結局教室が開室したのは、14時を回ろうとしていた頃。
私たちは英語の授業をすることを断念し、その時間からの一コマは現代文に充てた。
ちょうど大学の授業で触れた社会学者を取り上げた論説文。
センター形式と違い、ミスリードが目立つ。
宿題は要約文を課した。
結局最後の段落まで説明できず、解説が薄かった。
全然仕事ができていない。
馬鹿。
そう一蹴し、次のコマに切り替えた。
21時まで空きはない。質問がある生徒さんに、それ以降に対応させてほしいと申し出る。
受験生の気力はものすごい。
こちらの都合のもかかわらず、それまでの時間を必死に自習して過ごし、
着実に合格へと一歩一歩近づいて行く。
もちろん自分の勉強のためだろうが、担当の生徒さんがたくさん夜遅くまで
残って下さるのは、実に嬉しいことだ。
「先生、宿題終わりました!」
「おお、よく頑張ったね。」
前回の模試の長文。
6パラグラフ全体に、一文一文構文がとってある。
酷な宿題とは思ったが、彼女はやり遂げた。
「素晴らしい。ここのwith以下はO物でとっていいよ。
SVOOだね。provideがVなのOK、usはO人にすればいい。
で、Vintageで同じ問題あるからその周辺やっておこうか。」
後半は何とかやり遂げた。
ただただ、怒濤のその一日は、今日では無かった。
「明日体験授業お願いできますか?」
もちろん二つ返事で引き受ける。
ただ、ただ。
社員の無能さにより生徒さんに影響が出て、その尻拭いを非正規が負う。
何度も経験したが、この次の日は本当にひどかった。