お遍路さん日記⑦〜チェリーロードと 野望と やぶった誓いⅡ〜 | しまだの芸術活動記。

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日々笑ったり泣いたりはしゃいだり小躍りしたり…
おおいそがしなのであります。





恐るべし遍路ころがし。
転がされました。
(勝手に自分で迷っただけでしょ。なんて言わないで…笑)


藤井寺を出発してから3時間弱。


取り出した携帯も電波は心許なく。
Wi-Fiはもっと望みが薄く。


絶対に違うところを指し示すマップに絶望的になり
軽いパニックを起こし
自暴自棄にもなり(その時はものすごく必死なの!笑)


山の中で ひとりぼっち。


日は さんさんと照っていたし
非常食だって持ってるし
どっこも怪我してないし
命を落とすことはない。
ってわかっていながら、
心細かった。


誰か居てくれたらなぁ。


でも誰も居ないから、
遠くの街の景色を仲間にして歩いた。


そうこうしてたら
舗装された広い道に出た。


かすかに聞こえるエンジン音に
慌てて全身を澄ます。


く…車!
ひ…人!!!


命からがら?藁をもすがる?
思いで話しかける。(その時はとっても必死なの!笑)



道に大きく伸びた木を伐採している男性と、
男性に指示を出しているおじいちゃん。


焼山寺に行こうと思って藤井寺から歩いてたんですが、ここに出てきました…。
ここは地図だとどの辺りですか…?

と、尋ねると
驚きと残念の混じった声で、


あれまあ!それは随分と間違えて歩いてきてしまったなぁ!かわいそうに…ここからだと焼山寺までかなり距離があるぞ


あああ……やっぱり……(T_T)
心が ポキン。


来た道を戻るのも、大層だしなぁ…


ううううう……(T_T)
ポキン ポキン。


ほしたらな、いいところまで…




車で送ってあげるから 乗りなさい!


ひゃぁぁあ!!!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥д°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
ありがとうございます!m(_ _)m
ありがとうございます!m(_ _)m


と、いうわけで、またもや歩き遍路は頓挫。
お遍路再開から わずか4時間くらい…

もうっ!もうっ!
自分の方向音痴さを心底嘆きながら、
助かった…と腹の底から感じながら、
軽トラの助手席に乗せてもらいました。


藤井寺から歩いてきて、どこで間違えたんだろうなぁ?焼山寺へは遍路ころがし言うて、徳島で一番大変なところだからなぁ。まず、あそこでお遍路さんは挫けるんじゃ。

はい……もれなく挫けておりますぅ……(T_T)

ほいで、今日の宿はどこにしたん?

鍋岩です。

ほしたら、焼山寺から更にちょっと下っていかんといけんな。
まぁ、大丈夫だ!途中まで送ってあげるからな!まずは昼を食べてから!

と、おじいちゃんのお家へ寄り道することに。


トラックくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる


ちなみに
後から調べてみたところ、


赤いルートへ行きたかったのに
緑のルートに行ってしまった模様。

もひとつ言うと、

黄色のルートがお宿なのですが、
焼山寺から徒歩約2時間の道のりです。


…緑のルートが、短いようで長く派手な誤ちなのが伝わるんじゃないかしら……チーン


トラックくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる


おじいちゃんが、
道の脇に生えている桜の木を指して

これはな、わしが植えたんだよ。
さっき切ってた木も植えた。
ああして手入れしてやるんじゃ。
春になるとみんな咲いて綺麗だぞ〜^ ^

へぇ〜!桜かぁ。
綺麗だろうなぁ〜。


それから、おじいちゃんのお身内の方が千葉に住んでいたことや、残念ながら今現在は千葉と繋がりが少し薄くなってしまったことなどを聞いた。


ぼんやり 窓の外に続く桜を眺めながらお話をしていたら、おじいちゃんのお家に到着した。


迎えてくれたのは、
おじいちゃんの娘さん。

あらあら、お遍路さん連れてきたの?
ふんふん…迷子? あらぁそれは大変だわぁ。
…もし、良かったら、ですけど…焼山寺まで車でお送りしましょうか?

