茂木幹事長! それは騙しです。 -1/16NHKの日曜討論ででた「新しい資本主義」の中身は- | 野良猫の目

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EMIL@emil418さんが1月16日のNHK日曜討論の一場面をツイーターに上げてくださいました。私は番組の全体を見ていないのですが、この一場面を見る限り、茂木幹事長に言う新しい資本主義のことが理解できませんでした。

 

そこで、彼の言葉を“そのまま”図にしてみました。

 

茂木幹事長は、グリーン・デジタル分野への投資の利益を国民(消費者)が受けるようなことをしたり顔で言っていますが、肝心なところには言及していないようです。

 

 

最初に胡散臭く感じたのは、「様々な業種、様々な企業から投資がすすむ。それによって利益が生まれ、その利益が国民、国民と言うことは消費者、これにまわって」という部分です。

利益がでた場合に最初にそれを受けるのは企業であり消費者ではありません。企業は賃金を支払って労働を調達して(原材料、部品等についてはここでは省略します。)製品を生産し利益を上げますが、利益を上げるのは事業分野に投資した企業であり、国民ではありません

次に、「その利益が国民、国民と言うことは消費者、“これにまわって”」との回りくどい言い方が後に突っ込みに備えて予め逃げをうっていると勘繰ることもできます。しかし、視聴者レベルで聞き流せばこの部分は「(ただちに)国民・消費者が利益を受ける」と単純に受け止めらるのではないでしょうか。

 

更に、茂木幹事長の発言の前提となっているマーケットの状況は、バブル以前の内需依存型(国内循環型)の経済モデルであり、現在の国際化された経済の実情を無視したもののように思います。そこで、上の図に輸出依存、外資を受け入れの要素を描き足して見たのが下の図です。

 

最初に指摘しなければならないポイントは、利益が上がっても直ちには働く者を初めとする国民・消費者の利益にはならないという事です。企業が挙げた利益は投資した企業に回収され、更に株主に配当として支払われ、また役員報酬となります(上図の⑧、⑪)。この場合、外国資本の会社では配当や外国人役員の役員報酬は海外に持ち出されます。

 

2点目は、必ずしも「労働者=マーケットの構成員」ではないということです。輸出産業が典型的ですが、マーケットが海外にあれば国内で消費者がその商品を購入しなくてもよいのです。むしろ海外での競争力を付けるため、日本の労働者の賃金は安ければ安いほどよいということで買い叩かれるのです。

 

こうして見ると、茂木幹事長がしたり顔(ドヤ顔?)で言ったことは、“古き良き時代” の内需依存型のモデルということになるでしょう。

茂木幹事長という人は、街頭インタビューで「経済が大事」とオウム返しする若者程度の知識しかないのでしょうか。自民党の幹事長ともあろう者がそんな訳ないので、結局は国民を騙していると考えるべきなのでしょう。

 

 

総論で言えば日本の経済は今や植民地型の要素が強くなっています。利益が上がれば外資の株主の配当として海外に持ち出されます。また、そんな外資企業が利益を投資に回すにしても、日本より条件がよければ東南アジア等に投資されます。

結局は、日本の労働者は海外の労働市場との競争の下に、不安定な雇用環境、安い賃金、過酷な労働条件で働かされることになっています。そして、植民地型経済のお先棒を担ぐ“ピンハネ(中抜き)企業”が巨額の利益を挙げる構造になっています。

 

「新しい資本主義」とは、アベノミクスの成果を背景に、あらゆる分野の日本のマーケットが焼け野が原になるまで焼き尽くすもの日本を更に外資の草刈場にするもののように思えます。これは年寄りの勘でしかないのですが、今度は庶民の命にかかる医療、介護、教育、保育等々の分野が狙われているような感じがしてなりません。

 

 

 自民党は往々にして、政策について国民に向けて“分かり易い言葉”で“希望に満ちた方針”を打ち出します。しかし、それらが誇大広告というべきものであり、多くの国民にとって不都合なことを隠していることが多いのです。 

自民党の言うことは、「何が語られていないか」を探りながら聞きましょう

 

 

 

 

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