お遍路さん日記⑤〜やぶった誓い〜 | しまだの芸術活動記。

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日々笑ったり泣いたりはしゃいだり小躍りしたり…
おおいそがしなのであります。


随分と久しぶりになってしまいました…
昨年、区切り打ちした時のことを綴りたいと思いますクローバー


前回までのお話…



11番札所 藤井寺までは 9.7キロ。


6番 安楽寺から1.7キロ→
7番 十楽寺から4.2キロ→
8番 熊谷寺から2.4キロ→
9番 法輪寺から3.9キロ→
10番 切幡寺から9.7キロ→藤井寺。


と、いうわけで、
今回のお遍路の中では一番の長距離。

じりじり日差しにめげそうになる。

おや?遠くにお遍路さんを発見。
しばらく黙々と歩いてばかりだったので人の気配が嬉しい。




こんにち……




はっ!!!

お人形さんでした。
結構リアル。びっくり。
彼女を創造したどなたを想像し
人の気配に違いはない、と合掌して別れました。笑



その後、牛さんと遭遇。
カメラ目線。
どうもありがとう。


土手の階段をのぼりながら見上げた空が綺麗だった。



空が綺麗。



気が遠くなる一本道。



人生に重ねてしまいそうな分かれ道。



少しずつ日が傾いてきているのがわかる。

お寺まで あとどのくらいだろう?


わたしの足でどのくらいかかるかなぁ?

香港の君は今どの辺りだろう?

もうお寺に着いちゃったかなぁ?



暑いなぁ。
荷物重いなぁ。
足が痛くなってきた気がする。



足も心も だましだまし
前に進む。

とにかく長く 遠く 感じた。

近付いてる気がしない。

はぁ。
はぁぁ。




向こうから走ってきた軽トラックが、ゆるやかに速度を落とした。


窓が開いていて運転席のおじちゃんがわたしを見つめる。


白い服と大荷物で歩いていると、地元の方が会釈をしてくれる。
正式な、白衣や菅笠のお遍路姿じゃなくても変わらずに。
その度に、なんだか受け入れてもらえたようで、嬉しくなって、わたしもこんにちは と会釈する。

おじさんも、挨拶してくれるのかな?
わざわざ車を止めてまで挨拶してくれるなんて有り難いなぁ……


この先、通行止めになってるよ!


え?

ん?

つうこうどめ?

……………


えーーーーーーーーーーーーっ!!!!!



なんと、台風による大雨で川が増水して、遍路道でもある橋が通行止めになってしまっているとのこと。


このまま行っても、道がダメだから行けないよ。

わー… あー… そうですかぁ……

他の道がどうだかわからないけど、ぐるっと迂回しないとあっちの方には行けないだろうなぁ。

あー… わー… あらら…


膝から崩れ落ちそう。
こ、こ、ここまで歩いてきたのになぁ…
しばらく一本道だったなぁ…
一体どこまで引き返せばいいんだろう?
今 来た道を戻るのかぁ……
もうお寺には辿り着けないだろうなぁ。


なんてことが、ものの数秒のうちによぎり、
心も足も前に増して ずーんと重たくなった。


普段なら、ここんとこ真っ直ぐ行けばいいんだけどねぇ。あー…こりゃ困ったねぇ。迂回と言っても、他の道も行ってみないと通れるかわからないしなぁ…。

はぁぁ… そうですよね…


もし良かったら途中まで乗っけていってあげようか?


え?


えええええ目キラキラ


……否!
だめだめ!

徳島へ来る時、わたしは歩き遍路をすると心に決めていた。
最低限の交通機関以外は、全部歩くと。
(…のっけからタクシーを使ったけども。
あれは非常事態だったし。)
自分の足で、歩いて、巡って、お参りしようと。

法輪寺のおいちゃんも、
「車とかバイクとか、観光バスを使ってまわる人も増えたけど、やっぱり、歩いてまわるのは一番だな。歩きじゃないと味わえないものがある。」

って、言ってたし。

「でも、だからってなにも全部全部歩かなくてもいいんだ。周りになんにもないところを長い時間ひとりで歩くより、人との出会いを大事にした方がいい。誰かに車に乗せてもらえるチャンスがあったら『ありがとうございます!^ ^』って言ってあーだこーだ話しながら連れて行ってもらったらいいんだ」

とも、言ってたなぁ。

言ってたなぁ。


ありがとうございます!^ ^
お願いいたします!m(_ _)m


と、いうわけで、軽トラの助手席に乗せてもらいました。笑

出来るだけ全部歩くということを手放した罪悪感と、来た道をあっという間に戻る切なさを感じる。
車って圧倒的。笑

窓からびゅーびゅー入ってくる風が気持ちいい。

おじさんは畑でお仕事をしていて、別の畑へ移動している最中だったらしく。
わざわざその手を止めて(車も止めて)声をかけてくれたのだそう。
おじさんのご厚意が染み渡る。

どこから来たの? 一人で来たの? どうして来たの?の、ひとまずのご挨拶を終え、おじさんは昔 野球をやっていたとか、それで関東を訪れたことがあるとか、定年を迎えてから畑仕事をするようになったとか、あーだこーだお話をして^ ^