おじいちゃんの娘さんが、こうして慎重に提案してくれるのは、歩き遍路にしか見えない景色があることを知っているから。

その選択肢を奪わないように、わたしに委ねてくださっているのです。

そのお心遣いに感謝しつつ
わたしの身体と心が絶叫していたので丁重にお願いをした。


お願いします。
すみませんが、連れて行ってください。m(_ _)m

はいはい!そしたら、良かったら、一緒にお昼食べていきませんか?

え!あ!そんな!


と、言いつつ、
ご相伴にあずかることに。f(˃̵ᴗ˂̵)アセアセ

夕方から雨が降るっていうし、食べたら早めに出ましょうね。送っていってあげるから安心して。まずは食べましょ!


それから娘さんは
パパパパーっと手早く支度に取りかかり、
あっという間に いただきますキラキラ(^人^)

すだちの浮かんだ すまし汁が
体中に 染みわたる。
爽やかな香りと酸味が広がる。

娘さんの手作りのお味噌に、
これまた すだちを絞って。
焼いたお野菜やお肉をそのつけダレに絡めて食べた。
あぁ 美味しかった。。。

こっちじゃ すだちは買うものじゃなくてね。
いただくものなの!
こ〜んな袋いっぱい入れて、ご近所さんがくれるんよ。

さすが特産ーっ!
いいなぁ〜!いいなぁ〜!
関東じゃ、4つとか6つとかで何百円の高級品ですもの!

もぐもぐしながら娘さんとも千葉の話を。
台風の話や、電車の路線の話、徳島の勝浦と千葉の勝浦とか地名の話などなど、共通の話題が繋いでくれる。

わたしの、花いちもんめの夢の話をしたら、
なんと!
娘さんも若い頃に東京でお芝居をやっていたのだそうで!

まぁ〜!え〜!すごい〜!
また共通点が見つかって嬉しくなって。^ ^

下北沢の劇場の話とか、
わたしの師匠の話とかして。


花いちもんめは、どういうお話なの?
ってところから、
おじいちゃんの桜の木の話に繋がって。


わたしを拾ってくださった まさにあの道は、
30kmに及ぶ、地元の人に愛される有名な桜の街道。


戦時中、出征する兵隊さんたちは
峠を越えて、山の中を歩いて、
阿波川島という駅から汽車に乗って戦地へ向かったのだそう。

当時小学生くらいだったおじいちゃんは
兵隊さんたちのその姿を見送るしかなくて、

その苦い記憶が いつまでも残っていて、

帰って来ることが出来なかった兵隊さんたちも、
春になって故郷に、あの道に、
桜が咲いたらきっと喜んでくれるんじゃないか。

そういう想いから
おじいちゃんは兵隊さんたちが歩いた道沿いに
1本 1本 桜を植えていったのだそう。

昭和47年から
もう50年近くも。

植えて
育てて
植えて
育てて…


今では春になると、お花見をしに県外からも沢山の人が訪れるんだって。

兵隊さんたちも、きっと、桜を見てほころんでいると思うなぁ。
穏やかに
わたしも そうであって欲しいと祈る。


80歳を超えた今も見守り続けているおじいちゃんは、すごくカッコ良かった。^ ^

へっぽこな迷子のお遍路さんにも すごく優しくしてくれました。^ ^


それにしても…
あの道の、
あの桜、
全部を、
おじいちゃんが、
1人で植えたなんて!
また出会っちゃった すごい人ーーー!



お家を出る前…
これ、お接待!
良かったら途中で食べてください ^ ^
と、娘さんがバナナと大福と烏龍茶をくれた。

ううう(´༎ຶོρ༎ຶོ`)キラキラ
ありがとうございます!!!


