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MIRACULUM

「神のゆらぎ」★★★★☆

(Canada, 2014/シネリーブル梅田)

 

気鋭の若手監督で俳優のグザヴィエ・ドランが出演を熱望したサスペンスヒューマンドラマ。

様々な人々のストーリを場所・時間を交差させながら描き、ある悲劇的な飛行機事故につながる。

 

ともにエホバの証人である看護師と、末期の白血病を患う婚約者、

老境にありながら不倫を続ける男と女、

過去の大罪を償うため危険な仕事に手を染める男、など

多くの登場人物と物語が組み込まれているため中盤までは理解に時間がかかる。

もう少し明快にとも思ったが、構成の複雑さゆえ鑑賞中は観ることに集中し、咀嚼することは後に回せた。

 

本品を観て思い出したのが、2012年に観た舞台『90ミニッツ(作:三谷幸喜)』

事故にあった少年の父親と医者の2人の会話劇。

命を救うためには手術が必要、しかし地域の古い習慣から輸血はできないと父親は承諾書のサインを拒む。

90分間の出口の見えない理論のぶつかり合いの結果、風習に従い父親は手術を拒否した。

つまり幼い息子は命を落とした。

当時の私はこの結末に「少々不満」と書き留めている。

 

この「神のゆらぎ」のエホバの証人の看護師は、自分しか適合しない患者に輸血をしたため、組織から排斥され、婚約者、家族から絶縁される。

そしてその白血病の婚約者は信仰に沿い、治療をせずに命を絶やす。

 

私には信じる対象物があるわけではないけど、

何かを強く信じる人の気持ちを否定はできないと思う。

 

何がモラルで、何が正しいのか。

当事者本人が熟考して出した答えが、その人にとっての正解であるべき。

 

http://kaminoyuragi.com/

WORLD PRESS PHOTO 2016

「世界報道写真展2016」★★★★☆

(ハービスホール)

 

2年ぶりの世界報道写真展。

報道写真に求めるのは”写真らしくない”こと。

一瞬で目を引く写真は光や色に騙されていることが多い。

 

今回の大賞はセルビアとハンガリーの国境を越えようとする難民の男性と子どもの写真。

警備隊に見つからないようフラッシュは使えず月明かりで撮影したため非常に不鮮明な写りになっている。

目を凝らしてじっと見入ると、霞んだこの一枚からじわじわと凄まじい緊張感が伝わる。

The Man Who Fell To Earth

「地球に落ちて来た男」★★★☆☆

(UK, 1976/京都みなみ会館)

 

地球に降り立った美しき宇宙人、デヴィッド・ボウイ初主演映画の追悼上映。

 

40年前の映画とは思えない映像美。

デヴィッド・ボウイ以外の登場人物が、後半どんどん老け顔になっていくのが恐ろしすぎて途中から内容が頭に入らない。

 

http://bowiechikyu.jp/

MY LOVE, DON'T CROSS THAT RIVER

「あなた、その川を渡らないで」★★★☆☆

(Korea, 2014/シネ・リーブル梅田)

 

韓国の小さな村に暮らす98歳の夫と89歳の妻の日常を15ヵ月間にわたって撮影したドキュメンタリー。

究極の純愛物語と絶賛され、世界のドキュメンタリー賞を席巻した。

 

二人で落ち葉を掃除している内にふざけ始めて集めた落ち葉をかけ合ったり、

雪かきしてるうちに、雪合戦になったり、

川で野菜を洗っているうちに、水の掛け合いになったり、

二人で歩くときは手をつなぎ、寝顔を眺めては思わず相手の頬をさする。

 

冒頭の数十分、これはフィクションじゃないかと疑うほどに2人は仲睦まじい。

一昔前の陳腐な恋愛ドラマでありそうなシーンが、結婚74年目の老夫婦の日常。

 

日本ではドキュメンタリー映画はなかなか当たらない。

本国韓国ではドキュメンタリー史上最高の動員数を記録し、その40%が20代の若者だったよう。

年長者を敬う気持ちが強い韓国の国民性が表れている。

 

http://anata-river.com/i

HIGH-RISE

「ハイ・ライズ」★☆☆☆☆

(UK, 2016/シネ・リーブル梅田)

 

