もう少しだけ、蒋歌の事件の続きあります。
【おことわり】
こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。
ラストまでの完全ネタバレです。
なお、扱う内容も、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。
誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦
いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。
『猟罪図鑑 ~見えない肖像画~』
猎罪图鉴(獵罪圖鑑) / Under the Skin
2022年(中国)3/6~ 3/16, 2022
45分×全20話
脚本: Jia Dong Yan、 Wu Yao
演出: Xing Jian Jun
前記事未読の方は、こちらから
#EP3−1
第三集
~聴取室~
杜城「だったら、そのあとになって、なぜ、彼を殺したんだ?」
杜城の言葉に辛そうに眉を寄せる蒋歌。
~蒋歌の回想~
すっかり、梁毅の女になっていた蒋歌でしたが、
こんな生活からさっさと抜け出したいと考えていたことも事実です。
梁毅「北江市を離れるつもりか?」
どこで、聞きつけたのか、蒋歌を問いただす梁毅。
なぜバレた?と警戒しつつ、バレたのなら仕方ない、いずれわかることだと観念する蒋歌。
蒋歌「大きな仕事が獲れたのよ。上海でキャリアを積むつもりなの。いったい、いくら必要なの?」
蒋歌の側にちかづいてきた梁毅。
梁毅「金なんか欲しくないさ」
え・・と梁毅を見る蒋歌。
これだけでも、今までどれだけ梁毅にタカられていたのかわかるってものです。
梁毅「お前はもう、北江では、十分キャリアのある有名な設計家だ。他のデザイナー連中は、お前に嫉妬してる奴らばかりだろう。俺が例のビデオをネットに流したら、一体、どんなことになるんだろうなぁ」
言葉を挟もうとする蒋歌を押さえるように、「お前に負けてきた奴らは、お前の栄誉を踏みにじるためなら、ありとあらゆる手を使ってくるだろうな」
蒋歌「・・・・・・」
梁毅「もし、お前が従順になって俺の側にいるなら・・・お前の完璧なキャリアは今まで通りだな。」
蒋歌「あの日・・私は、彼に支配され続けるのではなく、彼を永遠に消滅させようとと決心したんです」
杜城「劉連明についてはどういうことだ? なぜ、彼を殺した?」
蒋歌「人間は貪欲になると、決して満足しない生き物だからです」
~蒋歌の回想~
劉連明(電話)<なにか人に言えないようなことをやってるんだろうとは思ったが、まさか、人殺しだったとは思いもよらなかったよ。だが、心配するな。同郷のよしみで、絶対、最後まで助けてやるよ。ま、20万元ほど、払ってくれればね。そうすれば、この件は忘れてやる>
蒋歌<・・・・・>
蒋歌<梁毅から脅迫される生活に疲れ果てていたんです。そして、劉連明が私の努力を台無しにするのも耐えられませんでした。それで、問題を根絶しようと、決心したんです。>
爪の中に、シアン化合物を仕込み、
劉連明の部屋を訪れた蒋歌。
現金を見せると、
蒋歌「ビデオはどこ?」
劉連明「心配するな。 俺たちは信頼に値する人間だろ」
さっさと、現金をバッグにつめる劉連明。
劉連明「お前は俺に金を渡し、俺は、ビデオを消す」
携帯の画面を見せ、
「見てろよ」と、一気に削除する劉連明。
劉連明「削除したぞ」
それを見て、怪しく微笑む蒋歌。
もう、この男に用はありません。
あとは頃合いを見て、劉連明のグラスに毒を落とすだけ。
