TOUR DE FORCE
「君がくれたグッドライフ」★★★☆☆
(Germany, 2014/リーブル梅田)
ドイツで妻と暮らすハンネスはASLと宣告された。
同じ病気を患った父親の最期を知っている彼は、自分は寝たきりになって終焉を迎えたくないと余命一年を待たず安楽死を決意。
そして毎年仲間で行く自転車旅行の行き先に、安楽死が認められているベルギーを選んだ。
ハンネスが仲間に本当の旅の目的を打ち明けたのは旅の2日目。
少し異なるが『僕が星になるまえに (2010)』のドイツ版。
家族や仲間たちは、安楽死を望むハンネスを理解しようと、協力しようと、尊重し尊厳を守ろうと、苦しくても死ぬまで生きて欲しいという願いと葛藤する。
これはハンネスの人生、決めるのはハンネス。
他人が決めることではなく、また他の誰かのために生きる人生であってはならないと。
最後の「Hannes was here」
ハンネスは確かにここに存在した。
みんなで一緒に此処で最期を迎えた。
短かったけど幸せだった彼の人生を讃えている。
BACKTRACK
「心霊ドクターと消された記憶」★★★☆☆
(Australia, 2015/リーブル梅田)
ミステリーだと思っていたら完全なるホラー。
おどろおどろしい音楽が流れ、バンとかドンとか突然の大音量の効果音とともに幽霊参上。
この古典的で下品な手法にまんまと驚かされる。
しかし観客同様に毎度幽霊に驚かされている主人公が終始半泣き顔で、だんだんと面白くなってくる。
ほんと、笑いとオカルトは紙一重。
MATTERHORN
「孤独のススメ」★★★☆☆
(Holand, 2013/リーブル梅田)
最愛の妻を亡くし孤独に生きる男が、突然ほとんど喋らない謎の中年男と出会い日常が様変わりしていき、自らの人生を見つめ直していく姿を描いたドラマ。
オランダの田舎町の美しい映像で始まり、このまま気持ち良い流れで終わるんだろうなと思ってたら、ラストの抑揚のつけ方が秀逸だった。
音楽や映像での抑揚。
なによりもフレッドの表情が表した抑揚が最高に感動的。
64 ロクヨン
「64 ロクヨン」★★☆☆☆
(Japan, 2016/アポロシネマ)
横山秀夫の傑作ミステリー巨編を映画化したミステリー・ドラマ。
原作を読み始めると止まらなくなった。
あと1年で時効を迎える昭和64年に起きた未解決の誘拐殺人事件、
警察のねじ曲がった組織構造、マスメディアの実名報道のありかた、3ヶ月前に家出した娘を案ずる親。
それらは決してすべて交わるわけでも、必ず伏線になるというわけでもない。
でもそれぞれに深い物語がある。
作り込まれた練られたミステリーではなく、これは人間ドラマ。
そしてなにより小説の中の主人公、警察広報官・三上が人間らしくていい。
なんというか、正義のために戦うという性分ではなく”普通の人”。
たまに柄にもなく熱くなって威勢よく立ち向かうも、意外にも相手にすかされる。
小説の中で一番印象深かったのは、三上が未解決の誘拐事件の遺族宅を訪れ、殺害された娘の慰霊にお線香をあげるシーン。
震える手、溢れる涙を必死に隠そうとする三上の描写が秀逸で、何度も読み返した。
それが映画の佐藤浩一は、、全く原作の印象とは違っていた。
遺族に向かっておえんおえん泣く、という。。目も当てられぬ。
いいシーンなのにもったいない。
WOWOWドラマ版のピエール瀧は最高とは言えないまでも、間違いなく原作の意図を理解していた。
やはり”色男”の佐藤浩一が三上役なのにも違和感がある。
後編は、、もういいかな。
MOUNTAINS MAY DEPART
「山河ノスタルジア」★★★☆☆
(China/Japan/France, 2015/梅田リーブル)
離れて暮らす母と息子を主人公に、過去・現在・未来でのそれぞれの人生模様を通して、互いを想う心の機微を切なくも繊細に見つめた感動叙事詩。
三代すべてを演じた主演のチャオ・タオの度胸に拍手。
VICTORIA
「ヴィクトリア」★★★★★
(Germany, 2015/梅田リーブル)
ドイツに来たばかりのスペイン娘ヴィクトリアが、地元の若者たちとの偶然の出会いをきっかけに思いも寄らぬ事件に巻き込まれていく一夜の140分間をワンカットで撮り上げた犯罪青春ドラマ。
ワンカット撮影といえば、WOWOWでの三谷監督ドラマ『short cut(2011)』と『大空港2013』の2作品。
当時あまりの偉業に感服し、繰り返し観た。
正直今回この『ヴィクトリア』にはあまり期待していなかった。
ただワンカットが売りなだけで作品自体は薄いだろうと高を括っていた。
本作には三谷作品のような熟練された撮影技術や緻密な脚本構成はない。
ない、と言うよりも感じさせない。いやむしろ不要。
同じワンカットでも似て非なるもの。
技巧を魅せるワンカットではなく、極限の臨場感を与えるためのワンカット。
ほとんどの時間、ワンカットということを忘れさせられるほど違和感がなく、
まるで自分がそこにいる、私も彼らと同じ場所で同じ体験をしているという錯覚に陥る。
なぜなら私たちの人生の1分は1分間で進んでワンカットでカメラ割りも編集もない。
これぞ究極の臨場感。
深夜の街から始まった悲劇。
ラストは白々と夜が明ける。
街から姿を消していくヴィクトリアの後ろ姿は、とても逞しく見えた。
50本はずれたとしても、こういう作品に1本でも出会えると堪らなく嬉しい。
HERE IS HAROLD
「ハロルドが笑うその日まで」★★★☆☆
(Norway, 2014/梅田リーブル)
店の隣に世界的家具チェーン店“IKEA”がオープンしたことですべてを失った誇り高き家具職人が、復讐のためにIKEAの創業者の誘拐を企てたことから巻き起こる老人2人の珍道中の行方をほのぼのとしたタッチで描いたノルウェー発のハートウォーミング犯罪コメディ。
コメディタッチではあるけれど、非常に現実的。
家具職人の息子宅の家具がIKEAばかりで、簡単に椅子が潰れる描写が皮肉でいい。
OMAR
「オマールの壁」★★★☆☆
(Palestina, 2013/テアトル梅田)
高い壁で分断された占領下のパレスチナを舞台に、イスラエルへの抵抗に立ち上がったパレスチナ人青年が辿る過酷な運命をサスペンスフルに描いた社会派ドラマ。
第86回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
驚くことに本作のスッタフは全てパレスチナ人。
撮影も全てパレスチナで行われ、資本は100%パレスチナ。
並々ならぬ決意が感じられる。
CEMETERY OF SPLENDOR
「光りの墓」★☆☆☆☆
(Thai, 2015/梅田リーブル)
『ブンミおじさんの森』でカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いたタイの異才アピチャッポン・ウィーラセタクン監督が、タイ東北部の仮説病院を舞台に贈るファンタジー・ドラマ。
ブンミ‥に続き、不思議で幻想的な映像美。
今回こそはとリベンジしたけど、やはり、少し、いや結構、わからなかった。
MY MOTHER
「母よ、」★★☆☆☆
(Italy/France, 2015/テアトル梅田)
『息子の部屋』『ローマ法王の休日』のイタリアの名匠ナンニ・モレッティ監督。
最後まで入り込めず。
どの登場人物にも感情移入できず。









