H30技術士二次試験解答例(Ⅱ-1-1) | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

H30年度の技術士二次試験で実際に出題された試験問題の解答例を作成しました。

上下水道部門の上水道及び工業用水道に関するもので、今回は【Ⅱ-1-1】。

ろ過に関する問題です。

これからの口頭試験対策、来年に向けての勉強等の参考にしてください。

 

 

問題】

急速ろ過のメカニズムと運転における留意点について述べよ。 

 

 

【解答作成に必要な情報】

1 急速ろ過のメカニズム

 急速ろ過は、ろ材を敷き詰めた層を、凝集剤を注入した原水を通過させることにより、原水中の懸濁物質を除去するものである。

 具体的には、ろ材によるふるいわけ作用及び重力沈降作用と、ろ材表面の小孔による付着作用により、懸濁物質の除去するメカニズムである。

 ろ材は一般に砂を用い、ろ過速度は120~150m/日、緩速ろ過の30倍程度を確保できる。さらに、アンスラサイト等を使用して多層化することで、さらに高いろ過速度を確保することも可能になる。

 

2 運転における留意点

急速ろ過の運転時には以下のことに留意する。

 ・ろ過池の水位、ろ過継続時間の監視と水位上昇、ろ過水継続時間経過に応じた適切なろ過池洗浄(表面洗浄と逆流洗浄が適切なタイミングと時間により実施されていることを確認する)

・濁度計によるろ過水濁度の常時監視

・原水からクリプトスポリジウムの指標菌が検出された場合、ろ過水濁度が0.1度以下になるよう適切な管理(高感度濁度計の設置、スロースタート、スローダウンの実施)

・ろ過層の適切な管理(ろ過状況の目視点検、逆流洗浄に伴いろ材が流出するため砂層厚の確認と補砂、砂交換を行う。また、砂層表面にマッドボールがあると偏流が生じるためマッドボールの確認・除去、表洗管の調整や補修を行う。)

 ・凝集剤の適正注入(原水濁度等の確認、定期的なジャーテストの実施、薬品注入量、薬品注入後の原水pH、ろ過池入口の濁度の常時監視)

 ・設備や構築物の定期点検

 

 

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