2話終わりです。
【おことわり】
こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。
ラストまでの完全ネタバレです。
なお、扱う内容も、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。
誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦
いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。
『猟罪図鑑 ~見えない肖像画~』
猎罪图鉴(獵罪圖鑑) / Under the Skin
2022年(中国)3/6~ 3/16, 2022
45分×全20話
脚本: Jia Dong Yan、 Wu Yao
演出: Xing Jian Jun
分割してます。
前記事を未読の方は、こちらからどうぞ。
#EP2−4
ようやく、日光と時間のからくりを理解した杜城。
杜城「つまり、蒋歌の防犯カメラの映像は、差し替えられていたのか・・」
結局、今回も同じ手です。
さすがに、バレるだろ・・というのは、判明したから言えることであって、提出された防犯カメラの映像自体には細工の痕跡はないわけだし、そもそも沈翊と言う画聖がいなければ、蒋歌に辿りつけなかったわけなので、そのままスルーだった気がします。
連絡を受けて、すぐさま、フォンをはじめ、城隊の皆様やら、鑑識さん御一行様たちが現着。
フォン「城隊長・・」
すぐさま、蒋歌のオフィスに逆戻りする杜城。
逃亡を謀ろうとしていたのか、までは定かではありませんが、オフィスを出ようとしている蒋歌。
この時、靴音で、警察が戻ってきたことに気づいた蒋歌が、
遅かったか、と目を一瞬閉じて、髪を耳にかきあげる。
蒋歌の長くて細い美しい手指と仕草は、梁毅に目を付けられることになった一因だったのかもしれないけれど、今となっては、警察との心理戦を前に、心を落ち着けようとする完全犯罪を目論む者のそれでした。
杜城「蒋歌・・あなたを署に召喚し、あなたのオフィスと自宅を家宅捜索します。ご協力をお願いします」
それぞれの令状を見せながら、宣言する。
同時に、部下たちに、「周辺の目撃者を洗え」と命じる杜城。
この蒋歌の面構え。
並みの神経の持ち主じゃないってことです。
〜蒋歌のオフィス〜
刑事や鑑識が捜索中、肝が据わってるというか、自信があるのか、まったく動じることなく、じっと打ち合わせ用のテーブル席に座っている蒋歌と・・沈翊。
沈翊は、蒋歌の監視役?
でも、どこから持ち出してきたのか、粘土を手でこね始めてるんだよね。
突然、粘土?と、気にはなってる様子を見せる蒋歌。
無言の中で交わされる鋭い視線の攻防。
こういうの大好き!
捏ね終わった粘土で、なにか造形していく沈翊。
その間も、鑑識の作業は続いてます。
自室スペースに入り、捜索中のフォンに「なにか見つけたか?」と訊ねる杜城。
首を横にふるフォン。
フォン「まだです」
部屋を出ようとして、オフィスの隅に設置された防犯カメラから死角になっていることに気づいた杜城が、
「この化粧台は調べたのか?」とフォンに訊ねる。
耳をそばだてている蒋歌。
平然としているように見えても、そりゃ、動揺しまくりにきまってます。
フォン「まだです。」
その言葉で、化粧台に向かう杜城。
俯いた蒋歌の顔を見ながら、全てお見通しのような、淡々としている沈翊がいいの。
手を動かし続けている沈翊。
どうやら、蒋歌の顔を作っているらしい。
化粧台がアップになり、紫外線ライトを当てながら、隈なく探していく杜城。
ゴミ箱のような容器の中も覗き込む。
杜城「ピンセット・・」
はぁ・・とため息をつき、天を仰ぐと目を閉じる蒋歌。
この杜城の一言が、なにを意味しているか、頭のいい彼女なら、わかるでしょう。
自分から、防犯カメラの映像に言及したくらい、アリバイ工作には自信があったんだろうけれど、策士策に溺れるって奴ですね。
爪? マニキュアの塗膜片?
