コンプライアンス違反事案が続出しています。

日本企業の品質管理の卓越性はどこに行ったのでしょうか?

どうして、規則・ルールが守れないのか。

どうして、悪いと知っていながら、違反行為をしてしまうのか。

 

コンプライアンスは法令順守といわれるが、

六法全書に掲載されている成文の法だけを守ればいいのではありません。

不文律も「法」です。

つまり、コンプライアンスは不文律にも従うことなのです。

このことは新渡戸稲造が『武士道』で買いていました。

 

武士道とは、武士が守るべきものとして要求され、あるいは教育をうける道徳的徳目の作法である。
それは成文法ではない。

せいぜい口伝によるか、著名な武士や家臣の筆になるいくつかの格言によって成り立っている。

それは、時には語られず、書かれることもない作法である。

それだけに、実際の行動にあたってはますます強力な拘束力をもち、人びとの心に刻みこまれた掟である。

 

武士道はどのような有能な人物であろうとも、一個の頭脳が創造しえたものではない。

また、いかなる卓抜な人物であったとしても、ある人物がその生涯を賭けて作りだしたものでもなかった。

むしろ、それは何十年、何百年にもわたって武士の生き方の有機的産物であった。


『武士道』(新渡戸部稲造)

 下線は引用者

 

不文律だからこそ強い拘束力を持つ。

この言葉には目からウロコが落ちました。

 

現代語訳 武士道 (ちくま新書)
現代語訳 武士道 (ちくま新書) 新渡戸 稲造 山本 博文

筑摩書房 2010-08-06
売り上げランキング : 10119


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

KJ法を作った川喜田二郎氏の本を読み返しています。

理由は、KJ法の本質を知りたかったから。

「傾聴」もそうですが、KJ法も半解のまま、知ったかぶりで使っています。

でも、技法の本質は奥深いところにあるはずです。

そこを学ぼうとする意欲を持つことが講師の誠実性となるとおもっています。

 

で、本を読み進めるうちに出会ったことばが「作品なくして観賞なく、観賞なくして評価なし」です。

 

問題のポイントはこうだ。

人間というものは、テーマとなった事がらについて、その意味を構造的にも説明的にもよく理解し、よく味わった上でないと、ほんとうに納得のいく評価に到達できないのである。


単に個々の事がらを列挙的に「知った」だけでは、よい評価はできないのだ。

そして、第三ラウンド末のような納得性の高い評価ができるということは、そこに作品があったからこそである。
 

この事例の底に潜んでいる本質は、人間らしさのある組織を創りあげる上に、きわめて重要なものである。

それを一般化していうと、「作品なくして観賞なく、観賞なくして評価なし」ということだ。

 

もしも「作品→観賞→評価」という流れを堂々と踏みしめるなら、評価というものは人を励まし活かすものとなる。なくてはならないものとなる。

 

ところが、観賞もなく、いわんや作品もなく評価に及ぶとき、そのような評価は相手の魂を凍らせ、切り殺してしまう。怨嗟の的となるのだ。
 

上司が部下の仕事をロクロク観賞もしないで評価している光景を想像すれば、意味はお判りいただけるものと思う。


そこで、人間が自分のやった仕事の結果を、どのようにして誰にもわかる作品とするか。

またその作品を、自分白身や周囲の人びとがいかにして観賞の機会を持つか。

そうしてその観賞に基づいて、どんな具合に評価するか。

このような「作品→観賞→評価」の流れをいかにしてシステム化し慣行化して組織の中に定着さすか。

 

『移動大学』(川喜田二郎編著):鹿島出版会

 

 

川喜田二郎の仕事と自画像―野外科学・KJ法・移動大学
川喜田二郎の仕事と自画像―野外科学・KJ法・移動大学 川喜田 喜美子 高山 龍三

ミネルヴァ書房 2010-04-01
売り上げランキング : 589929


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

研修のアンケートというものはいやなものです。

「いい研修だったぁ」と講師と研修屋が一緒に納得して、36人中35人が「とてもよかった」に☑しても、1人がネガティブな書きこみをすると、それに引きづられて、研修の印象が悪くなります。

クライアント担当者もわかっている人はわかってくれますが、報告を上司に上げるにはどうしても、アンケート結果と自由記述を書いておかないといけません。

そこに一行、ネガティブ書きこみがあると、ややこしいことになります。

 

そんな悩みをもっているとき『アンケートの作り方・活かし方』大久保一彦著・PHPビジネス新書を読んでいたら、素晴らしいアンケート文作成のコツに出会いました。

 

