もう去年のいつ頃だっただろう。卓球の練習の時、Tさんから聞いて、しっかりとインプットしていた。行けば買えると言う認識でしかなかった。
時は過ぎ、一昨日の日曜日、数人の集まりの途中で、その店に立ち寄った。私には、どの辺りかは良く分からなくて、一緒に歩いている中のHさんに誘導して貰った。全く途中だったから、時間的な問題はない。
店は分かったものの、「完売しました」と張り紙があるだけで、店は閉まっていた。「販売は12時から・17時から」と書いてあるのも見た。その時は13時30分過ぎだったと思う。2回に時間を決めて販売していることなど、知らなかったのだ。
いつか、どちらかの時間に来ようと決めていた。
いつか、いつか、と言っていたらいつになるか分からない。気になる事は早く解決するに越したことはない。それを今日(24日)決行したのだった。
バスの終点垂水東口に着くと、相変わらず風が強かった。空はからりと晴れているが、この海風の煽りは体の前で半端なく巻き上げる。スカートを押さえて歩く女の人もいる位だ。時には凪いでいるが、雨でも降っていようものなら、傘は差した途端に朝顔になる。そうでなければ、安い傘は骨がばらばらになり使い物にならなくなってしまう。
そんな時、私は濡れても傘は差さない。ここはつむじ風の溜まり場だ。
その店には、12時迄に着くようにした。並んで待つ事を想像していた。待ちたくない、待ちたくない、と思いながら。
この前買って食べた蓬饅頭の店の隣りだ。1人の店員が前に出ており、「1人4斤まで」と言う棒のないプラカードを胸の高さに抱えていた。7分前だったのにもう販売しているようだったが、お客は2、3人いるだけだった。そこに入ろうとすると、
「あちらで並んで下さい」
と言われた。道の反対側に行き、そこが最後だろうと思って並ぼうとしたら、
「最後尾はあちらです」
と、ふっくらとした女性に言われた。何と2列になっていたのだ。その人数は約35人程だった。私の後ろに並んだ人には、
「この辺りは大丈夫だと思いますが、買えなくなるかも知れませんのでその時はすみません」
とか何とか言っていた。私もどうかなとは思ったが、考えても仕方のない事だった。最初に見たあの店員が、3人ずつ店側に呼んでいた。間口は一間だが、狭い販売所に入るには、ガラスの引き戸半分の所を通過しなければならない。ここが本店と言うが、3人位しか入れないスペースのようだった。
回転はそんなに悪いとは感じなかった。後ろに並んだ人の数を数えると、ざっと10人が新たな列を作っていた。
それにしても、恐るべき行列だった。食パン如きに、こんなに並ぶとは。しかし、自分で食べてみなければ、それは氷解する筈もなかった。
2斤だけにしようと思った。すると道を挟んで、5、6歩で渡れるその道は車も通るのだが、2人の若くない女性が話しながら、通って行った。
「ここのパンはすっごく美味しいのよ」
と。私の買う数に変化が起きた。3斤にするように決めた。12時から7分が経った頃、私を含む3人が呼ばれた。
「食パン3斤下さい」
と言った。
「山形ですか、角形ですか」
「えっ」
と言った。
「2種類あるんですよ。でも、焼き方は違っても、中は全く同じで、好みですから」
と、この期に及んでも選択を迫られた。結局、山形を1斤、角形を2斤にした。どっちでも良かったが、折角2種類あるので、2種類とも選択した。
やっと手に入った喜びを友に、バス停まで歩いた。ちょっと触ってみたが、ふわっとした感触が、潰れるのではないかとの懸念を抱かせた。こんな柔らかな食パンに出会った事がなかった。益々興味をそそられ、バスの中では零れ落ちそうな食パンを柔らかく膝に乗せて、揺れながら我が家へととんぼ返りをした。かれこれ1時間の行程だった。
2、3日で食べるようにと、店の外に書き記してあった。冷蔵庫ではなく冷凍庫に入れて置くように指示もしてあった。冷凍なら4、5日位大丈夫だろうと、私は今までの経験でそう思った。賞味期限が過ぎる位の事だろう。
だが、それだからと言ってこのまま冷凍庫に仕舞うのは、馬鹿の骨頂だ。早速封を開けて、5枚切りの1枚を手にした。潰れそうに柔らかだ。そのまま口に入れてみた。ふわっととろけた。このまま食べても美味いと思った。焼く必要もない程に思われた。が、オーブントースターに入れて焼いてもみた。こんがりとしたきつね色が美しく、程よいサクサク感に焼けたようだ。
半分はそのまま食べ、半分はピーナツバターを塗った。牛乳で食べる。美味い。私の心は決まった。いつもと言う訳には行かないが、「垂水へ通うリピーター」になるだろう事を自認した。美味い。並ぶのには、それだけの理由があると、今更ながらのように思った。
少々高いが、たまには態々でも買いに行く事に決めたのだ。これで5枚切りが330円。いつもはコープこうべの「熟成ロイヤル」を食べている。これは280円だが、これも美味しい食パンである。この差額50円のどちらに軍配を上げるか。もう相撲は終わったが、「ふわふわぱんだ」を知ってしまった今、この店「春夏秋冬」のパンの50円高に、迷わず軍配を上げる。
1斤は冷凍庫に入れたが、もう1斤は娘家族に食べさせてみようと思い、今日来たらちょっと講釈をして、渡そうと思っている。
もうブログも終わる。もうちょっと食パンをくり抜いて、口にそのまま入れてみたい。もう分かったのだ、美味いと言う事が。