それが合図だったかのように、静かに、造り終えた粘土の頭部を、静かに蒋歌のほうにむける沈翊。
かすかに、目を見開く蒋歌。
これは・・・整形前の、蒋歌の顔?(粘土だとわかりにくい)
もうすべて、わかっているんだよ、という沈翊の微笑み、かえって恐怖を煽るね。
~剖検室~
剖検室の片隅で、部屋採取されてきたさきほどの、小さな片を取り出すロンユエ。
マスクから上しか見えてないんだけど、眼だけでも、十分美しいってわかる、美のオーラの力強さよ。
~聴取室~
さて、蒋歌の取り調べです。
担当は、杜城とハンです。
予審官じゃないんだ・・・ボソ(笑)
ハン「名前は?」
蒋歌「蒋歌・・」
モニタールームで注視している沈翊。
ハン「年齢は?」
蒋歌「34」
ハン「職業は?」
蒋歌「イーフェイ建築設計事務所に勤務してます。私は従業員の一人で、首席デザイナーです」
ハン「ここに呼ばれた理由をわかっていますか?」
蒋歌「梁毅のせい・・ですか? 知っていることは全てお話ししましたけど」
一瞬、押し黙る杜城とハン。
杜城「それでは、別の話からしましょうか」
別の話とは?と、顔をあげる蒋歌。
杜城「あなたは、劉連明という男をご存じですか?」
小さく首を横にふる蒋歌。
蒋歌「誰ですか?」
立ち上がった李晗が、蒋歌の前に、数枚の写真を並べていく。
不安そうに、視線を動かす蒋歌。
ハン「この中にいます」
じっと、劉連明の写真を見てしまう蒋歌。
~モニタールーム~
沈翊「彼女は、劉連明を知ってるな」
フォン「どうしてわかる?」
沈翊「人は無意識のうちに、自分がよく知っているもののほうに視線をむけてしまう習性があるんだ」
~聴取室~
そんな会話がなされていたとは思ってない蒋歌は、視線を正面にむけると、「知りません」と答える。
杜城「彼は、梁毅の病院の近所で、警備の仕事についていたんだが、全く記憶にないですか?」
蒋歌「私たちは、一生の間に、たくさんの人と出会いますけど、ほとんどは、ただ通り過ぎるだけでしょう」
杜城「そして、その通り過ぎるだけだった人物が、あなたのためにアリバイを作ろうと、映像を改ざんしたわけですね」
蒋歌「・・・・・・」
まさか、劉連明のことが、ここまで判明していると思ってなかったのかな。
杜城「26日の日、劉連明はシフトではなかったにも関わらず、23日に病院を訪れた范若瑄の映像と25日のあなたの防犯映像を入れ替えるために、わざわざ同僚と勤務予定を交換したんだ」
うまくごまかしながら、同僚を帰す劉連明。
ふ~ん、わりと簡単に入れ替えられるシステムだったってことなのかな?
過去映像に関しては、見るだけならまだしも、オリジナルデータの移動やコピー、削除とか、扱うには別途権限が必要だったり、もしくはその履歴が残るのかと思ってたから、どうやったのかなってちょっと不思議だったんだよね。
杜城「劉連明は、あなたの駒の一人にすぎなかった。だが、どういうわけか、彼は、(あなたにとって)時限爆弾になってしまったんだ。それで、あなたは彼を殺すしか、選択肢がなくなった」
蒋歌「証拠でもあるの?」
ほぼ同時に、コンコンコンとノックの音がする。
鑑識からの報告書が届くタイミングを待っていたのね。
容疑者が、証拠云々を言い出すのは、自衛のための常套句とは言え、こんなふうに、自ら墓穴を掘っていく犯人に対し、情けなさや怒りの感情だけなのか、それとも、忍びない思いもあるんだろうか。
席を立ち、書類を受け取るハン。
杜城「そうですね。完全に連鎖する証拠があることは重要ですよね」
報告書を杜城に見せるハン。
杜城「我々は、劉連明のスマホからは、ビデオの映像は見つけられなかった」
少し、一息つく蒋歌。
杜城「だが、死の直前、彼が自分に当てて送信したメールについては発見することができた。そのメールは、のちに削除されていたが、サーバー上にあるデータを復元させるくらい、単なる時間の問題だけだったんですよ」
(メールを自分宛てに送信???この表現、合ってるのかな?)
しかも、ここは中国。公的機関の要請であれば、電話会社がデータを提供するのに、複雑な手続きが必要とは思えず・・。
すでに、蒋歌の目の中の光が・・しぼみ始めている。
それでも、まだ諦めきれず、頭の中では、どう言い逃れようか、と模索しているはず。
杜城「我々があなたの自宅を捜索したとき、小さな爪のかけらを発見したんです。」
報告書のファイルを見せる杜城。
杜城「これは、鑑識からの照合結果です。まだ、私は中を見ていない。もし、これを開く前に、あなたが供述するならば・・・(自ら)明らかにしたことになる。だが、もしこれを開いた後に、供述したとしたら、結果は違ってくるだろう」
つまり、今白状すれば、自白とみなされるが、そうでない場合は・・・量刑は重くなるということです。
うわ、もしかして、これ、勧進帳ってことはないよね?
