場面緘黙をクラスの保護者に説明するなら | 場面かんもく相談室「いちりづか」ブログ 「話せるようになる」ための500の方法

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場面緘黙の症状は適切な対応によって治すことができます。
必要なのは「一人ひとりに合った効果のある方法」を考えること。
何歳からでも大丈夫!園や学校、職場で「話せるようになる」ための方法を一緒に考えてみませんか?

クラスの保護者に場面緘黙を説明する目的は1つ

「友だちと遊ぶ機会を作る」ため

 

数日前に「場面緘黙をクラスの子たちに説明するなら」という記事を書きました。

今回は「保護者に説明するなら」です。

※この記事の前に「クラスの子たちに説明するなら」を読んでおくことをお勧めします。

 

保護者会で場面緘黙のことを話した方がいいの?

 

新年度になると小学校では「授業参観+保護者」が開かれます。

授業参観のあとで保護者が教室に残って、新しい担任の先生とお話しすることになります。

 

「場面緘黙のことをクラスの保護者に話した方がいいの・・・?」と考える方もいると思います。

その通り。

説明しておくことをお勧めします。

 

「クラスの保護者に場面緘黙のことを説明する

【お勧め度】★★★★☆(本人が希望する場合のみ)

 

ただしこれも、話す前に本人に確認しておきましょう。

子どもによっては保護者への説明も嫌がる場合があります。

 

保護者に知ってもらうことのメリット

 

クラスの子たちに知ってもらうのと比べると、保護者への説明のメリットは多くはありません。

保護者への説明は間接的にクラスの子たちの関わり方を変えることを目指す訳ですから、

それならクラスの子たちに直接説明した方が効果的です。

 

しかし、保護者に説明する大きなメリットが1つあります。

それは友だちと学校以外で遊ぶ機会を作りやすくなること」

 

これは緘黙症状の改善には非常に高い効果を発揮します。

ですのでクラスの保護者への説明は、「遊ぶ機会を作る」につながることを意識しましょう。

 

 

何を伝えるべきか

 

「何を説明すべきかは本人と相談して考える」ことが大前提です。

大人だけで勝手にやってはいけません。

 

※この記事の内容は、主に「場面緘黙の症状」が中心のケースの場合です。

自閉スペクトラム症など他の要素がある場合は説明する内容は異なります。

 

伝えた方がよいこと

説明の際には「遊ぶ機会を作る」という目的につなげることを意識しましょう。

概ね次のようなことを説明するのがよいと私は考えています。

(ただし詳細はケースバイケースです。このままコピーして使ってはいけません)

 

・家では「話せる」ということ(重要)

・学校にくると、緊張して声が出しづらくなってしまうこと

(学校では話しづらいが、学校以外なら話せるかも・・・という含みを持たせることが大事!)

 

・話しかけたり、遊びに誘ったりしてほしいということ

(「自分からは誘えない」ということが強調できると吉)

 

・本人は話せるようになりたいと思っていること

・「スモールステップ」で緘黙症状の改善に取り組んでいるということ

「学校外で話す」という練習方法のイメージが伝わると、協力が得やすくなります)

 

まずは「話せる子」だということをしっかり伝えること。

そして「学校では話しづらい」ことを強調すること。

「学校では話しづらいなら、学校以外なら話せるの?」と思ってもらえれば、放課後や休日に遊ぶ機会を作りやすくなります。

 

また、「学校以外で話せる」→「学校でも話せる」というスモールステップの考え方が上手く説明出来ると、「まずは学校以外で話す機会を作る」という意図が伝わりやすくなります。

 

伝えない方がよいこと

クラスの子たちへの説明と同じで、「話せない子」という説明をするのはお勧めしません

「話さない子」という説明が子どもに伝わってしまうと、緘黙症状の改善が難しくなります。

 

場面緘黙の症状があっても、「話せない子」ではなく本来は「話せる子」です。

 

「場面緘黙」ということばを使った方がよいか

保護者向けには、「場面緘黙」ということばを使った方がよいと思います。

その方が症状を正しく理解してもらえますし、後から調べて理解してくれる方も出てきます。

耳慣れないことばなので、黒板に書くなど文字で分かるようにするとよいでしょう。

 

「障害」「発達障害」ということばを使った方がよいか

「発達障害の一つ」という説明の仕方をすることもできます。

ただしこの場合、意図が誤って伝わる可能性があります(自閉症だと思われてしまうなど)。

 

「障害」「発達障害」ということばは、あまり使うメリットはないと私は思っています。

説明する保護者自身がよく分かっていない場合は、使わなくてもよいでしょう。


 

 

【注意点】

ここに書いてある方法は、効果のある場合もありますし、そうでない場合もあります。

書いてある方法を機械的に実践しても上手くいきません。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。