こんなに怒涛の展開が続いているのに、この段階で見えている部分は、"大盗事件"全体で考えると、まだ、ほんの一部だったなんて・・一体、誰が考えるでしょう。
あれ?
もしかして、それがお約束ってやつだったりする?
それでも、 この次から次へと、変化していく様は、翻弄されても無問題です。
こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。視聴しながら生じた疑問の考察やら、内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。
ラストまでの完全ネタバレです。
いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。
シグナル 시그널 英題:Signal
(tvN Jan 22, 2016 - Mar 12, 2016 1時間15分×全16話)
対象:15歳以上
脚本:Kim Eun Hee
演出:Kim Won Suk
※このドラマは、犯罪を扱うという特性上、登場人物がエピソード毎にたくさん出てくること、1話完結ではないこと、現在・過去の描写が頻繁に入れ替わる、など、通常の筋追いでは、わかりにくい部分もあるため、補足も兼ねて、びびの独断で、人名や、人間関係など、ドラマよりも先に、リマインドしたり、説明をする場合があります。
極力、ドラマ上、「なるほど!! この人がこういう立ち位置だったのね」という謎解き部分の醍醐味が損なわれることのないように工夫したいとは思いますが、なにぶん、整合性を取り切れない箇所もでてきそうな気がします。
余計、わかりにくくなったりしたら、ほんと、申し訳ないです。
前記事をお読みでない方は、さきに、こちらからお読みください。
【Episode 6-4】
過去
~強力班~
キム班長「やい、あのクソ野郎、どこいった! イ・ジェハン!!」
怒声とともに、血相変えた班長現る!
そりゃ、あんなふうに、セギュに詰め寄り、検事長宅でトラブったんです。
直属の長の、キム班長がなんの御咎めも喰らわないはずがないです。
頭から湯気が出てるのが見えるくらい怒ってます(苦笑)
キム班長「こいつ!」
口と同時に手がでて、手に触れた何かを投げつけましたが、いつものお調子ものバージョンの、ジェハンはどこへやら。
避けられるのに、避けません。
それどころか、無言で班長を睨んでます。
そもそも、班長から怒られることくらい、折り込み済みです。
キム班長「お前、バカか! あんな場所で這いまわるなんて、お前、何様のつもりだ!!」
ジェハン「這いまわってませんよ、ちゃんと歩いていきましたよ!」
立ち上がって応戦するジェハン。
キム班長「冗談言ってる場合か!!」
はんじゃんにむ・・・血圧上がっちゃうから、落ち着いて。。
ジェハン「班長ニムこそ、一体、なんの冗談ですか?」
キム班長「どういう意味だ?」
ジェハン「俺らは、バカで単純で、騙されやすくて、目先の犯人を捕まえることで精一杯ですけどね、班長ニムは十分わかってたはずだ。班長ニム、俺たちのどのチームがどこに潜伏していて、どっちにむかって走ったか、とっくに把握してたじゃないですか!!」
そういうと、自分が調べた各捜査員たちの、あの晩の動きをメモした地図を持って、キム班長のもとに詰め寄ると、バン!と机の上に、紙を叩きつけるジェハン。
ジェハン「ほら。これですよ。もし、あの晩、本当にそんな賊がいたのなら、奴に逃げ道なんてなかったんですよ。それなのに、どうして、俺たちが奴を見逃したなんてことになってるんですか? それって、そもそもあの場所には、捕まえる泥棒なんていやしなかったからですよね。そうですよね?」
キム班長「・・・・・・」
この人は、いつかジェハンが気づくだろうとわかっていたんだろうなぁ。
でも、できることなら、気づいてほしくなかったんだろうなぁ。
キム班長の顔が、悲しそうにしか見えない。。。
ジョンジェをはじめ、じっとジェハンの言葉を聞き入っている刑事たち。
ジェハン「4番目の被害者宅のハン・セギュ、奴は最初から嘘をついてたんです。奴は、俺たちに、いもしない泥棒が、あっちのほうに向かって逃げた、とウソをついたんだ!」
キム班長「どっちにしろ、この事件は解決済みで、俺たちは、泥棒を捕まえたんだ」
話は、おわりだ、とでもいうように、席に戻ろうとする班長。
そんなことで、納得がいくジェハンじゃありません。
ジェハン「泥棒を捕まえるための決定的な証拠は、ハン・セギュの証言でした。もし、彼がずっと嘘をついていたのなら、俺たちはもう一度、最初から捜査をやり直さなければならないでしょ!!」
振り返るキム班長。
キム班長「ハン・セギュは、検事長の息子なんだぞ。なぜ、嘘をついたりするんだ?」
あ~と天を仰ぐジェハン。
ジェハン「検事長の息子だからなんなんですか? (検事長の息子なら)常に真実を語るってことですか?」
キム班長「こんなことで議論なんかするまでもない。落ち着け」
なんとか、この場を収めようとしているキム班長。
ジェハン「どうか、奴を捜査する令状をください」
ああ、ジェハン!!
