場面かんもく相談室「いちりづか」

場面かんもく相談室「いちりづか」

場面緘黙専門のオンライン相談室

 場面緘黙の症状への対応には様々なものがありますが、効果のない方法や、かえって悪い影響を与えるものも存在します。中でも最も悪い方法の一つが「話せなくてもいい」という考え方で対応してしまうことです。

 この記事では、病院や学校で「話せなくてもいい」「治さなくてもいい」と言われ続け、10年間も適切な対応が行われなかった大人の方の事例をご紹介します。

 

※実在の方をモデルに、本人・保護者の承諾を得て紹介しています。

絶対に転載はしないでください。なお名前やその他の詳細はすべて脚色してあります。

 

 

【事例】「話せなくてもいい」と言われ続けたAさん

緘黙症状に気付いたのは幼稚園の頃

 母親がAさんの緘黙症状に気付いたのは幼稚園の年中の頃でした。当時の担任の先生から「Aちゃんが園で話しているのを見たことがない」と言われたのがきっかけでした。それから母親はインターネットなどで情報を調べ、これが「場面緘黙」と呼ばれる状態に当てはまるのでは、ということを知りました。

 それから、Aさんと母親の、緘黙症状改善までの長い道のりが始まりました。

 

「治さなくてもいい」「話せなくてもいい」と言われ続ける

 母親はまず、自治体の発達相談センターに相談に行きました。そこでは年配の優しそうな相談員がいて、不安そうな母親に対して「心配しなくて大丈夫ですよ」と暖かく励ましてくれました。そして「場面緘黙の症状はその子の個性ですから、無理に治そうとしなくても大丈夫。お母さんが不安になるのが一番よくないことだから、安心してAちゃんに関わってあげて」とアドバイスされたそうです。その時は母親も、それで安心して帰りました。

 しかし半年後、発表会で凍り付いた表情のAさんを目の当たりにして、母親はやはりこれではいけないと思いました。それからあちこち調べ、ようやく子どもの発達の問題に詳しい総合病院の児童精神科の予約がとれたのは半年後、Aさんが年長になった5月でした。その間にもAさんの緘黙症状は改善することはなく、小学校への入学も迫る中、母親の不安は増していきました。

 そしてようやく受診することができた児童精神科でも、母親がもらったアドバイスは「話せなくてもいい」でした。子どもの発達障害に詳しいというその医師によると、「無理に話をさせようとすると症状が悪化することもある。5歳になれば文字が分かるようになってくるので、筆談ができるようになるといい。コミュニケーションのカードを使うのも有効。話せなくても、今の時代は働くことができる職場はたくさんある。場面緘黙の症状があっても活躍している人もいるし、心配しなくていい」というものでした。 Aさんが話せるようになることを願って半年間待った母親は落胆し、先が真っ暗になったようだと話していました。

 その後も母親は学校や教育委員会などに相談し続けますが、どこでも判を押したように

「話せなくてもいい」

「個性だから」

「無理させてはいけない」

「プレッシャーをかけるのはよくない」

 と言われ続けました。

 

小学校高学年から不登校に

 Aさんは小学4年生から学校に通えなくなりました(これは場面緘黙の症状がある子にはよく起こることです)。Aさんの場合、「話せないこと」そのものが理由というよりも、「緊張しやすい」「とても敏感で繊細」といった性質が影響しているようでした。

 小学3年生までは何とか休みがちでも通うことはできていましたが、高学年になり人間関係が難しくなったり先生が厳しくなったりという環境の変化もあり、5月の運動会で限界を迎えてしまったようでした。

 学校も病院も、学校に行けず話すこともできないAさんに対して、まったくお手上げの状態になってしまいました。スクールカウンセラーの面談や担任の訪問は小学校卒業まで続きましたが、「様子を見ましょう」「あまり刺激しないように」「本人の気持ちを待つしかない」といったアドバイスをもらうだけで、有効な対策ができないまま小学校を卒業することになりました。

 

高校生になり、自分から「話せるようになりたい」と母に伝える

 中学校は1日も通えず、緘黙症状も改善しないまま、Aさんは通信制高校に進学しました。その高校は、不登校の経験のある生徒や、様々な対人的・社会的な苦手さを抱える生徒が多く在籍していました。オンラインの授業では顔を画面に映す必要がないので、Aさんは画面越しに勉強をすることができるようになりました。

 秋にあったスクーリングでは、最初は極度の緊張状態で体が固まってしまうほどでしたが、何日か通うにつれて少しずつ慣れることができたようでした。同級生や先生と話すことはできませんが、授業でグループワークに参加することができました。Aさんによっては7年ぶりのことでした。

 そんなAさんがある日、スマホの画像を母親に見せました。そこには「場面かんもく相談室 いちりづか」のページが表示されていたそうです。Aさんは「話せるようになりたい」という思いを母親に話しました。母親はこれまで様々な「専門家」から「プレッシャーをかけるのはよくない」「あまり触れないようにしたほうがいい」と言われ続けてきたので、Aさんとこの話に向き合うことを避けてきました。ですので、母親が「話せるようになりたい」ということばをAさんから聞いたのは、幼稚園の年中で緘黙症状に気付いて以来はじめてのことでした。

 

