(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)



第53話 ピストルの弾



寝不足のはずだが、志保子の頭はさえている。
昨晩からの興奮が翌日も続いていた。

朝から雨が降っていたが、ちょうど正午になると、
オフィス街の空は、雲のすきまから太陽が顔を出していた。

近くのカフェで、ランチを食べながら、
志保子は浅井に今後のことについて切り出した。

志保子:「所長、約束の事業プランを考えてきました。」


志保子は興奮を抑えているが、その目が話したい
ことがいっぱいあることを物語っていた。


浅井:「うん。いいプランを考えてきたようだね。
だけど、最初に承知してもらいたいのは、
その事業プランに私がOKを出せないときは、
申し訳ないけど・・・。」

志保子:「もちろんわかってます。」

浅井:「じゃあ説明して・・・」

志保子:「所長は、世の中のカウンセラーや
教育者、コンサルタントが、短期間で学べて、
すぐに現場で使うことができる“人間の教材”
作っていると言ってましたね?」

浅井:「うん。自分で言うのもなんだけど、
実に興味深い教材に仕上がると思うよ。
あと少しで完成する。それを売るということかな?」

志保子:「はい。でもそれだけだと、売り上げは知れて
いますし、そもそも所長が作成して販売しようと思って
いたものを私が売ってもあまり意味ないですよね。」

浅井:「まあそうだね。」

志保子:「だから、ピストルの弾を売るんです。」


何かあるな。浅井は、志保子の目の輝きから感じ取った。


浅井:「つまり、どういうことかな?」


続く・・・・・・