LADY BIRD

「レディ・バード」★★★☆☆
(USA, 2017, TheProjector)
カリフォルニア田舎町のカトリック系高校に通う女の子レディ・バードが現状に苦悶する姿を描いた青春映画。
『フランシス・ハ (2012)』で主演・脚本のグレタ・ガーウィグ初監督作品。
破茶滅茶・猪突猛進タイプのレディ・バードの高校生活最後の一年。
都会への憧れ、家族との衝突、初めての彼氏、友達の嫉妬。
想像通りで有象無象のテーマとキャラクターとストーリーと終着点。
とはいえ、面白かった。
少なからず自分にも身に覚えがあるし、なにより馬鹿正直で真っ直ぐな若者を見るのは爽快。
大人になるとなかなかこうはいかないもの。
こういった青春ものを観るとよく思うこと。
熟練された、経験多き、策士な大人ほど、観たほうがいい。
一番の期待『君の名前で僕を呼んで』のティモテ・シャラメは、キャラがあまりにも創られすぎてて残念。
パーティーで馬鹿騒ぎする友達を尻目に、薄暗いプールサイドで一人読書ににふける、、、って、おいおい。
『君の‥』で男優賞席巻したことだし、これからもっといい役に出会えるはずなので今後のお楽しみと。
http://ladybird-movie.jp/
BEATRIZ AT DINNER
「ベアトリス・アット・ディナー」★★★☆☆
(USA, 2017, TheProjector)
メキシコ人移民のセラピスト・ベアトリスが、顧客宅で車が故障し帰れなくなったため顧客の友人らとのホームパーティーに突如参加することになった、場違いな一夜の物語。
勝気な移民・ベアトリスと、不動産王レイシスト・ダグとの攻防戦。
トレーラーで見た、ダグの「合法でアメリカに来たの?」という不躾な質問が印象的。
おそらく展開としては、移民ベアトリス優勢のアンチ・トランプ映画、、と思いきや、そういうわけではなかった。
パーティーに参加した友人らは突然のベアトリスの参加に始めは躊躇するもののすぐに快く受け入れる。
先述のダグの質問は、本編を見れば悪気がある風ではなく冗談でもなく彼の純粋な質問、ただデリカシーがないだけ。
一方ベアトリスは、人の話を遮ってまで自分の過去話を始めるというちょっと空気が読めないマイペースな女性。
最終的には酔っ払っちゃうし。
アメリカ・カナダで上映され、総じて評判がイマイチのこの映画。
「監督の意図がわからない」「どっちも最低」「どっちつかずのラスト」など。
私の印象とギャップがあって、ちょっと意外、かつ不安になる。
確かにベアトリスは強気で一方的で、内に潜んでいた怒りがどんどん掘り起こされていって、
最後にはどうにも制御できなくなってしまう。
一方でダグは、表情や態度にわずかながら変化が感じられた。
自分のビジネスをこれまでどれだけ世間からメディアから避難されようと不感だったのに、
目の前の小柄な一人の女性の言動に向き合おうとし、わずかに心が動かされているように見える。
最後の表情は、自責の念、自身を哀れむ悲しみの表情にとれた。
美化しすぎかな。読み取れなかっただけかな。
もう一回観てみたい。
CALL ME BY YOUR NAME
『君の名前で僕を呼んで』★★★★☆
Italy/FranceBrazil/USA, 2017, TheProjector)
1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方を美しい風景とともに描いたラブストーリー。『ミラノ、愛に生きる (2009)』のルカ・グァダニーノ監督作品。
『ミラノ‥』同様に主人公のほとばしる感情を、俳優はもちろん、カメラワークやアングル・フォーカス+音楽で最大限に表現する唯一無二の監督。
観ているこちらの感情までも熱くなり、鑑賞後は久しぶりの快然たる疲労感。
主人公の青年17歳の態度や言葉は、時に稚拙で知的。絶妙なバランスをとっている。
この対極である2つを同時に表現したティモテ・シャラメは、もう今後も目が離せない。
ウディ・アレンの最新作にも出演予定とのこと。
さらに母親と義父がとんでもなく素敵なキャラクター。
ほぼ原作どおりらしいけど脚色もあるのかな。
挿入曲とエンディングを歌ったのはスフィアン・スティーヴンス。
彼の声とピアノに徐々に心臓が絞られていき、哀愁と心地よさで、何とも言えない感情に陥る。
ちなみに坂本龍一も何曲か弾いている。
原作では映画にはない20年後まで描かれている。
アカデミー脚色賞を受賞した巨匠・ジェームズ・アイヴォリーのインタビュー。
「映画を見る前に読むべきか、映画を見てから原作を読むのか、どちらがいいのか誰にも分からない。」
どちらにしても読まなきゃいけないみたい。
http://cmbyn-movie.jp/
The Big Sick

『ビッグ・シック』★★★☆☆
(USA/2017, The Projector)
パキスタン生まれアメリカ育ちのコメディアン・クメールととアメリカ人女性・エミリーとの恋を描いたラブコメディ。イスラム式の結婚を望む両親とは反対に、幼少からアメリカで育ったクメールに信仰心は薄れ、ショーを見に来た米女性エミリーと恋人関係になる。しかし両親にははっきり伝えられず、相変わらずお見合いを勧められる日々。そんな中エミリーがなぞの病に倒れ・・・。
ストーリーはありそうでない。
人間ドラマでシリアス仕立てが常套かも知れないけど本作はコメディ。
私のお目当てはヒロイン役『ルビー・スパークス(2012)』のゾーイ・カザン。
彼女のような、まるで演じている感がない、ずっと新鮮なままの俳優は稀少。
しかし相手役のパキスタン人・クメールもなかなかいい。
静かでひょうひょうとした態度がとても魅力的。
エンドロールで、これは実話に基づくストーリーで、クメールは本人だったと知る。
コメディアンなのに演技がとても上手。
あれ、そっか、本人役だからありのままの彼なのか?