ビールじゃなくて、普通の酒だったね。
モニタールームにいる沈翊の絵も完成したようです。
供述調書がプリントアウトされ、蒋歌の前に置かれる。
ハン「内容を確認して、問題がなければ、サインをしてください」
“上記の内容が真実であることを確認しました 蒋歌”と、自筆でサインをし、最後に、押印する蒋歌。
蒋歌「最後に一つだけ伺ってもいいですか?どのようにして、私がやったのだとわかったんですか?」
見破られない自信があったんだろうね。
ちらりと、モニタールームのほうに視線をむける杜城。
杜城「君のネイルの色に気づいた奴がいたんだよ」
~杜城の回想~
事情聴取を受けた女性たちの手に注目しながら、ビデオを見返していた沈翊。
沈翊「彼女の左手の小指の色だけが、他の指と比べると、ワントーン明るいだろ」
杜城「どこか違ってるか?」
見てもわからない杜城。
沈翊「画家にとって、色の識別は基本中の基本だよ。塗りたてのネイルは、(乾ききるまで)他の爪より、一定期間、明るく見えるんだ。更に、ネイルを塗った爪は、しばらくすると下のほうに小さな切込みのような白い部分が現れる。ネイルを塗った爪が伸びたサインなんだ。だが、左手の小指にだけはそれがない。したがって、彼女の小指のネイルは塗りたてだとわかるんだ」
杜城「つまり・・彼女はネイルにシアン化カリウムを仕込み、塗りなおしたと?」
小さく頷く沈翊。
杜城は、この沈翊の説明を受けて、蒋歌のところに向かうことにしたわけです(笑)
~聴取室~
ここで、沈翊とチェンジです。
蒋歌の前に、モニタールームで描いていた蒋歌の似顔絵を置く沈翊。
感慨深げに、絵を見る蒋歌。
蒋歌「私は、素敵な顔にさえなれれば、自分が望んでいる成功を達成できるだろうとよく思っていました。でも、今となっては、それ以上に、昔の自分の顔がとても懐かしいんです。以前の私は、四角い顔で、鼻は横に広がって膨らんでました。子供の頃から、そんな自分を卑下するタイプでした。でも、努力すればしただけ、報われるだろう、といつも信じてました。 自分の才能が開花し、世界をモノにできるって思ってたんです」
昼夜を惜しみ、必死で、設計図面のアイデアをねっていた蒋歌。
沈翊の描いた自分の顔を、愛おしそうに指でなぞる蒋歌。
沈翊「もう一枚、別の絵も描きました。昔のあなたが、彼女のことを思い起こさせたんです」
差し出した絵を見て、すぐに誰かわかったらしい蒋歌。
蒋歌「キュリー夫人?」
沈翊「そうです。彼女は、女性ではじめて、ノーベル賞を受賞したひとです。」
しかも、物理学賞と化学賞の2回も受賞したんですよね。
蒋歌の似顔絵の横に、キュリー夫人の絵がちょうど並んでいる。
沈翊「彼女の功績は、同時代のあらゆる男性を凌駕しています。私の印象では、彼女は、女性のパワーを体現していると思っています。」
あの日、蒋歌のオフィスで、沈翊がじっと見つめていたデザイン画。
沈翊「そして、あなたの作品にも同じようなパワーを感じたんです。それは、決して、あなたの外見ではなく、才能と野心から生まれたものでした。」
沈翊「いつか、あなたが、かつてのあなたのように、世界的に有名な建築デザイナーになると信じています。」
大粒の涙をこぼす蒋歌。
蒋歌「ありがとうございました」
ようやく、自分の価値をフラットな立場で評価してくれる人が目の前に現れたのに、二人の命を殺めてしまったあとで・・・裁判の結果によっては、沈翊が言った“いつか”は来ないかもしれないけれど、蒋歌にとって、沈翊の言葉は、これからの日々を過ごす拠り所となるような気がします。
~警察学校 小講堂~
やっと、“マラーの死”に戻ってきました!!
