現場から学ぶ | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

「ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた」を読みました。

 

 

 

 

作者は、斎藤幸平さんです。

東京大学の准教授で、専門は経済思考、社会思想です。

学者は、理論を探求してそれを語りますが、実践についても知っておく必要があります。

そこで作者は、2年間かけて日本各地に訪れて、現場から多くのことを学びました。

この書籍は、その所感を記したものです。

この本の目次は、以下の通りです。

 

第一章 社会の変化や違和感に向き合う
 ウーバーイーツで配達してみた
 どうなのテレワーク
 京大タテカン文化考
 メガヒット、あつ森をやってみた
 5人で林業 ワーカーズコープに学ぶ
 五輪の陰
 男性メイクを考える
 何をどう伝える? 子どもの性教育
第二章 気候変動の地球で
 電力を考える
 世界を救う? 昆虫食
 未来の「切り札」? 培養肉
 若者が起業 ジビエ業の現場
 エコファッションを考える
 レッツ! 脱プラ生活
 「気候不正義」に異議 若者のスト
第三章 偏見を見直し公正な社会へ
 差別にあえぐ外国人労働者たち
 ミャンマーのためにできること
 釡ケ崎で考える野宿者への差別
 今も進行形、水俣病問題
 水平社創立100年
 石巻で考える持続可能な復興
 福島・いわきで自分を見つめる

 

●ウーバーイーツで働く

作者はウーバーイーツで働きます。

実際に自転車で配達しています。

初日、4時間で9件配達して3,750円稼ぎます。

接客がなく、サイクリング気分でお金を稼げると感じたでそうです。

ただ、遠くの配達が含まれると繫華街から離れるため、次の注文がなかなか入らないようです。

つまり、時間を拘束されているわりに、低賃金なのが現実なのだそうです。

オンライン上でその場限りの仕事を請け負う労働形態のことを「ギグワーク」と言うそうです。

ギグワークは、基本的に人との繋がりがなく、最低賃金で労働災害保険も補償されていません。

実際、作者は、自転車の転倒事故を起こして怪我をします。

本来、労働災害ですが何の補償もないです。このことに恐怖したそうです。

 

●山でシカと対面する

鹿が多くなりすぎて、獣害を起こしています。

農作物を守るため、鹿を狩ります。

鹿は狩られても、人に食されることはなく、単なる生ごみになってしまいます。

最後は焼却処分です。
 

作者は、ジビエ業の現場に赴きます。

鹿を狩る際、猟銃を使います。

しかし、傷ついた鹿の肉は、臭みを発するのだそうです。

臭みのない鹿肉を確保するためには、檻の罠を使って捕獲する必要があります。

また、解体するのは大変な労力が必要なのだそうです。

 

ジビエ業と対極にあるのが工業型畜産業です。

鶏を小さなケージで育てて、食肉化します。

僕らは、工業型畜産業の恩恵を受け、いつでも鶏肉を購入することができます。

この供給システムを維持するため、1年間で8億以上もの鶏を食肉化しているそうです。

供給過多の状況下では、大量の賞味期限が切れが発生します。これは単なる生ごみです。

つまり、最後は焼却処分されるわけです。

 

野菜を守るための鹿狩り、肉を食すための鶏のケージ飼育。
人間中心のシステムは、大切なものを不可視化します。

作者は、このことを問題視していました。

●水俣を訪れる

作者は、水俣市を訪れます。

水俣病の現状を知るためです。

チッソというプラスチックを生産する会社が、水銀を含む排水を公共用水域に流しました。

魚介類が水銀を取り込み、地域住民がそれを食すことで、健康被害が発生しました。

これが水俣病です。

この問題が大きくクローズアップされ、国はチッソを黙認していた責を認めます。

水俣病患者に対して、補償金を支払います。

ただし、補償金を得るためには、申請が必要です。

認定基準に基づいて判断するため、申請をしても許可されない場合があるそうです。

これに異を唱え、裁判所に提訴する事案が発生します。

勝訴したら、治療費と補償金を得ることができます。

しかしながら、行政とチッソから謝罪があるわけではありません。

補償と裁判という制度が、謝罪というプロセスを手続化にしているわけです。

 

●全体を通じた感想

システムや制度は必要です。

なぜなら、これに沿って行動したら効率的だからです。

しかしながら、システムや制度により、大切なことが不可視化される場合があります。

現場に出れば、このことを感じることができます。

現場の大切さを学びましたね。

 

 

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