緘黙症状の改善

 「いちりづか」にAさんの母親から相談があったのは、高校1年生の冬でした。初回のオンライン相談からAさん自身も参加し、話せるようになるための計画を考えました。

 Aさんは高校1年生だったので、高校卒業まではこの時点で2年と3ヶ月ありました。これだけの時間があれば、大幅に緘黙症状を改善させることが可能です。このため、「高校卒業後、進学するときには先生や同級生とある程度話せる状態を目指す」というのを当面の目標として練習を開始しました。

 

 

 Aさんが最初に話す練習のターゲットに選んだのは、高校の「メンター」の先生でした(Aさんの高校には担任とは別に、メンターという相談役が配置されていました)。メンターの先生に協力してもらい、「録音したメッセージを送る」という方法で練習を開始しました。

 その後の詳しい練習の過程は省略しますが、Aさんは積極的に練習に取り組み、少しずつ話せる相手を増やしていくことができました。高校3年生になる頃には、オンライン授業で意見を言ったり、スクーリングで一緒のグループになった同級生と話したりすることもできるようになっていました。

 大学に進学してからも、「話しづらさ」を感じる場面や、話せなくなってしまう場面はまだありますが、Aさんの緘黙症状は順調に改善に向かっていきました。「あとは自分でなんとかできそう」という状態になったので、大学1年生の夏で相談は終了としました。

 

【解説】「話せなくてもいい」という考え方について

Aさんの事例について:これはハッピーエンドなのか

 Aさんの事例を読んで、みなさんはどう思ったでしょうか。「話せるようになってよかった。めでたしめでたし」と思うでしょうか。

 私はそうは思いません。Aさんのような事例に出会う度に私が強く感じるのは「憤り」です。何に対する憤りかと言うと、Aさんの状態を放置した無責任な「専門家」に対する憤りです。

 

 Aさんの母親は、年中のときに自治体の発達相談センターに相談に行っています。そこでは「場面緘黙の症状はその子の個性ですから、無理に治そうとしなくても大丈夫。お母さんが不安になるのが一番よくないことだから、安心してAちゃんに関わってあげて」と言われました。 その後、年長で児童精神科を受診した際にも「無理に話をさせようとすると症状が悪化することもある。(略)話せなくても、今の時代は働くことができる職場はたくさんある。場面緘黙の症状があっても活躍している人もいるし、心配しなくていい」と言われています。そしてその後も、同様の対応がくり返されてきたのだと思います。

 もしAさんが年中、年長の頃に適切な対応を受けることができていれば、おそらく小学校入学時に緘黙症状は改善していたと私は思います。実際、小学校就学時に緘黙症状を改善させることができるケースは非常に多いです。それならAさんはこれよりも10年早く、話せるようになっていたはずです。そう考えると、いかに上記の「専門家」の対応がよくなかったかが分かるのではないでしょうか。

 

病院や学校等で「話せなくてもいい」とアドバイスされるケースは多い

 しかし、実際には上記のような「話せなくてもいい」というアドバイスを受けるケースは、非常に多いです。

 「いちりづか」に相談のあるケースのほとんどは、それ以前に病院等の専門機関での相談歴があります。そういったケースの大半は、次のような「話せなくてもいい」という対応やアドバイスを受けてきています。

 ・話せなくても筆談などでコミュニケーションができればいい

 ・話せなくても学校では色々な方法で表現ができているので大丈夫

 ・社会の側が支援や配慮を行えば、本人は困らない

 ・話せなくてもできる仕事もある

 ・場面緘黙の症状があっても活躍している人もいる

 この記事を読んでいる方の中にも、「言われたことがある」という心当たりのある方は少なくないのではないでしょうか。

 

「話せなくてもいい」という対応は深刻な間違い

 「話せなくてもいい」という対応の問題点は、何よりも「本来容易に治せるはずの緘黙症状を、治さないまま長期化させてしまうこと」にあります。そして、長期化だけでなく症状を悪化・複雑化させてしまうという問題もあります。Aさんの事例でも小学4年生から学校に行けない状態になってしまいましたが、同様に不登校や登校しぶりの状態になる子はとても多いです。

 

ですがそれ以上に困難な問題もあります。それは「親とも話せなくなってしまう」ケースがあることです。理由や背景は人それぞれですが、緘黙症状のある子の中には、中学・高校生くらいで(場合によっては小学生でも)親とも話せない状態になってしまう子がいます。私のこれまでの経験でも数十名そういった状態の方の相談を受けてきました。

 不登校の問題なら比較的容易に解決することができますし、学齢期が終われば不登校の問題は終わりになります。しかし親と話せない状態は対応が非常に難しくなる上に、改善しなければいつまででも続きます。ですので、こうなってしまう間に緘黙症状を改善させる必要があるのです。

 

「話せなくてもできる仕事がある」という助言の悪質さ

 医師や教師、専門職などからなされる「話せなくてもいい」というアドバイスの中でも、私が最も悪質だと感じるのは「話せなくてもできる仕事がある」です。

 この考え方の問題点は、「選べる仕事がかなり制限される」ということです。場面緘黙の症状があるままできる仕事が世の中にあるかどうかで言えば、確かにそういう仕事はあります。ですがそういう仕事のほとんどは、専門性が要求されず、創造性や独創性も低く、給料も安い仕事です。

 私はそのような仕事が価値がないとか、劣るとかと言いたい訳ではありません。私が指摘したいのは、場面緘黙の症状があると「そのような仕事以外が選べなくなってしまう」ということです。当然、医者にもカウンセラーにも教師にもなれません。

