PRICELESS
『今日、この瞬間に、こうしてみんなと過ごす時間は、最初で最後かもしれません。だからこそ、自分のすべてを懸けてこの1時間に臨みます。魂と魂に、上下関係などないのです。お互いに敬意をもって、本気で心をこめた挨拶で始めましょう。』という感動的なスタートで講義を始めてくださったのは、薬師寺の素晴らしい住職でした。専修大学の寄付講座での一コマです。奈良にあるお寺、東大寺、法隆寺、薬師寺には、お墓がなく、いわば心の在り方を教える学校のようなものだそうです。その心の学校で日々、さまざまな悩みや苦しみを抱えた人と向き合い、ご自身も30年もの修行を積んでいらっしゃる住職からの言葉のプレゼントは、すべてに重みがあり、一同、衝撃をうけました。『人間の煩悩の話』『心の在り方』『運命について』『自分の道を切り開いていく大切さ』などなど、、、どれをとっても、心に残る素晴らしい話ばかりです。ただ、今回、私が最も感動したのは、住職の圧倒的な存在感。それは、毎日を真剣に生きている人にしか出せないオーラであり、この時、この場所に、命をかけて臨んでくださる、というあり方そのもの。本物にしか出せない、メッセージだったのです。一番前で、そのエネルギーがダイレクトに伝わってきたこともあり、講義が終わった後、自分の役割があるにも関わらず、あまりの衝撃に涙があふれて止まらなくなり、立ち上がることができなかった。人の話を聞いて、こんなに号泣してしまったのは、生まれて初めてです。涙だけならまだいいのですが、鼻水も止まらずに本当にぐしゃぐしゃな顔になってしまい、そんな状態で、学生のみんなの前に立って、引き続き今度は自分が先導していかなくてはならない。一瞬、仲間に役割を代わってもらおうか。。。と躊躇したのですが、次の瞬間に、この状態そのものも、素直にみんなに伝えてもいいじゃないか、と思い直しその状態のまま、教壇に立ちました。みんなにどう思われようと、日々いろいろなことを体験している大人でもこんなに感動するような体験を今、学生の時に受講できていることを大切に思い、できるだけ多くのことを吸収してほしい。という気持ちをとにかく伝えたかったのです。笑われるかなと思ったら、100名ほどの学生、一人残らず、真剣な表情で目を輝かせながら、話を聞いてくれたのでした。本当にまっすぐで純粋な心をもつみんなに、こちらの心が揺さぶられます。人に何かを伝える時に大切なことは、『何を伝えるか。』ではなく、『どのような姿勢で伝えるか。』であるということを、住職と学生のみんなから改めて教えてもらいました。純粋な学生が、毎週会うごとに大きく変化してきています。最初の頃にはあまり見受けられなかった、挨拶や笑顔が教室中にあふれるようになり、講義中、寝ている生徒はだれ一人いない。誰もが一瞬一瞬に、目を輝かせながら、真剣に講義に参加している。そんな日々の変化を見ることができること、そのものが、何にもかえがたい価値です。本業でのプロジェクトが多数動いている現在、毎週木曜日がほとんどこの時間にとられてしまうことに、躊躇しなかったかというと嘘がある。けれども、今は、そんなことが、一瞬でも自分の頭をよぎったことを恥ずかしく思います。自分たちが、何かを届けているのではなく、自分たちが、価値観が変わるほどの人生で大切なことを教わっているのでした。