いやや演技も必要?どっちなのか。
http://gaga.ne.jp/bigsick/
A STREET CAT NAMED BOB
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」★★★☆☆
(UK/2017, The Projector)
どん底のストリート・ミュージシャンと一匹の野良猫の驚きと感動の実話を綴った世界的ベストセラー書籍の映画化。薬物依存・家なし、ストリートミュージシャンとして生計を立てるジェームズが、一匹の野良猫ボブと出会い更正する様を描いた物語。猫のボブ役にはボブ本人が演じている。
なんといっても猫のボブのみごとな”好演”ぶり。
歌うジェームスの傍らで、ギターの上で、肩の上で、大人しくちょこんと座る姿。
時々猫目線のカメラアングルが入り、それもまた面白い。
こういった実話ものは美化されているだろうけど、
それでも落ちこぼれのジェームズが、ボブを面倒をみなきゃという責任感から、
薬を絶ち、仕事を見つけ、人生を取り戻したのは紛れもない事実。
まさに、一人口は食えぬが二人口は食える。
KEDI
「猫が教えてくれたこと」★★★☆☆
(Turkey/USA, 2016/TheProjector)
トルコで悠々自適に暮らす7匹の猫を追ったドキュメンタリー。
監督はアメリカ在住のトルコ人女性。
来る日も来る日もお目当ての猫たちを”ストーキング”して撮影した。
なんとなくBSの猫番組を想像して、癒されようと思っていたら、しっかり面白かった。
7匹それぞれの特性が映し出されていて、
そして取り囲む周りの人たちもまた個性的。
ナレーションで脚色されるわけではなく、しっかりカメラに抑えている。
猫の性格とか特長とかがよく映し出されていた。
一番面白かったのが、ある夫婦猫。
旦那猫が餌を食べているところにやってきた嫁猫。
するとさっきまでがっついてた旦那猫がさっと身を引き、嫁猫に餌を譲る。
いわゆるカカア猫天下。
嫁猫の目を盗んで、恐る恐るこぼれた餌をつまむ様子は最高に面白い。
しかしこの嫁猫、旦那を尻に敷くだけでなく、超絶なヤキモチ焼き。
旦那猫に近づく(ただ横を通り過ぎる)雌猫には容赦なく牙をむく。
原題は「KEDI(猫)」。
またしても奇妙な邦題がついているが、ここに出てくる猫たちは何も教えてくれない。
人間も猫に何も教えない、強要しない。
ただ人間と猫の共生を語る映画。
IN THIS CORNER OF THE WORLD
「この世界の片隅に」★★★★☆
(Japan/2016, The Projector)
戦中を力強く精一杯生き抜いた一人の女の子・すずさんのお話。
健気で天真爛漫でしっかりものでたまにボーっとしているすずさんにすっかり魅了された。
アニメーションの人物にこれほど愛着が湧くことはない。
観終わった後、切なく、心にぽっかりと穴が開いたような、
と同時にこの甘えきった現代人に渇を入れられた気分で、何か奮い立つ。
すぐにでもリピートしたくなった。
しかしなぜここまで魅了されたのかうまく説明ができない。
すずさんは普通の女の子で、家族もみな普通の家族。
日常を描きながらも、しっかり戦時中の悲惨さも描く。
戦争映画はその凄惨さを伝えることに重きをおくことが多いが、
本作はその中で元気一杯に生きたすずさんがメイン。
アニメーションが少し惨劇を緩和したのかもしれない。
リアルな実写だとその衝撃ばかりに気がとられ、それしか印象に残らなくなる。
すずさんの純真無垢で力強い姿をしっかりまっすぐに伝えた映画。
公開から一年、海を渡って世界50か国以上で上映された。
是非とも吹き替えではなく字幕で見て欲しい。
Elevetor to the Gallow
「死刑台のエレベーター」★★★☆☆
(France, 1957/TheProjector)
ジャンヌ・モロー追悼上映。
若く美しいジャンヌ・モローが情夫との愛を語るシーンから始まる。
彼女からはほとんど感情が見えず、無表情で
ただ凛とした姿勢で恋人を探しに夜の街を歩き彷徨う。
後半はどんどんと表情に疲れが表れ、目の下には隈ができてくる。
60年前の映画でこれほど見ごたえがある理由は、
ジャンヌ・モローの存在感といわざるを得ない。
CGや編集技術や画像品質なんて所詮は副菜。
最後のセリフがきまって”Fin”の文字が出ると観客から拍手が沸いた。
みんな素直に面白かったんだろうな。
ここの映画館では頻繁に古い映画を上映していて、
そして意外にも、新作と同じぐらい客席が埋まる。
GOODBYE BERLIN
「50年後のボクたちは」★★☆☆☆
(Germany, 2016/シネリーブル梅田)
ベストセラー・ヤングアダルト小説『14歳、ぼくらの疾走』の映画化。
登場人物はみな魅力に欠け、お互いが惹かれあうきっかけも曖昧で、とにかく描写が薄い。
主人公のマイクはクラスでは変人扱いされる変わり者、、のはずが、
冒頭以降、後半は”普通の少年”でなんとも詰まらない。
どう描きたかったのか、私が読み取れなかっただけなのか。
小説の映画化は上澄みがだけすくったような薄い内容になることがしばしば。
映画が原作小説を超えることはほぼ皆無。
はたまた原作自体がつまらなかったのか。
でもまあ今回は、原作はいいかな。








