【書籍情報】
夢幻花
東野 圭吾
出版社: PHP研究所 (2016/4/7)
ISBN-13: 978-4569765600


【概要・コメント】
(推理)小説の作家は何をモチベーションに執筆活動をしているのだろうか?

トリックの緻密さ,ストーリの複雑さを人に自慢したい?
もちろんそういう小説もあるだろう。

では,この夢幻花で東野先生が書きたかったことは,トリック,ストーリの妙だろうか?

この本を通じて自分が感じた著者のメッセージは,そのようなものとは全く異なるものだと受け止めた。

東野先生のメッセージが象徴されているのが,エピローグにおける主人公の次の台詞だと考えている。

「世の中には負の遺産というのがある」「それが放っておけば消えてなくなるものなら,そのままにしておけばいい。でもそうならないのなら,誰かが引き受けるしかない。それが俺であったってかまわないだろ」

ちなみに主人公のプロファイル・設定は原子力工学専攻の博士課程大学院生という設定で,福島第一原子力発電所の事故が発生する前に専攻に入学し,事故が発生した時点でまだ学生であり,今後の進路(就職)に悩んでいるという状態である。

つまり,東野先生が訴えたかった最大のメッセージは,原子力という技術は福島第一原子力発電所の事故後は大きな負の遺産かもしれないが,その負の遺産に真正面から立ち向かうのも科学者として&技術者として重要である。
そしてそのような負の遺産に立ち向かう人たちをもっと賞賛しよう!
ということではないだろうか。

推理小説から受け取るメッセージは,読者に一任されているので,このようなメッセージだと自分が勝手に理解しても,バチは当たらないのではないだろうか。

夢幻花 (PHP文芸文庫)/PHP研究所
¥842
Amazon.co.jp


記念すべき100冊目のレビューである☆☆☆
投稿順序やアメブロにはアップロードしていないものも沢山ある気がするが・・・。

【書籍情報】
マイクロインタラクション ―UI/UXデザインの神が宿る細部
Dan Saffer (著), 武舎 広幸 (翻訳), 武舎 るみ (翻訳)
出版社: オライリージャパン (2014/3/19)
ISBN-13: 978-4873116594


【概要・コメント】
神は細部に宿るということで,ユーザインタフェース(UI)における細部の作りこみに関してまとめた書籍である。

トリガー,ルール,フィードバック,ループ・モードの4つについてあるべき形を具体例を示しながら,マイクロインタラクションの設計指針について議論している。

「ゼロから始めない」,「省略の美」,「バネ仕掛けのモード」など重要なトピックを取り扱っており,この手の微細な作りこみについて議論をした教科書は他に類を見ないため貴重な書籍だと思う。

一方で,本書籍の最初に著名人からの推薦文があるが,そこに書かれている内容ほど,本書籍が素晴らしいとも思えない。

特に,本書籍は物語を重視するあまり,結局,この"書籍で言いたかったメッセージ"がぼやけてしまっている気がする。

また具体例がふんだんに掲載されているのは良いが,その参照方法が上手くないため,これらの例は「良く出来ているな~」とは思うものの,そこからどんな原理,基礎的知識を学べば良いかが曖昧になってしまってるのが大変残念なところである。

マイクロインタラクションに注目したことは賞賛されるべきことなので,今後この手の発展版の書籍が出版されることを期待したい。

マイクロインタラクション ―UI/UXデザインの神が宿る細部/オライリージャパン
¥2,592
Amazon.co.jp


【書籍情報】
「学力」の経済学
中室 牧子
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015/6/18)
ISBN-13: 978-4799316856

【概要・コメント】

2016年6月4日現在,Amazonの教育学のカテゴリーでベスト1に輝いている書籍である。

Amazonのレビューでも☆4つに輝いており,そのレビューには賛否両論あるものの,とても興味深いコンテンツであると思う。

本書の主たるメッセージは,
『日本』の子供の教育手法の効果評価を
データドリブン(証拠に基づく取り組み)に変えて行きましょう。
というものである。

「何を当たり前な!」と思われるかもしれないが,この当たり前なことが日本の教育政策では実施されていないというのが,著者がもっとも強く主張したい点である。

これだけ書くと,この書籍のメッセージを矮小化しているかもしれない。

具体的なトピックとして,本書の中では米国で行われた実験データに基づき,TVの視聴時間やごほうびの与え方など,親が子供の教育の中で注目するトピックについてもその効果の正負について解説をしている。

米国のデータに基づく分析結果は,一般で広く言われている(直感的な)こととは違うので,是非一度本書をご覧頂くことをお薦めする。

本書の最初で(ある意味,かなり皮肉的なコメントとして)経済や産業技術に関しては各自の専門家がいるが,各自の領域を分担しているが,教育の問題に関しては誰もが専門家のような顔をして,「私の経験に基づくと,~~~」と話を始める,と指摘している。

まさに指摘の通り,個人の経験を一般論として語るのはデータの量・質という意味で,科学的に明らかに間違った行為である。

本書を是非ご覧頂き,教育も科学的に,データドリブンで行われるべき!と思って頂けると幸いである。

「学力」の経済学/ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥1,728
Amazon.co.jp