ウイークデーは精力的に仕事ができたのに、週末になると急に気力が萎えてしまうことがあります。せっかく趣味や部屋の片付けなどをしようとすると気力が萎えてしまって動く気がしない。こんなことってありますよね。

 かく言う私もそのひとりです。昨日まではあんなにエネルギッシュだったのに、どうしたことか。時間がもったいなく感じられ、もどかしい気分になります。
 

 このことについてある医師から話を聞いた事があります。こういう時は身体が休めと信号を送っているから素直に休んだ方がいいとのことです。正座を崩したとたん足がしびれることがありますよね。これと同じ状態で、週末のだるさを振り切って動くと無理に正座を続けるのと同じで、身体に無理がかかって危険だとのことです。

  私はこんなときは、潔くあきらめて、ソファで普段見られないケーブルテレビの録画やDVDを鑑賞したりします。眼が疲労しているときは、音楽だけにします。それでも音がうるさくかんじられるような時は普段できない爆睡をします。
 

 車のエンジンだって全開走行を続けていたらいつか壊れてしまいます。あすへのエネルギーチャージと思って、だるい週末はあまり無理をせずにゆっくり休養されてはいかがですか。
 
 私が初めて海外旅行に出たのが、70年代後半のヨーロッパです。今思い出しても、当時の羽田空港の出発ロビーから赤い絨毯を歩いて出国検査場に向かった光景を昨日のことのように思い出します。
 今でも旅行は大好きですが、あの時代特有の空気はすでに過去のもので、空港のスポットに並ぶ旅客機も随分様変わりしました。
 さて今回ご紹介する沢木耕太郎さんの「深夜特急」は、海外旅行が好きな方もそうでない方にもおすすめの力作です。全3巻、文庫版だと全6巻の大作ですが、息もつかせぬほどのおもしろさで、私も題名通り深夜の読書時間を利用して一気に読み終えました。
 私より少し前の70年代前半に沢木耕太郎さんはロンドンに旅立ちます。それも香港までを除き、陸路でユーラシア大陸を横断しヨーロッパを目指したのです。しかもヒッチハイクを中心に、いわゆるバックパッカースタイルで半年間かけてロンドンにたどり着きます。その途中でのエピソードはまさにインディージョーンズのごとく痛快でさわやかです。
 私自身、経済的に余裕のなかった学生時代に泊まった安宿や、鈍行列車のような南回りヨーロッパルートなどが最も記憶に残り、今では自分にとっての無形の財産となりました。社会人になってから泊まった豪華なホテルやファーストクラスの思い出は快適ではあったものの、記憶の中で次第に熟成されるようには思えません。
 私の青春時代と現代とでは、世界情勢は大きく変化し、かつては安全だった場所も危険地域に変わったケースもあります。バックパッカーとして発展途上国を移動するためには現地でのリスクについて十分な情報と準備は欠かせません。特に若い方には危険地域への旅行を避けることと、各国の事情を十分調査してから旅立つことを願ってやみません。
 「深夜特急」はそうしたリスクに配慮せずとも、自宅に居ながらにして旅の醍醐味と青春の息吹を読者に感じさせてくれる名著だと思います。



深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)/新潮社
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深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)/新潮社
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深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)/新潮社
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 何年か前にある自動車メーカーが「エコ替え」という広告をさかんにPRしていました。今の車を燃費のよい新車に変え替えるのがエコですよ、ということなのでしょうが本当にそうでしょうか。 例えば燃費がいいと言われているハイブリッドカーを生産するのには、普通の車に比べてはるかに大きなエネルギーを消費します。廃車にする際のバッテリーの廃棄方法の問題も解決されていません。さらに個人の家計という観点からは、買い替えの際の初期出費もばかになりません。そして下取りした車はどこに行くのでしょうか。誰かが中古車で引き続き乗るのであれば、この車による燃料の消費はどう考えるのでしょう。 このようにトータルな視点で考えずして、エコ替えと呼べるのでしょうか。社会的な観点からトータルなコスト計算をして初めて本当にエコになっているかを検証できるはずです。メーカーの本音は「エコ買え!」ということなのではないでしょうか。 

 さて別のメーカーがワンボックスカーのCMテーマ曲に、映画007シリーズ「ゴールドフィンガー」を使いました。この車に乗ると、ジェームズボンドのような恰好いい身のこなしができるようになるのでしょうか。この車に乗ると急に女性にもてたり、スーツの着こなしやワイン選びが上手になるのでしょうか。原作ではベントレー、映画ではアストンマーチンやロータスを乗りこなしてきたジェームズボンドは恐らくワンボックスを選ばないと思います。ゴールドフィンガーを何度も鑑賞した私としては、あまりに映画の雰囲気とかけ離れているのに驚きます。しかしイメージというのは恐ろしいもので、消費者は無意識にゴールドフィンガーとこの車を頭の中で関連づけてしまいます。この車のCMに出て来るビジネスジェット機も、そのイメージ作りに一役買う事でしょう。 

 最初に書いた社会的あるいは個人的なコストや環境面、あるいは後半に書いた消費者へのイメージ戦略いうことから考えても、消費者は広告のキャッチコピーやイメージ戦略にだまされないようにしたいものです。