医学ニュースの深層 -49ページ目

新型インフルでの死亡記事報道について

 名古屋市は3日、新型インフルエンザに感染した同市の60代女性が死亡したと発表した。慢性心不全や脳梗塞などの基礎疾患があった。国内の死者は疑い例も含めて47人目。

 市によると、女性は先月19日、自宅で倒れ、呼吸不全状態で入院した。簡易検査でA型陽性と判明し、タミフルの投与を受け、翌日に新型インフルエンザ感染が確認された。

 女性は肺炎とも診断され、血圧が不安定な状態が続き、今月1日にうっ血性心不全で死亡した。(共同)



コメント:


 1例、1例が非常に貴重な命である。だからこそ、そこから多くを専門家たる我々は学ばねばならない。


 このところ、毎日のように、こうした死亡例が報道される。


 今回もまた、「新型」判定は後手だ。その最終判定前に、前の記事にも書いたように「もう新型のつもり」での「タミフル投与」がなされている点は充分評価できるけれど。


 しかし、それでも、うまくはいかなかった点が課題となる。

 まず、肺炎と診断されたとあるが、これは主に、ウイルス性肺炎なのか?あるいは、細菌性肺炎なのか?おそらく、記事からの判断だが、主に前者だろう。

 後者に比べて、これは非常にやっかいなのだ。

打つ手が・・・あまりないので・・・今のままでは。上記のように、基礎疾患のある患者さんなら、死亡リスクは倍、倍だ。



 早急に、新薬および治療法の「限定的承認」を前倒ししてもらいたい。

少なくとも、すぐというなら、2パターンある。ちょっと時間のかかるものは、少々後でもいいが。

 米国では、すでにそうやっている。あの、審査の厳しいFDA(米国食品医薬品局)ですら、OKだとしているのだ。


 いったい、何を恐れているのか?厚生労働省なり、医薬品機構。

(くだらん)ワクチンなら、すぐ承認するくせに。

 また、報道機関は、今すぐ、こういう正確な情報・知識を報道してほしい。


 なお、インフルに限らず、ここで、読者の皆さんに、お伝えできることは、医学・医療報道記事の「裏側・深層」、もしくは「ななめ読み」くらいなもの。

 小生は、無論、重要な会議や講義で言っているが、総論賛成で、各論は詳細を詰めてと、相変わらず意思決定のスピード感にかける・・・。政権交代後、ある意味、余計にひどくなっていると言うのは、私以外にも、何人もいる。


 加えて、私、ヒトiPS細胞研究の分野でも、まもなく臨床応用にむけて、非常に重要な発表をしなきゃならないので、身体がいくつあっても足りない・・・。


 せめて、このブログを訪れるときくらい、安らかな気持ちを持ちたいものだが・・・。

そろそろ、1年か・・・。キリがいいかもな。





兵庫で新型感染の2人死亡 リンパ腫と糖尿病の疾患

 神戸市と兵庫県は2日、新型インフルエンザに感染した神戸市の30代男性と兵庫県姫路市の80代男性が死亡したと発表した。それぞれ悪性リンパ腫と糖尿病の基礎疾患があった。国内の死者は疑い例も含めて計46人。

 30代男性は10月27日に発熱し、30日に病院に搬送されたが同日死亡した。悪性リンパ腫で療養中で免疫抑制剤を服用し、直接の死因は細菌感染による敗血症だった。

 姫路市の男性は糖尿病の治療中で、10月30日に肺炎の疑いで入院し、11月1日に多臓器不全で死亡した。

 いずれも死亡した後に新型感染が確認された。(共同)


コメント:


 このごろ、死亡した、あるいは重症で人工呼吸器をつけたあとで、実は「新型」インフルに感染していたという報告が増えてきているように思う。


 最初から、わかっていれば対応も違う。

そこで、今の診断キットよりも、より迅速かつ精度の高いものが開発されたようだ。

しかし、それが異例の速さで投入されたとしても、100%の診断は難しい。


 だから、いっそのこと、発熱したり、疑わしい症状を示した患者さんには、最初からもう「新型の感染を疑ってかかる、あるいは、少なくとも念頭に入れる」ことを、現場で、もっと徹底してはどうか?・・・って、前から言ったり書いたりしてるんだけど・・・。

 

厚労省、新生児の先天異常を調査 妊婦のワクチン接種開始で

 妊婦に対する新型インフルエンザワクチン接種のスタートを受け、厚生労働省は31日までに、分娩を扱う全国約300の医療機関を通じ、ワクチン接種を受けた妊婦から生まれた赤ちゃんに先天的な異常が起きていないかどうかの調査に乗り出した。