いや、私も、どっちかっていうと、ジェハンの側でありたいよ。
ギョンテやウンジに顔向けできないもん。
だけどね、班長のこの背中・・・この時の、班長ニムがどんな顔をしていたのか、と思うと、キツイなぁ。
それとも、みんな、当然の如く、常に正義の側にいるべきだ、と考えるのかな?
ジェハン「もし、ハン・セギュの証言が誤りなら、我々は再捜査しなければなりません」
キム班長「(捜査の)やり直しなんて、そう簡単なことだなんて思うな! "最初からやり直す"ってのはどういうことだ? 彼らが誰かを陥れるために、一体、どれほどのことをしたのか、わかってるか? 彼らに、再捜査なんてするつもりはない。一度決まった決定を覆すことなんてありえないんだ」
この言葉は、抗ったからこその言葉だと、気づいてほしい。。
ジェハン「班長ニム!!」
腹の底から、叫ぶジェハン。
こんなの、間違ってます!!
あなたもそれは十分、わかっているはずだ!
キム班長「・・・・」
わかってます。
たとえ、罵られようとも、誰を守るべきか・・・を選択するしかなかったんでしょう。
ここでいう守るべき人は、特権階級の彼らのことじゃなく、ジェハンを含めた部下のことです。
それを含めたうえでの、自身の保身です。
キム班長「どれだけ、うんざりするほど不公平なのか、俺だって十分わかっているが、人間には、階層と言うものがある。ハン・セギュが吐き出した言葉は"証言"で、オ・ギョンテが言ったのは"戯言"だ。」
ジェハン「だから・・・俺に黙って、流されろ、と?」
ジェハンの目に涙が滲んでいます。
ジェハン「こんなクソ忌々しい状況を?」
声を荒げるジェハンを、見ていられないというように、視線を逸らすジョンジェ。
キム班長「もし、お前がこの決定を覆したいのなら、証拠をもってこい。・・・確たる証拠がなければ、お前は令状を手にできんからな!」
唇をかみしめるジェハン。
ジェハン「や~~、なんて、大した世の中だ。なぁ、世界はこんなに美しいんだぞ」
強烈な皮肉を呟きながら、同僚の肩をもむジェハン。
ジェハン「素晴らしいすぎるぜ、こんなんありえるか!!」
興奮して、机を蹴り飛ばすと、部屋を出ていくジェハン。
ジョンジェが、心配そうに、目で追っている。
~刑務所~
事務官「オ・ギョンテさん自身が、あなたの面会を断っているんです」
ジェハン「少しだけでもいいんです」
事務官「これに関しては、とても頑なで、我々にもどうすることもできません」
ジェハン「・・・・・わかりました」
小さく頷くジェハン。
~駐車場~
車の中で、ひとり、絶望中のジェハン。
班長には、あんなタンカをきったものの、どれだけ難しいことなのか、わかっているし、ギョンテからの供述はえられないし、もう四面楚歌です。
その時、ジジジ・・という無線の音が聞こえてきました。
ヘヨン<イ・ジェハン刑事さん、聞こえますか?>
すぐさま、無線機を手に取るジェハン。
ジェハン「私です。なにかあったんですか? ギョンテはどうなりましたか?」
食い気味に訊ねるジェハン。
ギョンテが人を殺そうとしていると、この前の交信で知らされていたので、そのことも死ぬほど心配でした。
うわ~~~!!
