ご褒美(報酬)について
やる気をある程度自分で分析できるようなアンケートを作っているが、そのなかででてきたこと。せっかくなので書いてみる。
‘内発的動機づけを低める報酬’
報酬をあげるとやる気がなくなる、ということ。
アンダーマイニング現象と言われている。
ざっくりいうと、なにも考えずただ褒美をあげても、やる気はでない、ということ。
そんななか、今のところの心理学者のなかでの共通理解があるらしい。
◆報酬が内発的動機づけを低めることはない場合
1・報酬を予期せずに与えられた場合(サプライズ!)
2・言語(ほめ言葉)の場合(勇気づけ)
3・課題がそもそも興味深いものではない場合
◆報酬が内発的動機づけに悪影響を与える場合
1・有形の報酬(金銭、商品のような物的報酬、賞状のようなシンボリックな報酬)
2・特に当人がそれを予期する場合
アンダーマイニング現象が起こる理由
・前提:人は自己決定と有能さへの欲求を持っている(自分で決めた! そこそこの自信!)
・報酬は、人の行動を駆り立てる性質と、有能さの情報を伝えるという二面性がある
・報酬によってコントロールされていると思うと、自己決定の欲求が満たされない。
・ただし、報酬が当人の有能さに関する情報を提供することができれば、内発的動機づけは高まる。
・有形の報酬をもらって、あぁ自分ってできる力があるのだ、という着目をすることはあまり考えにくい。目の前にそれがあり、すべての感覚がそちらに向けられやすいだろうから。
その点、言葉の場合は使い方によっては、そこに焦点を当てられるので、内発的動機づけを低める可能性が少ないと言えるのだろう。
以上のことを考えて、それでもご褒美をあげたい!というのであれば、以下のようになるだろう。
1・本人の予想外のときに、しかも不定期に褒美をあげる
2・結果ではなく、プロセス、その人(子)に対しての褒め言葉を伝える(勇気づけ)
といったところか。
ただし、学校の勉強というジャンルだと、ただ内発的動機づけだけでどうにかなるようには思えない。
好きなら好きでよいと思うが、望んでいるいないに関わらず100%他人の評価が下る、特に中学生、という環境下であれば、内発的動機づけばかりではなく、質の高い外発的動機づけをいかにコントロールするかというところも忘れてはいけないと思う。
それは、なぜ勉強するのか、なんのために勉強するのか、というところにほかならないと思う。
ということで、ご褒美について。