会話についてはまた今度書くことにして、
今日はちょっと語彙の話でも。
私たちは様々な場面で類義語を、なんとなく使い分けていますよね。
しかし、
「どういう違いがありますか?」
と聞かれて、すぐに説明できるでしょうか。
やはりここは、類義語辞典などで調べるなど、勉強が必要ですよね。
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しかし、それだけでは十分とは言えません。
よくありがちなのは、学習者に意味の違いを説明するやり方。
それだけでは学習者は理解できません。
もちろん意味の違いを説明することも必要ですが、
同時にどんな文脈で使われて、使われないのか、例文を示す必要があります。
つまり演繹法だけでなく、同時に帰納法的にも学習者に提示しなければならないのです。
たとえば、今日私は留学試験の記述を添削していたんですけれど(日曜なのに・・・)
学生が書いてきた「気持ち」と「気分」の違いが気になりました。
どちらもほとんど同じ使われ方をする類義語ですよね。
さあ、この違いをどうやって説明しましょうか。
まずは類語辞典(↑)などで調べましょうか。
あと、私はこれ↓も参考にします。
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定義としては、どちらも「ある物事に接して抱く心の動き」と出ています。
まあ、学習者には心の状態、とでもいえばいいでしょうか。
問題は違いです。
日本語教師は同じように使える部分も提示しますが、
異なる部分を特に強調して説明します。
風呂上がりのいい気持ち
風呂上がりのいい気分
(どちらもOK)
気持ちを落ち着ける
気分を落ち着ける
(どちらもOK)
気持ちを打ち明ける
ここで気持ち、つまり自分の感情という言う意味では気分という言葉が使えないことが判明します。
さらに、ここから以下のような結論を出します。
気持ちと気分は、心の状態である。
気持ちは精神的な状態(感情)と生理的な状態(体調など)の意味を持つ
気分はあくまで生理的な状態という意味合いのほうが強い
(もちろん、完全に分けられるわけではありませんが)
そのほかにも
気持ち短めに切ってください
とか
新婚気分、遠足気分
などのような特殊な使い方もありますよね。
もちろん、中級で、しかも文脈で求められていなければ、
それは口に出しません。
いろいろ調べると教えたくなるけれど、
教えないことも大事だ、と養成講座時代に言われたことがあります。
そのほか、火曜日の授業の準備をしていて、
「現実」「実際」「本当」の違いを調べたりしました。
この三つ、皆さんはどう説明されるのでしょうか?
やっているうちに、はまってしまうヒャクゴウなのでした。