このヘヨンの顔。。。
もう、あっちもこっちも、最悪だ。
ただ、救いは、ジェハンの意識の中で、スヒョンの存在を、(ヘヨンの時代と)まだ結び付けられていないことです。← いや、これは救いなのだろうか?
大通りの脇に車をとめているヘヨン。
やはり、こうしてみると、20年の隔世の感ありです。
ヘヨン「・・・・・・人を殺しました。」
ジェハン「・・・!」
ヘヨン「警官が一人・・亡くなりました」
目を閉じるジェハン。
ヘヨン「"大盗事件"はどうなりましたか? 真犯人を捕まえられましたか?」
容疑者は浮上したが、令状すら取れず、容疑者周辺の証拠を見つけることすら不可能な状態だと説明するジェハン。
ヘヨン「もしかして、容疑者は、目撃者のハン・セギュですか?」
どうしてそれを?と、驚くジェハン。
ジェハン「一体、どうやって分かったんですか?」
ヘヨン「ハン・セギュの証言の供述書を読んだのですが、少し怪しいところがありました。彼は、最初、違う人間を指さしたのに、その後、オ・ギョンテへと、証言を変えているんです。そのうえ、今回のような事件では、被害者は、感情が混乱し、入り込んでしまうあまり、犯人の顔を思い出すのはむつかしいものなんです。それなのに、ハン・セギュは、オ・ギョンテの容姿を見て完璧に指し示したんです。セギュが見た写真は、オ・ギョンテが別件で逮捕された10年以上も前の写真だったのにも関わらずです。つまり、ハン・セギュは、オ・ギョンテの顔を完璧に把握していたんです。これによって、彼の証言に信ぴょう性が増したんです。」
ジェハン「つまり・・・それって・・」
ヘヨン「おそらく、ハン・セギュは、この事件の前から、オ・ギョンテのことを知っていたんでしょう。それが、オ・ギョンテをターゲットにした理由です」
ジェハン「・・・・・・・いやぁ、オ・ギョンテは、3回も窃盗での犯罪歴があるような奴です。ハン・セギュと知り合いになるなど、ありえませんよ」
ヘヨン「どのように、彼らがお互い知り合ったのか、私にもわかりませんが、(少なくとも)ハン・セギュは、オ・ギョンテを知っていた。もし、彼らがどうやって知り合ったのかわかれば、ハン・セギュが隠していることを明らかにできるかもしれません」
過去が変われば、現在も変わる
これに、一縷の望みをかけてるんです。
ジェハン「ギョンテは、俺に会うのを拒否しています。絶対に会おうともしません・・なにがあっても・・です」
八方ふさがりとはこのことです。
若干、弱気なジェハン。
それでも、諦めるわけにはいかないヘヨン。← いつもの私なら、絶対、연하남(ヨナナム=年下男子)の秘めた恋愛感情を勝手に増幅させ、ここぞとばかりに絡めてたと思いますが、今回は"同僚愛"というか、まさに"メンター"への思慕というか、荒み切った警察組織で唯一、信頼できる人という意味で、恋愛モードには組み込みません。
あ、でも、先のことはわかりません(笑)
※メンター・・・自身が仕事やキャリアの手本となって、新人や若手に助言・指導をし、個人の成長や精神的なサポートする人を指す。
ヘヨン「だったら、私がやってみます。20年経ってはいますが、オ・ギョンテは、まだ、ここにいるんですから。ですが、刑事さんには、(その時代の)そこでの証拠を見つけ出してもらいたいんです。盗まれたものは、まだ、見つかっていません。つまり、それは、金のために盗んだわけではないということです。」
何度も頷くジェハン。
ヘヨン「もし、あなたが盗品を見つけ出せれば、重要な証拠となります」
ジェハン「見つけ出します。なんとしてでも、見つけ出さなければ・・・。」
力強く答えるジェハン。
少し間をあけて、ジェハンが「それから、警衛ニム、どうか、ギョンテを説得してください。お願いします」と頼むと、「刑事さんも、どうか、事件を解決してください。どうか、お願いします」と切実に呟き、頭を下げるヘヨン。
