技術士合格法(6.1:情報の整理) | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●情報の整理とは

技術士試験において、情報の整理とは、以下のことを行うことを意味します。

 

①情報の分析

②情報の体系化

 

「情報の分析」は、情報を収集して、分類・集計するものです。

情報の分類・集計することで、現在の課題を抽出でき、傾向から未来を予測することもできます。

技術士の試験範囲はとても広いです。全てのテーマを隅々まで勉強するのが理想ですが、手を広げすぎると、勉強の効率は悪くなります。これはあらゆる試験に共通して言えることですが、何を優先的に勉強するか決定して、メリハリをつけて勉強することが重要です。

 

「情報の体系化」は、複数の情報に意味をもたせるため、ひとまとめにすることです。

これをちゃんとやるためには、情報の意味を理解するだけではなく、情報同士の共通点や相違点を発見する必要があります。

技術士の二次試験の選択科目は、3つの記述項目が設けられていて、それに解答するような問題形式になっています。つまり、受験生が情報の体系化を実践できることを前提にした問題になっているわけです。このように、情報の体系化は極めて重要な作業になるわけです。

 

 

●情報の分析の重要性

 大学受験や英検のように、書店に行けば、大量の参考書や問題集が市販されている場合、情報の分析は出版社がやってくれます。例えば、行政書士であれば、5社以上から参考書と過去問が発売されていますし、それには問題ごとに重要度や難易度も掲載されています。とても便利です。

 しかし、技術士の場合、参考書や問題集はほとんど市販されていません。通信教育での販売もありますが、中身を見て買えないですし、価格も高いので、いろいろなものを購入することはできないと思います。

 このため、多くの受験生は、自分の力で何が重要な情報か自分で判断する必要があります。

 こうしたことから、「情報の分析」はという不可欠な作業なのです。

 

 

●テーマに関する予想を的中させる

問題文は、テーマ、キーワード、記述内容の3要素で構成されています。


 

このうち、テーマですが、何種類くらいあると思いますか。

水道部門について言えば、過去の出題実績から考えると、30種類程度です。おそらく他の部門も大きく異ならないと思います。

さて、30種類、全てのテーマについて勉強できるでしょうか。

技術士の一次試験対策として、設計指針を読み込んだ人はいるでしょう。一次試験は択一式ですから、読み込むだけで得点できるかもしれません。

しかし、二次試験は記述式です。そう簡単にはいきません。単に設計指針を読んだだけでは、600~1,800字の文書を作成することは極めて困難です。やはり、文書を作るのは相当なエネルギーが必要になります。それから、テーマが30種類と言っても、キーワード、記述内容がたくさんあります。一つのテーマでも、数多くの問題をつくることができます。そう考えると、全てのテーマについて筆記試験の勉強をするのは現実的ではありません。

このため、試験に出題されそうな「テーマ」を勉強することが求められるわけです。

試験本番で、出題されたテーマについて一度も勉強したことがなければお手上げです。一方、出題されたテーマについて勉強していれば、出題されたキーワードと記述内容が違っていたとしても、何とか対応できる可能性があります。

つまり、合格するためには、試験に出題されそうなテーマを予想して的中させる必要があるわけです。

 

そして、試験に出題されそうなテーマを予想して的中させるためにやるべきことが、情報の分析なのです。

 

 

●予想的中のためにやるべきこと

情報の分析を行う必要がありますが、この時、便利なのがフレームワークです。

フレームワークとは、現実を観察するため、何らかの概念をまとめるため、一定のルールで作った枠組です。マトリックス、5W1H、等、様々なフレームワークが存在します。これらのうち、最もポピュラーなのがマトリクッスです。

マトリクッスは、2つの異なる条件で情報を整理することによって、その情報の位置付けを判断するもので、一般には、何が重要かを見極める際に有効です。

例えば、複数のプロジェクトの中から、優先的に取り組むべきものを検討する場合を考えてみます。重要性の高いプロジェクトを優先的に実施するのが合理的です。多くのことに言えることですが、行動の重要性というものは「効果」と「緊急性」で判断できます。マトリックスを作るためには、2つの条件を設定する必要がありますが、「効果」と「緊急性」を2条件に設定すると、下図のようなマトリックスが完成します。

 

重要性が高いのは、「効果」が高く、「緊急性」が高いプロジェクトです。このプロジェクトを優先的に取り組むべきです。上図のマトリックスでいうと右上のフレームです。

逆に、「効果」が低く、「緊急性」が低いプロジェクト、つまり、マトリックスの左下のフレームは重要ではありません。後回しです。このように、マトリックスを活用することにより、情報の重要性を判定することが可能になります。

 技術士の二次試験においても、マトリックスを活用することにより、試験に出題されそうなテーマを抽出することができます。

 

 これについては、次回にお話します。

 

 

 

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