映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』~最強のデート・ムービー!?…太宰治に魅了された女たち~ | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~

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少々マニアックな事なども書くと思いますが、お暇な方は読んでやって下さい。

現在、『人間失格 太宰治と3人の女たち』という映画が公開されている(9/13(金)から公開中)。

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、作家・太宰治が、名作中の名作『人間失格』を書き上げるまでの過程を描いた映画であるが、私もこの映画を見に行って来た。

そして、本当に素晴らしい映画だったという事を、まずはお伝えさせて頂きたい。

 

 

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で、太宰治を演じているのは小栗旬であるが、

その小栗旬が演じる太宰治を愛した3人の女たちを、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみが演じており、

それぞれが皆、まさにハマリ役で、大変素晴らしい出来栄えの映画になっていた。

なお、この映画を撮っているのは、写真家としても活躍している蜷川実花である。

蜷川実花監督は、女性監督らしく、太宰を愛した女たちの、細やかな心の動きを、実によく丁寧に描いていた。

という事で、今回は、連載中の『サザン史外伝・桑田佳祐VS長渕剛』を、ちょっとお休みして、

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』について、ご紹介させて頂く事としたい。

 

<「これは、自分が見に行くために作られた映画だ!!」…映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の公開を知って、大喜びした私>

 

 

今年の6/19、私は当ブログで、太宰治の命日である、所謂「桜桃忌」に合わせて、作家・太宰治の生涯にスポットを当てた記事を書いた。

そんな年に、何の偶然か、その太宰治にスポットを当てた映画が公開されるというのである。

その事を知った時、私は大喜びしてしまった。

そして、私はこう思った。

「これは、自分が見に行くために作られた映画だ!!」

大袈裟に言えば、そういう心境だったが、それぐらい、私の好みにドンピシャリの映画が作られたと、私は思ったものである。

「この映画、自分が見に行かなくて、誰が見に行くんだ!?」

それぐらい、私はこの映画の公開に際して、ワクワクした心境であった。

しかも、太宰治を、今を時めくイケメン俳優・小栗旬が演じるという事で、これはハマリ役であろうと私は思った。

 

<映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の監督は蜷川実花…鬼の演出家・蜷川幸雄の娘、蜷川実花が、太宰治をどのように描くか!?>

 

 

 

 

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の監督を務めたのは、蜷川実花である。

蜷川実花は、写真家として大活躍し、これまで、『さくらん』(2007年)、『へルタースケルター』(2012年)、『Diner ダイナー』(2019年)という、3本の映画を撮って来ているが、『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、最初にオファーを受けた時から数えると、構想7年をかけて、まさに満を持して作り上げられた映画だったという。

 

 

 

 

蜷川実花といえば、言わずと知れた、演出家・蜷川幸雄の娘であるが、

蜷川幸雄は、「世界のニナガワ」と称されるほど、世界的に有名な演出家であり、

役者を厳しく鍛え上げ、役者を追い込みまくる、「鬼のニナガワ」としても有名だった。

蜷川実花は、そのような超有名人の娘として生まれたため、幼い頃から、色々なプレッシャーが有った事は、想像に難くない(※蜷川幸雄は2016(平成28)年に、享年80歳で亡くなった)。

 

 

 

しかし、蜷川実花は、その独特の感性で、色彩豊かで華やかな、独創的な写真を撮る写真家として、独自の地位を築ぎあげて行った。

蜷川実花は、父親とはまた違った個性で、表現者としての腕を磨き上げて行ったのである。

そんな蜷川実花が、果たして、小栗旬が演じる太宰治を、どのように撮ってくれるのか、私は楽しみで仕方が無かった。

 

<映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で、デートに行く…この映画を見た、女性の感想を聞きたかった私>

 

 

実は、私は今回、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で、デートに行ったのである。

「今度、こういう映画がやるんだけど、行ってみない?」と、ある女性を誘ったところ、

その女性は「面白そう!行ってみたい!!」との返事であった。

という事で、私はその人と一緒に、この映画を見に行ったのであるが、

個人的に、この映画は絶対に見てみたいと思っていたのは勿論、女性目線で、この映画を見て、果たして女性がどのような感想を抱くのか、私は是非とも知りたかった。

という事で、私の感想や、その人の感想も踏まえて、この映画について、お伝えする事としたい。

 

<女性の観客が目立った客席…女性客からの期待値の高さを実感>

 

 

こうして、私達は映画館に、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』を見に行って来たのだが、

私達が見に行った映画館は、ほぼ満席の状態であった。

しかも、観客はほぼ女性ばかりという印象であり、あとは女性の付き添いで、男性がチラホラ、といった所であろうか。

この映画が、如何に女性客からの期待値が高いのか、という事が実感出来るような光景だったが、

この映画を見た感想として、まずは結論から先に言うと、女性は勿論、男性が見ても、メチャクチャ面白い映画だった。

絶対に、見て損は無い映画だと、強くお勧めさせて頂きたい。

 

<舞台は終戦直後…太宰治が、『人間失格』を書き上げるまでの数年間の物語~太宰治と、強烈な個性を持った3人の女>

 

 

 