******************************************************

アンケートでお客様の印象をある程度コントロールする方法があります。
このアンケートの狙いは、嫌なことを忘れてもらうこと、いい印象を引っ張り出すことの二つです。

この狙いのアンケートについてお話しする前に、アンケーートの最後によく見かける質問を見てみましょう。それが、この問いかけです。
 「お気づきの点がございましたら、ご記入ください」

このような質問をすると、良かった点よりも悪かった点が書かれることが多くなります。
日本人は「悪かったこと」「できなかったこと」を書くほうが得意で、良い点をほめることが苦手な人が多いからです。

指摘された点を改善し、お客様の要望に応えて喜んでもらおうという姿勢が会社や店にあるのなら、このような質問は有効です。

しかし、「人がいないから」「それはその店の客層だけの話だ」「経費がかかる」といった都合で、アンケートに書かれた意見が黙殺されるケースも少なくありません。

そうなると、お客様に「なんだ、アンケーートをやっておきながら何も変わらないなら、こんなの書いてもムダじやないか!」と思われ、再購入が見込めなくなるリスクも認知ゅうあります。

ここで「お気づきの点がございましたら、ご記入ください」に変わる、お勧めの質問があります。

それが、次の問いかけです。

「お客様の喜びの声を聞くと、私たちは励みになります。喜びの声をご記入ください」

この質問に変えると、問題点や不満に対する書き込みが激減します。
そして、従業員に対する感謝の言葉や、商品(サービス)に対する好意的な意見などが記入されやすくなります。

また、書くことで鮮明に記憶される効果もあります。
もし、商品サービスに何か問題があったとしても、ちょっとしたことであればすぐ記憶から消えるものです。

しかし、書いてしまうとしっかり記憶に残ります。
「たいしたことでもないのに、書いているうちにムカムカしてきた」という経験はないでしょうか? 

それは、書くことで記憶がより鮮明になったせいなのです。

反対に、ちょっとしたいい印象でも、書くことでお客様の記憶に残すことができます。

「お客様の喜びの声を問くと、私たちは励みになります。喜びの声をご記入ください」という質問は、

お客様のいい印象を引っ張り出し、ちょっとした嫌なことを忘れてもらう最適な言葉です。

もちろん、悪い点をそのままにしていいということではありませんが、嫌な印象を忘れてもらうことも、お客様との関係を築くためには大切なことなのです。

********************************************************

これは早速、使わせていただいています!

 



 

アンケートの作り方・活かし方 (PHPビジネス新書)
アンケートの作り方・活かし方 (PHPビジネス新書)

承前です。

マルコム・トンプソンさんは、同書のなかで、日本人顧客がホテルの価値を決定する20項目を挙げています。


 1 チェックイン時の予約情報の正確さ
 2 バスルームの清潔度
 3 フロントスタッフの好感度
 4 客室の香りのよさ
 5 客室の清潔度
 6 「手間のかからない」滞在
 7 客に対する従業員の関心度
 8 客室の静かさ
 9 ホテルスタソフのプロフェショナル度
 10 従業員のやる気
 11 安全な環境
 12 請求書の正確さ
 13 適度な室温
 14 サービスリクエストに対する反応
 15 予約受付係の好感度
 16 価格に見合った価値
 17 ホテルとその施設に関する従業員の知識度
 18 心地よいベッドと家具
 19 ホテルのロケーション
 20 チェックインの効率
 

研修屋・城築学も出張が多いのですが、私も同じような基準でホテルを選んでいます。

私のお気に入りはリッチモンドホテルさんとロイネットホテルさんです。

いつもお世話になっています。

 

 

日本が教えてくれるホスピタリティの神髄
日本が教えてくれるホスピタリティの神髄

サービスとホスピタリティの違いについて、ザペニンシュラ東京 総支配人だったマルコム・トンプソン氏はこう以下のように述べています。

ホスピタリティ研修の相談をされるときは、いつもこの文章をお客様にお伝えしています。

そこから、研修内容についてディスカッションを行っています。


◆「サービス」と「ホスピタリティ」は、どう違うのか
 さて私は、よい「サービス」のために、いかに人材が重要かということを述べてきました。ここで別の角度から「サービス」について見てみたいと思います。
 「サービス」に似た言葉に、本書のタイトルにも用いた「ホスピタリティ」があります。
 両者は混同されることも多いのですが、私なりの考えをまとめておきましょう。
 一般的に、「サービスは従属関係で、ホスピタリティは対等関係」などと解説されます。それは両者の語源であるラテン語をたどることによって導かれたものです。簡単に記せば、次のようになります。

■サービス
 (語源)「奴隷」を意味する「Servus」
 (類語)「召使い」(Servant)
 (概念)従者が主人に仕えること
■ホスピタリティ
 (語源)「客人の保護者」を意味する日「Hospes」
 (類語)「病院」(Hostel)
 (概念)対等を前提とした主人と客人の関係