沈翊「第3の嘘は、マラーの死そのものだ。」
「マラーの死そのもの?」
学生たちの小さなどよめきがさざ波のように広がります。
沈翊「予想外だったかな? この画家は最初から皆を騙していた。 鍵となるのは、マラーが手にしているこの手紙の捏造だ。手紙には、コーディが、マラーに助けを求める内容になっており、マラーは彼女に資金提供をするつもりだった。」
慌てて、手元の資料に目を走らせる学生たち。
1793年7月13日
マリーアンヌシャルロッテコーディより
マラー様へ
あまりにも困難な状態ゆえ、あなた様の慈悲をいただきたく思います。
沈翊「だが、現実はそうではなかったんだ。マラーが殺される前、世間にむけて公表するつもりだった彼の最後の声明は、実は、処刑者たちのリストであることがわかったんだ。」
息を飲む学生たち。
沈翊「それが、この手紙に隠された真相だったんだ。処刑者のリストの名前は、マラーが処刑したいと望んでいた反体制派(ジロンド派)の者たちだった。コルディは勇敢にも、一人でマラーに立ち向かい、マラーの殺戮を阻止したということになる。 コルディは後に法廷でこう証言している。“自分は、10万人を助けるために一人の人間を殺した”と・・」
この後、“暗黒の天使”と呼ばれたコルディは、斬首されてしまうのね。
フランス革命下の時代と言えば、私の知識の源は、当然のごとく『ベルサイユのばら』なわけですが(笑)さすが、池田理代子先生、“ベルばらに描けなかった真実”ということで、ちゃんとコルディのことも書いていらっしゃった。
沈翊「古代の壁画から、レンブラントの“夜警”に至るまで、画家というものは、歴史を保存し、その重要な瞬間を復元するという責任を担っている。しかしながら、一つの小さな改ざんが、マラーを殺人者から慈善家へと変え、ヒロインは汚名を着せられることとなった。絵画の中の歴史的な場面は、しばしば虚偽が混じっていることが多い。我々は、一生分の時間をかけて、それらを解明しなければならないのかもしれない。」
刑事にならず、普通に、画家をしていても、謎解きが必要らしい(笑)
ということで、沈翊先生の今日の講義はここで終わりです。
~北江分局 刑警隊 局長室~
事件も解決し、局長室に呼ばれた杜城と沈翊。
張局長「お疲れ様。そういえば、二人で賭けをしたんですって?杜城・・賭けは賭けでしょ。どう、負けを認める?」
杜城「ああ、もちろん、認めますよ。 分局のオフィスは公的に分配されてしかるべきですから、順守します。なんの異論もありません。」
なんだろ、やけに素直じゃん。
杜城らしくもない(笑)
張局長「それでこそ、隊長よね。・・沈翊、あなたはここではまだ新人だし、最前線の捜査について経験も浅いと思うの。ベテランの同僚たちと交わって切磋琢磨してちょうだい」
沈翊「はい、がんばります」
杜城「局長、沈翊は新入りです。着任早々、手柄は立てましたが、まだ、我々の事件捜査の方法など、いろいろと慣れていません。それでですね、彼と組ませてもらえませんか?」
え?と、隣の杜城を見る沈翊。
張局長「いいわよ。私、沈翊のことは信頼してますからね」
あはは、この言い方!
杜城をわかってる!!(笑)
それに、張局長には、変な計略や策略もなさそうだし、おそらく、別々に、それぞれ、杜城と沈翊の辛い7年間を見てきただけに、純粋になんとかしたいと心配してる感じがします。
逆に、杜城は、この人にうま~く誘導されているだけなんだろうか。
それだけとも言い難いものを感じるんだけどねぇ。
とにかく、正式に、バディ誕生です。
今回、申し出た杜城の表情には様々な思惑がチラチラと見えてますが(笑)、ま、結果的には、事態は少しずつでも前に進み、おもしろくなりそうなのは確かです。
~署内トレーニングルーム~
フォン、なかなかやるじゃん(笑)
見た目以上に筋肉、ついてた。
このよく見かけるマシンの名前、バタフライマシンっていうんだって、今日、知りました(笑)
なにしろ、運動と縁のない人生なものですから。
ハン「ねぇ、ジャンフォン!、ジャンフォン! ジャンフォン! もう、大ニュース聞いた?(声を潜め)あのね、城隊が、沈先生とコンビを組みたいって申し出たらしいのよ!!」
フォン「はぁ?」
うんうんうん、と頷くハンちゃん。
フォン「・・知ってたよ」
ハン「え?知ってたの?だったら、なんで、私に言わないの?」
フォン「だって、そんなの、聞かれてないじゃん」
そういう問題か?
