「忙しい学校の先生」に協力してもらいやすくなる方法:「プレミアムコース」を利用しよう! | 場面かんもく相談室「いちりづか」

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忙しい学校の先生に協力してもらうには、

「プレミアムコース」を利用するのがお勧め!

・・・「プレミアムコース」って?

 

 

「どこまで学校にお願いしていいのでしょうか」

学校との連携でよく質問されるのが「どこまでお願いできるのか」問題です。

 

色々お願いしたいことはあるけど、「どこまで学校にお願いしたらいいのか分からない」

あれもこれも言っていたら「面倒な保護者」になってしまうのでは・・・

その一方で、「お願いしても学校側がやってくれない」というケースも多いですね。

 

この問題のポイントは「学校にはどこまでの義務があるのか」

学校に対応の義務があることならお願いしやすいですからね。

 

 二段構えの制度「学校教育」と「特別支援教育」 

日本の学校教育は、「通常の教育課程」と「特別支援教育」の二段構えになっています。

 

学校には

「通常の学校教育の対象の子」

「特別支援教育の対象の子」

が存在することになります。

 

これを「通常コース」と「プレミアムコース」だと考えてみてください。

動画配信サービスでもスマホアプリの契約でも、よくこういうのがありますね。

 

  通常コース プレミアムコース
 基本サービス
 画質 通常 プレミアム
 ストレージ ○○GB ○○+●●GB
 ○○サービス 対象外 無制限

 

 

特別支援教育をプレミアムコースと考えると話が分かりやすくなります。

 

 

プレミアムコースでは一体何ができるのでしょうか・・・!?

その前に、まずは「通常コース」を見ておきましょう。

 

 通常コース「通常の教育課程」でできること 

「通常の教育課程」の内容は主に、文部科学省が定める「学習指導要領」で定められています。

この中には、特別なニーズのある子への対応はほとんど書かれていません

学校にはクラスの子全員に細かく対応する義務はありません。

 

ただし「合理的配慮の提供」は特別支援教育の有無に関わらず、法律で義務づけられています。

「発話を強制しない」「授業中に当てない」といった配慮は、必要性があれば提供されます。

 

しかし「放課後に担任が時間をとって「話す練習」をする」といった個別の対応は別です。

ここまでする義務は、通常学級の先生にはありません。

やってくれるとしたら、あくまで先生のボランティア活動です。


もちろんお願いしてみても構いませんが、何しろ学校の先生はとても忙しいです。

「ちょっと時間がとれません」と言われてしまっても、それはやむを得ないことなのです。

 

 プレミアムコース「特別支援教育」でできること 

ここまでの話はあくまで、「通常の教育課程」についてです。

では「特別支援教育」の対象となっている子に対してはどうでしょうか。

 

 

・「話す練習」などの個々に応じた対応(自立活動)
・「個別の指導計画・教育支援計画」の作成と活用
・支援会議の実施
・特別支援学級の利用(在籍児のみ)
・専門性の高い教員による、少人数・個別での指導

 

「特別支援教育」ではこれらのメニューを利用することができます。

「放課後に話す練習」や「録音を使った練習」なども、もちろんここに含まれます。


 「どこまでお願いできるのか」問題はこれで解決 

ただし、通級等を利用すれば自動的にこれらがすべてできる訳ではありません。

 

個別の対応をするには、「個別の指導計画」に目標と内容が明記されている必要があります

指導計画に明記されていることであれば、学校は提供する義務が生じます。

ですのでしっかりとした中身のある「個別の指導計画」を作成しましょう。

 

これができれば、「頼んだのにやってくれない」という問題は解決します。

 

 プレミアムコースを利用するには? 

プレミアムコース「特別支援教育」は、これだけのサービスが受けられて年会費は無料!

(税金で賄われます)

 

メリットの多いプレミアムコース「特別支援教育」ですが、利用できる人は限られています。

「特別支援学級」「通級による指導」「特別支援学校」いずれかの対象になるしかありません。

 

このうち、場面緘黙は単独では「特別支援学校」の対象にはなっていません。

ですので、プレミアムコースの対象になる条件はこちら:

「特別支援学級」か「通級による指導」を利用すること。

 

学校の協力を得ながら「話す練習」を進めていきたい場合は、通級等の利用を検討しましょう。

 

  

【補足】通常の教育課程における学校の対応について

学校における様々な生徒指導上の問題への対応を文部科学省がまとめた「生徒指導提要」という資料があります(2022年に改訂版が出ています)。

「生徒指導提要」は文部科学省の資料としてはとても分かりやすく書かれていますので、関心のある方にはお勧めです。この「生徒指導提要」では、不登校や発達障害、精神疾患などについても言及されていて、学校が行うべき対応についても書かれています。ただこれはあくまで参考書的な位置づけであって、この内容に全て制度的な「義務」がある訳ではありません。

 

また場面緘黙だけでなく「不登校」の状態にある子に対しては、関連する重要な法律として「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(通称「教育機会確保法」)があります。またこの法律に関連した文部科学省の通知も重要です。

これは調べていただければ情報がたくさんでてきますので、ここでは詳しくは述べません。この法律自体が何か具体的な学校での対応をルール化している訳ではありませんが、「全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること」「個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること」などの重要な理念が述べられているので、知っておいて損はないと思います。