ans005_046 最後の数遊び | ぼくは占い師じゃない

ぼくは占い師じゃない

易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

ミケ様。

にゃんこ先生です。
「ミケさんへのメール」最終回です。

このブログが終わるわけではないのですが、次回からはまたもとの月イチのペースに戻す予定です。

月イチといわず、もうちょっと書ければいいんですがね。

   ☆

さて、ホロンは従来の階層モデルとはちがって階層というものの様相を、互いに包含関係にあるレベルの「深さ」と「幅」で表現したものということができます。

「加一倍法」の話(「ans005_004周易本義」)をした時に「解像度」というコトバが出ました。
爻は四象になり、四象は八卦になり、八卦は六十四卦になって……倍々でパターンが増えることで「巨大な陰」と「巨大な陽」のぶつかりあいをより詳しくみていけるようになったというお話です。

イメージはより鮮明になりますが、これはまた同時に倍々で細かくなるメトリックで「ひとつのもの」が分節、分割、分離されていくプロセスでもあります。

星が欠片になって地上の一個人になっていくような、あるいはもっとさかのぼって、舞台となる時空と物質が創造されるような、そんなプロセスになぞらえることもできるかもしれません。

易のシンボルとしてはそれぞれが6爻でできた六十四卦で終わりです。それ以上はありません。

7、8と爻を増やせば「解像度」はさらに上がりますが、占術に用いるシンボルの数としてはおよそ非現実的なものになります。
だから易には64卦/384爻という上限があるのでしょう。

無限をつかむための有限です。

   ☆

でもあえて上限を無視してみましょう。

ツイストペアの解像度は?

ツイストペアをひとつらなりの2進数としてみてみます。パターンの数としては2の12乗、4096。

易卦ホロンの深さを、2の乗数とした値がそのホロンレベルで表現できるパターンの数=解像度です。

FOでは2の24乗(16777216)。
SOでは2の96乗(792281625142643375935433950336)。
TOでは2の192乗(う〜ん、ネットかなんかで調べてください)。

FOまではまだなんとか把握できますか。
1600万だもんね。
1600万のシンボル。
1600万枚の占いカード(笑)。

SOより先はなんのこっちゃ。
とんでもない数ですね。
とんでもなくたくさん。

でもこれでも「無限」の足下には及びません。
こういうのは「有限多」っていいます。
夜空の星の数は無限ではなく有限多です。

   ☆

でも、さらにあえて、「無限」というコトバも使ってみましょう。

TP→FO→SO→TOと解像度を深めていくベクトルは、創発、エマージェンス、男性原理のベクトルです。

この方向を極めると最終的には幅が1、深さ「無限」のホロンにならないでしょうか。

幅が1。
ホロンがひとつ……ってこと

孤立したホロンは崩壊すると言いました。

だけどこのホロンは例外。

たったひとつの例外です。

「ひとつのもの」です。

これこそが。


【fig084 究極のホロン】

協同、コミュニオン、女性原理のベクトルの究極は、その裏返しになります。

幅が「無限」。
深さが「1」。

深さ「1」のホロンが無限個あるってこと。

「あらゆる」可能性が等しく広がっています。

おそらくは「美しく」、無限個。

これも「ひとつのもの」。

「これも」?

「ひとつのもの」はひとつだから「ひとつのもの」というのでした。

「これも」/「あれも」はありません。

結局のところ、女性原理と男性原理ってのは「ひとつのもの」の別々の「側面」ということでは?