ここで、無線は切れました。
ああ、よかった。
とりあえず、今、伝えるべきことはみんな言えたよね。
でも、勘のいい方なら、お気づきでしょう。
過去を変えられたとしても、変えた地点よりも遡って変わることはないし、新たに違う時間軸に移るだけなのだと。
それでも、それぞれが、それぞれの時代で出来ることを必死にこなすしかない、ということです。
現在
~取調室~
ギョンテの正面に座ったヘヨン。
ギョンテは、一切の感情を無にしています。
ヘヨン「それで、今、どんな気分ですか?」
ギョンテ「・・・・・・」
ヘヨン「さぞや、苦い想いでしょうね。20年間、練っていた計画が失敗したんですから」
ジロリ、と視線だけを動かしたギョンテ。
ヘヨン「シン・ドンフンは、おそらく今頃、娘と共に安堵の涙を流していることでしょう。幸せでしょうね」
前のめりになるギョンテ。
ギョンテ「もし、あの人でなし野郎の名前を二度と口にしてみろ、まず、お前を殺してやる」
やった・・。
挑発に乗って、ギョンテの完黙の姿勢を壊せたね。
ヘヨン「いいえ、そもそも、あなたは、間違った人間を選択してしまったんですよ。シン・ドンフンは単なる別の被害者でしかありません。」
ギョンテ「被害者? 俺の娘は、あいつのせいで死んだんだぞ!」
興奮するギョンテ。
ヘヨン「あなただって、あの人と同じことをしたはずです。シン・ドンフンはなにも間違ってません。」
親であれば、あの状況で、自分の子供の命を諦められるはずがない。
ヘヨン「もし、(あなたが本気で)復讐するつもりだったのなら、もっとちゃんとやるべきだったんです。(相手にするなら)あんな"橋"なんていうにはお粗末な、クソみたいな代物を建てた奴ら、あの"橋"が安全だなんて、嘘をついた奴らでしょう? なぜですか? 復讐するには、あまりにも、権力があって、金持ちすぎて、復讐するのが怖かったんですか? 建設会社の社長や、政府の役人やら・・・」
意図的に、激しい言葉で、ギョンテを追い詰めるヘヨン。
ギョンテ「あんたは、あの時、なにが起きたのか、なんもわかっちゃいないんだ。警察が一体、何を知ってるって言うんだ!!」
叫ぶギョンテ。
ヘヨン「そうですよ。私だって、警察が、いかに希望もなく、役立たずなのか、って知ってますよ。(そんなこと)あなた以上に、思い知らされてきてるんだ!! でも、あなたが殺したあの警官はそうじゃなかった。あなたは、あなたのことを理解してくれる唯一の警察官を殺してしまったんだ!」
ヘヨンの言うとおりです。。
ヘヨンは、ジェハンとスヒョンの過去をまだ知りません。
わからないながらも、どちらとも接していて、なにか通じるものがあるんだと思うんです。
本来、ギョンテを理解できる警察官はジェハンのはずですが、こうして、ヘヨンを介在させることで、ジェハンからスヒョンへとつながる一筋のラインが、形を成すんですね。
ギョンテ「俺を理解できる奴がどこにいる? そんな人間がいるのか? 一人もいないさ・・」
それだけ言うと、立ち上がるギョンテ。
ヘヨンの言葉は伝わりませんでした。
子供を喪ったギョンテの深い深い絶望を前に、言葉を失くすヘヨン。
それでも、ここで、諦めるわけにはいかないんです。
「どうか、ギョンテを説得してください。お願いします」と切実に訴えていたジェハンや、一刻も早く、ヨジンの命を救おうと、応援を待たずに冷凍車に乗り込み、命を落としたスヒョンのためにも。。
ヘヨン「まだ、終わってませんよ。あなたの娘さんのウンジ・・お嬢さんが亡くなったことで、あなたは、気力も何もかも奪われてしまいました。」
立ち上がるヘヨン。
