中国~学力とゆとりの狭間で~ | 「気づき」と「人間力」の教育 一尾塾

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こんばんは。

「気づき」と「人間力」の教育 一尾塾の一尾 茂疋(いちお しげひこ)です。

児童心理の特集~世界の子どもの今~より

アメリカ→http://ameblo.jp/ichi75/entry-12014348036.html

スペイン→http://ameblo.jp/ichi75/entry-12014548849.html

インド→http://ameblo.jp/ichi75/entry-12015146507.html

そして今回は、中国です。(特に上海や都市部)

◆学力かゆとりか

・上海市:PISA型学力調査で全分野で2回連続で一位(読解力、数学、化学)

・熾烈な競争、剥奪された遊びの時間、蝕まれた健康等々

・のびのびと成長する日本の小学生の姿


◆多忙な小学生

・学習外での平日の学習時間

 東京の小学生101分

 北京の小学生132分

・小1の授業内容

 数学と国語は毎日、英語は週に3回、1年生の上半期で習う漢字は255字、数学も海外より内容が難しい

・大量かつ難しい内容が小学校教育の特徴

・先生からは授業の様子、宿題の要求、小テストの結果が親にメール。親はすべての宿題に目を通さなければならない。

・その後ピアノや習い事

◆「素質教育」の実質ー「ゆとり」か「授業+α」か

・1990年代 応試教育(受験の合格のみを目指す)→素質教育(子どもの人間性を育てようとする)

・学校衛生工作条例

 学校内外の両方を含む学生一日の学習時間に関して規定

 小学生:6時間以内

 中学生:8時間以内

 大学生:10時間以内

 実質はほぼ沿っていない。

・学校内は監督もあるため学校外の学習時間が急増

 小学生の学習時間(学校内、外合わせて)は12.7時間

 学校内学習時間は7.6時間→5.9時間

・素質教育の結果→幅広い趣味と教養の充実へ

・親が大変

時間、金銭をつかう→子どもの奴隷になったような生活→「孩奴」と呼ぶ


◆なぜ頑張るのかー中国式「努力」の構造

・1300年続いた科挙試験の伝統

・教育システム

中卒時に大学進学コースの普通高校と職業系高校に振り分けられる

義務教育時代は、「重点クラス」と「普通クラス」といった学力別クラスを設置する学校が多い。

・一人っ子が多い結果、家族の成功がすべてかかっている


◆学力とゆとりの両立は可能なのか。

・非凡な頭脳か潤沢な懐具合があれば可能

以下、感想。

これもまた他国同様に地域格差が激しいだろう。

そして、最後にあるように、結局貧富の差がそのまま社会に継承されていってしまうのだろう。

やはり「教育」と「社会」はひとつなぎ。

どういう社会をつくりたいのか、という点からみて、どういう教育をよしとするのか、がある程度規定されてくるんだろう。

そういった、社会として科挙制度のような、とにかくたくさん勉強した人が富を独占していくような社会をよしとするのであれば、このやり方もよし、ということになる。

振り返って日本。

どういう社会をつくりたいんだろうか。

平和で民主的な国家(社会)であることは法律でも謳われているのでそうなんだろう。

少し話が飛ぶが、

私の尊敬している吉田松陰先生。

最近読んでいる本で、松陰先生は思想家や教育家というイメージが強いが、実際は情報と経済を特別に重視した、ということが書いてあった。

ここでは、「経済」のもともとの意味「経世済民(乱れた世をととのえ、苦しんでいる民をすくう)」という意味も大きいような気がする。

そう考えると、教育と社会と経済はひとつなぎ。

どういう経済システムで社会を形作り、それに向けてどのような教育をしていくのか、ということを考える必要があるのだろう。

私が思う目指すべき社会の姿は、多様性に富んだ社会。

働き方、稼ぎ方も多様性に富んだ社会。(ただ、ある程度の多様性はすでにあると思う。しかし、それがしっかりと根っこのあるものでそれぞれがあるのではなく、一本の木から生えた枝葉という感じがする。)

そう考えると、多様性に富んだ教育が必要ということになる。

幸いにも私の思う限りではあるが、多くの日本人は、「これからどういう社会をつくっていきたいか」を考えることができる状況にあると思う。

今すでにある社会にすがっていくのか。

また違った形の社会を作っていきたいのか。

大人はしっかりと考えた方がよいと思っている。