何度も言った通り空き時間は30分しか無かった。
そこに体験授業をぶちこんだ。
元々授業があった生徒さんに迷惑をかけないのが筋ではないか。
そんなこんなで混沌状態。
あいつも伊藤先生も夏期講習の無茶ぶり消化で疲弊していた。
殺伐とした空気が流れる。
これが学習塾のあってよい姿なのか?
そんなこんなで飲みまくったわけだ。
いつも通り、何杯飲んだかは覚えていない。
数える気すらない。
8月の末日。
こうして怒濤の夏期講習期間を終えた。
迎えた9月。
何としてでも合格につながる実践力がつくよう、授業を提供する。
そろそろ自炊の習慣でもつけようか。
「俺、つくんないよ。」
「そうなの。」
「うん。」
爪を短く切ったあいつ。
厨房では問題を解いているとき以上に輝いているのではないか。
「シチュー熱すぎた。」
「それで遅刻したの?」
「・・・。」
結局教室が開室したのは、14時を回ろうとしていた頃。
私たちは英語の授業をすることを断念し、その時間からの一コマは現代文に充てた。
ちょうど大学の授業で触れた社会学者を取り上げた論説文。
センター形式と違い、ミスリードが目立つ。
宿題は要約文を課した。
結局最後の段落まで説明できず、解説が薄かった。
全然仕事ができていない。
馬鹿。
そう一蹴し、次のコマに切り替えた。
21時まで空きはない。質問がある生徒さんに、それ以降に対応させてほしいと申し出る。
受験生の気力はものすごい。
こちらの都合のもかかわらず、それまでの時間を必死に自習して過ごし、
着実に合格へと一歩一歩近づいて行く。
もちろん自分の勉強のためだろうが、担当の生徒さんがたくさん夜遅くまで
残って下さるのは、実に嬉しいことだ。
「先生、宿題終わりました!」
「おお、よく頑張ったね。」
前回の模試の長文。
6パラグラフ全体に、一文一文構文がとってある。
酷な宿題とは思ったが、彼女はやり遂げた。
「素晴らしい。ここのwith以下はO物でとっていいよ。
SVOOだね。provideがVなのOK、usはO人にすればいい。
で、Vintageで同じ問題あるからその周辺やっておこうか。」
後半は何とかやり遂げた。
ただただ、怒濤のその一日は、今日では無かった。
「明日体験授業お願いできますか?」
もちろん二つ返事で引き受ける。
ただ、ただ。
社員の無能さにより生徒さんに影響が出て、その尻拭いを非正規が負う。
何度も経験したが、この次の日は本当にひどかった。
私たちは英語の授業をすることを断念し、その時間からの一コマは現代文に充てた。
ちょうど大学の授業で触れた社会学者を取り上げた論説文。
センター形式と違い、ミスリードが目立つ。
宿題は要約文を課した。
結局最後の段落まで説明できず、解説が薄かった。
全然仕事ができていない。
馬鹿。
そう一蹴し、次のコマに切り替えた。
21時まで空きはない。質問がある生徒さんに、それ以降に対応させてほしいと申し出る。
受験生の気力はものすごい。
こちらの都合のもかかわらず、それまでの時間を必死に自習して過ごし、
着実に合格へと一歩一歩近づいて行く。
もちろん自分の勉強のためだろうが、担当の生徒さんがたくさん夜遅くまで
残って下さるのは、実に嬉しいことだ。
「先生、宿題終わりました!」
「おお、よく頑張ったね。」
前回の模試の長文。
6パラグラフ全体に、一文一文構文がとってある。
酷な宿題とは思ったが、彼女はやり遂げた。
「素晴らしい。ここのwith以下はO物でとっていいよ。
SVOOだね。provideがVなのOK、usはO人にすればいい。
で、Vintageで同じ問題あるからその周辺やっておこうか。」
後半は何とかやり遂げた。
ただただ、怒濤のその一日は、今日では無かった。
「明日体験授業お願いできますか?」
もちろん二つ返事で引き受ける。
ただ、ただ。
社員の無能さにより生徒さんに影響が出て、その尻拭いを非正規が負う。
何度も経験したが、この次の日は本当にひどかった。
さすがに待たせすぎた。
申し訳なくなり、横に座り採点を始める。
こんなに受験生ばかり、私は持ちきれる、いや担当させて頂くのが可能なのだろうか。
能力的に。
ただ広げなければいけない、この小さなキャパを。
無理にでも。
そして結果を提供しなければいけない。意地でも合格して頂く。
「はい、toの後ろ、いいね原形!」
「having Vpp、時ずれおっけ!」
「inの後ろ、よしing!」
50問中、20問目あたりまで快調。
そう、これが3回目なんだもの。
「あっちでさ、先生丸付けしてるときまじ緊張する。」
「そうなの。」
「赤ペン止まるときまじこわい。」
そうやって見てる間に単語練習できるだろ。
と言うのはしばらく控えている。
「ちょっと。」
「はい。」
「I saw her go into the cafe with her boy friend.これ元文よね?」
「うん。」
「なんでingついてるの?」
「え。」
「いや、確かにこういう文あるよ。goingなら見たのは一瞬。goだったら一部始終。
で、She was seen to go into the cafe・・・なら受け身にしたときto復活してるよね?
