H30年度技術士二次試験(選択科目)の予想問題を作成しました。
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以下は、Q6(環境・温室効果ガス・設備)の解答例です。
【問題】
水道事業における温室効果ガス排出抑制対策を推進する技術責任者として、次の内容について記述せよ。
①対策の検討手順
②水道施設で導入すべき具体的な対策
③対策の実施後に取り組むべき事柄
【解答作成に必要な情報】
1 温室効果ガス排出抑制対策の重要性
水道事業は施設型産業であり、大量のエネルギーを消費する。電力消費量は、全国の約0.8%を占める。地球温暖化抑制のため、温室効果ガス排出抑制対策に取り組む必要がある。
2 対策の検討手順
温室効果ガス排出抑制対策を計画的に実施するため、基本方針、計画期間、数値目標、対策等を定めた環境計画を策定する。
現状の環境負荷と環境対策の課題を整理して、以下の(1)~(4)の手順で検討を行う。
(1)基本方針・計画期間・数値目標の設定
基本方針は、水道ビジョンや地方公共団体実施計画等の上位計画を勘案して設定する。
計画期間は概ね10年とする。
数値目標はエネルギー消費量(原単位)や再生利用エネルギー利用率等により設定する。
(2)対策候補の抽出・評価
水道施設における各工程・設備・機器毎のエネルギー使用量を把握した上で対策候補を抽出する。他施設、他事業体等の導入実績、最新の技術動向等を調査し、具体的な対策候補を抽出する。抽出した対策候補について、①効果(削減できるエネルギー)、②導入コスト、③技術的課題(運転・制御が複雑・困難になる等の技術的制約の有無)を確認し、各対策候補を評価する。
(3)対策の選定
対策候補の評価結果を踏まえ、計画期間内に実施する対策を選定する。
(4)フォローアップ方法の明確化
進捗を管理し、適宜、改善する準備を整えておく。
3 水道施設で導入すべき具体的な対策
(1)ポンプ・管路
①台数制御システム、可動羽根制御システム、インバーター等の導入
②ポンプのインペラーカット(効率改造)、高効率ポンプ、高効率電動機の導入
③高効率の変圧器の導入
④流量の平準化による管路抵抗の軽減
⑤漏水防止対策の推進(管路更新、漏水調査、漏水修理)
⑥配水管の残存水圧の有効利用(受水槽を廃止して直結、加圧ポンプの導入)
⑦エネルギー効率の高い浄水場、配水池の系統への切替
(2)薬品注入・凝集沈澱ろ過・排水処理
⑧攪拌機、掻寄機、脱水機、薬液ポンプ等において上記①〜③等の対策を実施
⑨急速ろ過池、膜ろ過、粒状活性炭層等の洗浄頻度、時間等の見直しによる効率化
⑩薬品注入の最適化(凝集剤、pH調整剤、消毒剤、粉末活性炭等)
⑪コージェネレーションの導入
(3)照明・空調・衛生設備
⑫LEDの設置
⑬照明対象範囲の細分化、高反射率板の設置
⑭高効率空調機、ヒートポンプの導入
⑮雨水利用
(4)自然エネルギーの活用
⑯送水連絡管等への小水力発電の導入
⑰ろ過池、配水池等の上部スペースに太陽光発電の導入
⑱風力発電等の導入
4 対策の実施後に取り組むべき事柄
対策実施後、短期、中期、長期の各段階で目標達成状況を把握し、必要に応じて対策の改善、変更、追加する。PDCAサイクルに従って継続的に計画を見直しながら、温室効果ガス排出抑制対策を持続可能なものする必要がある。
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