いつもありがとうございます、一葉です。
弊宅閲覧者数・延べ50万人様を記念して、kogumaru様からお与かりした記念リクエストの続きをお届け致します。
■ あなたに響く ◇5 ■
「 おかみさん、ただいまです 」
社長さん宅をおいとまし、ルトさんに送ってもらってだるまやに到着した私は、傍から見ればかなりぼーっとしていたと思う。
色々考えていたから。
コーンが敦賀さんだったこととか
社長さんが敦賀さんを助けるために手を差し伸べたこととか
コーンの身に何が起こってそうなったのか、とか
12年前の夏、京都の森で私たちが出会うことになった経緯とか
そんなことを繰り返し何度も思い返していた。
「 おかえりキョーコ・・ちゃん、どうしたんだい?元気ないじゃないか 」
「 え、あは。そんなことないですよ。大丈夫、元気です! 」
「 本当かい? 」
「 はい。でも私、今日はもう自分の部屋に行きますね 」
「 そうだね。ゆっくり休んだ方が良いよ、たまには 」
「 ・・・ありがとうございます 」
「 それで、キョーコちゃん。これが今日の手紙だよ 」
差し出された1通を見て、私は冷たい息をのんだ。
「 …1通、だけですか?昨日はゼロだったんですよね? 」
「 そうだよ。ここんとこ、少ないよねぇ。思うに、キョーコちゃんの頑張りが認められたってことだと思うんだよ 」
そう言ってハイと手紙を差し出してくれたおかみさんは、良かったねぇ…って顔をしたけれど
絶対にそうじゃないんだろうなって
私は心の奥で考えていた。
お礼を言ってから部屋に戻り、手紙でいっぱいになっている段ボールの蓋を開ける。
その上に今日届いていた1通を乗せて、私は深く息を吐きだした。
敦賀さんの本名が
久遠・ヒズリだと知らされたことはもちろん驚いたけれど、むしろ私は続いた敦賀さんからの告白にかなり戸惑った。
なぜかと言うと、敦賀さんが私たちのことを公表したいと言い出したからだ。
「 俺は自分の目標を果たしてきたし、君はいま実力派女優と言われるまでになっている。つまり俺達は二人ともがそれぞれに掲げた夢に手が届いたってことだよな。だから 」
だから近いうちに公式ファンサイトにて、大切な報告がある旨を事前告知したいと言って来た。
「 それは違います!だって私はまだ・・・ 」
まだ無理です、と私は即座に断った。
なぜなら私はまだ自分がトップ俳優になれたとは思っていないのだ。
その思いを素直に伝え、敦賀さんにはもう少し待って欲しいとお願いした。
すると敦賀さんは、特に悩む様子もなく、いつまでも待つよと言ってくれた。
俺たちのことをいつ発表するかについては、君が決めてくれていい、とも。
けれど
「 でも、事前告知はさせてもらうから 」
「 なんでですか! 」
「 俺は現状で互いの目標に手が届いたと思っているから。だけど君がまだだと言うのなら俺は待つよ。なぜなら、互いの目標を果たしてからと約束したから。最上さんの気持ちを俺の都合だけでねじ伏せようとは思わない。でも、事前告知はさせて欲しい。なぜなら、俺はいまその地点に立っていると思っているから。それが俺の気持ちだから 」
「 そんな・・。だって、私がいいって言わなきゃその告知はいつまでも宙ぶらりんになっちゃうんですよ!?それが、もしかしたら2年後になっちゃうかもしれないし、3年後になっちゃうかもしれないんですよ?それなのに、ですか!? 」
「 それなのに、で構わない。なぜ期間が開いてしまったのかについてはそのとき説明すればいいんだから。俺は何も困らない 」
「 そんな訳にはいかないでしょう?!だって・・・ 」
「 だったら君が妥協する?俺は全く構わないけど 」
「 ・・・できませんっ!! 」
「 そうなんだろ。ならしょうがないじゃないか。俺としては、応援してくれている人やしてくれた人、お世話になった人たちに向けていま報告したい気持ちがある。だけど君が時期尚早だと思うのなら、その思いがあることを今さきに告げておいて、あとは時期が来るのを待つだけだ。それ以外の方法が他に何かあるだろうか? 」
言われて唇を引き結んだ私が社長さんに視線を向けると、その意図を察したのだろう社長さんが口を開いた。
「 …ということだ、最上くん。俺はこの件に関して一切口を挟むつもりはない。これは二人だけの問題だからな。お前らの意志のみを尊重する 」
嘘でしょ、なんて放任な!!それでもLMEプロダクションの社長さんですか!