ヘヨン「警察を操り、あなたが犯してもいない罪を着せようとした人物、あなたはその人物に償わせるべきです。それが本当の復讐でしょう」
立ち止まるギョンテ。
ヘヨン「罰を受けるべき人間は、いまもなお、のうのうと幸せそうに暮らしているんです。その人間は、自分がしたことの代償を、きちんと支払わなければならないんだ。私が手伝います。私に協力してくれたら、真犯人を捕まえることができます。・・・いえ」
そう言うと、手錠のかかったギョンテの両手を取るヘヨン。
ヘヨン「どうか、助けてください。私は、そいつを捕まえなきゃならないんです」
そうやって、自分に頭を下げるヘヨンの姿は、ギョンテにとって、いままでに見たことのない警察官の姿でした。
(ジェハンとも明らかに違うタイプだもんね。)
犯人逮捕のためなら、平気で人を脅したりすかしたり、殴ったりするような警察官の姿とは全く違う、真剣で切実な姿でした。
いやいや・・・ギョンテだけじゃなく、視聴者だって、あの、くそ生意気な警官嫌いのプロファイラーが、こんなふうに、取り調べ室で、心から頭を下げてお願いする姿を見るのは、はじめてなのよ。
その結果・・・
あらためて、向かいあったヘヨンとギョンテ。
ヘヨン「(係の警察官に)すみません、この人の手錠を外してもらえますか?」
手錠も外されたことで、ギョンテの顔に更に戸惑いが生じている。
ヘヨン「これから、20年前のあなたの記憶を取り戻していきたいと思います。手がかりは、おそらく"大盗事件"が発生した、1995年の9月にあるはずです。では、その年の9月1日から始めていきましょう」
眉間に皺をよせたまま、無言のギョンテ。
ヘヨン「その日の出来事であれば、どんなことでも役に立ちます。どうか、記憶にあるかぎり、どんなことでも、なんであっても、どうか、話してください」
一応、ギョンテも、なんとか思い出そうと、記憶をたどってみるけれども、心許なく、「なにも覚えてません」と口にする。
ヘヨン「朝からやってみましょうか。」
当時の供述書を見ながら、「その日の気温は、3度でした。風は冷たく、空は快晴でした」と、本当にたどり始めるヘヨン。
ギョンテ「・・・・・・」
小さく首をひねる。
もう、ギョンテに、反抗的な雰囲気は感じられません。
ヘヨン「どんな些細なことでも、役に立つはずです。覚えていることならなんでも、思い出してみてください」
過去
~食堂~
見るからに、ちんぴら風の男に、クッパを奢ってるジェハン。
ジェハンはジェハンで、証拠探しに奔走中です。
男は、情報屋です。
ジェハン「それでだな・・・」
情報屋「ねぇ、ヒョン。スユク(ゆで豚)も頼んじゃダメですか?」
ジェハン「こいつめ、一体いつから、スユクなんて好きになったんだ・・」
ジェハンの嫌味に、スッカラ(匙)を置き、立ち上がろうとする男。
足もと見られてるなぁ(苦笑)
ジェハン「ああ、いいよ、わかったわかった。すみませんが、スユクもください」
店員さん「は~い」
ジェハン「ということは、盗品は売りに出されたりしてないんだな?」
情報屋「まったくなにも・・・(足がつきにくく、換金しやすい)金(きん)さえも無し。俺の知る連中も聞いてない。」
ジェハン「本当だな?」
情報屋「当然だよ。そんなの、警察だって最初からわかってただろ。"大盗事件"は、かなりの大事件だったんだから」
頷くジェハン。
結局、収穫なし。
ハン家の傍までやってきたジェハン。
ジェハン:盗品が売りに出されていないのなら、泥棒がまだ持っているってことになる。どこに隠したんだ?・・・自宅じゃない。多くの人間たちの目に晒されすぎた。
~別荘~
ジェハン(独白):京畿道の別荘。
管理人「ちょっと、何するんですか?」
ジェハン「職務上、やってるんだって、わかりませんか?」
警察の身分証をかざすジェハン。
ジェハン(独白):ハン・セギュの父親、ハン・ソッキ。