あれ?こっちじゃなかったかなぁ?
この道 通れるかなぁ?
この辺だと思うんだけど…
行き過ぎちゃったかな?
…おじさんのご厚意が染み渡る。

迷って戻ってを何度か繰り返したのち
「途中まで」の約束が
なんのなんの
結局 お寺の前まで送ってくれました。

ううう
おじさん、ありがとう。

忘れたくなくて慌ててシャッターをきる。
車が見えなくなるまで見送る。




そうして、
11番札所 藤井寺。


16:30頃に到着。

なんとここで香港の彼に遭遇!
会って立ち話。
お互いに少し疲れが和らぐ。
彼は今夜 近くのホテルに泊まって、明日 難所の遍路ころがしに挑戦するらしい。
すでにマメがつぶれてしまっていて、足が痛い…と言ってた。
彼は通し打ちなので、まだまだこの先も続く。
出来るだけゆっくり眠って、休みながら歩いてくださいね、と声をかけて別れた。


順番通りお参りをして一番最後、仕上げに納経してもらいに向かったところ、


「今日の納経の受付は締め切りました。また明日来てください。」


……ぇぇぇ(;_;)


納経所は17時までらしく。
お参りしている間に、締め切りになってしまったのです。
効率良く先に書いてもらってからお参りすれば良かったのか。。。
そうかもしれないけど…でも…だって…
納経はお経を済ませてからじゃあん。。。
いや、間に合わなかったわたしが悪い。
でも今夜のバスで帰ってしまうわたしに、明日はない。
ずしん。。。
今日歩いてきた道や、軽トラに乗せてくれたおじさんの顔とかが浮かんで
申し訳ないやら 悔しいやら
ものすごく悲しくなった。

が、わたしのその様子に、
「今回だけ特別に。」と書いていただけることになりました。
お遍路が初めてなことと、遠方から来たこと、今夜帰ることなどから特別に…

…ごめんなさい。
ありがとうございます。


お遍路さんは観光客ではない。
修行者なのです。
それを痛いくらいに感じて
なんだかずーんとした気持ちで藤井寺を出た。


ら、

めだか屋のおっちゃんに声をかけられました。

まぁ座って座って!と ベンチへ促され、
関東と徳島をつなぐ安いバスの話とか
オススメの宿の話とか
靴と荷物のチェックをされました。
靴と荷物は合格点をいただけました。
あ、やった♩


そうしてアイスをいただく。
冷たくて美味しかった。



おっちゃんに、一冊のお遍路の地図本を勧められました。

実はわたくし、この時 安楽寺でもらった簡単な地図しか持っておらず。
事前の下調べはしていたんだけれど、詳細に載った本や地図を買っていなかったのです。
それで、「いずれまたお遍路に来るつもりなら、今買っておいても損はないんじゃないか?」
と、おっちゃんが地図本を勧めてくれたのです。

でも なんでか英語版。笑

「日本語のも含めて今一番内容が充実してるのはコレ!この本は間違いない!」

と言われ、本を開いてみる。
確かに見やすい。
次のお寺までの距離だとか、病院や交番はもちろん、宿泊施設や休憩所、コンビニ、お手洗い、温泉などなど記号で書かれていてわかりやすい。
が、やっぱりどのページも見事に英語。

なんでやねん。笑

もしやこれは、“お遍路と同時に英語も勉強しなさい”っていう、思し召しなのかしら?
どなたかからのメッセージ…?
なんてよぎりつつ

ふと、藤井寺を出た時の重たい気分がずいぶん軽くなっていることに気付く。

おっちゃんのテキトーさと強引さに、わたしは今とても救われている。

地図本 1,600円(+税+このへんてこなエピソードも含む)

まぁいっか。

と、いうわけで、地図(最終的に、おっちゃんがいくらかまけてくれた。笑)と、おっちゃんの連絡先をGETして別れた。



すっかり話し込んでしまって、夕暮れ。
最寄りの鴨島駅へ向かう途中の空が
また綺麗だった。




駅前の商店街。
ノスタルジック。



鴨島駅。


今回のお遍路はここまで。
徳島駅へ向かう。


合格点はいただいたものの、靴を脱ぐとわたしの足もマメだらけ。
痛かったからビーサンに履き替える。
指と指の間に風が通って気が紛れた。




徳島駅前のホテルでお風呂に入り
汗と疲れを流す。

帰りのバスを待つ間に
小腹を満たす。




タリーズに始まり
タリーズで終わった。



この日の総歩数 40,517歩。


初めてのお遍路で強く感じたのは、
ひとりじゃないってこと。

一人芝居をやった時にも思ったことだけど
ひとりだけど、全然ひとりじゃない。

友たちが、仲間が、
メールやLINEをくれた。
わたしの挑戦や 台風の状況に気を配ってくれた。
離れていても心を配ってくれた。

そして、
新しく出会ったいろんな人が、
話しかけてくれた。
心をかけてくれた。
老若男女問わず。
名前とかどうでもよくて。
国籍とかもどうでもよくて。

目の前に居る人と、ただ、喋る。

それがすごく心地良かった。

お遍路に行けて良かった。
また来たい。
あといつか
この地で花いちもんめをやりたい。



足クローバー足クローバー足




と、歩き遍路第一弾から一年。

今年もまた 行って参ります。

去年とほとんど同じ時期に訪れることになるとは。
呼ばれたのかな?^ ^


あと、「いつか」と言わず
ご縁があれば 花いちもんめも
どんどんやりたいな、と思っております。


【立ち止まったら そこが舞台】


を、信条に。

こちらも結願出来るといいなぁ。


とりあえず
台風来ないといいなぁ。


ふふふ


流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星