「 社長さん 」
「 なんだ 」
「 今もまだ、公式サイトには敦賀さんに対して、どちらかと言うとマイナス意見のコメントが多数寄せられているんですよね? 」
「 ああ、まあな 」
「 それなのに、こんな状況で今度はいつまでも通知されない大切な報告があります告知を敦賀さんにさせるなんて。そんなことをして本当にいいのかって自問は浮かんでこないのでしょうか 」
「 思うが、事情を知っている分、それは仕方ないだろう 」
「 余計にマイナスコメントが寄せられることになってもですか?! 」
「 ああ。面白かろう、そんな現象も。そんなの、いまも面白いほど来とるがな。それだけ蓮が関心を惹きつけてるってこった。いずれなくなる事だ。そんな目くじら立てんでも良かろう 」
「 良くないですよ!!だってそのせいで敦賀さんのお仕事がなくなっちゃっている訳じゃないですか!こんなこと、私が言うのもおこがましいですけど、ことの発端となった女性芸人さんはなぜ何も言って来ないんですか?謝罪の一つぐらいあってもいいと思うんですけど! 」
「 そんなのあるはずが無かろう。・・・というか、蓮。最上くんにその辺の説明しとらんのか 」
「 してませんけど。おかしいな、君なら気づくかなって予想していたんだけど 」
「 はぁっ!?どういうことですか? 」
「 俺、知っていて出演したんだよ。あの人が有名人やゲストのビフォーを検索するのにハマっていること。そもそも番組内でも何度もその話をしていたしね 」
「 え 」
「 それに俺、あの人とは既知なんだ。打ち合わせの時もね、本当にいいのかって確認もされていたんだけど、そのままでってお願いしたからああいう内容になったんだ。むしろLMEをさりげなく褒めるとかして、気を遣ってくれていたくらいじゃないかな 」
「 なんですって!? 」
「 ただな。その結果がプラスに働くかマイナスに働くかは俺たちにとっても賭けだったわけだが… 」
「 思いっきりマイナスに働いているじゃないですか!! 」
「 いや、そうでもないよ。手のひらを返したように仕事の依頼が絶える中、それでも俳優・敦賀蓮を欲してくれる人がいたことを知ることが出来た。おかげで俺は今後、誰と仕事をしていくべきなのか、その見極めが出来たと思っているよ 」
「 ・・・っっ 」
「 ちと乱暴な手段だったがな。出来は悪くなかったと俺も思ってる。蓮がクーの息子だと知れれば忙しくなるのは分かり切っていたことだからな。有名人の息子ってだけで、その血筋と名声に群がる輩なんぞ、そのへんにいくらでもいるんだ。芸能界とはそういう世界だからな 」
「 そうなる前にある程度、人の本質を見極めたいと思っていたんだ 」
なにそれ。
それってつまり、こうなることは計算尽くだったってこと?
「 もしかしたら敦賀さんは、いつか自分の目標を果たしたらこんな風にしようって考えていたんですか。それを経て、自分のことを告白するつもりで? 」
「 まさか。そんな余計な事を考えるなんて余裕、持っていなかったよ、さすがに。でも、君と再会した。何度も君に助けられた。そして俺は自然と君に惹かれていった。
同時に思うようになっていた。君にはいつか本当のことを告白しようと。それで、いま俺はこうして話している訳だけど 」
でも最初は、私にだけ
本当のことを話すつもりでいたらしい。
だのに途中でその気が変わったとか。
変わった理由は、自分がどうして最上キョーコに惹かれていったのか、それを多くの人に理解して欲しいと思うようになったからだと続けた。
「 あとは君次第ってことだ。君が俺との事を報告したいと思えたとき。その時が来たら教えて 」
話はそこで終わってしまった。
だからさらっと納得したように聞こえるかもしれないけど、真実はとんでもない。本当はクーさんに電話をして確認までしちゃったの。
だから!!考えれば考えるほど恥ずかしいっ!!
グアムで偶然出会ったと思っていたコーンと、敦賀さんはつまり同一人物だったってことでしょう?!
夜中の公園でコーンを求めて泣き叫んだ時、突然現れたのは敦賀さんだった訳だけど、でも本当はコーンでもあった訳でしょう?!
…っていうか、コーンと敦賀さんが同一人物なんてどういう事?!
私が敦賀さんの悪い魔法にかかってしまう気がしたあのとき、コーンのことを一生懸命話していたあのとき、敦賀さんが笑った気がしたのはつまりそういう事だったんだ。
って、色々色々思い出しちゃって。
そう言えばグアムでコーン、敦賀さんの話を聞いて不機嫌になったことがあるけれど、あれってどういうつもりだったのかなとか、色々理解が及ばなくて。
今まであったことをなんとか思い出そうとして、それにばかり精を出しちゃっていたおかげで、時があっという間に過ぎ去ってしまって。
私がそうこうしているうちに
宣言通り、敦賀さんは公式サイトを通じて、メッセージを発信した。
『 みなさんに大切なご報告があります。そのうちお知らせさせていただきます。 』
そんな意味深な事前告知が、世間の注目を浴びない訳がなかった。
⇒◇6 に続く
私、よくわからんのですけど、俳優さんにもファンクラブってあるのかなって実は疑問に思っていたのですよね。で、その真偽が不明だったのでそれに関しては一切妄想に組み込んでこなかったのですよ、今まで。
でも、ACT.285で社さんが、『公式以外ならその3サイトを俺はちょくちょくのぞいている」と言っていたので、公式があるのだなと、やっと確信が持てましたので、その設定を組み込みましたw
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