もう去年のいつ頃だっただろう。卓球の練習の時、Tさんから聞いて、しっかりとインプットしていた。行けば買えると言う認識でしかなかった。

時は過ぎ、一昨日の日曜日、数人の集まりの途中で、その店に立ち寄った。私には、どの辺りかは良く分からなくて、一緒に歩いている中のHさんに誘導して貰った。全く途中だったから、時間的な問題はない。

店は分かったものの、「完売しました」と張り紙があるだけで、店は閉まっていた。「販売は12時から・17時から」と書いてあるのも見た。その時は13時30分過ぎだったと思う。2回に時間を決めて販売していることなど、知らなかったのだ。

いつか、どちらかの時間に来ようと決めていた。


いつか、いつか、と言っていたらいつになるか分からない。気になる事は早く解決するに越したことはない。それを今日(24日)決行したのだった。

バスの終点垂水東口に着くと、相変わらず風が強かった。空はからりと晴れているが、この海風の煽りは体の前で半端なく巻き上げる。スカートを押さえて歩く女の人もいる位だ。時には凪いでいるが、雨でも降っていようものなら、傘は差した途端に朝顔になる。そうでなければ、安い傘は骨がばらばらになり使い物にならなくなってしまう。

そんな時、私は濡れても傘は差さない。ここはつむじ風の溜まり場だ。

その店には、12時迄に着くようにした。並んで待つ事を想像していた。待ちたくない、待ちたくない、と思いながら。

この前買って食べた蓬饅頭の店の隣りだ。1人の店員が前に出ており、「1人4斤まで」と言う棒のないプラカードを胸の高さに抱えていた。7分前だったのにもう販売しているようだったが、お客は2、3人いるだけだった。そこに入ろうとすると、

「あちらで並んで下さい」

と言われた。道の反対側に行き、そこが最後だろうと思って並ぼうとしたら、

「最後尾はあちらです」

と、ふっくらとした女性に言われた。何と2列になっていたのだ。その人数は約35人程だった。私の後ろに並んだ人には、

「この辺りは大丈夫だと思いますが、買えなくなるかも知れませんのでその時はすみません」

とか何とか言っていた。私もどうかなとは思ったが、考えても仕方のない事だった。最初に見たあの店員が、3人ずつ店側に呼んでいた。間口は一間だが、狭い販売所に入るには、ガラスの引き戸半分の所を通過しなければならない。ここが本店と言うが、3人位しか入れないスペースのようだった。

回転はそんなに悪いとは感じなかった。後ろに並んだ人の数を数えると、ざっと10人が新たな列を作っていた。
それにしても、恐るべき行列だった。食パン如きに、こんなに並ぶとは。しかし、自分で食べてみなければ、それは氷解する筈もなかった。

2斤だけにしようと思った。すると道を挟んで、5、6歩で渡れるその道は車も通るのだが、2人の若くない女性が話しながら、通って行った。

「ここのパンはすっごく美味しいのよ」

と。私の買う数に変化が起きた。3斤にするように決めた。12時から7分が経った頃、私を含む3人が呼ばれた。

「食パン3斤下さい」

と言った。

「山形ですか、角形ですか」

「えっ」

と言った。

「2種類あるんですよ。でも、焼き方は違っても、中は全く同じで、好みですから」

と、この期に及んでも選択を迫られた。結局、山形を1斤、角形を2斤にした。どっちでも良かったが、折角2種類あるので、2種類とも選択した。

やっと手に入った喜びを友に、バス停まで歩いた。ちょっと触ってみたが、ふわっとした感触が、潰れるのではないかとの懸念を抱かせた。こんな柔らかな食パンに出会った事がなかった。益々興味をそそられ、バスの中では零れ落ちそうな食パンを柔らかく膝に乗せて、揺れながら我が家へととんぼ返りをした。かれこれ1時間の行程だった。