 つまり、医者やカウンセラーや教師が「話せなくてもできる仕事がある」と言うとき、それは「私たちのような専門職にはなれないけれど、選り好みをしなければできる仕事はあるよ」という意味に他ならないのです。こんな非人間的な助言があるでしょうか。

 

 私だったら緘黙症状のある子の仕事の選び方について聞かれたら、こういう風に答えています。「練習すれば話せるようになります。そうすればだいたいどんな仕事でもできますよ」。

 

「話せなくてもできる仕事は、話せた方がよりよくできる」

 この「話せなくてもできる仕事」の問題を考えるにあたってもう一つ大事なのは、「話せなくてもできる仕事は、話せた方がよりよくできる」ということです。

 どんな仕事でも例外なく、話せない状態で働くとすれば誰かの手助けや周りの配慮が必要になります。緘黙症状があるまま働いている方も私はたくさん知っていますが、必ず誰かの手助けや配慮を受けています。緘黙症状があれば仕事の効率は落ちるし、評価も低くなるでしょう。仕事上の楽しさややりがいも、話せた方がはるかに高いはずです。緘黙症状があることで仕事上プラスになることは何一つないのです。

 

 話せるようになれば同じ仕事でもよりよくこなすことができるようになりますし、色々な可能性も広がります。ですので私は、やはり「話せるようになること」を目指した方がよいと考えています。

【質問】

保育園年長の緘黙症状のある子の保護者からの質問です。

 

2歳から通っている病院の医師からは「無理に話させる必要はない」と言われています。

通っているのは市の総合病院で、医師は児童精神科の専門の先生です。

 

その医師によると「プレッシャーをかけるのはよくない」とのことです。

また「話せなくてもできる仕事がある」とも言われました。

 

こちらの相談室のサイトには「話せるようになる」と書いてあります。

医師の言う通り「無理に話させる必要はない」のでしょうか?

 

 

【回答】

「話せなくてもいい」という対応は完全に間違いです。

場面緘黙の症状は比較的簡単に治せることが多いです。

早めに対応して、緘黙症状の改善を目指しましょう。

 

 「話せなくてもいい」という対応は間違い 

医師や教師、専門職の中にも「話せなくてもいい」という対応をしてしまう人がいますが、これは完全に間違いです。なぜなら、場面緘黙の症状は比較的容易に改善させることができるからです。

容易に治せるものなのに「話せなくてもいい」という対応をしてしまえば、かえって緘黙症状を長引かせることになってしまいます。特に保育園年長でしたら、1年後には小学校入学があります。このタイミングで場面緘黙の症状を治せるケースは非常に多いです。

 

 「プレッシャーをかけるのはよくない」わけではない 

「プレッシャーをかけるのはよくない」という言い方もよく耳にします。医師や専門家からそう言われれば正しいように思ってしまうかもしれませんが、これも間違いです。

人が生きていく上では、大なり小なり「プレッシャー」は存在します。保育園の「お当番」や「発表会」「運動会」などもプレッシャーです。登園することも友だちと遊ぶこともプレッシャーになる子もいます。それが「適度なプレッシャー」であれば本人の成長の糧となります

ですので、すべてのプレッシャーがよくないわけではないのです。

 

悪いのは「過剰なプレッシャー」です。どのくらいが過剰なのかは状況によって異なりますが、「できないことを要求するのはダメ」と理解しておけばよいでしょう。

これは緘黙症状の改善の取り組み(話す練習)についても同じです。適度なプレッシャーになるように難易度を調整すれば、緘黙症状の改善につながります。

 

 話せる状態で小学校生活をスタートできるように準備しましょう 

今から対応を始めれば、緘黙症状を治して話せる状態で小学校生活をスタートさせることができると思います。「話せなくてもできる仕事」などと考える必要はまったくありません。今から緘黙症状の改善に取り組みましょう。

 

 

 

 

 

 

オンラインで「話す練習」に取り組み、

別室登校から無事通学できるようになったケース

 

【対象】

まゆさん(仮名)女性

中学2年生~3年生(相談終了時)

 

【概要】

幼児期から緘黙症状が続いていました。症状には波があり話せた時期もありましたが、小学6年生頃から学校に通うのもしんどくなり、中学校入学後は不登校や別室登校の状態が続いていていました。精神科にも通っていましたが有効な対応ができておらず、本人の意欲も低下していました。中学2年生の2学期にいちりづかに相談の依頼があり、初回は対面での面談、2回目以降からはオンラインで筆者との話す練習を継続しました。併せて学校でも話す練習に取り組み、話せる場面が増えてきました。中学3年生開始時には概ね緘黙症状が改善し、同時に学校にも通えるようになったため、相談終了となりました。

 

 

【相談開始時の状態】

・幼児期から強い緘黙症状があり、小・中学校でも話せない状態が続いていた

・小学6年生から不登校になり、以降は欠席や別室登校をくり返していた

・地域の精神科や相談機関に通っていたが症状は改善していない

・本人の意欲が低く、具体的な計画を本人と相談することが難しい

 

【緘黙症状改善の経過】

【初回の相談】対面での相談:本人への見通しの説明

中学2年生の10月に初回の面談を対面で行いました。初めに母親から聴き取りを行い、その後本人との面談を行いました。筆者から本人に対して、次の2点を説明しました。

・計画を立てて練習すれば、必ず話せる相手や場面を増やすことができること

・今は中学2年生なので、今から取り組んでいけば高校入学時には話せるようになること

本人の意思確認は、筆者が一時的に退席して母親を通じて確認するという方法で行いました。

 