 妊婦はインフルエンザに感染すると重症化するリスクが高いとして、新型ワクチンの優先接種対象に挙げられている。しかし国内では従来、妊婦にインフルエンザワクチンは「接種しないことを原則」としてきたため、使用した場合のデータが蓄積されていない。

 厚労省によると、これまでに季節性インフルエンザのワクチンが胎児に悪影響を与えたとの報告は無いが、新型ワクチンの本格的使用に合わせ、胎児に対するワクチンの安全性をあらためて確認し、万が一問題があれば注意喚起などの対応を迅速に取れる態勢を整えることにした。

 調査には、全国331の医療機関から毎年国内の約10%に当たる7万~9万件の分娩についての報告が集まる日本産婦人科医会の「先天異常モニタリング」のシステムを活用する。

 発生した先天異常と妊娠中に母親が服用した薬など従来の項目に加え、新型ワクチンを接種したかどうかも調べる。季節性ワクチンの接種や、治療薬のタミフル、リレンザの服用の有無も把握する方針だ。


 (共同)



コメント:


 十分、表題の副作用は起こりえます。

非常に、稀な確率でと言いたいですが、今のところ「神頼み」の域です。


 だから、そのような「微少」なリスク・シグナルを検出するために

「接種者すべてに全例調査」をし、リアルタイムで情報公開すべきだと、

先日以来、ここでも、述べてきているわけです。

「新型インフル」と「ハロウィーン」、「学園祭」・・・

 国内最大級のハロウィーンイベントで毎秋恒例の「ハロウィン・パレード」が31日、

川崎市川崎区のJR川崎駅東口一帯で行われ、約3千人が趣向を凝らした仮装で商店街を練り歩いた。

 駅前の商店街などの主催で13回目。


少女の魔法使いやカボチャのお化け、

人気アニメのキャラクターなどに扮(ふん)した若者を中心とした男女が、元気いっぱいにパフォーマンスを繰り広げた。

 詰めかけた10万人(主催者発表)の見物客は沿道から歓声を送ったり、

個性的な衣装をカメラに収めるなどしてお祭り気分を味わった。(共同)



コメント:


 昨日は、ハロウィーンだったよね。

東京・駒場の方の職場(大学)周辺は、高級住宅街ですが、特に数年前から、かなり流行りだしたな。

ハロウィーンにあわせての「ホーム・パーテイ」が。

 まあ、「お金持ちさん」でも、この不況時に「わざわざ高い飲食」に繰り出さなくても、これで十分楽しめるでしょうね。


 

 まっ、例年、この時期は、米国では、米国肝臓学会という、肝臓医学の世界最大のイベントが開催されるから、私なんか、米国留学中の「若葉マーク」の若輩の頃は、準備や発表なんかで、それどころじゃなかったな。

 まっ、今年は、優秀な後輩諸君に任せてますから、そこそこ楽できるわ・・・(笑)。

なんかあったら、メールで対応できるし。


 私は、主に、彼らと、ともに集めたデータをもとに日本で論文を纏めて、一流誌に投稿していればいい。

・・・それも、ほぼ完了し、楽しみな結果待ち。


 ところで、この新型インフル「流行期」の最中・・・上記のように、これだけ大勢の方々が集まると、私のように寂しがりやの「新型インフル」は、羨ましさのあまり、さらに暴れだすかもよ・・・これ、冗談ではないからね。


 来週あたり以降、各地、特に首都圏や大阪などの大都市は、「注意報」レベルから「警報」レベルへと切り替わると思う。


 こういう大勢集まるイベントの参加者は・・・(これから学園祭とかに参加する人も)・・・手洗い・うがいは、しっかり、お願いしますね。

新型インフル:海外ワクチンに関する専門家のあまり報道されていない見解

最近の都内での学会における専門家らの議論の要旨です。


1.まず、日本でのワクチン生産本数に限りがある中で、

海外のワクチンを特例承認で輸入することが決まった件について・・・


東大の河岡教授は「委員会で突如出てきた話で、国内産とかなり違う」。


 2.板村室長曰く、「国産で足りないのを補うのだと思っていたら、

2社ともアジュバントが入っているし、抗原が培養細胞由来のものもある。

 米国で、今、新型インフルエンザワクチンの予防接種が始まった。

しかし、そこで使われているのはアジュバント無しのスプリットワクチン

(注; 日本の季節性ワクチンと同じもの)だ」。


3.河岡教授;「今の輸入ワクチンは筋肉注射なので、

(皮下接種しか認めていない)日本において、

小児に使えるかという点でも問題がある」。


・・・と、まあ、こういう情報を、こそ、正確に報道しましょうね。

マス・メデアの皆様。

重症インフルにスタチン効果か 死亡する確率が半分

 【ワシントン共同】血中のコレステロールを下げる薬「スタチン」を服用している人がインフルエンザに感染した場合、症状が悪化して死亡する確率が、服用していない人の半分になるとの研究結果を米オレゴン州保健当局の研究チームが29日、フィラデルフィアで開催中の米国感染症学会で発表した。AP通信などが伝えた。

