【書籍情報】
ひまわり事件
荻原 浩
出版社: 文藝春秋 (2012/7/10)
ISBN-13: 978-4167809027

 

【概要・コメント】
なかなか爽快な小説である。

 

老人ホームと幼稚園という,各々単体では,なかなか小説になりそうな事件が発生しずらい場所も,それらを二つ隣り合わせに並べ,なおかつ一時的にそれらを融合することでまったく新しいイベントが発生するという,とても興味深い設定であった。

 

小説自体は,正直なところムダに長い。

サスペンス小説でも結論を早く知りたい自分にとっては,この小説の前振りの長さには正直辟易としてしまった。

 

一方で,これだけ長い前振りによって,引っ張ったからこその盛り上がりもあったので,やはり小説は奥深い。技術書や論文を読むのとは異なり,文章自体をもっと楽しむ姿勢が重要だと感じさせられた。

 

幼稚園教員の職務や心理状況については,良く取材して丁寧に書かれている一方で,
老人ホーム職員の描画はやや荒かったようにも感じる。幼稚園児+老人+幼稚園教員とすでに盛りだくさんの登場人物がいたので,すでにこれ以上のDeepな人物登場は不要と考えたのだろうか。

 

読み終わるまで,なかなか時間を要してしまったが,読み終わって,とてもスッキリした気持ちに慣れたことに感謝したい。