2、3日で食べるようにと、店の外に書き記してあった。冷蔵庫ではなく冷凍庫に入れて置くように指示もしてあった。冷凍なら4、5日位大丈夫だろうと、私は今までの経験でそう思った。賞味期限が過ぎる位の事だろう。

だが、それだからと言ってこのまま冷凍庫に仕舞うのは、馬鹿の骨頂だ。早速封を開けて、5枚切りの1枚を手にした。潰れそうに柔らかだ。そのまま口に入れてみた。ふわっととろけた。このまま食べても美味いと思った。焼く必要もない程に思われた。が、オーブントースターに入れて焼いてもみた。こんがりとしたきつね色が美しく、程よいサクサク感に焼けたようだ。

半分はそのまま食べ、半分はピーナツバターを塗った。牛乳で食べる。美味い。私の心は決まった。いつもと言う訳には行かないが、「垂水へ通うリピーター」になるだろう事を自認した。美味い。並ぶのには、それだけの理由があると、今更ながらのように思った。

少々高いが、たまには態々でも買いに行く事に決めたのだ。これで5枚切りが330円。いつもはコープこうべの「熟成ロイヤル」を食べている。これは280円だが、これも美味しい食パンである。この差額50円のどちらに軍配を上げるか。もう相撲は終わったが、「ふわふわぱんだ」を知ってしまった今、この店「春夏秋冬」のパンの50円高に、迷わず軍配を上げる。

1斤は冷凍庫に入れたが、もう1斤は娘家族に食べさせてみようと思い、今日来たらちょっと講釈をして、渡そうと思っている。

もうブログも終わる。もうちょっと食パンをくり抜いて、口にそのまま入れてみたい。もう分かったのだ、美味いと言う事が。
「ドリーム・コンチェルト」。それは、PACオーケストラとワンコイン・コンサート出演アーティストによるスペシャルコンサートだ。

2時からに間に合うように、兵庫県立芸術文化センター大ホールに向かった。


ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より 二重唱”この心をあなたに”[メゾ・ソプラノ:山田愛子、バリトン:迎肇聡]

R.シュトラウス:ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 op.11[ホルン:木川博史]
  第1楽章 アレグロ
  第2楽章 アンダンテ
  第3楽章 ロンド:アレグロ

     休憩(20分)

ビゼー:歌劇「カルメン」より
  第一幕への前奏曲
  ”ハバネラ”[メゾ・ソプラノ:山田愛子]
  ”闘牛士の歌”[バリトン:迎肇聡]

チャイコフスキー:ヴァイオリン 協奏曲 ニ長調 op.35[ヴァイオリン:瀧村依里]
  第1楽章 アレグロ・モデラート ー モデラート・アッサイ
  第2楽章 カンツォネッタ:アンダンテ
  第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェシモ

満員なら2001名の大ホール。迫力のある音が、8割は埋まっているホールの3階まで這い上がって来る。指揮者はクラウディオ・クルス、オーケストラは兵庫芸術文化センター管弦楽団。

歌唱力の凄さは、ワンコインでの出演者とはとても思えない程。ホルンも牧歌的な音で、心を和ませる。そして、ヴァイオリン。ここでその美しさとテクニックを見せてくれた。特にこのヴァイオリンの演奏は、何と言う素晴らしさだろう。

それぞれに曲の求めに応じてソロが応じる。いいものを聴いた気がした。そして、プロの凄さに舌を巻く。やっぱり素晴らしい。流石にコンサートの性格上アンコールには応じなかったものの、鳴り止まない拍手を聞きながら、ホールを出た。

ジャズとクラシックを昨日今日と続けて聴いた。それぞれの良さを十二分に感じた2日間だった。

このソリスト達は、これからの活躍が楽しみである。

生ビールと芋焼酎2杯とを焼き鳥と共に飲んで帰った。

リオ五輪への女子バレー。4セット目。このセットを取れば最後枠の出場権を得る事が出来る。この3セットで、イタリアは3つ目の枠を取った。頑張れ、にっぽん。

私は飲まないではいられない。観ながら飲むか、終わってから飲むか、それが問題だ。
クロスケは余分だった。だが、またまたシンクロした。シンクロが止まらない。

昨日「アランフェス協奏曲」の楽譜を見て、チックコリアの「スペイン」の最初の部分に「アランフェス協奏曲」の一部が取り込まれていると、悠介が言ったばかりだった。また、あいちゃんが何年前だったか東京ジャズでチックコリアに出会い、感激した話も印象に残っている。

