53:家人
46:解
TP22:回帰
☆
「53:家人」は文字通り、家の人。
伝統によれば内助の功、家を守る女性の卦。
だが昨今では、家を守るのはかならずしも女性とは限らない。
この卦で大事なのは、家族がそれぞれ所定の位置にいることだ。
所定の位置にいて、所定の役割を果たしている。
全員がホームポジションにいる。
ゼンタングルもそんなイメージで描いた。
解釈をひろげるなら、家はもちろん、店のような集団や会社のような組織と、とらえてもよい。

【53:家人】
四人家族だろうか、ギチッと守りを固めている感じだが、当然、個性はそれぞれちがう。
どんな家族か想像してみるのもおもしろい。
ひとつ屋根の下にいるからといって、必ずしも仲がいいとはかぎらない。いやむしろ、少し離れていた方が、いがみ合わずにすむ。
なにかのきっかけ、あるいは時が織りなすプロセスの一環として、家族はやがて離ればなれになる。
いかにいつまでも一緒にいるようにみえたとしても、いつか必ず離れて、散じていく。
散るにしろ集まるにしろ、易がフォーカスするのは原因や結果ではなくその変化そのものである。
だからこそ、別名「変化の書」という。
☆

【46:解】
「解」で描かれているのは、離散してしまった家族。「してしまった」というより、必然だったのかもしれない。あるいは離散しつつあるところなのかもしれない。
「離散集合」というと前回紹介したペア、「56:渙」と「43:豊」と似ているように思われるかもしれないが、「56:渙」と「43:豊」ではどちらかというと離散することに軸足がある。だからこのペアには「リセット」という意味がついている。
集まったものが離散するからこそ、新しい組み合わせが生まれる。
それがすなわち「豊」、創造の豊かさだ。
しかし今回の話では、離れることでも集まることでもなく、「家」そのものに主軸がある。
「解」はほどけることであり、いままで続いていた関係、契約、または頭を悩ませていた問題等々、そんなものがほどける。
ギチッと固めていたなにかが「解」けて、ばらばらになる。
吉凶はもちろん「なにが」ほどけるかによる。
☆
金輪際。
その時は、もう一度会えるなどとは信じられないような「解」だったかもしれない。
だけど、家族は家族なのだ。
はなればなれになっても、「縁を切った」と言い渡したとしても、家族のつながりは決して消えることはない。
その在り方が変化するだけなのだ。
ぐるっとまわっていつかそこへ帰ってくる。
拙作の「後天動因図」ではそんな物語がメインのイメージになっている。
だからこのツイストペアには「回帰」という意味をつけた。
別の言い方をするとこうなる。
「おかえり」。
☆
「ゼンタングル」、「易タングル」については、「六十四卦雑想—はじめに」を参照してください。