 

はじめは練習に消極的だったまゆさんですが、「話せるようになる」という話を聞いて少し前向きになったようでした。この面談のときにははっきりした返事はもらえませんでしたが、帰宅後母親に「話せるようになりたい」と話したそうです。そこで、改めてまゆさん自身と相談して練習の計画を考えることにしました。

 

【2回目の相談:オンライン】

改めてまゆさんの意思を確認した上で、筆者から進め方を説明しました。

 

 

まゆさんは、「中学校の相談室の先生との話す練習」と「筆者とのオンラインでの話す練習」の2つを行いたいとのことでした。

相談室の先生とは、2人だけの場面が作れれば質問に答えたり書いてあるものを読み上げたりできそうだとのことでした。国語の先生だったので古文など教科書の音読がいいかもしれないということになりました。

筆者とのオンラインで話す練習は、週1回10分程度で、短いことばのやりとりからスタートすることにしました。

 

【練習の経過】

◆中学校

中学校では、初回の練習で相談室の先生に声を出すことができました。その後は担任の先生や他の教科の先生にも少しずつ声が出せるようになっていきました。

先生と話せるようになっていくにしたがって、学校での不安感も徐々に減少してきたとのことです。そこで3学期からは少しずつ教室に入るのもチャレンジすることにしました。

◆筆者との話す練習

筆者との話す練習は11月から翌年3月までの約4か月間で16回行いました。

初回の内容は「最初のあいさつ」「しりとり(母含め3名で15回)」「教科書音読(1文)」「さよならの挨拶」でした。回を追うごとに話せる内容が増えてきて、最終回(16回目)では学校での心配事などを筆者と話して相談することができるようになりました。
 

【相談の終結】

10月から練習を始め、3月までの半年間で大幅に緘黙症状を改善させることができました。

新年度に向けた打ち合わせを家庭・本人と学校とで慎重に行い、まゆさんにとって負担の少ない方法で中学3年生の学校生活を始めることができました。3年生になってからは学校ではほとんどの先生と話せるようになり、また3年生の教室にも少しずつ顔を出せるようになりました。先生方の配慮もあり同級生とも徐々に話せるようになっていったそうです。緘黙症状の改善だけでなく本人の不安感も大幅に減少したため、相談終結となりました。

 

筆者への約6か月、オンラインでの筆者との話す練習の回数は16回でした。

相談開始時は中学2年生で別室登校になっており、本人の症状改善への意欲も低い状態でしたがたですが、練習開始後すぐに症状の改善がみられ始めました。当初は高校入学時に焦点を合わせて計画を考えていましたが、思った以上に早く症状が改善しました

初回の面談でまゆさん自身が「これならできそう」と思えたことが成功のカギだったのではと思います。

 

 【注意点】

事例の紹介にあたっては、本人・保護者の同意を得ています。

ただし個人に関わる情報ですので、転載は絶対にしないでください

また必要に応じて細部を改変していますので、事実と異なる場合もあります。

 

この事例の紹介はあくまで個別のケースに対して上手くいった方法です。

同様の方法を行っても、他のケースに対しては効果がない場合もあります。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。

オンラインで「話す練習」に取り組んで

学校で話せるようになったケース

 

【対象】

つむぐさん(仮名)男性

中学3年生~高2年生(相談終了時)

 

【概要】

幼児期から緘黙症状があり、学校で話せない状態が続いていました。中学3年生から緘黙症状の改善に取り組みました。小学生の頃から地域の相談機関にかかっていましたが、症状は改善せず筆者のところに相談がありました。オンラインで筆者との話す練習を週1回のペースで継続し、少しずつ話せるようになっていきました。高校入学後は高校の先生とも話す練習に取り組み、学校でも少しずつ話せるようになっていきました。高校2年進学時に先生やクラスメイトと話せるようになり、相談終了となりました。

 

 

【相談開始時の状態】

・幼児期から強い緘黙症状があり、小・中学校でも話せない状態が続いていた

・学校だけでなく、放課後デイやカウンセリング、お店などでも声を出すことができない

・小学4年生から地域の相談機関でのカウンセリングを受けていたが症状は改善していない

・中学に入るときには話せるようになりたいと思っていたが、入学後も話せなかった

 

【緘黙症状改善の経過】

【初回の相談】保護者・本人からの聴き取り

中学3年生の10月に初回の面談を行いました。初めに母親から聴き取りを行い、その後本人との面談を行いました。本人との面談はチャットを用いて行いました。

チャットの一部を本人の許可を得た上で一部改変して掲載します。

 

筆者:話せるようになりたい、という気持ちがあるということですね?

つむぐさん:はい

筆者:では、これから話せるようになるための計画を一緒に考えましょう。

まず、大まかな見通しを考えてみましょう。つむぐさんは今中学3年生で、卒業まではあと半年です。この半年の間に少しずつ話す練習を進め、学校以外でもいいので話せる相手を増やしていきましょう。

つむぐさん:はい

筆者:同時進行で、合格がきまったら高校との相談も行います。早ければ12月に決まるということですので、その段階で高校との相談も始めましょう。

(途中は省略)

筆者:中学卒業までの半年の間、誰を相手に練習するのがいいですか?

