今回、明らかになった出来事はある一方向から見た部分でしかないはずなので、ジリジリします。
無茶苦茶、ネタバレしまくってます。OKの方のみ、おすすみください。
4分割しています。
前半未読のかたは、こちらからどうぞ
『AChanceToLove(LBC2)』
【Ep.05】 (4/4)
~Tinの自宅 リビング~
ソファに腰かけているTulとPhupha。
Tulは、ノートパッドを見ながら、仕事中かな?
Phu「パパ・・・。僕、退屈だよ。」
Tul「だから、パパが、ママと一緒に行きなさい、と言っただろ?」
Phu「いやだよ、僕、行きたくなんかないもん。おばあちゃんはいつも、口うるさいんだ・・・。僕、好きじゃない。パパと一緒にここにいたかったんだ」
苦笑するTul。
Tul「でも、お前は、退屈だって言ったばかりだぞ」
Phu「寝る前のお話してくれる?」
Tul「パパは、まだ、仕事中だよ」
Phu「もう遅いよ。パパは、休憩しないと・・・。お仕事やめたほうがいいよ。」
Tul「休憩?ってことは、お前に、寝る前のお話もしなくていいってことかな?」
Phu「ううん、違うよ。パパはお話してくれなきゃだめだよ」
Tul「じゃ・・・2人の兄弟の話はどうかな?」
Phu「いやだ。楽しそうじゃない・・・」
Tul「だったら・・・二人の兄弟と召使いの話は?」
Phu「それも面白くなさそう・・・」
Phuphaの頭を撫でながら、それでも、話し始めるTul。
それって・・・・TulとTinの兄弟と・・・そして、Ghohinのことだよね? 私は聞かなきゃダメだよね?
Tul「むかしむかし・・・2人の兄弟がいたんだ」
Tul「兄さんのほうは、みんなに仕返ししたいっていつも考えるような、やきもち焼きの子供だった。弟は、小さな頃から甘やかされて育った、いたずらっ子だった。だけど、実際に、弟をそんな風に育てたのは、兄さんだったんだ。だから、誰も、その弟のことを愛さなかった。。そんなある日・・・」
Tin(幼少)「よくも、そんなことを、俺に言えるよな!お前、ただの使用人じゃないか!僕は、僕のやりたいようにやるんだ!」
Ghohin「Tin様、そんなことをおっしゃるものではありません。Tul様がそれを聞かれたら、嫌がりますよ。」
Tin「僕は、P'Tulに言ってるんじゃない。僕がこんな風に話すのは、お前みたいな使用人に対してだけだ。お前には、僕に、ああしろ、こうしろなんて言う権利なんてないんだぞ。わかったか?」
Ghohin「はい。私にその権利がないことは承知しております。」
Tin「だったら、いい。じゃ、出かけるぞ」
リビングを出ていこうとするTinの前に、身を挺して、塞ぐGhohin。
Ghohin「奥様は、あなたを決して外に出さないように、と申されました」
Tin「どけ!」
Ghohin「できません。どうか、Tul様がお戻りになるまでお待ちください」
Tin「どけ。僕は、あいつらがTulに対してした代償として、あいつらに金を支払わせる!」
Tinの道をふさぐGhohin。
Ghohin「そんなことをなさってはなりません。奥様は、あなたにこれ以上、トラブルを起こさせないように、とおっしゃいました」
Tin「でも、あいつらは、僕の兄さんを侮辱したんだ」
Ghohin「それでも、あなたを行かせるわけにはいかないのです」
Tin「お前は、僕のママじゃなく、兄さんの命令を聞いていればいいんだ。このことは、僕から、Tulに話す」
Ghohin「そうです。あなたは、気がすむまで、Tul様にお話しください」
自分のいうことに、耳を傾けないGhohinに業を煮やしたTinが、テーブルの上においてあったガラスのコップを手に取り、Ghohinの頭めがめて、投げつける。
命中して、粉々に割れるコップ!
こら! なんてことすんの!
(って、こんなふうに、叱ってくれる人がいなかったってことね。)
こめかみから、垂れてきた血を押さえるGhohin。
Tin「こんなことするつもりじゃなかったんだ」
そこへ、Tulが帰宅。
Ghohinの足元に落ちているガラスのカップをみて、なにかあったと悟るTul。
Tul「一体、どうした?」
Tin「こいつが・・・僕の前に立ちふさがったんだ。僕、なにもしてないよ」
Tul「黙るんだ!Tin!」
Ghohinの傷を確認すると、すぐさま、ティッシュで、血を拭きとるTul。
Tul:兄さんは、もう、甘やかされた弟の味方につかなかった。
Phupha「それで、どうなったの? 弟は、罰を受けたの?」
Tul「もちろん、そうだよ。覚えておきなさい。その子のようないたずらをしてはだめだよ」
Phupha「僕はいいこだよ。いい子になるって誓うよ。僕は、その弟みたいないたずらっ子にはならないよ」
その時、Tinが戻ってくる。
もしかしたら、リビングの外で聞いてた?