チックコリア絡みで「アランフェス協奏曲」が俄かに色めき立ち、悠介の印象にも強く残ったようだった。

結論を言えば、今日のコンサートの最後の曲が「Spain」だったのだ。勿論チックコリアの作曲だが、宮川真由美(ピアノ)の編曲と小林充(サックス)のBand Arr.で、かなり変わったものになっていた。

夕方7時からスタートしたコンサートは、ザ・シンフォニーホールでのBig Bandだった。Music Director菊池寿人(トランペット)を中心としたジャズバンドで、2度目となる。

菊池寿人と私の共通点は、島根県出身と言う事だけだった。こんな事、広げれば幾らでも見つかるので、それは止めにしておこう。例えば、男だとか。

まあ、実に凄い集団である。これだけよくも集まったものだ。何度でも聴きたいと思う位に素晴らしい。2階の最後尾の席だが、このホールの音響は最高だ。こんな遠くまで、ガンガン響いて来るのだから。

手前からサックス(アルト、テナー、バリトン)が5人。次トロンボーンが4人。その次トランペットが4人。そして、ベース(コントラバス)、ドラムス、ピアノが向かって左側のエリアにいる。16人の構成だ。それは1st stageでの事で、2nd stageにはゲストのパーカッションが加わり、更にヴァイオリンの古澤巌が前半に入って来た。

何と豪華な事だろう。メンバーの名前を書き記して置く事にする。トランペット/菊池寿人、築山昌広、広瀬未来、塩ノ谷幸司。アルトサックス/小林充、藤吉悠。テナーサックス/武井努、高橋知道。バリトンサックス/里村稔。トロンボーン/大島一郎、Tommy、山内淳史、川口哲史。ピアノ/宮川真由美。ベース/藤村竜也。ドラムス/岡本健太。パーカッション(ゲスト)/加瀬田聡。ヴァイオリン(スペシャルゲスト)/古澤巌。

1st stage

(1) Just Friends(John Klenner作曲/Thomas Garling編曲)

(2)Mack The Knife(Kurt Weill作曲/Sammy Nestico編曲)

(3)After You’ve Gone(Turner Layton作曲/Sammy Nestico編曲)

(4)Four Brothers(Jimmy Giuffre作曲/Peter Blair編曲)

(5)シェルブールの雨傘(ピアノトリオ)(Michel Legrand作曲/宮川真由美 編曲)

(6)A Night In Tunisia(Dizzy Gillespie作曲/Michael Philip編曲)

休憩(20分)

2nd stage

(1)オレンジ・ブロッサム・スペシャル(Ervin T.Rouse作曲/伊賀拓郎 編曲/Band Arr.広瀬未来)

(2)Sweet Georgia Brown(Ben Bernie作曲/Band Arr.広瀬未来)

(3)シェヘラザード(アラブの歌~オリエンタル・ダンス)(Rimsky-Korsakov作曲/伊賀拓郎 編曲/Band  Arr.小林充)

(4)マンボNo.5(Pērez Prado作曲/広瀬未来 編曲)

(5)Take Five(Paul Desmond作曲/Tito Puente編曲)

(6)Spain(Chick Corea作曲/宮川真由美 編曲/Band Arr.小林充)

ジャズ集団だから、随所にソロがある。上手いなあと感心する。演奏をどうこう言う前に、その迫力やアレンジに圧倒される。ジャズなどに関心のなかった私が、そのリズムにのめり込んで行く。生涯、これらの楽器で貫くだろう人達の奏でる音は、それは素晴らしい。生涯を賭して行く人生。それは憧れでもある。

