みなさんお待ちかねー!
ガンダムファイトーーー!
レディーッ!
ゴーーーーーーーーーッ!!!
「機動武闘伝Gガンダム」は、サンライズ製作の「機動戦士ガンダム」シリーズの一作。1994年(平成6年)4月22日から1995年(平成7年)3月31日まで全49話がテレビ朝日系で毎週金曜日17時00分~17時30分にて放送された。
ブログを始めた2006年(その頃はyahooblog)、最初に書いたアニメネタが実はこの「機動武闘伝Gガンダム」だった。
このところすっかり御無沙汰していたのだが、先頃「はじめの一歩」の作者である漫画家の森川ジョージ氏がこの作品についてtweetし始めると、思いがけずバズって祭り状態になった。
面白そうなので、それらのtweetを追跡していたら、どんどんハマって行く様子が手に取るようにわかり、実に楽しくギャラリーさせてもらった。
森川氏は先日全話完走し、すっかり沼ったらしく、登場する機体のガンプラを次々ポチって作り始めたようだ。
凄く楽しそうだったので、私もなんだか嬉しくなって、久し振りに眠っていたDVDを引っ張り出して1話から観直してみた。
ちなみに、現在YouTubeのガンダムチャンネルで無料配信中の模様。
お暇な時に是非!
そんなわけで、全49話を土日二回りで一気に完走したが、案外内容を忘れていて、新鮮な感覚で楽しむことができた。
正直、本放映の時は頑なに、
「こんなのはガンダムじゃないっ!」と否定して、まったく観なかった。
思い込みというのは度し難く、いま思うと馬鹿馬鹿しいのだが、当時自分にとってのガンダムは、中学時代に観た富野喜幸(当時)監督のファーストガンダムに連なる「宇宙世紀」ものだけを指し、同監督の「Vガンダム」すら、異端の作品と思っていた。
格闘ロボットアニメは同時期に日テレで昭和特撮の傑作をアニメ化した「レッドバロン」があったため、そちらを観ていた。
1994年といえば、「ストリートファイターⅡ」「餓狼伝説」といった格闘ゲームがブームになっており、「レッドバロン」も「Gガンダム」も、その影響下で企画されたタイトルのようだ。
本放映時頑なに拒絶していたのを改めて観てみようと思ったのは、放送終了から5年ほど後に中古ソフトで買ったPlayStationの「新スーパーロボット大戦」の影響で、「Gガンダム」はこのゲームが初登場だったため、地上攻略のシナリオを選択すると、そのストーリーを追体験することができた。
ゲームを進めるうちに、
(もしかして、面白いんじゃね?)
そう思うようになり、レンタルビデオで改めて視聴した。
結局、その後の「スパロボ」シリーズでは、必ずゴッドガンダムを選択するようになる程度には楽しんでしまった。
実は、この作品も「アイアンリーガー」と同様、キャラクター設定に漫画家の島本和彦氏が参加している。
この時も後になって知ったのだが、なるほどあのキャラクターのセンスは島本氏らしいデザインだった。
主人公のドモン・カッシュなど、戦闘コスチュームが全身黒タイツに日の丸、額に真っ赤なハチマキというそれまでのガンダムでは絶対あり得ない恥ずかしいスタイルだった。
ところが、これが回を重ねるごとに違和感がなくなり、だんだん格好良く見えてくるから不思議だ。
その辺は三頭身キャラが異様に格好良く見えた「アイアンリーガー」とも共通する魅力といえるだろう。
一見おバカに見えるのだが、作り手が思いきり真剣にやりきると、それが素晴らしい感動を生むこともあるのだと初めて教えられた。
最終回などは、もう……!
