【書籍情報】

DXの思考法 日本経済復活への最強戦略

西山圭太

出版社: 文藝春秋 (2021/4/13)

ISBN-13: 978-4163913599

 

【概要・コメント】

DXの本質とは何かを解き明かそうとするビジネス本である。

著者はもと経済産業省の官僚で,その立場からデジタル敗戦国である日本の企業が,これからどのような方向に進むべきかを議論している。

 

まず本書はDXに関する縦書きの本(ビジネス本)である。

DXに向かう際に具体的にどのようなアクションを起こそうかを考えている技術者が本書を読んでも今一つピンとこないかもしれない。一方で,計算機科学に明るくない経営者がDXのビジネス的側面の本質を知りたいというのであれば,強くお薦めする1冊である。

 

技術者ではない著者が,よくここまで技術的動向を理解し,簡潔にまとめたものだと感心する。おそらく著者は非常に知識や経験が豊富で,なおかつ聡明な方だと思われる。

 

しかし,やはり設計や開発に関わった経験がないからか,技術的な側面でポイントがずれている,もしくは表現が適切ではない部分があると言わざるをえない。

 

もっとも,縦書きの本(ビジネス本)においては,技術的正しさよりも経営者の影響を及ぼせることの方が大切だと思う。その意味で,本書の各章のタイトルは,読者の注目を集めるだけの十分魅力的な表現だと思う。

 

いずれにせよ,本書から得られる洞察は,上位の概念での芯を食った話がされているので,ぜひ一度目を通して欲しい。


 

本書で注目すべき記述を以下に抜粋する

  • (P.11) DXというキーワードでどんなことが語られているか

    • システムの多くはレガシー化しており,このままでは早晩メンテナンスが不能になり,2025年頃には崖から落ちる,とされる

    • データサイエンティストを採用・育成して,データを囲い込み,活用するのが先だという話

    • ITシステムを巡るベンダーと顧客との間にある日本特有の企業間関係を改革すべきだという主張

    • 各企業のあり方,組織のあり方そのものの見直しに結び付けて取り組む必要がある,という意見

  • (P.17)「会社がアルゴリズムで動く」v.s. 「会社がルールで動く」

  • (P.20) 今後のビジネスは攻守の順番が整然としている「野球」ではなく,一つのピッチの上を両チームが入り乱れて走り回る「サッカー」の自動になってきており

  • (P.30) 日本の工場現場では,個々の従業員のキャリアパスをみると,特定の仕事だけを経験するのではなく,多種多様なポジションをローテーションで回るという(ヨコ割り的な)人事慣行が確率されていた

  • (P.37) チューリングが発見した仕組みは,<中略>「個々の計算問題の具体的な中身には入り込まずに,やり方を形式化・抽象化すること」を通じた解決である

  • (P.39) 「単純な仕掛けをつくると,目の前にないものを含めて何でもできてしまうかもしれない」という一般化・抽象化の思想が,デジタル化の根底に常にある

  • (P.45) ドイツ中堅企業の場合は直販であり,日本の中堅中小企業のように商社等を介していない

  • (P.65) なぜレイヤー構造になるのか。<中略>簡単にいえば,電子機器としてのコンピュータのわかる言葉と人間のわかる言葉との間にあるギャップを埋めることである。

  • (P.74) 「混沌」と「固い秩序」との間に「柔らかい秩序」があり,それができるとイノベーションにつながりやすい

  • (P.106) 漱石は,形あるものの形を奪うのが科学であり,形なきものに形を賦すのが文学だともいう。

  • <ネットフリックスのCEOリード・ヘイスティングスが述べていること>

    • (P.113) ともかく最高に有能な社員だけを集める。そうでない「妥当」なレベルくらいのパフォーマンスの人には十分な割増退職金を支払って去ってもらう。

    • (P.117) リーダーや上司がきちんとコンテクストを説明し,それが組織に浸透していれば,いちいち上司が個別に承認する必要などない

    •  
  • (P.121) 会社のもつシステム構成が疎結合であり,なおかつその部分部分が自動的に相互調整されて全体として価値を有無という域にまで到達すれば,そのシステムを扱う組織の側も,部門が各々独立性を持ちながらコンテクストを共有し,いちいち上司がコントロールしたり承認したりする必要はなくなる