ハン「あの二人、こんな状況なのに、うまくやっていけると思う?」
フォン「まぁ、お前にもわからないことがあるんだよ。城隊はな、(心を許した)友は後ろに、敵の場合は監視しやすいように自分の前に置くタイプなのさ」
なんか納得いかないようなハン。
ハン「監視ねぇ・・? どうして、沈先生のこと、監視するの?」
・・・と呟くハンの後ろに回り込んでるフォン。
「でも・・」と言いながら、振り向きざま、すぐ目の前にフォンがいて、固まるハンちゃん。
フォン「イ・ハン・・俺は、いつだって、お前の後ろにいて・・」
結構、マジだな、これ。(笑)
ハン「敵!!」
ぷりぷり怒りながら、部屋を出て行っちゃいました。
フォン「・・・・・友だちだろ」
んもう!!まったく!!
友だちでいいの? もう一歩先に進めたいんじゃないの?
なんとかしてあげたいけどねぇ。
~北江分局 建物 入口付近~
階段を降りてきた杜城。
事件も解決したし、今日は、おうちに帰れそうです。
署の建物を振り返り、仰ぎ見る杜城。
ここは、レイ隊長と共に過ごした職場でもあり、思い出がたくさん詰まっているのね。
どんなに親しそうでも、この二人に、BLもブロマンスも感じない。
そういうことなのよ、と、声を大にして言いたい!!
そこへ、同じように、退勤してきたロンユエが通りかかる。
ロンユエ「なんか、ご機嫌って感じの顔してるわね」
無防備なところを見られて、すこし照れたような杜城。
ロンユエ「事件が解決したせいかしら?」
杜城「まぁ、そんなとこだな」
ロンユエ「あ、そう言えば、あの新人の沈翊、どんな感じ?最近描いた似顔絵、役にたったって聞いたけど・・・」
杜城「奴がどんなに優秀であっても、犯罪者を捕まえるのは我々だ」
その言い方が気になるロンユエ。
ロンユエ「彼となにかあるの?」
杜城「・・・・ああ」
ちゃんと認めるあたり、ロンユエに対する信頼度がうかがえるね。
ロンユエ「それって・・レイ隊長の事件のせい?」
杜城「・・・・・・」
ロンユエ「あなたは、私なんかよりも、よく知ってるはずよ。彼は利用されただけだって」
あまり沈翊のことを知ったそぶりを見せなかったけど、そりゃ、ロンユエだって、北江分局にいたのなら、当然、7年前の事件のことだって知ってるはずだよね。
杜城「俺はそうは思わない。 どうやったら、マスクをかけて、顔の半分が隠れてる傷ついた女性の顔が描けるっていうんだ?奴は自分なら描けると言って、実際に描いてみせたんだ。7年経った・・だが、レイ隊長の絵を描かせた女の顔は描けない」
結局、杜城の時間は7年前で止まっているんだ、と改めて悟るロンユエ。
ロンユエ「そうやって、誰かに対しても何に対しても、根に持つなんて、私の知ってる隊長らしくない・・」
それだけ言うと、その場を立ち去るロンユエ。
こういう時、同じ思いを同じ熱量でわかりあえる人がいないのも辛いけれど、それはただの、傷のなめ合いになっちゃうし、難しいところよね。
ある意味、同じ思いを共有できる人がすぐそばにいるとわかるのは、もう少し先の話。。
ここで切ります。
★『猟罪図鑑』Ep.03-1 雑感★
まずは、蒋歌。
蒋歌がキュリー夫人に匹敵するような実力の持ち主だったかは別として、キュリー夫人も大概、苦労してるからね。
(ちなみに、キュリー夫人の名は、マリー・キュリー(仏)マリア・サロメア・スクウォドフスカ=キュリー(ポーランド語: Maria Salomea Skłodowska-Curie)です)
突破口を探し、ない時には作りだし、こじ開け、こじ開け、傷だらけよ。
だからこそ、時に、罪を犯してでも守ろうと、執着する人も現れるんだよね。
事件は解決したものの、沈翊の実力を見れば見るほど、感心するのと同時に、なぜだ、と不信感を募らせてしまう杜城。
もって行き場のない怒りやら、辛さを飲み込んだまま、そうそう、簡単に心なんて開けない。
レイ隊長の事件当時を知る人たちは、杜城の気持ちを理解しつつ、それでもなんとかしたい、と歯がゆく思っているのも、だんだん見えてきたって感じですね。