ストーリー
時に、F.C(未来世紀)060年。
人類は荒廃した地球から宇宙へ移住し、スペースコロニーに新たな生活圏を築いていた。しかし、コロニーに脱出した者と地上に取り残された者との格差は取り返しのつかぬほど広がり、地球の荒廃は悪化の一途をたどっていた。
コロニー国家間の覇権をかけて行われる機動兵器同士による代理戦争「ガンダムファイト」は第13回大会を数え、開催の合図と共に、各国のコロニーから光が地球へと落下した。
会場となる地球へ降下した各国代表のガンダムファイターであった。
覇権を狙うコロニーの一つ、ネオジャパン代表のガンダムファイタードモン・カッシュ(cv:関智一)もまた一人のファイターとして、パートナーのレイン・ミカムラ(cv:天野由梨)とともに地球に降下した。
実はドモンにはガンダムファイトと別に個人的な目的があった。
祖国ネオジャパンを裏切り、科学者である父ライゾウ・カッシュ博士(cv:有本欽隆)が開発していたアルティメットガンダム=デビルガンダムを奪って逃走したした実の兄、キョウジ・カッシュ(cv:堀秀行)を探し出して捕えることであった。
順当にファイトを勝ち進むドモンだが、心は荒んでいた。
そんなある日、キョウジとデビルガンダムの手掛かりを求めてやって来た東京の新宿で、ドモンはデビルガンダムと配下のデスアーミーに遭遇する。
そして、かつての師、東方不敗・マスターアジア(cv:秋元羊介)と再会する。
師弟は共闘し、荒んでいたドモンの心にも一筋の光明が射すが、そこにデビルガンダムに操られた各国のガンダムファイター、ネオアメリカ代表チボデー・クロケット(cv:大塚芳忠)、ネオチャイナ代表のサイ・サイシー(cv:山口勝平)、ネオロシア代表アルゴ・ガルスキー(cv:宇垣秀成)、ネオフランス代表ジョルジュ・ド・サンド(cv:山崎たくみ)らが襲いかかり、新宿での出来事がすべて東方不敗による陰謀であったことが発覚する。
ドモンは激怒し、師匠との絶縁を決意。
シャッフル同盟と呼ばれるかつてのレジェンドファイターたちの介入もあってチボデーら4人はかろうじて救出されると、後継の証明となるシャッフルの紋章を受け継ぎ、新生シャッフル同盟となった。
一方で、東方不敗に翻弄されるドモン。
そこへネオドイツのガンダムファイターだというシュバルツ・ブルーダー(cv:堀秀行)が出現し、ドモンを導き、共闘して東方不敗の罠を打ち破る。
シュバルツのアドバイスを受けながら、ギアナ高地で修行に明け暮れるドモンは、やがて明鏡止水の極意を会得して、襲ってきた東方不敗やデビルガンダムを返り討ちにする。
激しい戦いに傷つき破壊された愛機シャイニングガンダムから新型機ゴッドガンダムに乗り換えたドモンは、ギアナ高地を後にして、決勝大会の舞台となるネオホンコンを目指す。
ここでもデビルガンダムを狙うネオホンコンの指導者ウォン・ユンファ(cv:橋本晃一)と東方不敗の陰謀が張り巡らされる中、優勝者を決める決勝バトルロイヤルを勝ち進むドモンと新生シャッフル同盟のメンバーたち。
全勝を目指すドモンは、やがてバトルロイヤルの最中、シュバルツの正体が兄キョウジの心を宿したクローンであること、またアルティメットガンダム=デビルガンダムにまつわる一連の出来事がネオジャパン上層部の陰謀によって引き起こされた狂言であったという真相を知る。
シュバルツは蘇ったデビルガンダムを倒すため、躊躇うドモンを叱咤激励し、デビルガンダムのコクピットに囚われていたキョウジとともに、これと運命を共にした。
デビルガンダムを失い怒り狂う東方不敗がドモンに襲いかかり、はからずもこれがバトルロイヤルの決勝戦となった。
ドモンはこれを迎え撃ち、師匠である東方不敗の隠された本心を初めて知るのだった。
東方不敗は、ガンダムファイトにより破壊された地球を再生させるためにデビルガンダムを使って人類を粛正し、荒廃した地上に緑豊かな大地を取り戻そうとしていたのだ。
しかし、ドモンは、
「人類も自然の一部。おまえのしていることは自然破壊でしかない!」
と、東方不敗の絶望を喝破する。