・中学の先生(担任やその他の先生など)

・中学の同級生

・放課後デイの先生

・お店の人

・高木(筆者)とオンラインで話す練習

つむぐさん:オンラインで

筆者:私とオンラインで練習する、ということですね?

つむぐさん:はい

 

こういったやりとりを経て、つむぐさんとオンラインで話す練習を行うことになりました。

この時点ではまだ筆者に声を出すことができなかったので、まずは筆者に声を聞かせるところから取り組むことにしました。

 

【オンラインでの話す練習の経過】

オンラインでの話す練習は、次のようなステップで進みました。

 

1.録音した声をLINEで筆者に送る

2.Zoomで接続しているときにリアルタイムで録音した声を筆者に送る

3.Zoomで接続しているときにリアルタイムで筆者に声を出す

4.Zoomで筆者と話す

 

10月から週1回のペースで練習を続け、3か月後の1月にはZoomで筆者と話すことができるようになりました。

 

【その後の経過】高校入学~高校で話せるようになる:相談の終結

筆者と話せるようになった後は、高校の先生と話せることを目指しました。

この時点(中学3年の1月)で志望校の合格が決まっていたため、高校と相談し練習の機会を作ってもらうことにしました。幸い高校側も快く協力してくれ、入学までの間に練習を行うことができました。

入学前の練習が功を奏し、入学時には先生2名と話せる状態で高校生活を始めることができました。その後も段階的に練習を進め、高校2年進学時には授業でも発言ができるようになりました。学校での緘黙症状はほぼ改善したため、相談終結となりました。

 

筆者への相談期間は1年8か月、オンラインでの筆者との話す練習の回数は20回でした。

相談開始時は中学3年生と年齢が高く、緘黙症状も重かったですが、練習開始後比較的すぐに症状の改善がみられ始めました。

本人の「話せるようになりたい」という意思と、本人の状態にあった的確な治療計画によって、短期間での改善に結びついたと言えます。

 

 【注意点】

事例の紹介にあたっては、本人・保護者の同意を得ています。

ただし個人に関わる情報ですので、転載は絶対にしないでください

また必要に応じて細部を改変していますので、事実と異なる場合もあります。

 

この事例の紹介はあくまで個別のケースに対して上手くいった方法です。

同様の方法を行っても、他のケースに対しては効果がない場合もあります。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。

以前こちらのブログで紹介した方から、年末に近況報告のメールをいただきました。

緘黙症状が改善して1年近く経ち、色々な場面で話せるようになって人との関りも広がってきたそうです。ご本人から許可をいただきましたのでメールの内容をご紹介します。

 

 

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ご無沙汰しております。〇〇です。
相談を卒業してから、調子よく、吃音の困り感もほとんど無く過ごせています。

9月に津波で被害を受け、復元したピアノを展示しているカフェに行って、「弾いてもいいですか?」とオーナーさんに声をかけることができて、それがきっかけでコンサート出演依頼をいただき、2回演奏会を開催しました。次回の演奏会企画もいただいています。

声が小さすぎて、届くまで3回くらいかかったけれど、初めての場所と人の環境で話せたことで、ありがたいお話をいただくことができました。演奏会でも、初対面のお客さんと会話をすることができて、新たな繋がりを得ることができました。
 

場面緘黙が改善されていなければ、この機会は訪れなかっただろうなと思うと、先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

もともと私の活動に制限のかからない音楽だったのも大きいとは思いますが、声が届くということは、思いが届くことなんだなと実感したできごとでした。

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【解説】

あきさん(仮名)は教育系のお仕事をしている大人の方です

日常生活では会話ができますが、美容院などでは強い緊張があります。職場で子どもや同僚と話すときも喉や体が固まってしまい、まったく声が出なくなることもありました。初回はチャットでの相談でカウンセリングを開始しました。

 

あきさんの緘黙症状の背景には、強い緊張だけでなく「吃音」がありました。2回目の相談からは声で話す方法に変えましたが、私と話すときにも声が出るまでにとても時間がかかり、絞り出すように発声していた様子が特徴的でした。

強い緊張と吃音の2つにバランスよくアプローチしていくために、「認知行動療法」に加え、吃音についての心理教育やトレーニングも行うという治療計画を立てました。

 

治療計画:心理教育や自己分析、コーピング、成功体験等によって好循環を作り出し、緊張の軽減を目指す

 

こういった方法により徐々に自己理解が深まるとともに、苦手な場面での緊張も減っていきました。1年間のカウンセリングの結果、職場や美容院など様々な場面であまり緊張せず話すことができるようになったため相談終了となりました(経過の詳細は上記のリンクをご覧ください)。

 

相談中の話し方も変化し、私に対してもにこやかな表情で話せるようになったのが印象的でした。緘黙症状の改善というのは単に「話すこと」「声を出すこと」だけでなく、人との関り方や表情、態度などにも大きな影響を与えるのだということを実感しました。

 


大人の場面緘黙を治す

いちりづかに相談のある方のうち、1~2割はあきさんのような大人の方からの相談です。

大人の場合、背景にある問題が非常に多様なので、それぞれに応じて治療計画が大きく異なります。この例のように「認知行動療法」を中心に様々な技法を組み合わることが多いです

 