おじいちゃんに、
桜の咲く頃に またお邪魔します!
と約束してお家を出た。
おじいちゃんニコニコしてた。

それから娘さんの車に乗せてもらい、
うねうねうねうね
と、山道を登ったり下ったり何度もして。

…この距離を歩こうとしてたのか…

と思ったらゾッとして、
事前の支度も自分の準備も全然足りていなかったな…と反省した。。。


車中で 娘さんが打ち明けてくれた秘密の野望に、私は大層トキめいた。

2人でキャッキャと盛り上がったことは
多分ずっと忘れない。ふふふ。
♪(*^^)人(^^*)♪


そうして、焼山寺の駐車場へ到着。
し尽くせないお礼と
また会いに来ますの約束をして別れた。


車くるくるくるくるくるくるくるくるくるくる


歩いてお寺へ向かう。




12番札所 焼山寺


長い階段。
この先、また更に階段を登った。


わたしだけじゃ辿り着けないはずだったけど、
おかげさま皆さまでお参りに来ることが出来ました。
と、ここでも深くお礼。
みんな元気でいられますように。


足足足


さぁ!
今宵のお宿 鍋岩へ!

お寺の方にも道を聞いたし!
道しるべもあるし!
大丈夫!もう迷子じゃない!



と、奮い立たせつつ
ちょっと木陰に入ると不安が むくむくと…


膨らんできては 振り払いつつ
てくてくてくてく 歩く。


山道を抜けて 人里に入ると
途端に ほっとする。


突如 おっきな木ーーー!



ここは、番外札所 杖杉庵。



詳しいことは、こちらを読んでいただくとして…


空海さんが衛門三郎さんを弔った際に、
衛門三郎さんがお遍路に使っていた杉の杖を墓標がわりに植えたら、大木になったんだって。

あのおっきい木!

は、どうやら杖だった木ではないらしいですが、(空海さんが植えた木は、残念ながら焼失してしまったんだって…)
でもすごく立派な木でした。
幹も根っこもすごい!


ちなみに、すぐそばに梅干しの販売!


残念。
売り切れだったよ。
梅干し食べたかったなぁ。
大好きなんだよなぁ 梅干し。
昔ながらの すっぱ〜いやつ。


細い道や




山の中



苔の美しさに
心奪われたり





川だ!



泳いだら気持ち良さそうだなぁ。。。

暑いなぁ。

いっぱい汗かいたなぁ。



鍋岩まで あともうちょっと!
ふぁいとー!



そうしてなんとかお宿に到着!


が、写真がない。
きっちり2時間歩きましたから!
荷物を下ろしたくて夢中だったんだと思う。笑


お部屋に通していただき、
食堂や、洗面所や、洗濯機の位置を案内してもらって……


お風呂へ!



っあーーーーー!
幸せーーーーー!

サッパリ スッキリ♫(*´∀`*)



それからご飯!


酢の物バンザイ。
天ぷらも美味しかった〜。

今夜はわたしの他にハワイから来たというご夫婦が泊まっていて、3人でいただいた。

英語と日本語が入り混じった会話をぽつぽつと。

通じ合ってる感じでニコニコ楽しい。

宿のおじさんがテレビを見ながらご意見してたのも面白かった。



夜ご飯を食べ終わって19時くらい。

明日の作戦を練る。

英語の地図本を開きながら
めだか屋のおっちゃんが教えてくれたルートと、お宿をチェック。

次のお寺、13番札所 大日寺までは
鍋岩からだと約19kmの長丁場。

でも明日は、大半が道なりの日!
やった!道なり!ずっと道なりがいいな!笑

今日の反省点を踏まえつつ持ち物の配置を変えてみる。

笠、持ってきたのに
リュックの位置と相性が悪く
かぶれず。笑


兄さんが、あの時に教えてくれていた。

リュックのサイズが合ってなかったり、中身の詰め方の問題で、リュックの高さが肩より高くなると笠のヘリが当たって笠がズレちゃうんだよ、って。

家で試した時は かぶれたんだけどなぁ。

荷物詰めなおしたけど、
やっぱりかぶれなかった。バイキンくんもやもや




早めに就寝。

途中で一回起きたけど
まぁよく眠れた。(u_u)..zzZ




次の日も いいお天気!



また3人で朝ごはんを食べて。


みんなで食べると美味しいね。

今日はどのお寺まで行くの?
また会えそうだね!良い旅を!
なんてお話をして、

2人はご飯を食べ終わると
ささっと支度を済ませて早々に出発していきました。足足


わたしも急いで支度!


なべいわ荘。

昨日撮りそびれちゃったからね!
今朝はちゃんと!カメラハッ



さぁて、目指せ大日寺!

出発ーーーっ!




つづく

足足足