●出題されそうなテーマの抽出
マトリックスを活用することにより、試験に出題されそうなテーマを抽出することができます。
マトリックスを完成させるためには、2つの条件を設定する必要があります。
技術士二次試験の筆記試験において、2つ条件とは何でしょうか?
1つ目の条件は「出題頻度」です。
全ての資格試験に共通して言えることですが、試験には必ず出題頻度の高いテーマが存在します。こうしたテーマは、重要だからこそ繰り返し出題されるわけです。
出題頻度は、過去問を調査・集計することによって把握できます。過去の頻出頻度の高いテーマが、重要なテーマになるわけです。
出題傾向が条件の1つになることは予想できたと思います。
それでは、2つ目は何でしょうか?
2つ目の条件は「話題性」です。
どんな技術部門でも、話題性の高いテーマが存在します。話題性が高いということは重要であることを意味します。
なぜなら、技術士はコンサルタントの資格だからです。
コンサルタントは、顧客から相談されたことについて、答を提供する仕事です。顧客は、最近話題になっているテーマについて質問したいと思っているはずです。
このため、試験官サイドとしては、有資格者としてコンサルタントを世に送り出す以上、試験の合格者が最新技術に疎いようではまずい、そう考えているわけです。
話題性の高いテーマというのは、今日的なものです。こうしたテーマは、過去に何度も出題されているようなものではありません。
極端な話、一度も出題されていない可能性もあります。
話題性の高いテーマは、過去問を使っても、抽出できません。別の方法で情報収集する必要があります。これについては後述します。
下図に示すように、「出題頻度」と「話題性」の2条件でマトリックスを作ります。各テーマを整理します。
そして、「出題頻度」と「話題性」も高い、つまり右上のフレームのテーマが、試験において極めて重要なテーマです。
「出題頻度」と「話題性」のいずれかが高い、つまり左上と右下のフレームが重要なテーマです。
これら3つのフレームのテーマについて勉強を重点的にすることが勉強のコツになります。
●出題頻度の把握
出題頻度は過去問を整理すれば把握することができます。
H20年度からH29年度までの10年間の過去問を集計して、出題頻度が高いテーマを調査すればいいです。
出題頻度が高いということは、重要であることを意味するわけです。
例えば、上下水道部門の水道科目について集計すると以下のようになります。
①設備 10回
②管路(維持管理) 8回
③高度浄水処理 8回
④水質管理(全体) 7回
⑤更新 7回
繰り返しになりますが、出題頻度が高いということは、重要であることを意味するわけですから、これらのテーマは何らかの勉強する必要があります。
管路(維持管理)は出題頻度が高いです。管路については、維持管理以外に、管網、管種といった分類で整理もしていますし、送配水という分類でも整理しています。それにも関わらず、管路(維持管理)は高い出題率になっています。このため、必ず、勉強をするべきテーマです。
また、設備についても、H19年度以前は1問しか出題されていないのに、H20年度以降、毎年出題されています。技術士には、上下水道部門とは別個に機械部門、電気部門が存在するため、水道で設備の問題を取り扱う必要がなかったのかもしれませんが、近年では、省エネルギー、ICT、大型設備の更新時期の到来を背景に、設備に関する出題傾向が高まっているようです。
高度浄水処理、水質管理(全体)も出題率が高いです。これらのテーマは、水循環に関するテーマでもあり、上下水道全体のテーマで、今後の必須科目対策としても、勉強するべきテーマです。
それから、更新についても高い出題率になっています。高度成長期に整備したインフラの老朽化は社会的な問題になっています。今後も診断、更新、長寿命化、アセットマネジメントについて、出題される可能性は高いです。
●話題性の把握
話題性の高いテーマを言い換えると、今日的なテーマになります。こうした今日的なテーマは、過去問を集計・整理しただけではクローズアップできません。
では、どうやって話題性の高いテーマを抽出するのでしょうか。
一般に、その技術の最新テーマについて調査する媒体は、新聞、専門誌、論文です。水道分野ならば、日本水道新聞、水道産業新聞、水道技術ジャーナル、水道公論等の媒体により調査できます。
これらの媒体から情報収集することも重要ですが、もっと、いい方法があります。
ここからが重要です。
まずは、技術士というのは国家資格であることを忘れてはいけません。
国家試験は、国が認定した試験ですから、研究段階、普及途上の最新技術ではなく、国が採用している範囲内の最新技術を取り扱うことが前提になります。
つまり、話題性の高いテーマとは、国からの通知や国が作成した報告書をベースにして判断するべきなのです。
水道ならば、厚生労働省水道課の通知・事務連絡により調査することが有効です。
これまでに多くの試験問題を研究してきましたが、厚生労働省水道課の通知・事務連絡と報告書の中から相当数の問題が出題されています。これらが重要であることは間違いありません。
このため、受験する技術を統括する省庁のホームページでここ1〜2年間くらいの通知・事務連絡について内容を閲覧・確認しておいてください。
ちなみに、上下水道部門の水道科目について話題性の高いテーマは以下のようになります。
①管理(委託化・広域化・事業)
②水質管理(全体)
③給水装置
④災害対策
⑤施設全体(地球環境・計画)
具体的には、厚生労働省のHP http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/index.html
で調査すると、通知や報告書がアップされています。
以下のものは、比較的、新しい内容です。これらは要チェックですね。
H28年の4月くらいまで遡って、通知、報告されたテーマを確認しておいて、重要そうなものは中身を確認しておくことをお勧めします。
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