そりゃ、別荘は、セギュの持ち物じゃなく、父親のものでしょうね。
ジェハン「ちょっと失礼しますよ」
引き出しを開けてみるジェハン。
管理人「ああ、やめてくださいってば。こんな風に人の家を家探しする権利を警察官には与えられてるんですか?え? 一体、なんでこんなところに来たんですか?」
そう言ってるそばから、どんどんめぼしい部屋を探していくジェハン。
管理人「もしもし、警察ですか?うちに変な人間がやってきて、家のものを調べているんですよ。とにかく、来てくださいよ」
とうとう、「おい、令状もなしになにやってんだ!いま、警察を呼んだからな。」と文句を言い始めた管理人。
予想通り・・なにも見当たりませんでした。
ジェハン「はいはい、わかりましたよ、それじゃ帰りますよ」
ジェハン(独白):ハン・セギュの貸金庫があるジンソン銀行
行員「ハン・セギュという名前のもとに、預けられたものなんて何もありませんよ」
ジェハン「本当に、徹底的に調べたんですか?」
行員「あ~、やったって言ってるじゃないですか!それから、こんなことを頼み続けるのもやめてくれませんか。困るんですよ」
しつこく話を聞きに来られ、迷惑そうな行員。
ジェハン(独白):京畿道 KNカントリークラブ。ハン・セギュがゴルフをやりにくる場所だ。
会員用のロッカールームに忍び込み、セギュの個人ロッカーを、〇〇で解錠してしまう。
よい子の皆さんは、やっちゃだめですよ(笑)
ゴルフバックの中を確認するも、特に不審なものはなし。
ジェハン(独白):"クラブアクア"、ハン・セギュがたびたび(友人たちと)たむろするバー。
"SAINT"、これも、ハン・セギュのお気に入りのバーの一つだ。ムヨンホテルのフィットネスクラブ。ハン・セギュがトレーニングする場所。ミョンフン大学。ハン・セギュが通っている大学。
こんなふうに、ハン・セギュに関連する場所を片っ端から調べていくジェハン。
現在
~取り調べ室~
引き続き、ギョンテの記憶を呼び覚ますべく、供述書を丹念に見ていくヘヨン。
ヘヨン「9月10日は日曜日でした。日曜日には、いつも何をされていましたか? 当時、あなたは、9日のチュソク(秋夕)まではインチョン近郊で働いていた、と供述していますね?」
頷くギョンテ。
ヘヨン「そのあと、休みを取ったんですか? 休息のために、どこかに出かけたりしましたか?」
記憶をたどるギョンテ。
ギョンテ「チュソクの翌日も、おそらく、まだ仕事をしていた、と思います。配達の需要が最も高まる時期ですからね。おそらくとても忙しかったはずです。」
ヘヨン「その日、あなたは、どの地域に配達に行かれましたか?」
はぁ・・・と首をひねるギョンテ。
さすがに、20年前の、たった一日を思い出す・・というのは、無理があるかも。
ヘヨン「おそらく、配達物を届けに行ったのでしょう。配達品は、どんな種類のものでしたか?」
ギョンテ「・・・・・・」
ヘヨン「チュソクだったら、果物とか、魚とか・・肉だったかもしれませんね」
その時、ギョンテの表情がわずかに変化する。
ギョンテ「鮮魚・・・あの日は、魚を配達しました。ケス洞に行きました。」
ギョンテの目に力が入りました。
確実に思い出したのです。
ヘヨン「ケス洞?」
~回想~
ハン検事長宅の前に停めた冷凍車の荷台から、魚の入った木枠の箱を取り出していたとき、
外出から帰ったハン・セギュが家の前に自分の車を停める。
ギョンテが、重い魚の箱を抱えたまま、インターフォンを押そうと、奮闘していると、背後から「どけ!」という声がして、セギュに邪魔される。
その拍子に、ぐらりとギョンテの身体が傾き、
かろうじて、支えていた木枠を地面にぶちまけてしまう。
セギュ「うわ、汚ねぇな!」
ギョンテ「す、すみません」