  • (P.123) マイクロサービスとは<中略>まさに疎結合を実現しているテクノロジーである。
    →大きな塊だったサービスを独立した小さな塊に分け,その塊の上のレイヤーでは小さな塊の間を統合する機能がある

  • (P.133) ウォードリーが言おうとしているのは,<中略>ある時期には開発され新しかったもの,カスタマイズしなければ利用できなかったものが,必ずいずれプロダクトになって,誰でも入手利用可能になる。

  • (P.149) インダストリー4.0のイメージとしては「万能工場」のようなものを思い浮かべたら良いかもしれない

  • (P.155) 製造業の仕組みは,とどのつまり二つのタイプに分類できる。<中略>一つが組み立て加工型,いま一つがダイセルを含むプロセス産業型である。

    • 組み立て加工型:工場の入り口には多種多様な部品があり,出口には限られた数(種類)の完成品が並ぶ

    • プロセス産業型:極端に言うと,入り口には原油しかない。これに対して出口でできる製品は多種多様である。1からNを作る作業だ。

  • (P.174) アーキテクチャの授業は,課題の構造を考えるトレーニングから始めることが多い。

  • (P.175) 「課題から考える」というのは「抽象化」でもある

  • (P.179) ソフトウェア・アーキテクチャを正しく理解するには,ソフトウェアが書かれたプログラムとしてではなく,それを使ってデータをどういう状態に変換しているかを見ろ<中略>この変換を行うことを一つのレイヤーとして見るべきだ

  • (P.194) IX時代の歩き方 正誤表


     

課題から考える

手元にある解決策から考える

パターンを探る

既存のカテゴリー,ルールを当てはめる

アジャイルにこなす

要件定義をしっかり書く

抽象化する

目の前の具体に囚われ,さらに細分化する

 

  • (P.208) 公共財の要件とは,一度作ってしまえばたくさんの人が利用してもすり減らないこと(非競合性)や利用する人,しない人を区別するのにコストがかかるのでタダ乗りを防げないこと(非排除性),として説明される。

 

【富山和彦氏による解説より】

  • (P.247) DXで語られる話のほとんどは「デジタル技術を使って業務改善をやります」という,ちょっと前にIT化の脈絡で語られたことの言い換えに過ぎない。

  • (P.257) デジタル化・AI化・DXがどのようなメカニズムを通じてCXに取り組まなければならないような大事になってしまうのか……その中身はややブラックボックスになっている

  • (P.268) 新結合力,あるいは「パクリの掛け算力」が高いから,彼ら<GAFAMのこと>はプラットフォーマーになったのである

 

 

【書籍情報】
Unity2021入門 最新開発環境による簡単3D&2Dゲーム制作
荒川巧也・浅野祐一
出版社: SBクリエイティブ (2021/7/21)
ISBN-13: 978-4815610982

【概要・コメント】
たまには新しい開発環境に触れてみようということで,
入門書を読みながらUnityに触れてみた。

いやはや,これだけの複雑なゲームを,いとも簡単に作れてしまうとは・・・。

今の技術者は,とても恵まれた時代にいると思うとともに,これだけ完成された開発環境に触れてしまった後だと,
自分でGUIを作るのは馬鹿らしく思えてくるだろうなという印象。

果たして今の若い技術者たちは自らライブラリを作ったり,Utilityを作ったりということに関心を持てるだろうか,心配になった。

さて,本書は若手からおすすめされて選定したのだが,書籍としてはまあそこそこという印象である。
ただ一つ,本当の初心者にとっては,Standard AssetsがすでにUnityのAsset Storeではダウンロードできないという致命的な欠点があるため,この書籍の途中で大きく躓いてしまう人もいるかもしれない。

