プロチョーネです。昨日(15日)の昼ごろ、僕はこの前紹介したアニマルコントロールポール(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12609262927.html)と諸々の道具を持って前の記事で母親が捕まったと書いた空き家の前に立っていました。隣の人が「3日前くらいからまたアライグマの子供の鳴き声がする」と言ったので・・・。
前よりも荒れた感じのする台所
浴槽には何も落ちてないのを確認し、2階に上がりました。
※部屋の荒れ具合は前と同じです。
家の周りを歩いていた際には1階の軒下から野良猫も出てきたので今はいないのか?と思ったのですが、それは思い違いで、しばらくすると足音と例の鳴き声が聞こえてきました・・・。
矢印の方向にいるらしいのですが、狭い天袋から覗かねばならないのでどこに母親がいるのか、襲ってこないか警戒しまくって物をどかしたりあちこち照らしたりして5分ほどしてから意を決して覗き込みました・・・。
矢印の方向。ちょうど屋根の斜面になった部分の裏らしく、かなり狭いすき間が広がってるようです。こりゃ人間はどうにもできないです。
↓隙間の中の光景
うわぁ・・・あんな奥に親子が、こちらの警戒を無に帰すほど仲睦まじい様子でぬくぬくと過ごしていました。子供はまだ生後1ヵ月半程度で目も開かずにキーキー鳴きながら母親の体の下に潜り込み、母親は子供を舐めたり、母乳を与えたりしているようでした。その目は既に何百頭のアライグマを捕獲してきたプロチョーネにも優しげに見えました。
(この時に動画を撮影したのですが、帰って再生したら全然光が足らずに何も見えませんでした・・・カメラが人の目のように物を映すとは思っちゃいけませんね)
しばらくの間親が反撃してきたり、この光景を乱していいのかと逡巡しましたが、この鳴き声を毎晩聞かされる周辺住人のためにもポールを突っ込んでみました。すると、母親は大して反応もせずにうずくまり、しばらくすると悲しそうな目をして画面右方向に去っていきました。
別の方向から不意打ちしてくるか・・・?などと周りを警戒しながら子供の捕獲にとりかかりましたが、結局母親の姿を見ることはありませんでした。できれば捕獲したかったですが、逃走経路をしっかり確保していてその余裕もありませんでした。いつかは成獣も捕獲したいものです。
どうにか子供の体にワイヤーをひっかけて1頭ずつ引っ張りました。親子がいたところは本当に奥深いところで、120cmのポールを精一杯伸ばしてギリギリ届く位置でした。これを持っていないと間違いなく捕獲は無理でしたね。で、1,2,3・・・
4頭いました。
この時期にしては遅い生まれで、5月下旬から6月に生まれた子供のようです。アライグマの通常の出産時期は60日ほどの妊娠時期を経て3~5月の間なんですが、産まれた子供を全部失う、交尾機会を逃すなどの事情のメスは繁殖期以外にも出産が可能という柔軟な生態(機能?)を持ってます。
ただ、これまで防除に関わってきた中で7月に屋内で子育てをしているアライグマに遭遇したことも、こんなに小さな子供を捕まえた覚えがないのも確かなんです。つまり、なかなか見られないんですが、どこかでは人知れずに通年アライグマの子育てが行われているし、行われてきたというわけなんですよね。
しかもこの捕獲によって今週言ったばかりの推論が的中したとも言えます。7月頭に母親が捕まった1家族がいなくなって2週間ほどで別の家族が入ってきたように、空き家は1度に1家族が利用していることが実証され、すぐに別の家族が入ってきたことからもこの母親もこの空家のことを前から「子育て、住居に使える」と記憶していたのでしょう。そして、まだまだ他にもこの家の事を「使える」と認識しているアライグマがたくさんいることも推測できます・・・。
あと4月に幼獣5頭を捕まえた現場でもそうでしたが(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12593894343.html)、どうやらアライグマは天井裏を使う場合は広い場所ではなく屋根の軒下部分をねぐらにすることを好むみたいです。それでいて糞尿は天袋や天井裏スペースの一箇所に固めて行われているので、スペースを分けて使っているみたいですね。もしかするとねぐらで出た子供の糞も母親がトイレスペースに持って行ってるのかもしれません。現にどちらも軒下に糞は見当たりませんでしたしね。
アライグマにとって利用価値のある空き家は常に侵入される可能性があるので年中監視し、適宜対処することが必要なのは間違いないでしょうね。その場所が長年利用されるほどその場所を記憶している個体も多いことでしょうから手が抜けません。やはりその点は近隣の住人の方々の協力が無ければ気付く事も出来ないので、そのへんの連絡体制を自治体が整えることも今以上に必要でしょう。
色々と学べる現場でした。