※文書を読み上げるようなふりをして、実際には書いていないことを述べること。
明らかに迷いが生じてきた様子の蒋歌。
じっと蒋歌を見据える杜城。
同じく、モニタールームから、沈翊も蒋歌の様子を見つめている。
唇にきゅっと力を入れて、逡巡する蒋歌に、とどめのように、ファイルに手をかけようとする杜城。
少しだけファイルの表紙が持ち上げられた時・・・限界を迎えました。
蒋歌「彼らが死ねば・・・自由になれると思ったんです」
墜ちたな・・と、視線を似顔絵に戻す沈翊。
ファイル自体は、ちゃんと、鑑定の検査用紙が挟まっているのが見えたので、勧進帳じゃなかったっぽい・・(笑)
蒋歌「梁毅という男は、女性のために、美しい仮面を作ることで生計を立てていましたけど、彼の最大の執着は女性の手でした」
やはり、これもまた、沈翊の見立て通り。
蒋歌「顔や性別でさえ、作り変えることは出来ても、手を作り変えることはできないんです」
自供しながら、映像は、蒋歌が薬品を隠すためのネイルチップをセットしている様子が映し出される。
~梁毅の自宅リビング~
ああ・・蒋歌の指を口元にもっていき、舐める梁毅。
抗えない性癖と、自らの欲望と共に、一足先に地獄への切符を体内に入れたのね。
恍惚とした梁毅の表情に、徐々に違和感が浮かび始め、苦しそうにソファに身を投げ出す様子を、じっくりと見ている蒋歌。
毒を盛られたことに気づいた梁毅が、蒋歌に迫ってくるも、すでに口からは泡が噴き出ている。
一歩ずつ、下がっていき、とうとう、力尽きて横たわる梁毅を冷たく見下ろす蒋歌。
これが、梁毅殺害の一部始終でした。
沈翊の手によって、だんだんと描きあげられていく、美しい意志のある蒋歌の顔。
杜城<ほとんど完全犯罪だった。なぜ、あなたのような賢い人が、梁毅の罠にはまったりしたんだ?>
かすかに微笑む蒋歌。
蒋歌「全ては、私の顔のせいでした」
そうして、映し出されたのは、蒋歌の整形前の過去の顔。
ぜんぜん綺麗じゃん!
ただ、蒋歌からすると、正面から見て、エラや顎が張っていて、鼻が大きめだったことがコンプレックスだったようです。
蒋歌「この建築設計の業界というのは、男性が独占状態で、絶対的な力をもっているんです。会社は、男性のデザイナーにしか、気を払いません」
アポイントを取っても、コンペに参加しても、徹底的に無視し続けられてる蒋歌。
蒋歌「彼らは、男性しか信頼しません。特に、私のような・・普通の容姿の女性など、群衆のなかでは全く目立つことすらできません。まるで、私の進むべき道を邪魔する巨大な天井があるような感じでした。」
蒋歌の目の前で、決まった男性デザイナーと握手を交わすクライアント。
そう、蒋歌の存在など、彼らの視野に入っていないかのように。
蒋歌「私は、機会をつかむために、多くの男性と競い合わなければなりませんでした。第一印象で気づいてもらえなければ、機会を逃してしまうんです」
疲れた足を引きずりながら、巨大な美しい女性の顔を掲げた美容整形の広告に、足をとめる蒋歌。
蒋歌「それが、突出して美しくなりたい、と思った理由でした。あの巨大な(見えない)天井を、性別を変えて破ることは出来なくても、美しさでなら、破れるかもしれない・・・」
そんな心の隙や欲望を、人間のふりをした悪魔は見逃さなかったのね。
いや、悪魔だなんて、そんな大層な存在じゃないやね。
「おナルでおゲスでお藪のトリプル男」でした ← 11r21さんのコメントでの秀逸パワフルワード!!
~回想~
梁毅「問題ありませんよ。信じてください。あなたがすべきなのは、目を閉じて、ただ、眠るだけです。目が覚めた時には、あなたも彼女たちのように美しくなっていることでしょう」
カウンセリングの時の梁毅の落ち着いた語り口に、すっかり騙された蒋歌。
頷き、手術を受けた後、鏡を覗き込んだ蒋歌の目には、確かに、誰もが美しいと印象を抱く女性が立っているのが見えました。
臨んだとおりの、いや期待以上の顔に、笑みが隠せない蒋歌。
梁毅にとっても、蒋歌の出来栄えは、彼の中でも奇跡の1回に近かったのかも。
この成功体験が、梁毅の道を誤らせたのか、今となっては確かめようがないですが。
杜城「それから、梁毅は、他の女性にしたようなことをあなたにもしたんだな。梁毅は薬を飲ませたんだ」
蒋歌「私が、最初の被害者でした」
その言葉に、蒋歌のほうに視線を向ける沈翊。
蒋歌「あの醜悪な隠し部屋は、私が設計したものです」
これは、衝撃的な発言!