無邪気なPhuphaの言葉を聞きながら、仁王立ちしているTinに、視線を向けるTul。
リビングの入り口で、睨みつけているTin。
Tinから、視線をそらさず、話を続け、挑発するTul。
Tul「そうだな、いたずらっ子は、罰を受けるんだ。いたずらっ子は、誰にも望まれない。。。」
耐え切れなくなったTinが、兄の首元をつかみ、立ちあがらせる。
Tin「そうなるように仕向けたのは、その兄だと、なぜ、Phuphaに話してやらないんだ?弟の友達すべてを失わせるように仕向けたのは誰だ? 話してやれよ!」
Tinの顔から眼をそらさず、じっと、薄ら笑いさえ浮かべて、見つめているTul。
Phupha「パパ! 」
TulとTinの間に、入り込み、父親を守ろうとするPhupha。
P「Tinおじさん、パパをいじめないで!」
Phuphaの顔を見下ろし、仕方なく、Tulから手を放すTin。
Tin「よく聞くんだ。その兄や弟のようになってはだめだぞ。姿を偽った悪魔になんかなるな。そして・・・簡単にだまされるような愚かな人間にもなってはいけない。わかったか?」
頷くPhupha。
2階の自室にあがっていくTin。
怯えたように、TulにしがみつくPhupha。
P「パパ、Tinおじさん、すごく怖かった・・・」
Tul「おじさんはちょっと疲れていたんだよ、さぁ、座ろう」
息子をソファに座らせるTul。
Tul「よく覚えておきなさい。二人の兄弟のようになってはいけないよ。特に、兄さんのようにはね。
兄さんは、支払わなければならない代償を背負ったんだ」
おそらく、意味はわからないながらも、悲しい気持ちになったPhuphaが、父親にしがみつく。
「今も払い続けているんだよ」と息子を抱きしめるTul。
~Ghohinの部屋~
テーブルの上の植物に、霧吹きで水をやるGhohin。
ああ、今も生きてるのね。。
雰囲気的に、死んじゃった人なのかと思った。
なんか、Tulの様子を見てると、Ghohinのほうがもしかして、不穏な人物なのかな、って気がしてくる。。。
シンプルで、あまりもののない部屋ね。
机の正面のボードに貼られた、たくさんのTulの写真。
ふと、古傷を押さえるGhohin。
えええええ~~~?
あの傷って、そんなに、ひどかったの?
違うよね。
思い出してるだけだよね。
Ghohin「Tul様、なにかあったのですか?」
おおおおおおおお~~~~、離れていても、つながってる系?
~Tinの部屋のシャワールーム~
ああ、因縁のシャワールームだ。。
2年前から、ここで時が止まっていたんだよ。
もちろん、もう、同じ時間軸じゃないって、わかってるけど。。。
ここで、使ってしまったら、Canとの間での、シャワーは無しだよね。。。
制服のまま、シャワーを頭から浴びるTin。
声をあげて、泣きながら、壁を叩くTinの姿は、おそらく、これが初めてではないってことでしょうね。
すべて、満たされているようで、何一つ、Tinの周りには、温かいものがなかったのね。
番号キーをドアの両側につけ、外界から遮断した自分の部屋ですら、怒りに震えて、熱くなった身体を、冷たく冷やすシャワーだけが、Tinの味方だったんだね。
こぶしを握り締め、鏡に映る自分の姿を見ているTin。
神々しいくらい、綺麗な身体だけど、かえってそれが、人を寄せ付けない感じね・・・。
服を着て、ベッドに腰を下ろすTin。
メッセージの着信音。
Can:お菓子、ありがと。すっげえうまかったよ!
ここ、Tinと一緒に泣きそうになったよ。
このタイミングだよ!
