【書籍情報】
雨の狩人
大沢 在昌
出版社: 幻冬舎 (2014/7/24)
ISBN-13: 978-4344026131

 

【概要・コメント】
大沢先生の狩人シリーズ.本当はもう1冊くらい読んでいるはずなのだが,ブログに書かれていない….果たしてどの本を読み終わったのか,読んでいないのか….

 

それはさておき,1つのテーマを延ばして延ばして物語を作るのが好きな大沢先生らしい小説である.

 

歌舞伎町で展開される,暴力団の1つのプロジェクトを取り巻いて日本国内外から,たくさんの人物が登場し,実に賑やかな作品である.

 

ミステリーという意味では,真ん中で概ね不明点が明らかになってしまうので,
それほど優れた作品とは言いがたい.

※実際,本小説では伏線が実に綺麗に張られているのでミステリーのように読者を大きく驚かせる(裏切る)ようなことを狙っていないような気がする.


一方で,ハードボイルドとしてみると,北方先生のように,暑苦しいところは少ないやや軽めな描画であると思う.

※新宿鮫よりも,重苦しさが少ないのこのシリーズの特徴か.

 

このように書くと,いろいろと一長一短あることにはなるが,それでも大沢先生の小説らしい,小説という感じがする.

過去の作品を読んで,気に入った方はぜひ本作も読んでみてはどうだろうか.

 

 

雨の狩人雨の狩人
1,944円
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【書籍情報】
ひまわり事件
荻原 浩
出版社: 文藝春秋 (2012/7/10)
ISBN-13: 978-4167809027

 

【概要・コメント】
なかなか爽快な小説である。

 

老人ホームと幼稚園という,各々単体では,なかなか小説になりそうな事件が発生しずらい場所も,それらを二つ隣り合わせに並べ,なおかつ一時的にそれらを融合することでまったく新しいイベントが発生するという,とても興味深い設定であった。

 

小説自体は,正直なところムダに長い。

サスペンス小説でも結論を早く知りたい自分にとっては,この小説の前振りの長さには正直辟易としてしまった。

 

一方で,これだけ長い前振りによって,引っ張ったからこその盛り上がりもあったので,やはり小説は奥深い。技術書や論文を読むのとは異なり,文章自体をもっと楽しむ姿勢が重要だと感じさせられた。

 

幼稚園教員の職務や心理状況については,良く取材して丁寧に書かれている一方で,
老人ホーム職員の描画はやや荒かったようにも感じる。幼稚園児+老人+幼稚園教員とすでに盛りだくさんの登場人物がいたので,すでにこれ以上のDeepな人物登場は不要と考えたのだろうか。

 

読み終わるまで,なかなか時間を要してしまったが,読み終わって,とてもスッキリした気持ちに慣れたことに感謝したい。

 

 

 

 

 

【書籍情報】
死神の浮力
伊坂幸太郎著
出版社: 文藝春秋 (2016/7/8)
ISBN-13: 978-4167906474

【概要・コメント】
久しぶりに,馴染みの作家以外の小説を読んでみた。

いわゆる本屋でのジャケ買い(表紙だけを見て購入する行為)である.

結論から言うと,小説としては好きなスタイルではないが,取り扱っている内容という意味ではとても興味深いものだと感じた.

死神という役割を,仕事としてこなすという,トリッキーな設定が最初やや鼻につく感じがあるが,その設定があるからこそ,幼い娘を殺害された親の心の葛藤を広く・深く描画することができていると思う.

本格的なサスペンスを求めている読者には適切ではないかもしれないが,人が死ぬとは(生きるとは?)ということを考えてみるという意味では,読んでみる価値のある小説だと思う.

死神の浮力 (文春文庫)/文藝春秋
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