッフの先生方、本当に、人間的にも尊敬できる先生ばかりです☆

 

病院見学をご希望の方へ


当科に興味を持った方は、ぜひ見学に起こしください。病院見学を随時受け付けております。お気軽にご連絡ください。

 

●医学生、初期・後期研修医の方はこちら (飯塚病院HP)

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