7時から9時15分迄の時間は、酔い痴れる時間となった。アンコールは、2曲。最初は古澤巌を入れて「Libertango On Fire」。当たり前に聴けるピアソラではなかった。アレンジがとにかく・・。

2曲目は、古澤巌が下手に消えてからの「Sing,Sing,Sing」。アンコールにしては最高に長い曲だった。聴衆は手拍子し出した。それは、最後迄消えなかった。終盤になってドラムスが1人でたたき出した時は手拍子は止んだが、それはそれは凄いとしか言いようのない撥捌きだった。

曲によっては金管が強過ぎてピアノの音が掻き消されていたりしたが、略全員がソロを聴かせてくれたと思う。それがジャズの醍醐味と言うものだ。


帰りは少し焦った。三宮からの高速バスが10時22分と、最終が30分だからだ。走って福島駅まで行ったり慌てたり。次の駅大阪で快速にも新快速にも間に合いそうだった。快速が早く来るので、それに乗った。もう十分にバスには間に合いそうだった。残念なのはビールが飲めなかった事。

三宮に着くと時間はありそうだ。急にコーラが飲みたくなり、セブンイレブンで1本買い、列に並んだ。行けども行けども列は続き、今迄になかった位後ろに並んだ。このままでは、22分のバスには乗れないかも知れないと思った。

コーラは一気に飲み干し、ボトルは空になった。バスが来て、列は少し前へと進んだ。そのバスは大門橋行きで、大抵その5分後に舞子高校行きが来る。最初のバスが発車すると、列は動き出した。舞子高校行きが来たのだ。乗れなくても、30分の最終には乗れる確信は十分にある。

ぞろぞろ歩いたが、補助椅子でなくても座る事が出来た。すぐに補助椅子の席もいっぱいになり、バスは22分を待って出発した。10時45分には着いたから、23分しか掛からなかった事になる。スムーズに、軽快に高速道路を走ったのだろう。

今時CDを買う人は少ないと思うが、このBig BandのCDは欲しいと思った。だが、2,000円では買えないだろうし、今時の相場は3,000円はするのである。家で何度もガンガン聴いてみたかったが、矢張り大きな出費となる事は分かっているので、今回もCDは止めにした。

いつかまたチャンスが訪れるだろう事を信じている。シンクロクロスケではないが、そう思っていたら、早いうちに手にする事が出来る日が来る事だろう。

もう日は替わり、こんな時間になった。ビールを飲みたい気持ちもあるが、どうしようか思案に暮れている。飲む、飲まない、飲む、飲まない、飲む、飲まない、飲む・・。まさかガーベラの花びらを千切って行く訳にも行かない。

うーん、飲まない、飲む、飲まない、飲む。意志の弱い私は、心はもう冷蔵庫に向いている。ああ、早く卵を茹でて置くべきだった。水から14分。急げ、気が変わらない内に。
昨日花束を見たら、シベリアの蕾だと思っていた花の雄蕊が違っていた。如何にもユリで、しっかり雄蕊に花粉が着いていた。ちょっとでも触れたら、服が台無しになりそうな存在感だ。紫っぽい色だが、これはカサブランカだと思った。まだ、芳香は続いている。

10時過ぎに家を出て、高速バスに乗った。JR三宮駅で、10時45分に、森田悠介と会う事にしていた。「WEST246」でベースとオカリナの練習をする為だ。

東京ジャズに出演した桑原あいちゃんが私に久し振りに会いたいと言っていると言う事で、11時から1時までの2時間の練習の後、合流する事になっている。

やや渋滞の為、悠介と西口で会うのが、ほんの1、2分遅れた。場所が1度やったにも関わらず定かでなかったが、何とか5分前に着いた。もう次はすぐにでも行けると思う。

10数曲をランダムに吹いて、悠介はベースで伴奏を付けたりメロディーを掻き鳴らしたりした。こんなに気持ちよく進んだ事はない。途中で横浜の妹、つまり悠介の母親からスマホで彼に電話が来た。どちらも周りが写るようになっていて、ちょっとの間お互いに顔を見せながら喋った。