すぐに、電話をかけるTin。
Can「おい、また、電話かけてきた~。まだ、打ち終わってないよ」
耳元から聞こえるCanの声は、機械超しでも、すごく温かいんだよ。
Tin「・・・・・・・」
言葉を絞り出そうとしても、なかなか、声にならないTin。
Tin「もし、お前にあることを話したら、お前、俺を信じるか?」
Can「もちろん。だって、俺の友達じゃん。お前の言うことなら、なんでも信じるよ」
他の人は、口だけでもなんとでも言えるけど、Canのこの言葉に、嘘はない、と、今のTinは知ってる。
躊躇って、躊躇って、ようやく、口を開いたTin。
Tin「昔は、俺にとって、兄貴はすべてだと思ってた・・・。兄貴は、俺が手にしたすべてだった。兄貴の言ったことはたとえどんなことであろうと、俺は信じたよ。・・・・・・兄貴は、俺に、両親は俺を嫌ってると言った。兄貴の言葉なら、どんな言葉でも俺は信じてた。あいつの言った嘘をすべて信じたんだ。あいつは、俺が、麻薬を乱用したと告発された時、俺を助けるといった。」
Can「はぁ? なんだって?」
Tin「俺は、甘やかされた挙句、ろくでもない人間に成長した。その甘やかされたガキは、留学の名目で外国に送られたんだ。俺は、いつもパーティや、たまり場に出かけてたよ。・・・・そして、その時、麻薬を乱用したとして、逮捕された。でも、俺は、以前から、そこが麻薬をやってるパーティーだなんて、知らなかったんだ。・・・俺のことは、ニュースでも報道された。新聞の一面に載ったんだ。“麻薬中毒になった金持ちの子供が海外で逮捕”ってな。」
いつしか、身を震わせて泣きながら、Canに語りかけるTin。
Tin「俺の兄貴は、俺を助けるって言ったんだ。でも・・・その事件の背後にいたのが、兄貴だったんだ。あいつは俺を嫌ってた・・・。俺に死んでほしかったんだ・・・俺からなにもかも取り上げたかったんだ。俺のことを嫌ってたんだ・・・」
涙が止まらないTin。
Can「おい、Tin、お前、いま、どこにいる?」
Tin「・・・・え?」
Can「俺が聞いてるんだよ! お前の家、どこだよ? 俺、いますぐ、お前のところに行くよ。お前の兄貴の顔、ぶんなぐってやる!」
ずっと、誰にも言えず、胸の中にため込んでいたTinに対して、一番言ってほしい言葉を言ってくれる人が、ようやく現れたんだよ。
Can「どこにいるんだよ? 教えてくれよ!」
Tin「Can・・・・、俺、お前に会いに行ってもいいのか?」
Can「なんでダメなんだよ?!」
電話を切るなり、涙をふくと、すぐに部屋を出ていくTin。
この、突き動かされるがままに動き出す、この気持ちを、「切実」というのです。
写真立ての中にいるのは、当時のTinなのかな。
これで、やっと、解放されるのかもね。
~Canの自宅 リビング~
Gucciを隣に抱えながら、ソファに座って、Tinが来るのを今か今かと待っているCan。
Can「Gucci、あいつ、大丈夫だと思うか?」
わかりません・・・とばかりに退場しちゃったGucci。
じりじりしながら、表の様子をみたり、携帯を見たり、落ち着かないCan。
Tin、到着。。
家の前に、ヘッドライトが光ったのを見て、すぐさま、家から飛び出すCan。
門を出たところで、立ち止まるCan。
車から降りるなり、まっすぐ、Canのもとに歩み寄るTin。
今の今まで、泣いていたであろうTinの顔を見て、衝撃を受けるCan。
Canを抱きしめ、ただ、すすり泣くTin。
Tin「本当に、俺の事、信じてくれるんだよな?」
Can「うん・・・信じるよ。」
自分の背中に、ゆっくりと両手を這わせるCanに、ほっとしたように、そのまま、泣き続けるTin。
そっと抱きしめるCan。。。
★【Ep 05】4/4 雑感★
なんとなく、TinとTulの背負ってきた業の本質の一部が見えて来たように思います。
そして、それは、過去の重い蓋を開けない限り、いつまでたっても、清算することはできないものなのね。
いろいろ考えながら、Tinのシャワーシーンを見ていたのですが、韓国ドラマウォッチャーの私は、ふと『星をとって』という、ちょっと前のドラマを思い出してました。
このメタナム家の兄弟と同じ、先妻の息子の兄、後妻の生んだ弟という構成の兄弟が出てくるドラマです。
ただ、根本的に違うのは、そのドラマでは、いわゆる、Tinの母親に当たる後妻が、兄の部屋にだけ、バスルームをつけるのです。
「お兄ちゃんには、これから先、一人っきりで泣きたいときがくるはずだから・・・」
それを、まだ、小さかった自分の息子(弟)に話してきかせてたんですね。
(これはこれで、ほんと、ハートフルなドラマなんです)
そっちのドラマの状況と比較すると、このTulTin兄弟は、まさしく絶望ずんどこ兄弟でしょ。
(ようやく、Tinが一歩、Canという奇跡を見つけ出した矢先だけれど・・・。)
Tulが、最愛の息子に対して、あんなふうに語るのは、もう、自身の希望をすべて諦めた人の言葉のようにしか思えない。
そして、もう一人、テレパシーのように、Tulの不定愁訴を感じ取るGhohinの存在ね。
しまった!
つい、いつもの癖で、サスペンスフルに持っていこうとしちゃった!
愛と希望と再生の物語でありますように。
5話のリアクション動画貼っておきます。