「話せるようになりたい」という思いがあれば緘黙症状を改善させることができる、というのは大人でも全く同じです。どんなに症状が重くても、本人が諦めなければ症状の改善や問題の解決は可能です。

もちろん人によってかかる時間は違います。短期間で顕著な改善を示す方もいますが、長い時間がかかることもあります。それまで長期間緘黙症状があった訳ですから、それを改善させるにはやはりそれなりの時間がかかるのだと思います。それでも、焦らず少しずつ進めていけば、必ず場面緘黙の症状は改善させることができます。

 

 

 【注意点】

事例の紹介にあたっては、本人の同意を得ています。

ただし個人に関わる情報ですので、転載は絶対にしないでください

また必要に応じて細部を改変していますので、事実と異なる場合もあります。

 

この事例の紹介はあくまで個別のケースに対して上手くいった方法です。

同様の方法を行っても、他のケースに対しては効果がない場合もあります。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。

場面緘黙の症状がすぐに治せるケース

場面緘黙の症状がある子の中には、すぐに治せるケースもあります。

 

□ 本人が「話せるようになりたい」と強く思っている
□ 家や家族の他にも話せる場面がいくつかある
□ 緘黙症状以外の問題がほとんどない

 

この3条件にすべて当てはまる子の場合、そもそも緘黙症状は簡単に治ってしまう可能性が高いです。この条件が揃っているのにまだ治っていないとすれば、その理由は次のいずれか(または両方)であることがほとんどです。

 

1.緘黙症状を改善させるための取り組みが行われていない

2.周りの「話さない子」という見方が強かったり、話さなくても学校生活が送れる配慮がされすぎている

 

こういう子の場合は、計画的に取り組めば緘黙症状はすぐに改善させることができます。状況にもよりますが、数週間から数ヶ月程度で治せてしまうケースも少なくありません。本人と話せるようになるための方法を相談してみましょう。

 

場面緘黙の治療というと「スモールステップ」ということばをよく聞きます。

ですが実際には、緘黙症状の改善はずっとスモールステップで進むわけではありません。
あるとき一気に症状が改善するケースの方が圧倒的に多いです。

 

正しいイメージをもつことが症状の改善の近道です。

 

 

スモールステップではなく「一気に治る」こともある

「スモールステップ」という考え方

場面緘黙について調べると、「スモールステップ」ということばをよく目にすると思います。

インターネットの記事や本にも「スモールステップ」と書かれていることが多いです。

 

スモールステップは、治療方法・心理療法というよりも「考え方」の一つです。

治療計画を立てる際には、治療のゴールや練習方法を考えます。

その際に考慮すべき考え方の一つが「スモールステップ」です。

ではスモールステップとはどういう「考え方」なのでしょうか。

それは、「少しずつやる」ということです。

緘黙症状のある子に、いきなり学校でみんなの前で話すことを求めても上手くいきません。

「急にはできないから、少しずつやりましょうね」ということです。

 

ずっと「スモールステップ」で改善するわけではない

ところが、緘黙症状の改善は実際にはずっと「スモールステップ」で進むわけではありません。

少しずつ改善する時期もありますが、あるとき急激に症状が改善することが多いです。

私の感覚では、一気に階段を駆け上がっていくようなイメージがぴったりきます。

 

この図はあくまで模式的なイメージです。

(全員がこうだというわけではありません)

 

「少しずつ改善する時期」もありますが、「大きく症状が改善する時期」もあります

そしてあるとき一気に症状が改善して、みんなの前で話せるようになっていきます。

 

スモールステップで練習する時期と、大きなステップアップをする時期を考える

練習の計画を考える際も、このような改善の仕方の違いを意識してみましょう。

スモールステップで練習を進めていると、あるとき一気に症状が改善できそうな時期がきます。

 

その時を見計らって大きなステップアップに挑戦してみましょう

 

症状が一気に改善するのはどんなときか

改善させやすいのは「進学」「進級」のタイミング

緘黙症状の改善が最も急激に進むのは、進学や進級など環境が変わるタイミングです。

小学校や中学校に進学したタイミングで緘黙症状が治るケースはとても多いです。

 

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こういった大きな環境の変化は緘黙症状の改善のチャンスです。

時間をかけてしっかり準備して、話せる状態を目指しましょう。

 

小さな環境の変化やきっかけでもうまくいくことがある

もっと小さな環境の変化が大きく影響することもあります。

・引っ越しや転校

・席替え

・担任が産休などで交替した

・転校生がきた

・塾や習いごとを始めた

・発表会や参観日

・長期休み明け など

 

こういった小さな環境の変化で、「ちょっと大きいステップ」に挑戦することもできます。

 

本人が「できそうだ」と思う時がチャンス

環境の変化でなくても、本人自身が「できそうだ」と思えばチャンス到来です。

 

例えば次のようなケースでも、短期間での大幅なステップアップが期待できます。

・練習が順調にいっていて、他の友だちとも話せそうな気がしてきている

・1つの目標が達成できて、「話せそう」という自信がついた

・本人が休み明けからみんなと話せるようにがんばりたいと言っている など

 

こういう時はスモールステップにこだわる必要はありません。

できそうなことにどんどん挑戦してみてもいいでしょう。

 

「スモールステップ」ではなく、一気に症状が改善したケース

 

 

 

