龍はうねる。
高い空をゆく。
☆
広々とした田の上空を長い長い雨雲がのたくるように悠々と流れていくのを見たことがある。
こういう「龍」は空が広くないと、なかなか見ることができない。
熱い風とともにやってきて建物の一角にとりつき、たちまち赤く燃え広がる「龍」もいる。
こちらには翼がある。
生きた災害。
易の先頭の卦は乾卦。
経文の主役は龍。
「乾」の字は乙の部分が吹き流しがはためく姿。
他の部分は車に立てた旗がなびく姿。
風と空。
「乾」卦の主役は龍ではなく、その龍がおどる空の方なのかもしれない。