それを元に戻せって問題だから、goにならなきゃいけないよね。」
もっとうまい言い方はできなかったのだろうか。
「え、だって、え、ちょっと待って。」
英文を書き出し、再度説明する。
その後、あいつに自分の言葉で説明させる。
確かにこのくらい、知らなくたって英文は読めるかもしれない。
ただ、こんな基礎問題の失点が多い故偏差値が伸び悩んでいる。
できるようにする他ない。
「ちょっと。」
「はい。」
「なんでいきなり男になってるの?」
あいつが問題用紙を覗き込む。
分詞構文の問題。
テレビをつけたあと、彼女はソファに横になった。
Having tuned on TV, she lay on the sofa.
↓
After she had turned on TV, she lay on the sofa.
こう書き換えて欲しかった。
例文の日本語は時差が無いようにも思えるが、
時ずれは理解してくれていた。
ただ、After節の主語がheになっていた。
もちろん×をつけた。
「いや、これは見直し不足。」
「本番やったらどうなるの。いや、君受ける大学こんなの出ないと思うよ。」
圧倒的にマークが多いから。
「ただ、さっきのgoの問題にしろ5箇所やったらどうなる?
25点失点?人生変わるよね。」
悪い方に。
精神論、人生のこと語る講師は馬鹿だと思って来た。
だって語れるほどの立派な人生を過ごして来てないのだから。
ただ最近説教じみて来てしまう。
浅はかでないだろうか。
採点してみると3つ失点。
そのうち一個はgoの問題。
C(補語)の部分に原形が入る場合とing形が入る場合の説明を課した。
それでもって丸にした。
なんて甘過ぎ。
「丸付けしてるときにね、まじ寿命縮まる。」
文法問題をナメてかかるほう、寿命が縮まるどころか
自殺行為である。
「はい、次のテストは土曜日ね。よろしく。」
「ありがとうございます。」
律儀にお礼をしてくれる子。
あなたのご家庭のおかげで私は生活できている。
ただ、合格してくれさえすれば何も望みません。
申し訳なくなり、横に座り採点を始める。
こんなに受験生ばかり、私は持ちきれる、いや担当させて頂くのが可能なのだろうか。
能力的に。
ただ広げなければいけない、この小さなキャパを。
無理にでも。
そして結果を提供しなければいけない。意地でも合格して頂く。
「はい、toの後ろ、いいね原形!」
「having Vpp、時ずれおっけ!」
「inの後ろ、よしing!」
50問中、20問目あたりまで快調。
そう、これが3回目なんだもの。
「あっちでさ、先生丸付けしてるときまじ緊張する。」
「そうなの。」
「赤ペン止まるときまじこわい。」
そうやって見てる間に単語練習できるだろ。
と言うのはしばらく控えている。
「ちょっと。」
「はい。」
「I saw her go into the cafe with her boy friend.これ元文よね?」
「うん。」
「なんでingついてるの?」
「え。」
「いや、確かにこういう文あるよ。goingなら見たのは一瞬。goだったら一部始終。
で、She was seen to go into the cafe・・・なら受け身にしたときto復活してるよね?
それを元に戻せって問題だから、goにならなきゃいけないよね。」
もっとうまい言い方はできなかったのだろうか。
「え、だって、え、ちょっと待って。」
英文を書き出し、再度説明する。
その後、あいつに自分の言葉で説明させる。
確かにこのくらい、知らなくたって英文は読めるかもしれない。
ただ、こんな基礎問題の失点が多い故偏差値が伸び悩んでいる。
できるようにする他ない。
「ちょっと。」
「はい。」
「なんでいきなり男になってるの?」
あいつが問題用紙を覗き込む。
分詞構文の問題。
テレビをつけたあと、彼女はソファに横になった。
Having tuned on TV, she lay on the sofa.
↓
After she had turned on TV, she lay on the sofa.
こう書き換えて欲しかった。
例文の日本語は時差が無いようにも思えるが、
時ずれは理解してくれていた。
ただ、After節の主語がheになっていた。
もちろん×をつけた。
「いや、これは見直し不足。」
「本番やったらどうなるの。いや、君受ける大学こんなの出ないと思うよ。」
圧倒的にマークが多いから。
「ただ、さっきのgoの問題にしろ5箇所やったらどうなる?
25点失点?人生変わるよね。」
悪い方に。
精神論、人生のこと語る講師は馬鹿だと思って来た。
だって語れるほどの立派な人生を過ごして来てないのだから。
ただ最近説教じみて来てしまう。
浅はかでないだろうか。
採点してみると3つ失点。
そのうち一個はgoの問題。
C(補語)の部分に原形が入る場合とing形が入る場合の説明を課した。
それでもって丸にした。
なんて甘過ぎ。
「丸付けしてるときにね、まじ寿命縮まる。」
文法問題をナメてかかるほう、寿命が縮まるどころか
自殺行為である。
「はい、次のテストは土曜日ね。よろしく。」
「ありがとうございます。」
律儀にお礼をしてくれる子。
あなたのご家庭のおかげで私は生活できている。
ただ、合格してくれさえすれば何も望みません。