M.jam
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 最初次のページへ >>
2010-08-06 00:28:55

美しき挑発「レンピッカ展」

テーマ:ブログ
 レンピッカは1898年にロシアで生まれ裕福な家庭に育った。18歳でタデウシュと一度目の結婚をするが芸術家では生活が出来ないと12年後に離婚。その後、二度の亡命、再婚や鬱病、挫折、モデルとのスキャンダルなど経て82歳まで怒涛の人生を終えた。
 本展覧会は、制作順に見ていくと彼女の心情や状況が目まぐるしく変わっていくのが分かる。レンピッカは学生の頃、当時盛り上がりを見せたピカソやジョルジュ・ブラックによって作りだされていたキュビスムに出会っている。その後、レンピッカの絶頂期(1920~30年頃)に描かれた多くの肖像画の背景は再構成された町並みや分解された部屋などが描かれており、キュビスムの影響を強く感じる。愛人となるモデルの肖像画≪赤いチュニカ≫や≪シュジー・ソリドールの肖像≫などがこの時代の多く制作され画家としての地位を得る。しかし、1935年鬱に襲われたレンピッカの作品は一転してしまう。鮮やかな色は消えてしまい宗教絵画や難民の肖像を多く描いている。≪修道院長≫は涙を流す修道女は助けを求めて叫んでいるようだ。暗い時代に描かれた作品の中でも、彼女の苦しみが圧し掛かってくるような印象深い作品だ。
 時代を追っていくと娘、キゼットの存在も見えてくる。≪ピンクの服を着たキゼット≫で思春期の娘は母親に挑発的な目線を向けている。レンピッカは仕事と遊びに明け暮れて、キゼットを育てたのは祖母であった。自由奔放な母親に苛立ちを抱きながらも、絵を描くときは母親と過ごせるという複雑な思いが彼女を悩ませていたのだろう。
 美しさと才能を兼ね備えたレンピッカはとても羨ましい。これほどまでに自由に生きた女性は数少ない。本能のまま生きることは、最高の快楽と深い苦しみを両方経験できることであると、彼女から学んだ。

(大塚)


M.jam

レンピッカ展公式サイト

2010-07-20 20:28:08

茨木佐知子展

テーマ:ブログ
 海の中は冷たいというイメージが、一般的にはあるかもしれない。しかし差し込んだ太陽光が作りだす水中のグラデーションは、そこに棲む生物をやわらかい印象へと変化させ、温かみを感じさせることもある。茨木の作品はそうした海の温かなイメージを思い起こさせる作品だった。
 茨木の作品は、暖色系の色で描かれた作品はもとより、寒色系の色で描かれた作品も、海の温かみを絵画全体で表現していた。曖昧な輪郭線で生物を表現する茨木の手法によるものである。描かれた生物はクラゲとサメの主に2種類。いずれも、種類によっては人に危害を加えかねない危険な生物である。しかし、作品に描かれたクラゲとサメは、そうした恐ろしいイメージを全く持っていなかった。
 クラゲの作品は、明るい暖色系の色を用いたものが多く、一点の明るくやわらかな光のように描かれていた。クラゲの体の中心に描かれた生殖巣が花のような形にも見え、愛らしさも覚えた。サメの作品は、サメの口元だけを描き、鋭い牙は1本も描かれていなかった。面白かったのは、作品に描かれたサメが全て、わずかに微笑んでいた事である。茨木には、サメがいつも泳いでいる時、笑っているように見えるのだという。
 いずれの作品も生物の体全体を描くのではなく、体の一部のみを大きく強調して描いていた。私は、クラゲとサメが非常に身近な対象であるように見えた。やさしいタッチで描かれた生物は、写実的ではないが、そこに存在しているかのようだった。まるでガラスに張り付いているかのようなジンベエザメが描かれた作品には、特に親近感を感じた。
 今回の作品を観ているうちに、私は自分が自然と笑顔になっていったことに気づいた。作品の細かい意図を理解していなくても、見ただけで茨木の作品に対しての思いが伝わってきた。私にとって、作品の説明が全く無くても作家の思いが伝わる事が、一種の作品の理想像だと改めて思った。
(浅田)



$M.jam-茨木佐知子

GALLERY はねうさぎにて開催(終了)

2010-07-18 22:24:18

I❤湯(アイラヴユ)

テーマ:ブログ
 瀬戸内海に浮かぶ直島は、福武書店(現ベネッセコーポレーション)によって約20年前から文化施設の開発が行われた。キャンプ場から始まり、現在では美術館や宿泊施設、また芸術作品として改装された古民家などが多数建設されている。国内外からの観光客をいつでも快く歓迎してくれる島民に、福武總一郎(ベネッセコーポレーション取締役会長)が恩返しとしてプレゼントしたのが≪I❤湯≫だ。当時直島に公共の銭湯がなく、島民と来島者が交流できる場を設けたいという願い通り、毎日多くの人々が訪れている。
 宮ノ港から島を見渡すと住宅地の中にネオンの“ゆ”が見える。1分ほど歩くとカラフルなタイルや古びた看板などのスクラップで彩られた銭湯にたどり着く。のどかな民家の間に派手な建物のある風景はとても面白い。番頭でお金を払い、脱衣所で服を脱ぎお風呂場へ向かう。すると部屋全体に大竹伸朗の手掛けた世界が広がっている。室内には海中をイメージしたような音が流れており、浴室に心地よく響き渡っている。
建物全体が大竹伸朗の作品であり、たくさんの見どころがある。その中でもシャワーの水栓ハンドルと磁器の絵付けには特にこだわりを感じる。ハンドルはコラージュが施されており、ひとつひとつが手作りで全て違うデザインだ。缶バッチやラメや写真の切り抜きなどが樹脂で固められ、小さいながらも印象強い。また、白磁は水まわりでたくさん使われている。大竹は白いキャンパスのように海女やクラゲなど島にまつわるものを隙間なく絵付けしている。脱衣所の洗面台を覗きこんで驚いた。淵の装飾だけでなく、水が流れる部分まで描かれている。「このまま洗面台を美術館へ持って行って展示したい」などと考えていたら、隣の台にお風呂上がりでバスタオル一枚のおばあちゃんがやってきた。そして何の遠慮もなく、ジャバジャバと水を出して歯磨きをしはじめたのだ。その光景を見た瞬間、様々な考えをやめて、蛇口をひねってみた。そして、心から銭湯を楽しむことにした。
芸術の勉強をしていると純粋に作品を楽しむ気持ちを忘れてしまうときがある。デザインや配置、キャプションなどが気になって本来見るべきものが見えなくなるのだ。芸術作品は孤立したものではなく、生活につながっているのだと改めて体で経験した。≪I❤湯≫には美術館やギャラリーでは絶対に味わえない贅沢な日常がそこにあるのだ。
(大塚)


M.jam-iloveyu

直島銭湯≪I❤湯≫オフィシャルページ
1 | 2 | 3 | 4 | 最初次のページへ >>

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス