ミケ様
にゃんこ先生です。
いよいよ、独自用語と易の述語が増えてきます。
かならず、前に説明した言葉だけを使っていきます。
わからなくなったら、前の記事を参照してください。
☆
前回は八卦でできた先天図の話でした。
八卦単位で観るなら、六十四卦は「加一倍法」で爻をひとつづつ積み上げていってできるものではなく、単純に、八卦をふたつ組み合わせてできたもの、ということになります。
歴史的にも大成卦はそのようにしてできた、というのが定説のようです。
しばらくは八卦だけで運用されていただろう、ということですね。
そのようなわけで、八卦のことを大成卦に対して、小成卦<しょうじょうか・しょうせいけ>と言ったりします。
大成卦は八卦ふたつでできていると観た場合に、ある大成卦の上の八卦を上卦<じょうか>、下の八卦を下卦<げか>と言います。
八卦をコード番号(先天数)順に縦軸(列方向)と横軸(行方向)に並べて、行方向の八卦を下卦、列方向の八卦を上卦として、その交点(セル)にでできる大成卦を表の形にしたのが、「マスターマトリクス」です。
言葉の説明よりも、見てもらった方が早いと思います。

【fig027マスターマトリクス】
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マスターマトリクスは、易システムで一番基本になるマトリクス(六十四卦の地図)です。
これは結局、「伏羲六十四卦方位図」の真ん中の方陣と同じです。行列は反転しています。

【fig024_1 伏羲六十四卦方位図】
ことさらパクったわけではないのですが、「数を数える」という認識構造を持ってる存在なら、ひょっとしたら、みんな似たような結論にたどりつくのかもしれません。
マスターマトリクス、伏羲六十四卦方位図の方陣、いずれも、易の本の冒頭のインデックスでもよく見かけます。
大成卦の構造は、数理的には「加一倍法」、意味的・実用的には上下の八卦でできているということです。
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コード番号(先天数)が2進数の並びですから、それをもとにしたマスターマトリクスは、2進数の並びが基盤にあり、先天図と同じ対称性があります。
仮に陰陽の割り当てが逆になっても対称性という意味では変わりありません。
実は、陰陽の割り当てというのはあまり大きな問題ではないのです。
どういうことかというと、
0を陰爻、1を陽爻としても、
あるいは、
0を陽爻、1を陰爻としても、
反転はするけど卦の並びは一緒。
ということです。
さらに、大成卦の並びでも小成卦の並びでも、2進数の最下位の桁(ビット)を、
一番上の爻にするか、
一番下の爻にするかによって、
爻が変化していく順番は、
それぞれ、上から、下からと反転はしますが、
卦の並びは一緒です。
最下位ビットを上にするか下にするか。
0を陰爻とし1を陽爻とするのか、
0を陽爻とし1を陰爻とするのか。
陰陽を入れ換えても、最下位桁を上にしても下にしても、真理(並び)は同じ。
「ひとつのもの」を指し示します。
☆
今一度、八卦に戻ると、コード番号順に並んだ八卦はたとえば、下の絵のような対称性を持っています。
【fig028 八卦のシンメトリ
(易システムハンドブック図6.2)】
この八卦の並びが、マスターマトリクスの行と列になっているので、当然、その組み合わせでできた大成卦、六十四卦もマスターマトリクス上では相応の対称性を持っています。

【fig029 マスターマトリクス上の大成卦・上卦の対称性(易システムハンドブック図6.5)】

【fig030 マスターマトリクス上の大成卦・下卦の対称性
(易システムハンドブック図6.6)】
マスターマトリクスの図をじっくりながめて、楽しんでみてください。
「どこが楽しいのですか?」という質問は受付ません!(笑)
それでは、また。
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