大事なのは「スモールステップ」ではなく、「適切なステップ」

「スモールステップで進める」という誤解

そもそも、練習はスモールステップで進めなければならない、ということが大きな誤解です。

基本的には焦らずゆっくり進めていくことが大事ですが、そうではないときもあります。


ときには大幅なステップアップも大切です

 

私の経験では緘黙症状の改善が最後までスモールステップで進むことはありません

必ずどこかで、一気に改善する時期がやってきます。

 

「適切なステップ」を考えることが大切

「スモールステップ」というのは、ある意味で練習の条件を制約していることにもなります。

大事なのは「スモールであること」ではなく、「適切な大きさであること」です。

 

その適切な大きさのステップが、スモールなこともあれば、特大なこともあります。

その時々に応じた「適切なステップ」を考えることが大切なのです。

 

 

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【質問】

小学5年生の緘黙症状のある子の保護者からの質問です。

 

お店など出かけた先でのコミュニケーションについての質問です。

親と一緒にいると甘えてしまうのか、外出先では知らない人と話すことはありません。

学校での練習は進んでいるので外でもしゃべってくれたらと思うのですが、難しいでしょうか。

 

歯医者などで聞かれたときや挨拶が必要なときも、まだ言えません。

外で何か聞かれたときなどに、本人の気持ちを親が代わりに言ってあげてもいいでしょうか。

無理をさせてはいけないとは思うのですが、甘やかしていることにならないか心配です。

 

 

【回答】

計画した練習がしっかり行っていけば大丈夫です。

それ以外のことは親が代わりに言ってあげても問題ありません。

 

学校での話す練習は順調にいっているようですね。でしたら他の場面では親が代わりに言ってあげても問題ありません。

 

私がそう考える理由は2つあります。

 

1つ目は「支援99%、治療1%」でいいからです。

話すことが求められる場面は無数にありますので、全部で練習しようとすると本人にとって負担が大きくなりすぎます。お子様の場合はすでに学校での練習を計画的に行っていますので、他のところでは練習しなくて構いません。

 

2つ目は、「無計画にやっても上手くいかない」からです。

学校での練習メニューは、目標や難易度などをしっかり考えて作ったものですので、ほとんど失敗することはありません。ですがお店や病院などで無計画にやろうとすると、上手くいかないこともあります。またその時上手くいっても、そこから先につながっていかないので、結果的にあまり効果的な練習になりません。

 

ですので、計画した練習を着実に進められていれば、他は親が代弁してあげても結構です。

 

 

この記事では「いちりづか」に相談した場合、場面緘黙の症状が治るまでにだいたいいくらくらいかかるのかについて解説します。本人の症状などによって大きく異なりますが、大まかな目安として参考にしていただければ幸いです。
 

 基本は「1回6,500円」 

「いちりづか」では、1回の相談は通常のオンライン相談(60分~90分)は6,500円です。

 

・割引料金

次の場合は割引料金(4,500円)になります。

1.ショートタイムセッション割引:2回目以降、30分以内で終了した場合
2.きょうだい割引:兄弟姉妹で緘黙症状があり複数回の面談をする場合(2人目の料金を割引)
3.再相談割引:次回の面談が2週間後の同じ曜日までの間に実施される場合

 

 

 

 1回の相談でできること 

1回の相談は60分(~90分)の枠が確保してあります。十分な時間がありますので、詳細なところまで計画を立てたり、本人へのカウンセリングを行ったりすることができます。

・緘黙症状を治すための最適な計画

「いちりづか」では「緘黙症状や関連する問題を解決するための最適な計画」をご提案します。

・園や学校で話せるようになるために、どのような練習に取り組んだらよいか

・園や学校には何をどのようにお願いすればよいか

・話せるようになるまでに、概ねどのくらいの期間がかかりそうか

・家庭ではどのような対応をしたらよいか

・入学・進学までの期間にどんな準備をしたらよいか

・した方がいいこと、しない方がいいことは何か

・緘黙症状以外の問題への対応(不登校、不安症状、など) など

 

1回の相談では、時間をかけてお話を伺った上で、こういった点について詳しくご説明します。

 

・メール相談は無料

また上記の料金には無料の「メール相談」も含まれています。相談時にお話ししたことがすべて計画通りに進むわけではありませんので、進捗状況に応じてメールでご報告いただいたり、疑問点をメールでお問い合わせいただいたりしても結構です。例えば次のような内容のメールをいただくことが多いです。

・計画した練習が上手くいったので、次のステップアップはどうしたらよいか

・計画した練習が上手くいかなかったが、どうしたらよいか

・相手(先生など)が協力してくれなかったが、どうしたらよいか

・子どもが学校に行きたくないと言いだしたが、休ませてもいいのか

・〇〇の方法が効果があると聞いたが、試してみてもいいか

・病院には連れて行った方がいいか、知能検査は受けさせた方がいいか など。

 

こういったご質問にもすべて無料でお答えしています。

※その他よくあるメールでの質問については【質問コーナー】の記事でも紹介しています。

 

・本人へのカウンセリングや話す練習

もちろん保護者の相談だけでなく、本人への直接のカウンセリングも行っています。

・本人との話す練習

・本人への認知行動療法

・マインクラフトなどを使ったオンラインでの個別活動

・その他、色々な問題についての相談 など

 

相談はチャットやメタバースなど様々な手段を使いますので、声で話せなくても大丈夫です。

 

