世界史の人物を紹介します。
今回は、ハルシャ王 です。
は、山川の教科書のP60、《インド古典文化の黄金期》で登場します。
●いつの時代?
AD630年頃(玄奘と親交)
●どこの人?
ヴァルダナ朝
インド人
●何をした人?
ヴァルダナ朝はインドの王朝で、ハルシャ王はその王様です。
●インドの歴史
ハルシャ王の話をする前に、インドの歴史について話をしておきます。
インドの歴史は、次の4つ王朝で説明されています。
①マウリヤ朝(BC317〜BC180年)
②クシャーナ朝(AD1〜3世紀)
③グプタ朝(AD320〜414年)
④ヴァルダナ朝(AD606〜647年)
まず、マウリヤ朝ですが、インドをはじめて統一した王朝です(マウリヤ朝については、こちら をどうぞ)。
マケドニアのアレクサンドロス大王、その後のセレウコス朝シリア、さらにその後のパルティアと同じ時代です。
このためヘレニズム文化(ギリシアとメソポタミアの文化が融合したもの)の影響を受けます。
同時に、仏教が誕生し、広まりはじめた時代でした。
マウリヤ朝は、内乱によって滅びます。
次に、クシャーナ朝です。インド北部を支配しました。
この時代、インド南部はサータヴァーハナ朝が支配していました。
2つの王朝が存在していたわけですが、インドは南部よりも北部が栄える傾向があります。
クシャーナ朝は、ローマ帝国の五賢帝と同じ時代です。
平和な時代でしたので、ローマとの交易が盛んでした。
このためローマの影響を受けます。
同時に、大乗仏教が誕生し、中国等に普及が進んでいった時代でもあります。
クシャーナ朝は、ササン朝ペルシアに滅ぼされます。
次に、グプタ朝です。インド北部を支配しました。
グプタ朝は、ローマ帝国が東西に分裂した頃と同じ時代です。
この頃、インドではヒンドゥー教が流行しました。
インド独自の文化を作り上げました。
グプタ朝は、エフタルに滅ぼされます。
次に、ヴァルダナ朝です。
エフタルはインド西部を支配していましたが、インド東部にまで力が及んでいませんでした。
このためインド東部には小さな国家が存在していました。
その後、AD563年、エフタルはササン朝ペルシアに滅ぼされます。(ササン朝ペルシアについては、こちら をどうぞ)
この後、インド東部でインド人による王朝が興ります。
これがヴァルダナ朝で、最初の王様がハルシャ王です。
※画像参照元:山川の世界史
●ハルシャ王
ハルシャ王は、隣接の国家と争うことを避け、修好すること重視しました。
このため、この時代に有力だったササン朝ペルシア、中国の唐と国交がありました。
特に、唐との関係が良好だったようです。
唐の玄奘は、インドに訪れ、ナーランダー僧院というところで、仏教を学びます。
ハルシャ王も、玄奘に会っていて、手厚くもてなしたそうです。
この玄奘ですが、中国に帰った後、インドまでの旅を『大唐再域記』という書籍にまとめました。
船を使うことなく、全て陸路で往復しました。
実は、玄奘の別名は三蔵法師です。
そして、『大唐再域記』をモデルに作った冒険小説が『西遊記』なんです。
ハルシャ王に話を戻します。
この時代、インドはヒンドゥー教徒が多かったようです。
当初、ハルシャ王は、ヒンドゥー教を信仰していました。
その後、ハルシャ王は仏教を信仰します。
ハルシャ王は、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、全ての宗教を保護しました。
普通の王であれば、宗教を政治利用することが多いので、一つの宗教に絞り込みます。
ハルシャ王は寛容だったわけです。
『大唐再域記』によると、ハルシャ王の時代、30年間、戦争はなかったそうです。
このため、アショーカ王以来の名君と言わたそうです。
ちなみに、アショーカ王については、 こちら をどうぞ。
●ハルシャ王の名言
ハルシャ王について、ネットで検索しても名言がヒットしません。
ただ、ハルシャ王は「ナーガーナンダ」という戯曲(演劇の台本)を作っています。
多才な王様だったわけです。
この「ナーガーナンダ」は、主人公が、自分の命を犠牲にして、ある親子を敵から守るというストーリーです。
つまり、ハルシャ王は、次のことを重視していたわけです。
利他的な行動
利他とは、自己の利益よりも、他者の利益になることを優先することです。
利他行というのが大乗仏教の教えにあります。
つまり、「ナーガーナンダ」は、演劇を通じて大乗仏教を普及することが大きなテーマだったわけです。
利他の反対語は、利己です。自己中心です。
昨今、コロナウィルスが流行しています。ネガティブな気持ちになると、人間どうしても利己的になりがちです。
しかしながら、少しだけ客観的に物事を見て、他者への配慮や優しさを保つことが大切ですね。
●ハルシャ王の画像
※画像出典元:ウィキペディア
●玄奘の画像
※画像出典元:ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E5%A5%98%E4%B8%89%E8%94%B5
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