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第54話 繰り返し



志保子:「だから、ピストルの弾を売るんです。」

浅井:「つまり、どういうことかな?」


志保子:「つまり、所長の教材は、一回販売して、
お客さんが学んでしまうと、それで終わりですよね?」

浅井:「まあそうだよね。」

志保子:「それは、お客さんにピストル本体
売っているのと同じことになります。
だから、お客さんに繰り返し繰り返し買って
頂けるようピストル本体ではなく“ピストルの弾”を売るんです。」

浅井:「なるほど。パソコン本体じゃなくてソフトを
売るマイクロソフトの戦略みたいなものだね。
いいたいことはわかるよ・・・。でも、私の場合、
具体的に何を売るのか検討もつかないな。」

志保子:「具体的には、所長の人間学の
教材のアフターフォローとなるもの全般を
売ります。所長の教材は、コンサルタントや
カウンセラーに販売するんですよね?」

浅井:「うんそうだよ。この教材を学べば、誰でも
短期間でクライアントに適切なアドバイスができるんだ。」

志保子:「だったら、その教材を学んだカウンセラー
の人たちに、その教材を学んだ後に欲しがるで
あろう情報ノウハウを売るんです。」

浅井:「教材を学んだ後に欲しい情報ってなんだろう?」

志保子:「例えば、会員制にして、現場の実際の事例を、
所長が分析した“ニューズレター”を毎月送るとか、
コンサルタントが、その人間学のセミナーを開く権利や
ノウハウを売るんです。」

浅井:「なるほど。今回、自分の教材を売ることしか
考えてなかったけど、それは、お客さんにとって
もいいことだよね。」


浅井が興味をしめしたところで、志保子は次の
カードを切った。

志保子:「で、ここからが本題なんですけど・・・」



続く・・・・・・
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第53話 ピストルの弾



寝不足のはずだが、志保子の頭はさえている。
昨晩からの興奮が翌日も続いていた。

朝から雨が降っていたが、ちょうど正午になると、
オフィス街の空は、雲のすきまから太陽が顔を出していた。

近くのカフェで、ランチを食べながら、
志保子は浅井に今後のことについて切り出した。

志保子:「所長、約束の事業プランを考えてきました。」


志保子は興奮を抑えているが、その目が話したい
ことがいっぱいあることを物語っていた。


浅井:「うん。いいプランを考えてきたようだね。
だけど、最初に承知してもらいたいのは、
その事業プランに私がOKを出せないときは、
申し訳ないけど・・・。」

志保子:「もちろんわかってます。」

浅井:「じゃあ説明して・・・」

志保子:「所長は、世の中のカウンセラーや
教育者、コンサルタントが、短期間で学べて、
すぐに現場で使うことができる“人間の教材”
作っていると言ってましたね?」

浅井:「うん。自分で言うのもなんだけど、
実に興味深い教材に仕上がると思うよ。
あと少しで完成する。それを売るということかな?」

志保子:「はい。でもそれだけだと、売り上げは知れて
いますし、そもそも所長が作成して販売しようと思って
いたものを私が売ってもあまり意味ないですよね。」

浅井:「まあそうだね。」

志保子:「だから、ピストルの弾を売るんです。」


何かあるな。浅井は、志保子の目の輝きから感じ取った。


浅井:「つまり、どういうことかな?」


続く・・・・・・
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第52話 アンケート



志保子:「でも、どうやって売れるか売れないか
検討するんですか?」

拓郎:「それはね・・・お客さんに聞くんだ。」

志保子:「???」

拓郎:「あからさまにわからないって顔だな。
いいかい?今あげた商品のアイデアは、
まだカタチだけで中身がないよね。」

志保子:「うん。中身は、所長の人間に関する
知識やノウハウかなって漠然と考えてた。」

拓郎:「売れる知識がすでにあるわけだ。」

志保子:「うん。すごく興味深い話がたくさんあるの。」

拓郎:「でも、売れるかどうかという意味では、お客さんが
知りたいことを売る方が売れるんだよ。」

志保子:「どういうこと?」

拓郎:「お客さんが困っていることや知りたいことを
自分から言ってもらうんだ。これ教えてって。」

志保子:「どうやって?」

拓郎:「アンケートをとればいいのさ。」

志保子:「アンケート???」

拓郎:「やり方を教えるから、所長の許可だけとっておいて。」

志保子:「うん・・・。」


志保子はピンとこなかった。

明日の所長へのプレゼンが刻々と近づいているのに、
こんなやり方でいいのかな、と焦っていた。

しかし、拓郎はあいかわらず余裕だ。

このとき拓郎はしむけはじめていたのだ。

志保子が次の日、所長の度肝を抜く
壮大なプランを語るのを・・・。



続く・・・・・・