 相談終了までの期間や回数の目安 

終了までにかかる回数によってトータルの金額は変わってきます。「いちりづか」で相談を受けたケースのデータから、大まかな期間や回数の目安をご説明します。

 

・緘黙症状が解消するまでの期間

いつもブログで説明しているように、場面緘黙の症状は適切なアプローチをすれば比較的短期間で改善します。ほとんどの場合は数ヶ月から長くても2、3年程度で緘黙症状は治せます。「いちりづか」に相談があったケースの記録を見ると、相談開始から緘黙症状解消までの平均は8.8か月(約1年半)でした。

もちろん緘黙症状以外の要素があったりすると長くかかる場合もあります。こういった症状が重いケースは比較的稀で、相談件数全体の数%がこれに相当します。

非常に短期間で緘黙症状が解消することもあります。1回で終了することも珍しくなく、25%のケースでは3か月以内に問題が改善して相談終了になっています。

 

・「入学」「進学」のタイミングで改善するケースは多い

特に症状が改善しやすいのは、小学校への入学や中学高校への進学のタイミングです。環境が変わるときを狙って丁寧に準備を行えば、新しい環境で話せる状態でスタートできるケースが多いです。

どのくらいの準備期間が必要かはケースバイケースですが、概ね1年あれば十分だと思います。ですので年長に上がったタイミングや小学6年生の1学期から準備をしていけば、1年後には緘黙症状が改善できている可能性が高いです。

 

・終了までの相談の回数

「いちりづか」での相談の頻度は、3、4か月に1回程度のペースで行うことが多いです。

1回の相談で具体的な練習の計画を立てたら、そこから3か月程度は学校等で練習を続けてもらうことになります。練習の頻度は多くても週1回くらいで、実際には練習できない週もありますので3か月くらい練習を続けていただいてからお話を伺うようにしています。

学校の場合は「学期」にも左右されますので、だいたい「1学期に1回くらい」の相談となることが多いです。

 

「いちりづか」に相談があったケースでは、相談開始から終了までの相談回数は平均で4.1回でした。稀に長くかかるケースもありますが、10回を超えることはほとんどないようです。

 

・実際にかかる費用の目安

以上のデータを基に、緘黙症状改善までに実際にはどのくらいの費用がかかるかを考えてみましょう。いくつかのモデルケースでご説明します。

 

①平均:4回の相談で1年半で改善した場合

6,500円(割引の場合は4,500円)×4回 = 2万円~2万6千円

 

②年3回程度の相談で、1年半で改善した場合(相談回数は5回程度)

6,500円(〃)×5回 = 3万円程度

 

③3年程度で改善した場合(相談回数は10回程度)

6,500円(〃)×10回 = 6万円程度

 

④1回で改善して終了した場合 6,500円

 

もちろん相談終了までの期間も相談回数もケースバイケースです。短期集中で月1回ペースで相談する方もいますし、半年に1回くらいの割合で相談を受けるケースもあります。頻度や期間についても、個々の状況に応じて最適な時期をご提案しています。

 

 「いくらかかるか」よりも大事なこと 

ここまで「治るまでにいくらかかるか」を考えてきましたが、それよりも大事なことがあります。それは言うまでもなく「場面緘黙の症状が治るか」です。

 

・治らなければ意味がない

どんなに安くても、症状が治らなければ意味がないと私は思います。

 

例えば自治体の相談機関(発達相談センターや教育相談センターなど)は無料ですので、最初の相談先としてはお勧めです。こういった地域の相談機関にかかって症状が解消するケースもたくさんありますので、まずは身近なところにご相談いただくのがよいと思います。ですがこういった機関にかかっても症状の改善につながらないケースもあります。いくら安くても、症状が改善しないのに通い続けていたら、それは無駄な時間を過ごすことになってしまいます。

放課後等デイサービスや病院でのカウンセリングも同様です。これらは比較的安価で利用することができますが、やはりいくら安くても効果がなければ無駄な出費です。

 

・費用は無料でも、「コスト」は0ではない

費用が安くても、そこに通う時間や労力といった「コスト」がかかります。

子どもを病院に連れて行くのがいかに大変なことかは、子を持つ親なら誰でも分かることだと思います。その時間や労力は、本来なら他のこと(買い物や掃除、ご飯を作る、子どもとゆっくり過ごす、親が息抜きをするなど)に費やすことができたものです。

実際、放課後デイや病院に長い期間通わせていても、緘黙症状は全然改善していないというケースは多いです。金銭的には大した出費ではなくても、そこに費やした時間や労力は莫大なものになります。効果のないカウンセリングを受けるくらいなら、家でゴロゴロしていた方がマシではないでしょうか。

 

ですので大事なのは、安いかどうかではなくそれに見合った効果があるかではないでしょうか。

 

・無駄な「コスト」がかからないオンライン相談のメリット

「いちりづか」は完全予約制のオンライン相談です。

待ち時間も送迎もないので、無駄なコスト(時間や労力)がかかりません

 

また、その他の「無駄」も一緒に削減できるというメリットがあります。

代表的な例は「病院のカウンセリングをつづけようか迷ってる」「放課後デイには行った方がいいか」といった問題です。放課後デイや病院のカウンセリングは効果が出ないと感じていても辞め時が難しいものです。そういったものを適切に取捨選択できれば、もっと大事なところに時間や労力を費やすことができます。

 

場面緘黙の症状を治したい、効果的な方法を知りたい、という方はご連絡ください。