サービスとホスピタリティの違いについて、ザペニンシュラ東京 総支配人だったマルコム・トンプソン氏はこう以下のように述べています。

ホスピタリティ研修の相談をされるときは、いつもこの文章をお客様にお伝えしています。

そこから、研修内容についてディスカッションを行っています。


◆「サービス」と「ホスピタリティ」は、どう違うのか
 さて私は、よい「サービス」のために、いかに人材が重要かということを述べてきました。ここで別の角度から「サービス」について見てみたいと思います。
 「サービス」に似た言葉に、本書のタイトルにも用いた「ホスピタリティ」があります。
 両者は混同されることも多いのですが、私なりの考えをまとめておきましょう。
 一般的に、「サービスは従属関係で、ホスピタリティは対等関係」などと解説されます。それは両者の語源であるラテン語をたどることによって導かれたものです。簡単に記せば、次のようになります。

■サービス
 (語源)「奴隷」を意味する「Servus」
 (類語)「召使い」(Servant)
 (概念)従者が主人に仕えること
■ホスピタリティ
 (語源)「客人の保護者」を意味する日「Hospes」
 (類語)「病院」(Hostel)
 (概念)対等を前提とした主人と客人の関係

辞典的な解説では、こうなっています。しかし、私の考えは異なります。結論から述べましょう。
 

「サービス」と「ホスピタリティ」は一体化したものです。

「サービス」は「ホスピタリティ」という歯車を回す潤滑油のようなものであり、それがあることで全体が円滑に運営されるのです。
 

また「ホスピタリティ」は感覚的なもの、形のないもので、触れることはできません。

しかし「サービス」は実際に見ることができ、有形に近いものです。そのためにはスキルやテクニックが要求されます。


 お客様の視点で言えば、「ホスピタリティ」はお客様の経験全体を指し、そこで感じられる感覚、印象です。

 その経験をよどみなく回しつづけるために必要なのが、「サービス」という潤滑油なのです。

 


『日本が教えてくれるホスピタリティの神髄』(マルコム・トンプソン)ザペニンシュラ東京 元総支配人 祥伝社刊

 

 

 

日本が教えてくれるホスピタリティの神髄
日本が教えてくれるホスピタリティの神髄