前回の記事「仏典を読む(その3)阿弥陀経1」の続きです。
【阿弥陀経】2
⑤ 極楽の素晴らしさを知ったのであれば、極楽に生まれ変わりたいと願うべきである。しかしながら、わずかな功徳を積むだけでは極楽に生まれ変わることはできない。もし善良な人間が、阿弥陀仏という名を聞き、その名を心にとどめて1日、あるいは7日までの間、一心に思いを乱さないのであれば、その人が命を終えようとするときに、阿弥陀仏が多くの聖者とともに現れ、極楽に生まれ変わることができる。
⑥ 私(釈迦)がこうして阿弥陀仏の計り知れない功徳の力を称賛しているのと同様に、東方・南方・西方・北方・下方・上方の世界にいる数えきれないほどの多くの仏たちも同様に、世界の隅々にまでに阿弥陀仏の優れた徳が真実であるとし、「阿弥陀仏の計り知れない功徳の力を称賛して信じなければならない」と言っている。
⑦ 善良な人間たちが、多くの仏たちの説く阿弥陀仏の名と教えを聞くのであれば、全ての仏たちに護られて、この上ない悟りに至ることができる。そのため、お前たちは、私(釈迦)や多くの仏たちが説く阿弥陀仏とこの教えを深く心にとどめなければならない。
⑧ 私(釈迦)が多くの仏たちの計り知れない功徳の力を称賛しているように、多くの仏たちも私の計り知れないの功徳の力を称賛して「釈迦仏は世にもまれな難しく尊い行を成し遂げた。世界は様々な濁り・汚れ・煩悩に満ちて、人々は悪事を犯すばかりであるが、釈迦仏はこの上ない悟りを開いて人々のために信じがたいほどの尊い教えを説いた」と言っている。私の行うことは、本当に得難いことなのである。
釈迦がこの教えを説き終わると、舎利弗や多くの修行僧、天人や阿修羅などは皆、喜びに満ち溢れて深く心にどどめ、礼儀正しく礼拝して立ち去った。
【終】
以上で、阿弥陀経の要約は終わりです。阿弥陀経は短いお経ですので苦労することはありませんでした。
注目点は⑤ですね。極楽に生まれ変わる方法となる「善良な人間が阿弥陀仏を心にとどめて7日間思いを乱さない」という部分。法然が説く「南無阿弥陀仏を唱えると極楽浄土にいける」という、楽ちんな教えではありません。法然や親鸞が説く、易行や他力については、阿弥陀経にはあまり見いだせず、他の浄土三部経の他の経典に託されているということになります。
シメとなる⑧については、釈迦が突然自分アゲを始めます(笑)。ですが、その前に釈迦は他の世界にいる自分と同じ仏(ブッダ)たちをアゲていますので、「無数の仏が相互に称賛し合っている」という点に着目すべきでしょうか。
今回、一つの経典の要約に初めて挑戦しましたが、要約とは、原文から書き落としてはいけない重要部分を精査して拾い上げて再構成する作業でありますから、通常の読書よりも断然脳に負荷をかけるため、原文内容が非常に頭に入りやすい。浄土三部経は何度も読みましたが、今回ほどしっかり頭に入ることはありませんでした。仏教学習には最適かもしれません。
次回は、浄土思想の核となる「無量寿経」に取り掛かりますが分量が多い。果たしてゴールまでたどり着けるのでしょうか。
次回に続きます。