 重症インフルエンザ患者に対する新たな治療薬としての可能性を示す成果。米国の専門家は「優先して効果を調べるべきだ」と訴えている。

 研究チームは2007年から08年にかけ、季節性インフルエンザに感染し入院した2800人を調査。スタチンを服用していない患者約2千人のうち3%は入院の翌月までに死亡していたが、高脂血症などのためスタチンを服用していた約800人は、心臓病などの健康問題を抱えていたにもかかわらず死亡率が半分だった。

 インフルエンザは、患者の免疫機能がウイルスに過剰に反応して重症化する場合があるが、スタチンはこの反応を抑える可能性があるという。

 スタチンは遠藤章東京農工大特別栄誉教授が発見した物質の総称で、現在国内外の製薬会社が高脂血症薬として販売している。



コメント:


 このスタチンに、あるクスリを2つ併用すれば、今の新型インフルであれ、鳥インフルであれ、それぞれの「変異型」であれ、絶大なウイルス減少効果が得られる(試験管と感染動物レベル)。・・・というのを世界初で示したのは私!。(ここで、かなり早い段階で、「新しい治療法が・・・」と書いてたでしょう。これですよ。)


 もう、バラしておきますが、なぜバラすのか?


 ヒトiPS細胞研究論文などなら、速攻の厳正な審査の上で一流誌に受かるのに、コメント冒頭の私のインフル論文は、なぜか異常なくらいに審査に時間がかかっている間に(ある審査員からの理不尽な「時間のかかる」追加実験しろなどの要求・・・)、上記の研究グループが学会で公表したからです。(まあ、この世界は学会発表<論文発表ですけどね。)


 私の研究内容は明らかに審査途中で、1部パクられていますね・・・。

書類上の証拠はありますよ。嫌らしいですね・・・学者の世界は!

 まっ、こういうことは、たまに、起こります。倫理観のない、「ボケ」は、どの世界にもいますし。


 まっ、これで更に「スタチン単独でのインフル重症予防効果」という点では、特許を取れないでしょうが、そんなもん構いません。

インフルで「商売」するつもりは、一切ないので・・・。

 まあ、それにスタチン単独ならば、「重症化予防」は、さほどではないしね。


なお、併用するクスリとのことでは戦略的に用途特許は、イケルようですが。

さて、そのクスリとは何でしょう?(笑)。

 

 近いうちに、わかりますよ。「第2波」(タミフル耐性タイプあるいはハイブリッド型)用の切り札として用意してるので、今の「第1波」用では、なるべく使いたくないけれど・・・。




季節性をやや上回る発生率 新型ワクチンの副作用

 厚生労働省は28日、今月26日までの1週間に新型インフルエンザワクチンの接種を受けた医療従事者では、重い副作用の発生率は0・0007%で、昨年度の季節性インフルエンザのワクチンによる発生率0・0003%をやや上回ったと発表した。

 ただ、厚労省は「医療機関に積極的な報告を求めているためで、副作用の発生頻度は季節性と同水準」とみている。

 厚労省によると、接種を受けた人は推定で約85万人。重い副作用症状が出たのは6人で、症状はアナフィラキシーショック、吐き気、発熱など。これとは別に、じんましん、接種部位の痛みなどの軽い症状の報告が75人からあった。

 昨年度の季節性ワクチンでは約4740万人が接種を受け、重い副作用報告は121人だった。

 厚労省は11月中旬をめどに、10月に実際に接種を受けた人数を集計し、副作用発生率の確定値を公表する。その後も1カ月ごとの数値を公表する予定。(共同)



コメント;


 ということで、やはり、元気な一般の方は、無理してまで接種する必要は、ありません。なお、次は、今回の接種者のうち、どれだけ新型に罹ったかに関するデータを見るのが楽しみです。


 ところで、ヒトiPS細胞研究の論文を、先ほど、某 一流誌に、また投稿しました。

まあ、まもなく、前に投稿した非常に重要な論文の結果が来るでしょうが、その間を縫って、書き上げた論文です。受かればいいな。

 

各国の新型インフル臨床現場から:ECMOの適正な緊急配備措置を!