~回想~
隠し部屋を見て、感嘆の声をあげる梁毅。
梁毅「完璧だ。間違いなく、完璧なデザインだよ。蒋さんに、高額な設計料を支払わないとな」
蒋歌「それに、私の手術代も免除してね」
こんな軽口を叩くなんて、この時点での蒋歌は、梁毅に対して、なんの疑念も抱いていなかったってこと?
蒋歌「梁院長、なぜ、この高級な建物の中に、こんな隠し部屋を希望したの?」
蒋歌にワイングラスを渡す梁毅。
梁毅「子供の頃、私にはバカげた夢があった。こうして大人になった今、この白日夢を誰にも邪魔されない空間が必要になったんだよ」
そういって、楽しそうに笑う梁毅。
乾杯し、ワインを飲み干す蒋歌。
しばらくして、足もとがふらつき、意識が遠のいていくのがわかった時には、時すでに遅し。
第一号の被害者になってしまったのね。
ハン「なぜ、警察に助けを求めなかったんですか?」
同じ女性としても、大いに疑問を感じるところだったんでしょうね。ハンちゃんの口調が硬いです。
蒋歌「もし、そんなことをすれば・・・彼は、私のビデオを全て、流出させたことでしょう。私のキャリアは台無しになるわ。私には未来がある。・・・たとえ、無数の穴があいた身体であっても、ここで止まるよりも歩いているほうがましよ」
そんな蒋歌の身勝手な言い分に我慢ならない杜城。
杜城「それで、あんたは、他の女性たちが同じような運命をたどるのを、ただただ傍観していただけで、なにもしなかったってことか」
静かに怒りを湛えている。
蒋歌「ある意味、彼の共犯者だったことを認めます」
輪郭にさしかかってきた沈翊の絵。
蒋歌「彼は、私を辱め、弄び、あげくにもっと患者を紹介するように求めたんです。時に、自分でも、この顔を授けてくれた彼に感謝こそしたわ。この顔のおかげで、私は頭角を現すことが出来、名声と富を得たんですから。」
被害者と加害者が同居しているような、矛盾だらけの蒋歌の言葉に、がっくりとうなだれてしまう杜城。
蒋歌「でも、得るものが増えれば増えるほど、彼に抵抗しようという気力も失っていきました」
杜城「それなら、なぜ、彼を殺そうと決心したんだ?」
蒋歌「・・・・・・・」
蒋歌の供述は、まだまだ続きますが、2話は、ここで終わりです。
★『猟罪図鑑』Ep.02-4 雑感★
なんともやるせない。
被害者なのに、加害者に転落していった蒋歌。
たしかに、梁毅は最低。
これは間違いない。
男性社会の壁、見えないけれど確かに存在する透明な天井、その存在をただ漠然と知っているのと、実際に、阻まれたり、不当な扱いを受けたり、大きな痛手を負った人とでは温度差も違う。
それもわかる。
おそらく、視聴者の中にだって、国や年代を問わず、大なり小なり、蒋歌が言ってる言葉の意味を理解できたり、経験のある人だっているでしょう。
実力はあるのに見出されなかった蒋歌に対して、「ああ、大変だったね、苦労したね、女性って損だよね」などと言っても、なにも救いにはならないことが悲しすぎる。
だって、彼女がこうなってしまった原因は、梁毅だけのせいだとは思えないから。
ここに至るまでに、彼女自身の「自分中心な思考」に原因があるのが、どんどん明白になっているから。
蒋歌の恐ろしさは複数あれど、フェルメールの画の仕掛けによって、部屋が出現したときの、梁毅の驚き方をみて、自分への賛辞のように受け取って、笑みを浮かべていることも、その一つ。
梁毅の思惑を見抜けなかったことは仕方がない。
でも、自分のデザインを認められたい、褒められたい、私ってすごいでしょ・・が前面に押し出された笑顔に、痛ましさと憐れみばかりにしか目にいかない。
これもまた、女性に厳しいって言われてしまうかな。