「元気?」

「まあ見ての通りだけど、太ったんじゃない?」

と言った。妹以外の女性に言おうものなら、次から話してもくれないだろう。私は、妹たちとは何でもずけずけ言い、お互いにそれには慣れていた。

2人の2ショットも送れと言ったようで、冴えない野郎の2ショットを悠介のスマホで写して送った。

前よりベースの音を大きくして練習した。今日はアウトラインを掴むのが目的になった。10曲はレパートリーが出来た。後は悠介の編曲頼みだ。

ベースとコラボ出来る曲と、チェロが入った方が豊かになる曲とがあった。チェロの蘭奈さんとは、実はまだ話もしていない。私と会う事にはなっているが、まだそこまでには至っていない。もし会えたら、そこで初めて話が進む事になるだろう。

いつか3人でデビュー出来たら、どんなに素敵な事だろうと思う。と言っても、2人はプロだから、もうデビューなどの話ではない。アマチュアの私が2人と一緒に演奏して貰えると言う話だ。この2人に支えて貰えたら、どんなに心強い事だろう。

2時間の練習時間が後30分になった。実際のライブバージョンで、ベースの音を上げ、オカリナもマイクでやってみる事になった。かなりリバーブが掛かっているが、それがまた心地良い。誰かが聴いてくれていたら、もうライブハウスでの演奏だった。私の技術が良いとか悪いとかの問題ではなく、響きの次元においてである。

昔、宗次郎さんの演奏を聴いた時、オカリナを離しているのに、オカリナの音だけが暫く残っていたことがある。まるでそのような感覚を味わった。

3度目の練習だったが、今日が1番自然に出来た。無駄のない、楽しい2時間だった。

彼はあいちゃんと後ドラムなどの2人と、ツアーをしている。まず大分から下関、福山、神戸と来て、今日はオフだったのだ。明日は和歌山、明後日が大阪で、取り敢えず終了となる。

あいちゃんは、私におっちゃんと言ってくれる。悠介ががそう呼んでいたので、あいちゃんもそう呼んで憚らない。後もう1人、私をおっちゃんと呼んでくれる素敵な人がいる。

あいちゃんとはJR神戸駅の改札で待ち合わせた。本当はニューミュンヘンに行き唐揚げを食べ、後は喫茶店に行こうと考えていた。だが、奇しくも昨日の関テレ9時50分からの「よーいドン」で、神戸のフルーツパフェが写っていた。織田信成が、楽しくカフェの様子を醸し出していたのだ。

これはあいちゃんが喜ぶと思った。正にまた起こったシンクロである。

「おっちゃん!」

そう言って、あいちゃんは握手を求めて来た。久し振りだったが、娘か孫、その辺りの女性なのだ。出で立ちがまるで女優だった。

「どの位歩ける? 30分位大丈夫?」

と聞いてみた。

「30分くらい平気だよ。ツアーしていたら、2時間も3時間も歩くよ」

それで安心した。

「そこまで5分だから」

元町商店街の入り口に三角公園がある。そのすぐ近くだと言う。「フルーツカフェSaita! Saita!」と言う。昨日、私は行ってみたいと思っていた。ここに、唐揚げの後で連れて行こうと考えた。だが、悠介に事前の聞き込み。あいちゃんは、揚げ物に弱いと言う事だった。ならば、昼食はここ「Saita! Saita!」が一石二鳥と言うものだ。

フルーツは大好きと言う。3人は店に入って行った。

昨日のTVでは、フルーツサンドが一押しだと言っていて、織田信成が美味しそうに頬張っていた。暫く考えて、3人はフルーツサンドになった。私とあいちゃんはすぐに決まっていた。飲みものもセットにすれば200円安くなると言う。私はコーヒーを飲んでいなかったので、ホットをブラックで。あいちゃんはアボカドのスムージー。悠介はグレープフルーツのスムージー。どちらも数種類の果物が入っている。