 一流誌であるJAMA(米国医師会誌 オンライン版10月12日)に、新型インフルエンザに関する次のような報告がある。


 カナダのICUでは、一度に40人もの患者が数週間にわたり生死の境をさまようほどの状況が生じた。典型的なケースでは、発病から入院までが4日間で、入院後、急速に重症化し、48時間以内にICUに搬送された。重症患者の80%以上で人工呼吸器が必要となり、ショックや臓器不全も多くみられ、入院から1カ月後までに14.3%が死亡した。


 ニュージーランドおよびオーストラリアの報告では、肺に酸素を供給する体外循環式膜型人工肺(ECMO)の利用が増えており、これを利用した新型インフルエンザ重症患者は生存率が高いことがわかった。


コメント;


 日本はECMOを世界でも、たぶん一番多く所有しているかもしれない。

しかし、これから年末~年明けくらいにかけて更に強まる「第1波」のパンデミック情況を考えれば、それでも、まだ十分ではないように思う。

 同時に、ECMOを管理する医師らの数も、かなり不足している。


 日本政府は上記の問題を解決するための緊急予算措置をとってもらいたい。


 例えば、ムダな「ダム」の建設を、いくつかストップすればいいでしょう。

まず削る順番としては・・・「八ツ場(やんば)」の「ばんや(番や)!」m(_ _ )m


多くは発熱から早期に脳症 速やかな治療で8割回復

 国立感染症研究所は26日、国内の新型インフルエンザによる脳症患者は季節性インフルよりも年齢層が高い7歳前後が中心で、ほとんどが発熱から2日後までの早期に発症したとする調査結果を発表した。

 発熱の2日後までに治療薬タミフル、リレンザを投与することにより8割は回復したことも判明。安井良則感染研主任研究官は「症状の急速な進行は止められないが早期治療で回復する。速やかに治療できる医療体制が重要だ」と話している。

 感染研によると、7月6日から10月11日までに報告された国内のインフルエンザ脳症患者は50人で48人が新型と確認された。内訳は7歳が10人と最多。次いで6歳が6人、8歳と10歳が各5人などだった。

 調査できた5~13歳の20人を分析すると、気管支ぜんそくの基礎疾患(持病)がある人が5人、熱性けいれんを起こしたことがある人が6人。20人全員が意識障害を起こし、発熱当日の脳症発症が4人、翌日が11人、2日後が4人だった。

 このうち、不明の1人を除く15人が回復、1人が死亡、3人に知能の低下や手足のまひなどの後遺症が出たという。治療薬の投与は3人が発熱当日、12人が翌日、3人が2日後だった。(共同)



コメント:


 だから、先日、ここでも、早期段階での医療機関の対応を問題にしたんですよ!


 なお、上記の記事のように、私は、この段階(年齢)では、タミフルよりは、リレンザを推奨します。ごくまれに起こる、「タミフル脳症」の可能性を捨てきれないので。


 子供の熱発なんて、日常茶飯事なんですが、時期も時期だし、特に「注意報」以上の地域(たとえば、東京など)で、高熱の子供を見たら「新型」を疑えというような「わかりやすい」指示をだしたほうが、いいかもしれないなと・・・。


 医学部医学科の学生が、「女性を見たら、妊娠を疑え」と教官などから「教わる」ように。

今頃かよ?:ワクチン接種回数で議論 「専門家の意見反映を」

 新型インフルエンザワクチンをめぐり、日本ウイルス学会が26日夜、都内で開いたパネルディスカッションで「予防接種について専門家の意見が反映される仕組みを作るべきだ」などの意見が相次いだ。

 新型ワクチンをめぐっては、厚生労働省が16日の専門家意見交換会で「1回接種」でいったんは合意したが、足立信也厚生労働政務官(民主)が異を唱え「医療従事者のみ1回、ほかは当面2回」と方針が変更された。

 パネルディスカッションで神谷斉・三重県予防接種センター長は「専門家が1回接種と決めた事を政治的に変える問題ではない」と指摘。1回でも効果があることを確認した臨床研究を担当した三重病院(津市)の庵原俊昭院長は「2回するかは(2回目で)どのくらい効果を上乗せできるかにかかってくる。接種できない人を増やすのがいいのか、多くの人に1回接種するのがいいのかの議論になる」と述べた。

 押谷仁東北大教授は「今のままでは(重症化しやすい)小学校低学年に接種できるのは12月中旬以降。その子たちは流行時期に接種を受けられない」と指摘。神谷センター長は「接種の順位を変える議論を早急にやるべきだが、厚労省に動きが無く、現場は不満を感じている」と批判した。(共同)



コメント:


 普通、一般の方が、学者間のこんな話を「今頃」聞いたら、どんな気持ちがするのだろう?・・・

 

 どうやら、この国では、専門家の意見が反映される仕組みが「無かった」らしい。

今まで、どうしていたんだろうって、思いませんか?


 専門家の端くれ(感染症は、私のサブ・スペシャリテ)から、一言、いわせてもらえれば、「もう、上記のような神学論争はいらないから、早期に、開発中の新薬・新治療法を承認して!」と言うだけです。