日本で暮らす外国人住民は昨年6月現在で約296万人に達し過去最高になっており、人手不足に悩む地方の自治体では技能実習生が増えて、居住地は全国に広がっています。
外国人やその家族の、地域や職場での孤立、意思疎通の不備などによるトラブルを防ぐには、一定の日本語能力が不可欠であり、言葉の壁で、暮らしや就労が妨げられる人を減らさなければなりません。
出入国在留管理庁が日本に住む外国人を対象に行った調査では、日本語能力が高いほど生活環境全般の満足度が高かったのです。
しかしそれにも関わらず、日本語を学ぶ環境は整っておらず、「自分のレベルに合った教育を受けられない」「近くに教室がない」との回答が多かったといいます。
2019年に施行された日本語教育推進法は、外国人への日本語教育を国や自治体の責務としており、希望する人が気軽に学べるようにすることは、外国人を受け入れる上での不可欠な基盤です。
文化庁の有識者会議は昨年11月、日本語教育に関する報告書をまとめましたが、自治体が指針として活用することを期待しています。
外国人に身につけてもらいたい語学力の水準を、「日本語で意思疎通を図り、生活できるレベル」としましたが、このレベルに到達するには、350~520時間程度のカリキュラムを1~2年かけて体系的に学ぶ必要があるといいます。
そして、日本語教師の確保や日本語学校などとの連携は都道府県や政令市が、また、教室の設置や運営は市区町村が、それぞれ行うといった形で役割分担も明示されています。
ただ、自治体の財政は厳しく、予算や人材の確保は容易ではなく、その上、日本語教師は大学や日本語学校が多く、仕事を掛け持ちしやすい都市部に集中しており、地方での人材不足は深刻なのです。
そのため、日本語教室のない「空白地域」は全国約1900地区町村の約半数に上っており、そして、ボランティアが教えることも多く、教育レベルのばらつきが指摘されているのです。
近隣の自治体から教師を招いたり、オンライン授業を活用したりして学びの場を確保する工夫も必要で、国も自治体への財政支援を強化し、モデルとなるカリキュラムの作成や教材の提供などを通じて積極的に関与すべきです。
また、政府が実現を目指している日本語教師の国家資格や待遇の改善を通じ、教師の質の高める必要もあり、日本語教育に携わりたいと思う人が増えるような制度作りを進めていくべきなのです。
< 国語もダメな私、外国語をマスターすることなど神業にも思えます。
日本語は難しいと言われているのですから、それなりの制度が特に必要なことは当然だと思うのです。>