師匠東方不敗との最後の戦いに勝利したドモンは、長い確執を経て、死にゆく師匠とついに和解を果たした。
ガンダムファイトの頂点に立ったドモンだが、ネオジャパンの上官であり一連の事件の黒幕であったウルベ・イシカワ大佐(cv:飛田展男)の策謀により、レインがデビルガンダムに取り込まれてしまう。
三度復活したデビルガンダムは、人類を抹殺すべく活動を再開する。ウルベは巨大化するデビルガンダムを利用して、ネオジャパンをコロニーごと吸収させて本拠地とし、ガンダムファイトの撤廃とネオジャパンによる人類の永久支配を宣言する。
デビルガンダムの触手に吸収され、危機に陥る地球。
ついに世界中のガンダムファイターが結集し、反撃を開始した。
新生シャッフル同盟の力を借りながら、ドモンはネオジャパンコロニーを吸収したデビルガンダムの中心部へ侵入、苦戦の末ウルベを倒し、グランドマスターガンダムを破壊する。
妨害しようとする敵の排除をシャッフル同盟に任せ、さらに前進するドモン。
やがてデビルガンダムのコアへと辿り着くが、ドモンはここでレインの本心を知るのだった。
レインは父が黒幕の協力者だったことで深く傷つき、その申し訳なさと後悔から、ドモンの接近を拒絶していた。
ドモンもまた、レインに拒絶されたことで、自身の内にある彼女への想いに気づき、初めて素直にその気持ちを打ち明ける。
レインはドモンの告白を受け入れ、デビルガンダムの束縛を断ち切った。
そして、二人は手を携え、宿敵デビルガンダムを葬り去る。
デビルガンダムの破壊と引き換えにネオジャパンコロニーを失ったドモンだが、シャッフル同盟を始め世界中のガンダムファイターたちに祝福されながら、レインと二人、師匠や兄が愛した地球をいつか再生させるべく、地上へと降下して行った。
とにかく、一言。
熱い!
素晴らしく感動的な台詞があるかと思えば、とてつもなくシリアスな場面のはずなのに、
(ギャグじゃないよな?)と、耳を疑うような台詞が飛び出してきたりする。
想像の上を行くにせよ、下をくぐるにせよ、とにかく振り切っているのが清々しい。
田中公平氏のBGMも名曲揃い。
特に、必殺技が発動するシーンのBGMは、シャイニングガンダム、ゴッドガンダムとも、血湧き肉躍る興奮必至の名曲。
これを聴くだけで、メンタル爆上がりになる。
ついでに、いっしょに台詞を叫びたくなってしまうのである。
もはや、中毒!?
前期 シャイニングガンダム
俺のこの手が光って唸る!
おまえを倒せと輝き叫ぶ!
くらえっ!
ひぃぃぃぃっさつっ!
シャアァァァァァイニング!
フィンガァァーーーーーッ!!!
後期 ゴッドガンダム
俺のこの手が真っ赤に燃える!
勝利をつかめと轟き叫ぶ!
ばぁぁぁぁくねつっ!
ゴッド!
フィンガァァーーーーーー!!!
やはりスーパーロボットは必殺技。
それも、技の名を叫ばなければ!
そんな感慨に耽りつつ、ふと気がつくと、
(あれ?これガンダムなんじゃ?)
と、我に返る。
それぐらい、ガンダムのお約束を徹底的に破壊した異色のガンダムだった。
これがそこそこヒットしたおかげで、ガンダムの裾野が広がり、その後のシリーズの礎を築いたといっても過言ではないだろう。
御存知の通り、ガンダムは令和の現在まで連綿と続き、今期放映中の「水星の魔女」も大好評の模様。
しかし、これほど破天荒なガンダムは、後にも先にも存在しない。
時が経てば経つほどその存在が輝きを放つ唯一無二のガンダムで、ならばこそ、森川氏のtweetをきっかけにいまさらにあれほど盛り上がったのだと思う。
今後、似たようなタイプのガンダムが作られることもあるかもしれないが、やはりこれほどハチャメチャなガンダムは生まれないのではないか。
後半になるに従って作画の気合いも過剰になり、スタッフがかなり入れ込み気味に制作していたのが伝わってくる。
とてつもなく熱血な分、ストーリーはシンプルで鬱展開ではないにもかかわらず、疲労感がそれなりにくる。
観るのはあまり疲れていない時がお勧め。
意外だったのは、ドモンを演じた関智一とレインを演じた天野由梨が実際にゴールインしたこと。
(マジ? そんなことがあるんだ~~!)
他愛なく驚いたのが懐かしい。