では、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の内容について、ご紹介させて頂く事とするが、

この映画の舞台は、1946(昭和21)年からの数年間、作家・太宰治が、名作『人間失格』を書き上げるまでの物語であり、

太宰治が、如何にして『人間失格』を完成させたのか、そして、太宰治の事を、それぞれタイプの異なる個性的な3人の女性達が、

どのような形で愛して行ったのかに、スポットを当てている。

その3人の女性というのは、太宰の妻・美知子(宮沢りえ)、作家志望の女性・太田静子(沢尻エリカ)、そして、太宰を激しく愛し抜いた女、山崎富栄(二階堂ふみ)である。

この方達が、本当に皆、見事なハマリ役であり、役柄にピッタリであった。

蜷川実花監督も、「主役の小栗旬、そして、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみという、素晴らしい3人の女優をキャスティング出来た事が、まずは大変大きかった」と語っている。

その言葉どおり、まずはキャスティングの勝利という事は言えるのではないだろうか。

 

<太宰治を愛した女①…誰よりも太宰の才能を信じ、愛した妻・美知子(宮沢りえ)~母性で太宰治を包み込む>

 

 

太宰治を愛した3人の女たちの中で、まずは、太宰治の妻・美知子(宮沢りえ)の存在感は、とても大きいものである。

太宰治と美知子は、1939(昭和14)年にお見合い結婚したが、それまで、自堕落な生活を続け、精神的にも破綻していた太宰は、

美知子との結婚により、漸く精神的も安定し、やがて作家としても、旺盛な創作活動を行ない、名声を高めて行く事となった。

 

 

映画の冒頭、1946(昭和21)年頃には、太宰と美知子の間には2人の子供が居り、美知子のお腹の中には、3人目の子供も居た。

太宰は、美知子との間に幸せな家庭を築き、家庭では、子煩悩な良き父親としての面も見せていた。

しかし、以前、当ブログでも詳しく書いたのだが、太宰というのは、半端じゃなく女性にモテまくった人であり、美知子と結婚し、家庭を築き上げてはいたが、「それはそれ、これはこれ」として、相変わらず、多くの女性達と遊びまくり、浮き名を流していた。

そんな太宰の行状を、美知子は知っていながらも、「これも、あの人の創作意欲のためだ」と、見て見ぬふりをしていた。

太宰は、そんな美知子には、まるで子供のように甘えており、どんなに他の女性達と遊び歩いても、最後は、美知子が待つ家庭に帰って来るのである。

美知子は、そんな太宰の作家としての才能を、誰よりも信じていたが、それと同時に、太宰を包み込むように愛していた。

言わば、美知子の太宰に対する愛は「母性愛」に近いものだったのかもしれない。

 

<太宰を愛した女②…作家志望の女性・太田静子(沢尻エリカ)~天真爛漫で華やかな可愛さで、太宰を魅了する女>

 

 

 

さて、そんな太宰治を魅了し、そして、太宰治も魅了した、太宰の愛人が、作家志望の女性・太田静子(沢尻エリカ)である。

ちなみに、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、簡単に言えば、奧さんが居ながらも、愛人Aや愛人Bとも関係を持つ、どうしようもない男の話であるが、その「愛人A」にあたるのが、静子であった。

静子は、容姿が美しいのは勿論、作家志望で、文学や芸術に深い関心を持っており、そんな所も、太宰の好みにピッタリであった。

静子は、太宰の熱烈なファンであり、太宰にファンレターを出したのがキッカケで、「じゃあ今度、こちらに遊びに来なさい」と太宰に誘われ、

そして2人は親しい間柄になってしまった。

なお、静子は華やかで天真爛漫で、その圧倒的な可愛さに、太宰はメロメロになってしまったのであった。

 

 

また、静子はかつては上流階級の女性だったが、戦後、その家が没落してしまっていた。

静子は、その自らの境遇について、日記を記していたが、太宰はその日記に興味を持った。

太宰は、東京・三鷹に住んでいたが、静子の日記読みたさに、わざわざ静子が住んでいる伊豆まで会いに行ってしまった。

勿論、自らの作品のネタにするのが目的だった。

 

 

静子は「私に会うのは、日記が目当てなの?」と、不満顔で太宰に聞くが、

太宰は「そんな事はないよ。君が魅力的だからに決まってるじゃないか…」と、静子の耳元で、甘く囁いた。

勿論、それも嘘ではなかったであろうが、結局、太宰は静子の日記を元ネタにして、一編の小説を書き上げた(※その事については、後述する)。

おまけに、太宰と静子の間には、子供まで出来てしまったのであった。

これが、太宰治という男のやり口なのである。

 

<太宰治を愛した女③…太宰を命がけで愛し抜いた、業の深い女・山崎富栄(二階堂ふみ)>

 

 

