「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」では、「問題解決」について以下のような説明がされています。
(1)業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
(2)複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。
このうち(1)については、前回、説明しました。
今回は(2)について説明します。
(2)では、4つのキーワードが出てきます。
①相反する要求事項
②影響の重要度
③選択肢
④解決策
まずは、①相反する要求事項。
これは、トレードオフです。つまり、一方を追求すれば、他方を犠牲にせざるを得ないという事項があるので、検討する必要があるという意味です。
(2)の文書では、具体的に、必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性が列記されています。
これらについて、少し、解説します。
必要性が高まると、大量に必要になり、質より量が重視され、機能性が犠牲になります。
機能性を高めると、作ることが難しくなります。技術的実現性が低くなるわけです。
安全性を高めると、コストがかかります。経済性が損なわれるわけです。
これらは、相反する要求事項になっているわけです。
世の中の難解な課題は、複合的な問題が絡み合っていて、しかも、相反する要求事項を含んでいます。
技術士は、顧客の課題を解決する技術コンサルタントです。
というわけで、技術士は、相反する要求事項を把握する必要があるわけです。
そして、それぞれの要求事項について、②影響の重要度
を評価する必要があります。何を優先するのか、決定する必要があります。
それから、③選択肢。
何かを検討するとき、いくつかのプランを提示する必要があります。
プランが1つだと、押し付けです。
プランが2つだと、良いか悪いかのチョイスです。
プランが3つ以上になったはじめて、順番をつけることができます。
逆に、プランが多すぎると、迷って決定することができなくなります。
このため、選択肢という表現を使われているからには、プランは3〜4つが妥当です。
そして、④解決策です。
選択肢を用意した後は、どれがベストプランなのか提示する必要があります。これが解決策です。
解決策を決定するためには、各プランを比較する必要があります。
いろいな角度から眺め、各プランのメリット、デメリットを整理します。現在だけではなく、将来も考慮する必要があります。
そして、各プランを総合的に評価して、最善策を決定する必要があります。
このように、技術士は、多種多様な要素が複雑に絡み合った問題を解決するため、①相反する要求事項、 ②影響の重要度、③選択肢
、④解決策を提案・実施することが求められているわけです。
一つ前の(1)を見たい方は、こちら をクリックしてください。
ちなみに、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」をご覧になりたい方は、こちら をクリックしてください。
「専門的学識」は、こちら をクリックしてください。