それをまたべつの形式で表現したのが下の絵。
絵です。
式ではありません。


【fig085 「ひとつのもの」をつきつめる】

どんな数でも無限で割れば0になります。

絵では「ひとつのもの」のシンボルとしての1を無限で割っています。

無限で「割る」ということは、あらゆるものを分割して、分析しようとする男性的な働きの究極です。

「0」と「無限」は表裏です。
どちらがエライということはありません。

ただし「基盤」という意味では、基盤(0)は女性的です。あらゆるものは女性から生まれてくるからです。

「あらゆる」可能性が、等しく、無限に広がっている……ってのは、つまりは「0」のことではないでしょうか。

   ☆

あるとき瞑想もどきのことをしていて、なんとなく浮かんできたのが、アルファベットの「R」を反対にしたような、石でできたようなシンボルが大地に立っている、ストーンヘンジのような、ドルメンのような、そんなイメージでした。


【fig086 シンボル】

最初はなんのことかよくわかりませんでしたが、後になって、これって基底(マトリクス)から立ち上がって、また再び基底に戻るという「ひとつのもの」のプロセスなんじゃなかろうかと(*1)思うようになりました。

基底からできるだけ離れていこうとするのが男性原理の動きで、離れた流れを基底に戻そうとするのが女性原理の働きです。

「ひとつのもの(基底)」が最初に何かしようと思う源初の衝動(初期微動)は明らかに男性原理です。

「ひとつのもの」から少しでも離れてそこから振り返ってみて、オノレの出自である「ひとつのもの」をあえて別モノとして観ようとする試みの最初の萌芽です(乾が易経の先頭にあることは偶然ではないでしょう)。

でも女性原理は、そんなことはやめて基底に戻れといいます(乾の次が坤であることは偶然ではないでしょう)。

男から観れば大地に引き戻そうとするその力は大変に「おそろしく」映ります。

なぜって、差異・序列というオトコのアイデンティティを抹消しようとする力だからです。

でもそう感じているオトコの核にも「ひとつのもの(女性原理)」が潜んでいます。

だから時々酔いつぶれて基底に戻ろうとします。

にゃんこ先生は生物学的にはオスで酒飲みだから、男性原理から観た上述のような描写になるわけですが。

単純に、日々眠るということさえ、基底へ戻ろうとする働きだと思います。

万物は基底からの重力(*2)に引かれながらも、そこから遠ざかろうとして、結局また基底へと戻っていきます。これが最も根源的な「異界への往還」という旅という「物語」です。

眠れば夢を見る。

「見ない」という人も必ず見ている。

忘れているだけでしょう。

夢は、男性には女性の、女性には男性の働きを見せようとします。

男性にとって女性性は、女性にとって男性性は、魂への入り口でもあります。

さて今夜。

ミケさんはいったい、どんな夢を見て、その中でどんな経験をするのでしょうか。

易の夢だけは見ないでね。

(おわり)


★注釈


(*1) 基底から立ち上がってまた再び基底に戻る

なんとなく、クジラのブリーチングの飛跡を連想させる。
クジラは母なる「海(マトリクス)」から、逃れ、差異を生み出しつつ、大気に触れ、またやむなく(それが法則(重力)だから)母なる海に引き戻されるのだろうか。

クジラがブリーチングする理由はよくわかっていないそうです。


(*2)重力

昔、人から聞いたんだけどホゼ・アグエイアス氏のコトバで「重力は愛である」っていうのがあるってのは本当ですか。だとしたら、名言ですね。


★追記

本記事の文脈で言えば、辻麻里子さんの「宇宙時計」には描かれていない「基底の図形」があることになる。

「宇宙時計」は円周を等分に分割した点から、他のすべての各点へラインを引くという方法で作図されているが、分割、分割……で進んでいくこの方式が男性原理的であることはすぐにわかる。

描かれていない「基底の図形」とは、無限に分割された無限個の各点から無限個の他の各点へ線を引くことによってできる「図形∞」のことである。

それはひとつの円盤にみえるだろう。

青い色鉛筆で描かれたその円盤は深い藍色をしている。その「藍(あお)」の深さは……無限。

これこそが女性原理。

これこそが万物の基底。

心の一番深いところにある究極のマンダラ。

蛇足ながらことわっておくと「図形∞」を描くのは、物理的にはもちろん不可能です。「描かれていない」図形ではなくて「描けなかった」図形だったわけです。

ではお元気で。