場面緘黙をクラスの子たちに説明するなら | 場面かんもく相談室「いちりづか」ブログ 「話せるようになる」ための500の方法

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場面緘黙専門の相談室「いちりづか」です!
場面緘黙の症状は適切な対応によって治すことができます。
必要なのは「一人ひとりに合った効果のある方法」を考えること。
何歳からでも大丈夫!園や学校、職場で「話せるようになる」ための方法を一緒に考えてみませんか?

場面緘黙のことをクラスの子たちに話すなら、

「話せる子です」と説明しましょう。

だって、場面緘黙の症状があっても「話せる子」なんですから。

 

 

場面緘黙のことを説明した方がよいか?

 

新しいクラスでの学校生活が始まる4月。

 

「クラスの子に場面緘黙のことを説明した方がいいでしょうか?」とよく質問されます。

説明することのメリットがかなりあるので、基本的にはできるならした方がよいと思います。

 

「クラスの子たちに場面緘黙のことを説明する

【お勧め度】★★★★★(本人が希望する場合のみ)

 

 

とは言え、まずは本人に確認してみましょう。

本人が説明してほしいと思うなら、しっかり説明することをお勧めします。

 

もし本人が嫌がったら?

その時は説明しなくてよいでしょう。

本人の許可なく症状のことを他人に説明するのは「アウティング」ですので、お勧めしません。

 

 

クラスの子たちに知ってもらうことのメリット

 

クラスの子たちに知ってもらうのは、実はたくさんのメリットがあります。

 

・遊びに誘ったり話しかけたりしてくれやすくなる

・クラスの子たちからのコミュニケーションが改善される(返事を待ってくれたりする)

・放課後など学校外で遊ぶ機会を作りやすくなる

 →結果的に友だちができやすくなる

 

・授業中などの「お手伝い」のしすぎを防げる

 →「声を出す機会」を作りやすくなる

 

・先生の個別の対応が行いやすくなる

・話す練習に協力してくれる子も出てくる

 →「話す練習」が進めやすくなる

 

・奇異な目で見られなくなるので、本人が教室で過ごしやすくなる

 

などなど

 

 

 

何を伝えるべきか

 

「何を説明すべきかは本人と相談して考える」ことが大前提です。

大人だけで勝手にやってはいけません。

 

伝えた方がよいこと

その上で、概ね次のようなことを説明するのがよいと私は考えています。

(ただし詳細はケースバイケースです。このままコピーして使ってはいけません)

 

家では「話せる」ということ(重要)

・学校にくると、緊張して声が出しづらくなってしまうこと

・話しかけたり、遊びに誘ったりしてほしいということ(本人が希望していれば)

・話しかけられても返事ができないが、そういうときは・・・(内容は本人次第)

・話せるようになりたいと思っていること(本人がそう思っていれば)

・そのための練習を今しているということ(該当する場合のみ)

 

 

「話せる子」だということをしっかり伝えるのが特に重要です。

周りの子の「話さない子」という見方こそが、緘黙症状の改善を阻む強力な壁だからです。

 

クラスの子が「話せるんだ」と思ってくれれば、緘黙症状の改善は格段に進めやすくなります

 

また「話しかけてほしい」「遊びに誘ってほしい」と伝えれば、周りからの関わりが増えます。

これは友だちを作る絶好のチャンス!

この機会にぜひ放課後に遊ぶ機会を作りましょう。

(もちろん本人が約束をするのは難しいので、保護者がお手伝いしてあげることがお勧め)

 

ただし、「一人でいたい」という子もいるので、そのあたりは本人とよく相談です。

 

伝えない方がよいこと

「話せない子」という説明をするのはお勧めしません

周りが「話さない子」という見方をしてしまうと、緘黙症状の改善が難しくなります。

 

また場面緘黙の症状があっても、「話せない子」ではなく本来は「話せる子」。

ですので「話せない子」というのは事実とも異なると思います。

 

「場面緘黙」「障害」ということばを使った方がよいか

私は、小中学生くらいでしたら、これはいずれも不要だと思います。

 

理由を説明すると長くなるのでここでは述べません。

「説明するメリットがあまりないから」と考えてもらえれば結構です。

 

もちろん、年齢が高く「場面緘黙」という用語の方が理解が進むなら、使うのもアリです。

 

いじめられないか不安

悪意をもっていじめをする子は、ほとんどいません。

そして、緘黙症状のことを大人がしっかり説明すれば多くの子は理解できます。

 

「説明をしたことが理由でいじめやからかいの対象になる」ことはあまりないと考えています。

説明した上でもそういう行為があったら、それは教師が毅然とした態度で注意すべきです。

 

一方、もし説明しておかなければどうでしょか。

 

周りの子が、好奇心から「あーって言ってみて」のように言ってくることはあり得ます。

これは悪気があってやっているのではなく、「知らない」から起こることです。

ちゃんと説明しておけばかなり防げることなのです。

 

ですので、「いじめ防止」という観点からも、むしろ説明した方がよいと私は考えています。

 

 

 

【注意点】

ここに書いてある方法は、効果のある場合もありますし、そうでない場合もあります。

書いてある方法を機械的に実践しても上手くいきません。

練習メニューを考えるにあたっては、様々な要素を慎重に考慮した上で、個々に応じた方法を選択するようにしてください。