さて、妻の美知子(宮沢りえ)が身ごもり、愛人Aである太田静子(沢尻エリカ)と、仲良く楽しく過ごしていた頃、

太宰は、1人の女性と出会った。

それが、この映画における太宰治の「愛人B」である、山崎富栄(二階堂ふみ)であった。

富栄は、戦争に行ったまま帰って来ない夫の帰りを待ち、美容師をしている女性だったが、

太宰は、行き着けのバーで出会った富栄の美しさに一目惚れしてしまい、出会ったその日に、太宰は富栄にキスをしてしまった。

「先生、ダメです、やめて下さい…」と、富栄は抵抗したが、

太宰は、そんな富栄に対し、「君、人間というのは、恋と革命のために生まれて来たんだよ…」と、耳元で甘く囁いた。

そんな「決め台詞」が効いたのか、結局、富栄もまた、太宰の求愛を受け入れてしまった。

ちなみに、「恋と革命」云々という言葉は、実は静子が日記に書いていた言葉なのである。

つまり太宰治は、他の女性を口説くために、別の愛人が書いていた言葉を、そのままパクってしまったのであった。

 

 

こうして、太宰は富栄とも深い仲になってしまったのであるが、

この映画に登場する3人の女性の中で、太宰の事を最も激しく、狂おしいまでに愛した女性こそ、この富栄であった。

最初は、太宰の事を拒もうとしていた富栄は、やがて太宰を深く愛するようになり、富栄は全身全霊で、太宰に愛情を捧げた。

それは、時として「狂気」に近いものであり、正直言って、私は見ていて恐ろしいぐらいであった。

そして、この富栄が太宰にドップリとハマって行く姿を、二階堂ふみは、見事に演じている。

個人的には、この映画の主演女優賞は二階堂ふみであろうと、私は思っているほどである。

 

<太宰治、太田静子(沢尻エリカ)の日記を元に、大ベストセラー『斜陽』を生み出すが…作家・坂口安吾(藤原竜也)に酷評され、「もっと本物の小説を書け!!」と言われる>

 

 

太宰治は、前述した通り、「愛人A」太田静子の日記を元ネタにして、

没落貴族を描いた『斜陽』という小説を書き上げ、発表したところ、『斜陽』は記録的な大ベストセラーとなり、

太宰治は、当代きっての超人気作家となった。

 

 

しかし、太宰のライバルである、作家・坂口安吾(藤原竜也)は、

「あんな甘っちょろい小説、面白くも何ともない」

と、『斜陽』を酷評した。

そして、「お前、あの小説、誰かの日記を元ネタにしたんだろ?」と、元ネタが有る事も見抜いていた。

坂口安吾は、太宰に対し「お前、もっと本物の小説を書いてみろ!自分の腸(はらわた)を抉り出して、全てを曝け出すような、本物の小説を…」と、迫った。

ちなみに、太宰治を演じた小栗旬も、坂口安吾を演じた藤原竜也も、かつて、蜷川幸雄の門下生として、厳しく鍛え上げられて来た経験が有り、そんな2人が、娘の蜷川実花が監督を務める作品で共演しているというのは、実に因縁めいていると言えよう。

 

 

なお、坂口安吾が見抜いていた通り、太宰に『斜陽』の元ネタとなる日記を提供した太田静子は、

後に、その過程を描いた『斜陽日記』を出版した。

そして、太宰との間に生まれた娘・太田治子は、後に作家として大成したのだった。

 

<太宰を叱咤激励し続けた編集者・佐倉(成田凌)…太宰の才能を信じ続けた男>

 

 

 

これまで述べて来た通り、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、女性陣の活躍が目立つ作品ではるが、

男性陣も、それぞれ皆、魅力的であり、印象的な演技を見せている。

中でも、太宰の編集者・佐倉(成田凌)は、太宰がどんなに堕落した生活を送っても、

「先生なら、もっと凄い作品が書ける!」

と、太宰の才能を信じ続け、ひたすら太宰を叱咤激励し続けていた。

彼は、昔からの太宰ファンであり、「太宰治の才能は、こんなもんじゃない」と、愚直に太宰を信じていたのであった。

こうして、いよいよ名作『人間失格』誕生の機運が高まって行った…。

というわけで、あとは実際に見てからのお楽しみである。

 

<映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』を一緒に見に行った女性の感想>

 

 

というわけで、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』について述べて来たが、

私と一緒に見に行った女性の感想は、まず「メチャクチャ面白かった!!」というものであった。

そして、「蜷川実花って写真家だから、やっぱり画面が華やかだね」という感想も言っていた。

そして、「女優がみんな凄かった。特に(二階堂)ふみちゃん、凄かった…」との事であったが、

私が「あの人、怖っ!!って思っちゃったね」と言ったら、

その人も「確かに、あの人は怖かったね」と笑っていたものである。

 

 

「小栗旬の、太宰はどうだった?」と、私が聞いたところ、

「何か、多分本物の太宰より、カッコいいんだと思うけど、ああいう人は、現実に居られたら困るから、映画の中だけにしてもらいたいね(笑)」と言っていた。

という事で、私もその女性も、大満足の映画だったのであるが、まずは文句の付けようのない、素晴らしい作品だという事は請け合いである。

なお、前述の通り、私は以前、太宰治の人生について、詳しく描いているので、この映画をご覧になり、宜しければ、私が書いた記事もお読み頂ければ幸いである。

そして、映画として大変面白かったので、私は、また見に行こうかと思っている。