もう1杯飲みたい位の美味しさだったようだ。サンドイッチは、キウイとイチゴと後何かが入っていたが、感動しながら食べていたら、何が挟んであったか忘れてしまった。この後王子動物園に行きたいと言っていたので、

「じゃあ出ようか」

と言ってみたが、すんなりと立たなかった。

「動物園は何時までなの?」

「5時まで」

「じゃあ出なくちゃ」

もう2時半近かった。

「1時間もいたらいいから。コアラが見たいだけなので」

コアラに赤ちゃんが生まれたようだった。

「パンダが見たいの?」

「違う! コアラ!」

「そりゃそうだね。パンダとコアラじゃ随分違う」

「色々見た方がいいと思うよ」

「私は、コアラとゴリラが見たいだけだから」

まあそうそう言いながら、この店を出た。悠介は出がけにマスターからベースの事を聞かれ、名前も告げたと言った。実はここのマスター、ダブルベースを弾き、奥様はヴァイオリンを弾いている。どちらもどこかの楽団でステージに上がっていたと言う。昨日は、どちらもちょっとだけ弾いていたが、いつか私も聴かせて貰おうと思う。

私がこの店に来てみたかったのは、それも大きな理由である。悠介もあいちゃんも、どちらも音楽家なのだから、無言の通じ合いも感じられるだろうと考えた。あいちゃんは、ジャズピアニストである。東京ジャズでチックコリアと出会って、彼女は痛く感激していたのだ。

因みにあいちゃんは、7月から9月までアメリカのロス辺りに演奏などに行く事になっている。悠介は8月に合流する。あいちゃんは、そこで数々のカリスマプレーヤーと共演する。私と同じ位の年の演奏家達と。ドラマーなど、有名過ぎる人らしい。

神戸駅で別れ、私は垂水へ、彼らは三宮まで行きそこから阪急に乗り換え王子公園駅へと。


私は、垂水の王将に入って行った。

「あの席に座るので、生ビールを持って来ておいて下さい」

すると、落ち着いた感じの女性店員はすかさずこう言った。

「車は大丈夫ですか」

「はい」

そう言ってトイレに入った。すぐに気の利いた言葉を返せば良かったと、トイレの中で思った。

生中がテーブルに置かれていた。注文の為、その人を呼んだ。あの時の返しの言葉を言おうと思った。何だかとってつけたみたいだったので、それは口から出なかった。

半分の酢豚と唐揚げ、餃子1人前を注文した。暫くして男の店員が酢豚をもって来た。唐揚げも持って来た。餃子は最後になったが、それを持って来たのはあの女性店員だった。この時がラストチャンスだ。と言ってもタイミングを逸している。大の古稀の爺さんが言うのも憚られる。が、口を開いた。

「さっき車の事を聞かれましたね」

その店員は、えっと言うような真顔になって私を見つめた。どうしよう、と言ったような顔は、私から離れなかった。

「火の車です」

店員は急に固い顔を崩し、ガハハと笑った。私はすましてビールを飲んだ。2杯飲むとバス停に行き、垂水から我が家へと揺られて行った。揺れが効いたのか、気分良く相撲を観る事が出来た。もう、夕食は要らない。

7時からあるMBSテレビの「プレバト」の俳句は、特に私のお気に入りである。俳人夏井いつきさんの添削が、私も感心してしまう程である。こんなに堂々としている俳人は、今迄に見た事がない。
それはガーベラの花言葉だった。しかも、黄色いガーベラの。

恵那から2泊3日で来ていた娘夫婦は14日の夜は比較的早く、それでも夕食が普通よりは遅い、夜8時半過ぎに帰って来た。私は入浴も済ませ、帰って来るのを待ち構えていた。