セギュの服の濡れた部分を拭こうとして、手で払われたあげく、突き飛ばされるギョンテ。
セギュ「お前の汚い手で、俺に触るんじゃない!」
急いで、魚を拾い上げようと、しゃがむギョンテ。
靴をはいたままのセギュが木箱を蹴とばし、「ひどい臭いだな」と顔を歪め、「俺はそんなもの食べない。とっとと失せろ。」と言い放ち、 (インターフォン越しに)「俺だ、門を開けろ!」と命じ、さっさと入っていく。
一つ一つ、散らばってしまった魚を木箱に戻していくギョンテ。
ようやく、ギョンテとセギュの、わずかな接点が見えてきました。
過去
一方、夜も、ハン検事長宅を張り込むジェハン。
ヘヨンと無線中でした。
ジェハン「まさか・・・そんな理由で、ギョンテを罠にハメたんですか?」
ヘヨンも、あまりの内容に、言葉が続きません。
ジェハン「たったそんなことで? それが、彼の虚偽の証言の理由だったんですか?」
これはさすがに、怒りを通り越し、虚脱感に襲われるよね。
無線を外すと、「それが自分じゃなければ、誰が責任をとることになるのか、なんて、全く気にしてなかったんだ、あの野郎・・」と呟くジェハン。
ヘヨン「盗品のほうはどうなりましたか? 見つかりましたか?」
ジェハン「盗品・・・証拠、証拠、証拠!! 令状さえあれば・・・」
悔しさに、顔を歪めるジェハン。
無線機にむけて、ヘヨンに話しかけます。
ジェハン「そちらは、まだ、そのままですか? 金と権力を持つ奴らが、やりたい放題やって、それで逃げ切れる、そんな世の中のままなんですか?」
涙が滲んでます。
ヘヨン「・・・・・・・」
情けない想いをしているのは、ヘヨンも同じです。
ヘヨンの視線の先には・・・今は、弁護士になったハン・セギュが、のうのうと大きな顔をしていました。
ジェハン「20年経っているんですよね。なにかは、変わってるはずだ・・ですよね?」
ヘヨン「ええ。違います。あれから、状況はずいぶん変わってます。ですから、変えられます。」
ジェハン「・・・・・・」
ヘヨンの言葉から、察するものは余りあります。
涙をこらえるジェハン。
気持ちを切り替えるように、話しだすヘヨン。
ヘヨン「オ・ギョンテの家には、なにか手がかりがあるはずです。イ・ジェハン刑事さん、奴を捕まえなければなりません。ここで出来ることは何もありません」
すでに、ギョンテの関係先は自宅も含め、服役期間の間に、なくなってしまっているからです。
それは、かなり、絶望的な状況だ、と、ジェハンの表情が暗くなる。
ふとその時・・・「ちょっと待ってください。(セギュの)車の色は何色だとおっしゃいましたか?」
なにかが気になったように、突然、全く違う質問をヘヨンになげかけるギョンテ。
資料を読み直すヘヨン。
ヘヨン「赤色ですよ。どうしてですか?」
そのまま、ジェハンの視線は、こちらの時代のセギュが、外出先から、運転手付きの車で帰ってきたところでした。
ジェハン「・・・奴を捕まえられそうです」
ヘヨンの目の前でも、20年後のセギュが、運転手付きの車で、出ていくところでした。
ジェハン「いえ・・・絶対に捕まえてみせます!」
20年前のセギュが家に入っていくのを見届けながら、「絶対、あいつを殺してやる!」と誓うジェハン。
6話は、ここで終わりです。
★『シグナル』EP.6-4 雑感★
まだまだ続くよ、"大盗事件"
大事なことを放り出したまま、なのは、十分承知ですが、今は、ヘヨンやジェハンと共に、一刻も早く、なにかを変えないと・・・という気分です。
二人の協力体制により、難攻不落だった"大盗事件"に、小さな風穴があいたような感じです。
望みは叶うのか。。。叶わないのか。。。
・・・って、本当に、ハラハラさせる気なら、私も、もう少し、ミステリータッチな筋追いにすればよかったかな(苦笑)