辞典的な解説では、こうなっています。しかし、私の考えは異なります。結論から述べましょう。
 

「サービス」と「ホスピタリティ」は一体化したものです。

「サービス」は「ホスピタリティ」という歯車を回す潤滑油のようなものであり、それがあることで全体が円滑に運営されるのです。
 

また「ホスピタリティ」は感覚的なもの、形のないもので、触れることはできません。

しかし「サービス」は実際に見ることができ、有形に近いものです。そのためにはスキルやテクニックが要求されます。


 お客様の視点で言えば、「ホスピタリティ」はお客様の経験全体を指し、そこで感じられる感覚、印象です。

 その経験をよどみなく回しつづけるために必要なのが、「サービス」という潤滑油なのです。

 


『日本が教えてくれるホスピタリティの神髄』(マルコム・トンプソン)ザペニンシュラ東京 元総支配人 祥伝社刊

 

 

 

日本が教えてくれるホスピタリティの神髄
日本が教えてくれるホスピタリティの神髄

普段、人の話をよく聞いているつもりが、本当にその人が言いたいことをそのまま聞いていることは意外に少ない。

自分の関心のあることだけ聞いていたり、都合のいいように聞いていたり、先走って勝手に先を想像して聞いていたりする。

あるいは、すきあらば反論しようとして、理解するためでなく自分の考えとの違いを見つけるために聞いていたりする。

 

そして最後まで聞かずに、すぐ口をはさむ。

多くの人は人の話を聞くより、自分が話すことを聞いて欲しいのだ。

みんながそう思っていたら、ただ言いたいことの応酬で言葉は空中に飛び交うだけだ。
 

言葉の奥にある気持ちまで含めて、真に共感的に理解しようとして人に耳を傾けることは、なかなか難しい。

本当に深く聴きあうことができたら、どんなにお互いの理解が深まるだろう。世界はどんなに平和になるだろう。
 
持った人だけが心の底から話し、持たない人は全身全霊を傾けて聴く、という「トーキング・スティック」を使う場で、私はずいぶん深く「聴く」ことを学んだ。

人の言葉やその奥にある気持ち、さらには発言の背景となる価値観やそれを育んだ人生史まで想像して聴くようになる。

途中で口ははさめないから、その人の文脈で最後まで一緒に寄り添いながら聴く。

その人が感じたことは、その人なりの真実だから、正しいとか間違っているとかの問題ではない。

批判するのでなく、そのまま聞き届け、受けとめればいいのだ。

様々な感じ方や考え方があることを素直に受け入れられれば、その多様な違いを豊かさとして感じることもできる。

そして、自分が話すときに、しっかり受けとめて聴いてもらえると、他の人の話もしっかり聴こうという気になるものだ。

また、自分自身をも深く聴くことを学ぶ。

 

「今、感じていること、本当に話したいことを話せ」と急に言われても、じっと自分自身に耳を傾けないとわからない。

自分が今感じていることって何だろう、本 当に話したいことってなんだろう、と。
 『ワークショップ』(中野民夫著):岩波新書から

 

この一文、いいでしょう!

仲のいい研修講師から教えてもらいました。

ある研修団体のテキストで引用されていたそうです。

 

「無視と傾聴」のワークを行って、教室が盛り上がる。

そうして、「どうです、聴くということの大切さがわかりましたか。部下の話を聴いていましたか?」などと適当に言う講師のおおいのが現状です。

 

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)
ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書) 中野 民夫

岩波書店 2001-01-19
売り上げランキング : 35971


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

マッキンゼー在籍25年、パートナー経験20年の中で膨大な仕事を経験してきた山梨氏が、「生産性が劇的に上がる働き方」を公開しています。

 

山梨広一氏が規定する「いい努力とは」この7つです。


1.成果につながるもの
2.目的が明確なもの
3.時間軸を的確に意識しているもの
4.生産性が高いもの
5.充実感を伴うもの
6.成功パターンが得られるもの
7.成長を伴うもの

これを質問文にすれば、自己チェックに活用できます。

 

マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力
山梨 広一

4478039585

関連商品
47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?
トヨタとマッキンゼーで学んだ「思考整理術」 (プレジデントムック)
必ずできる。
コミック 鏡の法則 +幸せを引き寄せる18のメッセージ
マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか トップコンサルタントの考える技術・書く技術
シンプルな戦略: 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ
3原則 働き方を自分らしくデザインする
マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣
生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
[図解]一流の人が大切にしている人生がすべてうまくいく習慣38

by G-Tools