恵那の旦那と飲む為だった。ビールは2日間飲んだ。こちらで用意していたのは、13日がキリンの一番搾り。14日がアサヒ スーパー・ドリームだったが、14日は気を遣ったのか、アサヒスーパードライを買って帰って来た。3種類飲んだが、どれも味わい深く、みんな好みの味だ。珍らしさも手伝って、私はアサヒスーパー・ドリームに今回軍配を上げた。

12時まで飲んで寝た。15日も早く、仕事で旧万博会場に5時に出掛けると言っていた。だが、流石に5時は無理だったようで、6時過ぎに2人は我が家を出た。夕方仕事を終えるとそのまま恵那に帰る強行軍だった。

私は演奏に必要なものの準備をした。竜が台地域福祉センターに行く為だった。8時過ぎから最後の練習をし、9時からは「題名のない音楽会」を聴き、難敵の1、2曲を吹くと10時前になった。演奏者は衣装も大切で、舞台衣装を買いにユニクロに出掛けた。10時オープンだから。

恰好いい事を書いたが、つまり娘のアドバイスで、プレーンな白いTシャツを買う為に。ゆっくり花屋さんの花を見る余裕もなかった。プレーンと言う事で、装飾も何もない真っ白なものにした。締めて1,080円のお買い上げである。

家に帰るとオカリナ、オーディオ、譜面台、鞄を玄関に置き、買ったばかりの白いTシャツを着、白いパンツを穿き、涼しげな薄青色の上着を纏った。靴下は、三ノ宮の靴下専門の店で何年か前に買っていた、新しい靴下を履く事にした。錨の模様が付いた面白いものだ。

ほんの少し時間があったので、パソコンでニュースを見たりブログを見たりしていた。11時30分前に車に乗った。2014年4月6日にKi君の誘いで実現した、同じ会場へ向かう為に。2年前のその日は雨が降り、霰が降り、曇り、晴れ、桜見所の話ではなかった。外で花見をしている人など、ある筈もなかった。

Ki君の家の前に車は置かせてもらい、2人で会場まで歩いた。地域の人達から、もう1度私の演奏が聴きたいと言う話があったそうだ。大した演奏ではなかったが、そうして覚えて貰っていた事が嬉しい。

1時30分から2時30分までの予定だが、先ず弁当をよばれた。お茶が一緒に付いていて喉を潤す事が出来た。会場ではテーブルが並べられ、沢山の人が同じ弁当を食べていた。外では餅つきをしている。熱い位のいい天気だった。皆よく働きよく協力する、雰囲気のいい自治会である。今年は会長は代わっているが、Ki君の人望の厚さと人柄の良さがその根底を流れている。

暫く話していると、もう餅つきも終わり、早く演奏を始めてもいいかと聞きに来た。1時半からといってあるなら時間通りがいいと思うが、30数分をどうするかと言う話があったようだ。1時からはどうかと聞いて来たが、1時半からと思って来た人は、半分近くは聴けなくなる。

それでも、主催者の前で建前を通す筋合いもない。そこで、15分からにして貰った。

餅つきが初めにあり、それで帰った人もあるようで、参加者は100人位だと聞いていたが、最終的には60人位になった。

外のテントを近付けて、窓を開いて聴いて貰えばと今の会長は言ったが、100人集まるとも思われず、それより音響の関係で窓は閉めて置いた方がいいので、それは止めて貰った。立つ人が出るのではとの懸念もあったが、最終的には、全員が椅子に座って聴く事が出来た。

兎に角演奏は気持ち良く出来た。気持ち良く聴いて貰えたかどうかは聞いてみなければ分からない。が、何とか終わった事にほっとしている。

最後に花束を頂く事になった。花がまき散らす香り。それは甘くも強烈だった。こんなに匂うものなのかと、改めて花の香りに感動していた。大きな束ねられた花束。両手でしっかり抱えられる感じの美しい花々。この匂いは、会場中に溢れた事だろう。