自分は良いサポート情報を提供しているサイトを見つけることができたので,それほど苦しむことはなかった。

一方で,Visual Studio Code上でUnityのAPIの補完が効くようにするのは,若干てこずった。

 

 

 


以下,備忘録的にメモを残しておく。
誰も読んでいないブログに,このような技術情報を書くことにどれほどの意味があるのか疑問ではあるが。。。

【Visual Studio OodeでUnityプログラムで補完が効くようにする方法】
以下を順番にインストール
◆ .NET-sdk-7.0
https://dotnet.microsoft.com/ja-jp/download
◆PCを再起動
◆VsCodeに機能拡張をインストールする
    ーAwesome Emacs Keymap v0.47.0
    ーC# for Visual Studio Code (powered by OmniSharp)
    ーMonoBehaviour Snippets v0.0.2
    ーUnity Code Snippets v1.3.0
    ーDebugger for Unityもインストールしたが後にDisable化

◆VsCodeの設定(Ctrl + , )でOmnisharp: Use Modern Netの項目のチェックを外す(falseにする)

◆UnityのPreference「External Tools」を開き、「External Script Editor」を「Visual Studio Code」に設定すれ

◆Build Tools for Visual Studio 2022をインストール
 https://visualstudio.microsoft.com/ja/downloads/#build-tools-for-visual-studio-2022

<それでもだめだったので,以下もインストールしたが不要だったかも・・・>
◆.NET Framework 4.7.1開発者パックをインストール

<参考にしたのは以下のサイト>
https://dianxnao.com/unity%E3%81%AEc%E3%82%A8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BF%E3%82%92vscode%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E4%BD%BF%E3%81%86%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%80%90windows%E7%B7%A8%E3%80%912022%E5%B9%B48%E6%9C%88/
https://qiita.com/ShortArrow/items/fa76be7e1af0a110c2d3
https://nodachisoft.com/common/jp/article/jp000177/

<注意事項>
★補完が始まるまでは少し時間がかかる。焦らず環境の検証をしよう

【Unityで日本語フォントとを使う方法】
https://www.midnightunity.net/textmeshpro-japanese-font/#Font_Asset_Creator_%E3%81%AE%E8%A8%AD%E5%AE%9A
 

【書籍情報】
MATLAB/Simulinkによる制御工学入門
川田昌克
出版社:森北出版 (2020/1/28)
ISBN-13: 978-4627787018

【概要・コメント】
最近,森北出版さんの書籍(教科書)を読む機会が増えた。
森北出版さんの出版物のカタログを送付頂くのだが,なかなか興味が引かれるタイトルの書籍が多くて,ついポチっとしてしまう。

さて,この書籍は古典制御を勉強する学生が,MATLAB/Simulinkを使いながらその知識を深める実習を行うという教科書である。

教科書で取り扱っている内容は,吉川先生の古典制御論(コロナ社)の教科書をかなり意識した内容になっている。
古典制御論を深く理解するためにMATLAB/Simulinkを使う教科書としてはかなり完成度が高い教科書である。

一方で,古典制御の教科書またはMATLABの使い方の教科書としては,少し内容が足りない。
よって吉川先生の教科書に目を通しながら本書でMATLAB/Simulinkを使って手を動かしながら,様々な(数値)例を試すという勉強法が適当であると思われる。

この書籍だけでも,古典制御を一通り網羅しているのは間違いない。
しかし,古典制御の概念を説明するより前に(数値)例が提示されてしまうので,初学者は消化不良になる可能性が否めない。

やはり教科書と演習書は両輪であるということであろう。

本書は良書ではあるが,唯一改善点を述べるとすると,書籍の体裁がよろしくない。
(数値)例を扱っている演習書なので,たくさんの書き込みを行いながら本を読み進めたいのに,式や文章の間の余白が少なく,式変形を書き込む余裕がない。

書籍とノートは別に用意するという考え方もあるが,個人的には書籍にグイグイ書き込むのが知識を深める近道だと思っているので,もう少し体裁は余白があるように作り直して欲しい。

第2版?第2刷?の時は,せめて節の間や章の間にもう少し余白を作って欲しいものである。