同名SF小説の映画化。

精神崩壊的、不条理、無秩序ストーリー展開は予想していたものの、その展開があまりに唐突で、置いてけぼり。

 

いつになってもSFは苦手。

FUSI

「好きにならずにいられない」★★★☆☆

(Iceland/Denmark, 2015/シネ・リーブル梅田)

 

43歳独身で巨漢でオタクのフーシが一人の女性に恋に落ちる物語。

 

不器用でシャイで臆病もののフーシ。

何度心の中で彼に喝を入れたことか。

そう、フーシを見ていたら誰もが彼を応援したくなる。

 

宣伝文句は『誰かを好きになることは、新しい世界の扉を開くこと』

フーシの恋は実らなかったけど、幾つもの新しい扉を開いた。

心に染み入る素敵なラスト。

 

http://www.magichour.co.jp/fusi/

BOOMERANG

「ミモザの島に消えた母」★★★☆☆

(FRANCE, 2015/シネ・リーブル梅田)

 

『サラの鍵』の原作者タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説の映画化。

幼い頃に体験した母の死に囚われ続けた長男アントワンが真相究明に乗り出し、

家族それぞれの苦悩や葛藤が明らかになっていくミステリー・ドラマ。

 

期待していたのは妹役のメラニー・ロラン。

彼女の特別でない普通の存在感がとても心地いい。

 

しかし彼女を大きく超えてきた存在が長男アントワン役のロラン・ラフィット。

理不尽だし、怒りの沸点は低いし、子供には八つ当たりするし、

親戚一同の前でなりふり構わず父親を詰問する、場の空気も考えない猪突猛進タイプ。

この大人げない自分勝手なアントワンにひとつも共感できない。

 

なのに、最後に執念だけでとうとう真実にたどり着いた時、彼が誰よりも愛に誠実だったと気づく。

家族を壊してまで、死者を憎んでまで、明かすべき真実を亡き母親のために追い求めた。

 

都合の悪い事から目を背けて、コミュニティを乱さぬよう協調する現代社会。

アントワンのような人は、近くにいると厄介だけど尊敬すべき存在。

 

http://mimosa-movie.com/

THE MISPLACED WORLD

「生きうつしのプリマ」★☆☆☆☆

(Germany, 2016/シネ・リーブル梅田)

 

『ハンナ・アーレント』のマルガレーテ・フォン・トロッタ監督のミステリー・ドラマ。

 

鑑賞後これほど明確につまらなかったと思ったのは初めて。

ストーリーや役者の好みではなく、純粋につまらなかった。

 

題材やストーリーもしっかりあるし、登場人物もそれぞれ描写が細かい。

なのに何がつまらなかったのか、説明がつかない。

映画に血が通っていないというか、心とか熱とか魂とかがないというか、そういった抽象的な表現でしか言い表せない。

 

どんなつまらない映画でも、それは私の好みじゃないだけで、製作者の想いというのは見えてくる。

なのにこの作品には何にもなかった。

今回も頼まれたからとりあえず撮った、みたいな。

 

前作の『ハンナ・アーレント』も、描かれたハンナ・アーレントという女性は魅力的だったけど、映画として今ひとつだったな、と。

 

http://gaga.ne.jp/ikipuri/

MUSTANG

「裸足の季節」★★★☆☆

(France/Turkey/Germany, 2015/テアトル梅田)

 

トルコ・イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村に住む美しい5人姉妹の青春物語。

古い慣習や封建的な思想が根強く残るこの田舎町で、自分の人生を自分の手で掴もうと葛藤する姉妹の姿を映す。

 

監督は本作が長編デビュー作となるトルコ出身、気鋭の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン。

今後の作品がとても楽しみ。

 

http://www.bitters.co.jp/hadashi/

THAT SUGAR FILM

「あまくない砂糖の話」★★★☆☆

(Australia, 2014/第七藝術劇場)

 

1日の平均摂取量と言われているティースプーン40杯分の砂糖を60日間取り続けたらどうなるかを自らの体を使って明らかにした人体実験ドキュメンタリー。

 

カロリーは気にするのに糖質を気にしない。

体重よりも体脂肪率を測れという昨今のブームに通ずる。

 

砂糖はある種の麻薬。

すっかり影響を受け、この日からしばらく果糖を気にする。

 

http://amakunai-sugar.com/