Ki君は皆の片付けが終わるまでいて、私はそれまで待った。以前の会長だから、そのまま帰れなかった誠実さと責任感の故だろう。素晴らしい事だと思った。

Ki君の息子さん夫婦と女の子のお孫さん2人。6人で彼の家まで歩いた。荷物は手分けして持ってくれた。今日はひょっとしてこの夫婦家族も、私の演奏を聴きに来てくれていたのか。今更ながら、そう思った。一番前で4人並んで聴いてくれていた。

この状況では、Ki君と飲みに行く訳にも行くまいなと、珍しくも空気を読んだりした。

じゃあまた、と言う事で、車に乗ると只管家に向かった。家に帰れば残りのビールがある。恵那の息子と飲んだ芋焼酎もある。彼はいないが、時間を気にせず飲めると思うと、オカリナ演奏を終えた安ど感があった。

台所のテーブルに花束を置くと、その匂いはより一層強く甘く充満した。凄い芳香を放つ。

昨日の残りもあったから、あてには困らなかったが、前から食べてみたいものがあり、王将へ出かけた。それをあてにして飲みたかった。餃子弁当(650円)だった。餃子6切れ、唐揚げ2個、チャーハンで、塩もたれも入っている。中々の弁当だと思った。

或るライブで聞いて忘れられないMCがある。

「お母さんと2人の子供が商店街を歩いていました。お昼は何を食べようか考えていたのです。後ろを歩く2人の子供はチャーハンが食べたいと思いました。チャーハンがいいと決まるや、初めは小さい声だったのに、次第に周りにも聞こえる程の大きな声になって行きました。『チャーハン』『チャーハン』『チャーハン』。流石に母親は後戻りをして叱りました。『やきめしい!』」

待つ間上の方を見ると、ワインが3本写真になっていた。1本は1,000円ちょいで、赤、白、ロゼと並んでいた。餃子にはロゼが合うなどとも書かれていた。そう言えば、ロゼなんて最近とんと飲んでいない。美味しそうな気がした。

貰って帰れるか聞いたが、持ち帰りは出来ないと言われた。それで、帰りにローソンに寄った。ぐるっと見回したが、ロゼはなかったと思う。いつもはポリフェノールだとか何とか言いながら赤ワインを飲むが、ロゼに近いと思われる白ワインを選んだ。フランスで一番良く飲まれている初上陸のワインだそうだ。信じてはいないが、720mlが1,000円ならと、遂に買ってしまった。ご苦労さん会を1人でしたって悪くはなかろうと思い・・。

帰ると家中が花の匂いに包まれていた。玄関の下駄箱の上に所狭しと競って顔を覗かせていた。一体この匂いはと、花を嗅いでみた。ピンクのバラも匂った。カーネーションはそんな感じではない。他の2つとガーベラは匂いの対象外だ。

まるで君臨しているかのような、蕾と花開いたカサブランカがある。原因はこれだったのだ。そして、バラともコラボして、今迄に嗅いだ事もない強烈さでその存在をアピールするかのようだった。この部屋にまで微かに入り込んでいる。

ガーベラは色んな色があるが、その花言葉はその色に依って違うので、人に上げる時はその言葉に相応しいガーベラを上げると喜ばれるだろう。ここに混じっているのは、黄色いガーベラだった。それは究極の美・究極の愛。そう言われても、私にはその究極が何たるかが分からない。

赤い実が付いているようなものもある。カーネーションもバラもピンクで、カサブランカは紫色に近い。赤い添え物の役割りのものやガーベラは色が鮮やかだ。色のコーディネートがとても素敵だ。

部屋の戸を開けて玄関に行ってみると、途端にその強烈な匂いは、しかし甘く隈なく充満していた。



※このカサブランカだと書いていたのは、実はシベリアではないかとの思いが強くなりました。第一、皆さんが花粉の事を心配して下さるのですが、そんな感じが全くなかったのです。おしべの先に、あの独特の如何にもくっ付きそうな花粉がないのです。おしべと思われる先が、シュッと細長くなっているだけなのです。カサブランカは言葉の響きも良いので訂正はしませんが、よく似たシベリアと言う種類だと思います。